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自己効力感(self efficacy セルフ・エフィカシー)を高める方法を教えてくれるTEDの動画を紹介します。
タイトルは、Why Self-Efficacy Matters(なぜ、セルフ・エフィカシーが重要か?)
教育者のコーチをしている Mamie Morrow(マミー・モロー)さんのプレゼンです。
セルフ・エフィカシーとは?
自己効力感は、心理学の用語で、Wikipediaの説明によれば、
自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できると、自分の可能性を認知していること
達成したいことや、手にしたい状況があり、それを実現できるための能力が自分にあると感じることがセルフ・エフィカシーです。
セルフ・エフィカシーがあるほうが、目標を達成しやすくなります。
逆に、セルフ・エフィカシーがあまりないと、目標に向かう行動を起こすことすら、難しくなります。
「私には、できっこない」と思っているわけですから。
達成したいことがあるのに、なかなか行動を起こせないときは、セルフ・エフィカシーを高めることが効果的です。今回紹介する動画を見れば、どうやって、セルフ・エフィカシーを養えばいいのかわかりあmす。
セルフ・エフィカシーの重要性:TEDの説明
At some point all of us have felt our confidence waver or worried we couldn’t overcome a problem we faced. But can we really learn to persevere—and even get better at it over time?
Mamie Morrow knows we can.
Building on her 20 years’ experience as an educator, Morrow shows us how our belief in our own ability to succeed is critical to actually succeeding, and how this belief—known as “self-efficacy”—can in fact be taught once it’s broken down into its constituent parts.
私たちはみな、ある時点で、自信がゆらぎ、直面している問題を克服できそうにないと不安になりました。
しかし、やり抜くことや、うまくそうできるようになることを本当に学べるでしょうか?
マミー・モローは、そうできるとわかっています。
教育者としての20年の経験をもとに、モローは、自分の能力を信じることが、いかに成功に不可欠であるか、そして、セルフ・エフィカシーとして知られるこの信念は、それを構成している要素に分解すれば、実際に教えることができると示します。
動画の長さは15分8秒。字幕はないので、抄訳を参考にしてください。
モローさんはコーチなので、伝わるしゃべり方をしています。
私が自信を失ったとき
私は教育者の家庭で育ちました。幼い頃、母が教える幼稚園でよく過ごし、母のような先生になりたいと思っていました。
私は20年、教育者として過ごしましたが、教室で教える経験を数年したあと、コーチになりたいと思いました。
プロをトレーニングする仕事、先生をサポートする仕事がしたかったのです。
そして、自分はうまくやれると思ったので、昇進を願い出ました。
でも、当時のスーパーバイザーは私とは意見が異なり、私の申込書をゴミ箱に捨てたんです。そして、私にコーチには絶対なれないと言いいました。その力量がないと。
その日、絶望的な気持ちでオフィスをあとにしました。
自分でも、たしかに、私にはコーチなんて無理だ、いったい何を考えていたのか、と思ったのです。
人はいとも簡単に自信をなくします。
自分の能力を信じることができた
しかし時間がたつうちに、自分の能力を否定する言葉はだんだん小さくなり、母がよく言っていた言葉を思い出しました。
私には、学習者とつながるユニークな能力がある。
子どもたちに大きな変化を起こしたと、教え子たちの親に言われたことも思い出しました。
そして、自分はコーチのなり方をまだ知らないだけだ、でも、教えることはできるから、そのスキルを応用すればいいんだ、と思うようになりました。
このとき、私には、立ち直って、ゴールに向かってがんばる能力があると気づきました。
なぜなら、私は自分ならできると本気で思っていたからです。
コーチとして成功できると思っていたから、別の仕事に申し込み、今の私がいます。
教育者のコーチになって5年半たち、国内の先生やコーチをコーチし、ときには海外の人もコーチしました。
みなさんはどうですか?
他の人には無理だと言われても、自分ならできると思ったことがありますよね。
セルフ・エフィカシーが鍵
自分の能力を心から信じることは、ゴールやタスク、チャレンジに取り組むときの鍵になります。
特定のゴールを達成しようとするとき、自分なら成功できると信じることは、セルフ・エフィカシーと呼ばれます。
セルフ・エフィカシーが低い人は、ゴールに立ち向かうすべてを避けようとするし、やり始めても、ちょっと困難があると、すぐにあきらめます。
成功できると自分を信じていないからです。
セルフ・エフィカシーが高ければ、モチベーションがわき、やってみようと思い、行動します。
困難があっても、やり抜くことができます。
セルフ・エフィカシーは変化を起こす燃料です。年齢や仕事にかわわらず、すべての人にとって、重要なのです。
では、どうやったらセルフ・エフィカシーを作り上げることができるでしょうか?
