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TEDの動画

本当はすごいのに、なぜ私たちは「だめだ」と思ってしまうのか?(TED)

努力して、いろいろ手にしてきたのに、「まだまだ、もっとがんばらなきゃだめだ」とストレスをかかえている人が楽になるTEDの動画を紹介します。

タイトルは、Why Aren’t We Awesomer? 講演者は、コーチやアドバイザーをしている、Michael Neill(マイケル・ニール)さんです。

タイトルを直訳すると、「なぜ、わたしたちは、よりすごくないのか?」です。たくさんのことを成し遂げてきたのに、なぜ、いまも、「すごくない」と感じているか、ということです。



なぜ私たちは、もっとすごくないのか?:TEDの説明

To Neill, happiness is our natural state and we’re always just one thought away from peace.

ニールに言わせれば、私たちの自然な状態は幸せでいることです。ちょっと考え方を変えれば心の平安を得られます。

収録は2014年の6月。動画の長さは14分7秒。英語字幕あり。

ニールさんは、コーチングのプロなので、とてもプレゼンがうまいです。動画のあとに、抄訳を書きます。

☆日本語の字幕がついている動画がありましたので、リンクをしておきます⇒スーパーコーチ マイケル・ニール「どうして僕たちすごくないの?」(スリー・プリンシプル NLPコーチ) – YouTube

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

私たちはもっとすごいはずなのに

25年にわたって、人間の可能性について研究してきました。「なぜ、私たちはもっとすごくないのか?」というシンプルな質問に答えるために、やってきたようなものです。

数々の心理学の研究やスピリチュアルな教え、医学の進歩、脳の働きに関する研究、さまざまな人生体験、すでに私たちはたくさんのことを知っています。

それなのに、朝、神の啓示をうけたかのような感動的な気持ちで目覚める日もあれば、何もかもうんざりな気分の日もあります。

18年以上前、私は、質問の答えを知るヒントになることをたくさん見つけ、7年ほど前、その答えを見つけました。

答えはごくシンプルです。

私たちは心の動きについて、誤解しているだけなのです。

これが、きょう私が皆さんにお話することです。

哲学者のルードヴィッヒ・ウィトゲンシュタインは、こう言いました。

“A man will be imprisoned in a room with a door that is unlocked and opens inwards as long as it does not occur to him to pull rather than to push.”

人は、部屋に閉じ込められたままだ。内側に開くドアがあり、それに鍵がかかっていたら。ひっぱるんじゃなくて、押すんだと気づかない限り。

単純なことです。けれども、このドアとはいったい何なのでしょう?





自殺願望のあった私

ドアの正体を話すために、昔話をします。1986年のこと、私は、不幸な子供でした。

うつうつとしていたのです。べつに自分が役立たずだからだとか、愛されていなかったからではありません。

友達はたくさんいました。

不幸でいる外的な理由なんて何もありませんでした。ですが、自殺願望があったのです。いつも、自殺することを考えていました。

といっても、これはそこまで深刻な問題ではありませんでした。いろいろやることがあったからです。学校へ行ったり、友達と会ったり。

ですが、心の中にはいつも、この願望があり、外側が静かになると、中で大きくなりました。

その年の10月、この願望が大きくふくらみ、精神的な崩壊が起きました。

それはこんな感じでした。

大きな気づきを得た瞬間

4階にある寮の部屋にいたとき、とてつもなく大きな掃除機が空に現れて、身体の中から、私の心を吸い取って、窓の外に持ち出そうとしていたのです。

恐ろしい体験でした。

私は寮の壁にしがみついていました。電話が目に入ったので、「いのちの電話」に電話しました。

話し中でした。

巨大な掃除機に心を吸い取られそうになっていた私ですが、このとき、「これは、おもしろい」と感じました。

電話で誰かと話せたらよかったのにと思っていたのに、話し中だとは。

こんな考えがふと頭の中をよぎり、一瞬、恐怖が薄らぎました。そして、1階に住んでいる友だちに電話できました。

彼女がやってきて、力づけてくれ、そのうち私は、眠りに落ちました。

翌朝起きて気づいたのです。とても重大なことに。

私は、自分を殺したいなんて思ってはいなかった。死にたくなんてなかったのです。

心を吸い取られそうになっていたとき、なんとかして部屋にとどまろうとしていたのだから。

ある考えが頭の中にあるからといって、それが自分自身の考えだとは限らない、ということに初めて気づきました。自分が実際にそうしたいとは言えない、と。

単に頭の中にそういう考えがあるだけです。

自殺願望を1つの考えとして捉えた

その後、私は自分の考えを、「自殺する考え」として捉えることにしました。もしそういう考えが頭に思い浮かんでも、もう恐ろしいとは思いませんでした。

それはあたかも、ホームレスのボブが、私の脳内に引っ越してきたようなものです。

時々、ボブはやってくるけれど、私は、「ああ、またボブだ」と思うだけです。

その考えについて、私ができることはたいしてありません。それは単に自殺する考えにすぎません。

怖くなかったので、その考えは、次第に、やってきても、すぐに消えるようになりました。

そして、心の中が、一段階、自由になったのです。この事件がきっかけで、心がどんなふうに働くのか、とても興味を持つようになりました。

人は、自分の思考を怖がっているだけ

人の心の動きを説明するために、いくつか実験をしてみましょう。

まずモンスターの絵を見てください。

モンスターの絵

誰も怖がっていませんね。認知において、皆さんは正常だという証拠です。私の娘が描いたモンスターだとおわかりです。

本物のモンスターとは全然違います。

今度はこちらを見てください。タランチュラです。

タランチュラ(蜘蛛)

