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10月最後のTEDトークは、motivational talk(やる気にさせてくれる講演)を選びました。
タイトルは、Unleashing the drive within: the obsession advantage(内なる原動力を解き放つ:オブセッションのメリット)。
医者の Emilio Justo(エミリオ・ホスト)さんのプレゼンです。(justoはスペイン語だとホストと読むので、ホストにしましたが、違っているかもしれません)。
obsession(オブセッション)は何かに取り憑かれることで、強いこだわりや執着です。
オブセッションをネガティブなものとして捉えるのではなく、ポジティブに捉え、成功への原動力にしよう、という内容
オブセッション:TEDの説明
Dr. Emilio Justo, MD, explains the importance of harnessing obsession. He argues that obsession is a powerful force that should be leveraged for success.
エミリオ・ホスト医学博士は、オブセッションを動力源として利用する重要性を説明します。彼は、成功するために、オブセッションは利用すべきパワフルな力だと訴えます。
収録は2024年の2月、動画の長さは11分。動画のあとに抄訳を書きます。
★TEDの記事の説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
エミリオさんの母語は英語ではないので、ゆっくりしゃべっています。
2人の人間
スーパーパワーを信じていますか?
ここに17歳の少年がいます。小さな町で両親に大切に守られ、一人っ子として育ち、家から4時間かけてミシガン大学にやってきた少年。
大学には生徒が4万人いましたが、知っている人は1人もいません。
彼が知っているのは、新しくルームメイトになった人だけ。この人は、世界を旅していろいろな経験をしており、外科医になろうとしていました。
もう1人、外国の海岸で避難できる場所を求めていた3歳の子どもをイメージしてください。
この子は、カストロ政権から逃れてきたキューバの難民だとしましょう。両親同様、この子は英語を話せません。
今お話した、2つの物語にどんな共通点があるでしょうか? あとで説明します。
きょう、私たちはパラダイムシフトを起こします。世間によくあるオブセッションに対するネガティブな見方に挑戦します。
広く信じられているのとは逆に、オブセッションは、うまく使うことができれば、私たちを成功へ導く強力な触媒だと私は信じています。
オブセッションとは?
ウエブスターの辞書も、オックスフォードの辞書も、オブセッションを「人の心を支配するしつこく入り込んでくる何かに対する執着」だと定義しています。
それは特定の思考やアイデアに対する強力でしばしば不合理な集中です。
情熱や献身はオブセッションのよい面ですが、オブセッションという言葉には、ネガティブな意味合いがあり、それは不健全で、破壊的な行動や考えを引き起こすと考えられています。
オブセッションのいい面を考えると、強力な集中、決心、意味のあるゴールへのコミットメントです。バランスが取れた健全なライフスタイルを維持したままできるなら。
オブセッションを再定義しましょう。
私は、オブセッションを、ゆるぎないコミットメント、自身のゴールに向かわせる力だと考えることを提案します。
オブセッションが、どんなふうに忍耐、レジリエンス(立ち直る力)、自制力、決心の元になるか理解するためには、まず、オブセッションに対する見方を変えなければなりません。
成功におけるオブセッションの役割
大きな成功を達成するためには、才能や運だけでは不十分だと知らなければなりません。
そのゴールに対するオブセッション、たゆまない追求、障害や失敗を乗り越える力が必要です。
偉大なものに向かう旅をするとき、オブセッションは、必要な同伴者です。困難なことを乗り越える燃料を与えてくれるからです。
スエーデンの心理学者、故アンダース・エリクソン博士は、専門性を開発するために意図的にする練習の役割について、根本的な研究をしました。
高いレベルのパフォーマンスを実現させる要因について調べたのです。
その結果、長期間、強力に集中して練習する者が、より高いレベルの専門性を獲得するとわかりました。
エリクソン博士は、「高いレベルの専門性を獲得する人々は、もともとすばらしい才能がある」という神話を打ち砕いたのです。
これは、あくなき向上と熟練のためのゆるぎないコミットメント、つまり、オブセッションが成功に役立つという考え方と一致しています。
オブセッションの5つのメリット
オブセッションには5つのメリットがあります。
1.勇気をくれる
オブセッションは目的意識やコミットメントを作り出すやる気の強力なソースです。
そのゴールやアイデアに本当に取りつかれていたら、チャレンジに出会っても、立ち向かう勇気が出ます。
「成功するんだ」という不動の決意があれば、失敗する恐怖は小さくなります。
2.時間をうまく管理できる
何かに取りつかれた人は、時間の価値を理解しています。
自身のゴールにどこまでも集中しているので、1分、1分が進歩する貴重な機会だとわかっており、時間を無駄にしません。
3.思考と変革を促す
何かに取りつかれた人は、自分が追求していることに常に入り込んでいます。
いつもゴールに向かっているので、批判的に考えることができ、解決策やイノベーションを求めます。
4.集中とエネルギーを活用できる
オブセッションはレーザーのような精度で、集中とエネルギーを使うことに役立ちます。
長続きしない興味とは違い、オブセッションがあるおかげで、注意と献身が継続します。
激しく集中するおかげで、目標について深く理解できます。
5.意図的な決断ができる
何かに取りつかれている人々は、意識的な決断をします。
オブセッションは、衝動とは違います。実際、どんな目標の設定も決断も、その影響についてしっかり理解した上で行われます。
外部の気まぐれは意に介さず、オブセッションのある人は、自身の長期的なビジョンに沿って、意識的で綿密な決断をします。
私のオブセッション
さて、最初にお話した2人の話を覚えていますか?