セルフ・エフィカシーの理論を開発した、アルバート・バンデューラは、セルフ・エフィカシーの4つの源(みなもと)を提示しています。
1.成功体験
もっとも重要なのは成功体験です。
目標としているタスクに実際に成功し、それを積み重ねることは、セルフ・エフィカシーを得るのに、一番効果的です。
水泳のインストラクターはこのことをよくわかっています。
娘が、初めて水泳を習ったとき、インストラクターは、小さなステップを1つずつできるようにさせ、1人で泳げるまで導きました。
先生たちに、新しい教育法を教えるとき、私も同じようにしています。
小さくて達成可能なタスクをやらせ、時には、人によって、始める場所を変えています。
その先生の今のスキルに合わせて教えます。だから、先生たちは、すぐに成功し、「ああ、私にもできる」と感じるのです。
そうやってスキルを積み重ねていくと、先生たちは、新しい教育法を導入することや、変化することに前向きになれます。
2.他人が成功している姿を見る
2つ目の源は、ほかの人が成功しているのを見ることです。
初めて5000キロメートル走ったとき、できるかどうか不安でした。
でも周囲で一緒に走っている人の姿が励みになりました。
私のように、明らかに苦しそうな人もいましたが、1歩ずつ、走り続けていました。
他の人にできるなら、私もできる。そう、思いました。
グループコーチングをしているときに、特によくわかります。
自分と同じようなほかの先生が、新しいことを教室で始めたのを見たり、生徒のポジティブなフィードバックを聞いたりすると、自分もやってみようとします。
このようにサポートし合うグループがあると、自分の成功も可能だと信じられるのです。
3.励ましを得る
セルフ・エフィカシーの3つ目の源は、励ましです。
皆さんの中で、毎日、自分の力を肯定する(affirm)言葉を話している人は、何人いますか?
いませんか?
私たちの社会は、励ますことや、肯定すること(affirmation)を、とても高価なコモディティ(商品)であるかのように扱っています。
高いから、めったにできないんです。
でも、そんなことないですよね。
励ますのは無料だし、やる気を出すのにとても威力があります。
定期的に励まさないなんて、あり得ないことです。
コーチングをするとき、先生たちに、教室で新しい教育法を試したとき、子どもたちがポジティブなことを言ったり、やったりしたら、付箋に書くようにすすめています。
新しいことを試し、変化を起こそうとしているとき、自分の選択や努力が、皆に認められていると知ることは、ゴールに向かう助けになります。
4.ネガティブな感情の管理
4つめのセルフ・エフィカシーの源は、ネガティブな感情を管理することです。
8歳になって、初めて全国共通テストを受けることになったとき、長女の不安はマックスになりました。
失敗するに決まっていると思ったのです。
これはごく自然な反応です。
でも、こんなふうに不安をふくらませてしまうと、脳が小さくなり、思考するのが難しくなるんです。
長女は、自分の感情をうまく管理する方法を見つけなければなりませんでした。
ちゃんと考えることができるように。
2人でいろいろなことを試しました。
結果的に、娘のテストは上出来でしたが、もっと重要なことは、娘がとても価値のあることを学んだことにあります。
娘は、自分には感情を管理し、気持ちを落ち着かせることができると知ったのです。
誰でもそうします。
先生たちが、新しい教育法を試すためのアクションプランを作り、教室で導入するとき、うまくいかないことについて、話し合います。
そうした困難を乗り越えるために、皆、個人で練習をします。
新しいことを試す時の不安やストレスについても話し合います。
そうやって、先生たちが成功するようサポートしています。
スキューバダイビング
以上の4つの方法をどのように使って、セルフ・エフィカシーを養うか実例をお話しします。
数年前で、タイで休暇を過ごしていたとき、海好きの夫にスキューバダイビングのレッスンを受けるよう説得されてしまいました。
私はニューメキシコ州の砂漠の中で育ちました。
海の中でおぼれたり、海洋生物に攻撃されたりするのが、本気で怖いと思いました。
でも、結局、この恐怖を克服できました。
まず、インストラクターが、すべてのプロセスを、小さなタスクに分けてくれたんです。
だから1つずつこなして、次のステップに進むことを繰り返しました。
私と同じような初心者のダイバーが、死なずに、うまくやっているのを見ました。
レッスンを受ける前に、船で話をしていたので、他の人もすごくナーバスになっていたことを知っていました。みな、怖かったはずなのに、勇気を出していたから、私もそうしようと思いました。
夫は、「きみならできる」と、ずっと励ましてくれ、パニックになりそうな私の気持ちを落ち着かせてくれました。
これらのことがすべて功を奏し、私は、海中に入っても、息をして、死ななかったんです。
セルフ・エフィカシーを養っていい人生にしてほしい
皆さんにお聞きします。
成し遂げたいと思っているのに、まだやっていないことがありますか?