1997年、蜘蛛を使う仕事をしていて、イギリスのテレビ番組に招待されました。“Put it to the test”(テストをしてみる)という番組です。

よく知られていることを、テストしてみる人気番組です。

NLP(Neuro Linguistic Programing、神経言語プログラミング)による恐怖症の治療をするためにテレビに出ました。

リチャード・バンドラー博士から学んだやり方で、ずっと恐怖症だった人を30分かそこらで治すのです。

3人の恐怖症の人を呼び、蜘蛛を見せているとき、脳波をスキャンして、この人たちの頭の中で何が起きているのか調べました。

番組の中で彼らを治療しました。3人とも、手の平の上に蜘蛛をのせても、なんともなくなりました。

皆、驚きましたが、私にとってはふつうのことです。そうやって治った人を何百人も見ていましたからね。

私がびっくりしたのは番組前のリハーサル中のできごとです。3人の被験者が、脳波をスキャンする機械につながれいました。

そのとき、ステージ・マネジャーがやってきて、透明な箱を見せて言いました。「本番では、この箱の中に蜘蛛を入れますから」。

これを聞いたとき、3人の脳波が大きく動きました。

私は思ったんです。「え? 箱の中に蜘蛛は入っていないのに」と。

この時、まだ蜘蛛は建物の中にもいなかったのです。それでわかりました。

私たちは、自分が怖いと思っているものを恐れているのではなくて、私たちの考えを恐れているのだと。

想像した体験と、実際の体験を区別できないのです。この混乱がさらなる混乱を呼び、問題を作り上げています。

老婆か若い女性か?(錯視)

この点をさらに掘り下げていきましょう。

妻と義理母の絵

この絵を見たことがある人もいるでしょうね。若い女性が見える人は右手をあげてください。

老婆が見える人は左手をあげてください。どちらか1人しか見えない人は、両手をあげてください。多くの人がそうですね。

これは本当に、老婆か、若い女性の絵なんでしょうか? 

実は、この絵を見る時のように、私たちの心は働くのです。

私たちは、心はカメラのようなものだと思っています。目の前にあるものを忠実に写し取るカメラだと。

ですが、実は、カメラの使い方によって、私たちは違う体験をします。

こちらから撮れば、若い女性で、べつのアングルから撮れば、年寄りです。人生をこちらから見れば、すばらしい体験で、べつの角度から見れば、うつうつとしたものになります。

これはポジティブシンキングのベースにある考え方です。

気持ちの持ち方を変えれば、カメラのアングルが変わり、違った体験をするのです。

ですが、重要なことがあります。これは、老婆の絵でも若い女性の絵でもありません。単に、紙の上に複数の線を引いたものです。娘や老婆は、私たちが作り上げています。

カニッツァの三角形

別の例をあげましょう。これは「カニッツァの三角形」と呼ばれる幻覚です。

カニッツァの三角形

まんなかに、白い三角形が見える人は何人いますか?

みなさん、自分で作っています。真ん中に三角形はありません。

思考が作り上げている幻覚です。真ん中の三角形に見える部分は、ほかの部分より、明るくも、暗くもありません。

おもしろいですよね。そこにはない物を作り上げてしまうのですから。これが、日常の暮らしにどんな影響を与えているでしょうか?

スピニングダンサー(錯視)

別の例をみましょう。

これは、シルエット・イルージョン、またはスピニングウーマンと呼ばれるものです。

この人が、時計回りに回っていると思う人は右手をあげてください。反時計回りに回っていると思う人は左手をあげてください。

目を閉じて、もう一度見直し、逆の方に回転しているように見えるかどうか調べてください。

どちらに回転しているのでしょう? どちらでもありません。彼女は存在していません。

思考が世界を作っている

心理学者のデヴィッド・ボームはこう言っています。

“Thought creates our world, and then says ‘I didn’t do it’.”