ミシガン大学の17歳の新入生と、3歳のキューバ難民の男の子。
2人の違いと共通点は?
たぶん、おわかりでしょう。両方とも私です。
若いころ、言葉の壁や文化への適応という霧の中で、私は、学ぶことに没頭しました。オブセッションのよい面をすべて体現したんです。
その結果、夢が叶い、23歳で医師となり、27歳で自分自身の眼科の手術をするクリニックを開業しました。
でも成功には代償がありました。私の物語のあらゆるところに、たくさんの障害や挑戦があったのです。
高校1年のとき、2ヶ月入院しました。ティーンエイジャーのときは、集簇性ざ瘡(しゅうぞくせいざそう、アクネ・コングロバータ、一番重症のにきび)をわずらった顔だったので、仲間はずれにされました。
キャリアの後半でも、自分のゴールを見失い、ビジネスに関してまずい決断をしたため、破産しそうになりました。
犠牲、眠れない夜、自信喪失は、オブセッションの闇の側面です。
成功への道はいつもバラ色ではないこと、そして、低迷することは、上昇することとと同じように、成功への道について回ります。
オブセッションを大事にしよう
人生というタペストリーを織るとき、オブセッションに関する見方について考え直しましょう。
皆さんの旅路において、オブセッションのポジティブなパワーを使ってください。
皆さんの胸の中に眠るのは、どんな夢でしょうか?
変化の触媒として、課題を成功に向かう踏み石に変えるパワーとして、オブセッションを大事にしましょう。
オブセッションとの関係を再定義しましょう。そうすれば、自分の中にある潜在能力を解き放つことができます。
私の旅路と同様、皆さんの旅路も、勝利、レジリエンス、ポジティブな伝説で彩ることができます。
オブセッションという変化を起こすスーパーパワーを大事にしますか?
選ぶのは皆さんです。あなたのオブセッションはなんですか?
//// 抄訳ここまで ////
過去に紹介したモチベーショナル・トーク
もう自己啓発本を読む必要なし~成功するため8つの秘密とは?(TED)
時が傷を全部癒やしてくれない時(TED)~幼少期のトラウマを勇気に変える。
スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式のスピーチからミニマリストが学んだこと
オブセッションの肯定的な面を引き出す
オブセッションは何かに対する強い執着やこだわりなので、否定的に働くと、その人自身や回りの人に大きな害を及ぼします。
一番極端な例は、強迫性障害(OCD)でしょう。
病名がつかなくても、何かに執着して仕事をしすぎて燃え尽きてしまうこともあります。
しかし、ホストさんの言うように、オブセッションはうまく使えば、肯定的な結果を生み出すことができます。
例えば、スティーブ・ジョブズのデザインとシンプルさへの執着は、革新的でユーザーフレンドリーなApple製品の創造につながりました。
オブセッションを肯定的に働かせるには、その方向性とバランス(力の入れ具合)の見極めが必要ですが、何かにすごく執着することは、必ずしも悪いことではなく、大きな成功をいざなう原動力になります。
これを知っておくと、自分自身を含めて、こだわりの強い人や子どもをうまく導けると思います。
あなたは、今、何かに強くこだわっていますか?