変えたいと思っているのに、ずっとそのままになっていることは?
それができる、と自分の能力を信じるためには、何が必要でしょうか?
実際に行動を起こして、人生にいい変化を起こすためにはどうしたらいいでしょう?
ヘンリー・フォードが、きょうのトークをうまくまとめる言葉を言っています。
「自分にできると信じても、できないと信じても、あなたは合っています(Whether you think you can, or you think you can’t–you’re right)。
そのとおりになるんです。
自分にやさしくして、セルフ・エフィカシーを養ってください。
そして、ちゃんとできることを、ご自身で証明してください。
//// 抄訳ここまで ////
*アルバート・バンデューラ(Albert Bandura)の著書は翻訳されていますが、専門書なので、リンクしません。興味のある方は、著者名で、彼の本を探してください。
自己効力感については、この本がわかりやすいと思います。
168ページしかないので、すぐに読み終わるでしょう。
成功したいとき参考になるほかのプレゼン
自分の能力を自分で見限ることの恐ろしさ、できると信じることの素晴らしさ(TED)
上手になりたいと思っていることをきっちり上達させる方法(TED)
女の子に勇気を持つことを教えよう。完璧であることではなく(TED)
成功と失敗、そして創り続ける力:エリザベス・ギルバート(TED)
ほかにもたくさんあります。
必要な行動をすれば自己効力感はあがる
6月19日に、自己効力感(セルフ・エフィカシー)が低下している方のメールをシェアしました⇒コンフォートゾーンから抜け出すのが怖い人へ~まずは自信をもつこと。
そこで、今回は、セルフ・エフィカシーを養う方法がわかる動画を紹介しました。
モローさんの言っている4つのことは、やってみるとそんなに難しいことではありません。
1.ゴールを達成するために必要なことを、簡単なタスクに細分化する⇒簡単なものから1つずつクリアしていく
2.他人が成功している姿を見る
3.励ましを得る
4.ネガティブな感情にうまく対処する
自己効力感がすごく落ちているとき、この4つのうち、どれもやっていなかったりします。
つまり、何も行動せず、不安だけを大きくふくらませて、どんどん自信を失うまずいサイクルにはまっているのです。
人によっては、4番が難しいかもしれませんが、これは、1~3番をちゃんとやれば(特に1番)、ブレインダンプやモーニングページなどを書くことで、かなり解決できると思います。
ネガティブ思考改善にモーニングページがいい~今月の30日間チャレンジ
自分を励ましてくれる人がいないときは、自分で自分を励ましてください。
間違っても、「あなたにはできませんよ」と言う人たちの意見を熱心に追い求めたり、聞いたり、読んだりしないように。
これは、とてもまずい戦略です。前に進むためのアクセルを踏むべきときに、ブレーキを踏むのと同じなので、時間とエネルギーの無駄です。
仕事のみならず、断捨離や貯金など、何かなしとげたいことがあるときは、自己効力感が大きくものを言います。
物理的にできないことは、どんなにマインドを整えても成功しませんが(代替策は見つけられると思いますが)、そうでないことは、自己効力感やモチベーションをもつことで、かなり成功に近づきます。
成功とは、途中でやめないことですから。
やりたいことがあるのに、なかなか前に進めないときは、セルフ・エフィカシーを育てることに意識を向けてください。