思考が世界を作る。そして「何もしてないよ」と言う。

私たちは思考が作った世界にいるのですが、外的な体験の世界の中にいると考えています。

心はカメラのようには動きません。心はプロジェクターのように動きます。

7年前、シド・バンクスと仕事をしたとき、これに気づきました。

彼は医者でもセラピストでもありません。スコットランドに住む溶接工です。シドは精神分析医と話しているとき、大きな気づきを得たのです。

彼が、自分の問題を全部、医者に話したところ、医者は、こう言いました。

「あなたには問題なんかありませんよ。不安症でもありません。ただ、そうだと思っているだけなんです」。

シドはこの言葉を深いところで納得しました。このとき、彼のこれまでの考えが止まり、思考が投影しているさまが見えたのです。

これまで感じていたことは、思考が意識の上に映し出していたものだということがわかりました。

まるで映画のように、心は「考え」というフィルムを意識というスクリーンに映し出すのです。そして、本当にそれが起こっているように見えるのです。

人はそれをリアルに体験します。聞こえるし、怖いし、わくわくします。すごい、ひどい、と思います。ですが、そうしたものは何一つ、私たちの思考の外では起きていないのです。

この考えのどこが重要なのでしょうか?

人は問題を作り出しているだけ

この状況を明快に説明している写真をお見せします。私の生徒が撮ったものです。

この写真は、これまで皆さんが体験した、よくない人間関係を表しています。私たちは、「悪いのはあっちの犬だ」と考えるのです。

「あの犬を愛することを学ばないとな」と私たちは思いますが、実は、犬なんていないのです。

それは思考が作り出したものです。これに気づけば、思考は落ち着いてきます。思考が落ち着いてくれば、ほかのものがやってきます。

神秘主義の詩人、ウィリアム・ブレイクはこう言っています。

“If the doors of perception were cleansed, everything would appear to man as it is, infinite. For man is closed himself up, till he sees all things through narrow chinks of his cavern.”

知覚の扉が清められたなら、すべてはありのままに、無限に見える。というのも、人は、自らを閉ざして、すべてを洞窟の割れ目から見ているのだから。

考え方を変えれば新しい体験と出会う

私たちはこれまで、うまくやるためには、世界をコントロールすることが唯一の方法であるかのように、生きてきました。

状況を自分の望みの状態にしようとしてきたのです。

ですが、その世界での体験は、私たちが作り上げるまでは存在していません。これまでの考えを止めれば、新しい思考が生まれます。

つまり、そういう考えが頭の中にあるからといって、それが本当だとは言えないのです。人は、怖いと思っているものを恐れているのではなく、自分の考えを恐れています

どんなに長く行き詰まっていても、どんなにその問題がリアルに見えても、どんなに大変だと感じても、考え方をちょっと変えれば、新しい体験が生まれるのです。

//// 抄訳ここまで ////

単語の説明など

mind  意識、思考、意志、感情の座としての心。thought は考えや思考です。

ideation  観念化、思考・アイデアを生み出すこと。

silhouette illusion  シルエット錯視
スピニングダンサーとも呼ばれます。

マイケル・ニールさんの著書の1冊、You Can Have What you Want(欲しいものはなんでも手に入る)は、「100%人生が変わる1%のひらめき」という邦題で翻訳版が出ています。

☆表紙をクリックするとアマゾンに飛びます☆

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恐れを単なる考えの1つとして考えてみる

ネガティブに考えがちな人からもらうメールに、「気の持ちようだということはわかっているのですが、なかなか気持ちを切り替えることができません」と書いてあります。

確かに自分の思考のクセを治すのは難しいと思います。

けれども、「私は気持ちを切り替えることができない」というのも、実は、いまの自分が採用し、重要視している考えに過ぎないのです。

それは、若い頃、ニールさんの脳内にあった「自殺願望」と同じです。

自殺願望ほど深刻ではありませんが。

できないと思っているから、できないだけで、できると思えばできるわけです。

まあ、人間は、感情に左右されるし、自分は自分だと考えているから自分なので、そんなにころころ思考を変えられるようにはできていないと思います。

そこで、自分のためにならない考えが浮かんできたら、それはたくさんある思考の1つに過ぎない、と思うようにしてはどうでしょうか? 別の思考を重要視する選択もあるのです。

自分のためにならない考えとは、たとえば

・私にはできない

・私は最低だ

・私は片付けられない

・これを捨てると、あとで必要になって困ったことになる

・あとで必要になったとき、それを買うお金がもったいない

・◯◯さんと比べて、なんて自分は~なんだ

・完璧にやらないと意味がない

・服を減らしちゃうと、友達に「いつも同じ服だね」と軽蔑される

こんなものですが、ほかにもいろいろあるでしょう。自分が本当に求めている状態に向かうのをストップしてしまう考えです。

いま囚われている考えをちょっと脇に置いて、現実を別のアングルから見るようにしてはどうでしょうか?

きっと、新しい可能性に気づきます。

************

スピニングダンサー、私は何度見ても、時計回りにしか見えません。

軸足を右足と考えるか左足と考えるかで、回転する向きが変わります。

シルエットに軸足を指定する白い補助線を引いて回るダンサーをじーっと見て、そのあと、線のないバージョンを見ると、しばらくは、反時計回りに見えます。

ですが、またすぐに時計回りに戻ります。

トリックがわかっていても、私の視覚はがんこに向きを決めています。





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