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最終更新日: 2022.06.19

運をよくするために小さなリスクを取ろう(TED)

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運がよくなりたい人におすすめのTEDトークを紹介します。

タイトルは、The little risks you can take to increase your luck(運を増やすためにあなたが取れる小さなリスク)。

起業家で教育者のTina Seelig(ティナ・シーリグ)さんの講演です。

邦題は、運を良くするための少しのリスク。



小さなリスクを取る:TEDの説明

Luck is rarely a lightning strike, isolated and dramatic — it’s much more like the wind, blowing constantly. Catching more of it is easy but not obvious. In this insightful talk, Stanford engineering school professor Tina Seelig shares three unexpected ways to increase your luck — and your ability to see and seize opportunities.

運は、たいてい、雷に打たれるような孤立したドラマチックなことではありません。それは、風のように、いつも吹いています。

もっとたくさん運をつかむことは簡単ですが、わかりやすくはありません。

この洞察力にあふれたトークで、スタンフォード大学工学部のディナ・シーリグ教授は、運をよくし、それを見つけてつかみ取る思いがけない方法を3つシェアします。

収録は2018年、長さは11分40秒。日本語字幕もあります。

☆トランスクリプトはこちら⇒Tina Seelig: The little risks you can take to increase your luck | TED Talk

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

この先生は、運をよくする方法を知っているだけあって、とても明るいエネルギーの持ち主ですね。





運は風のようなもの

20年ほどかけて、何が運をよくさせるのか観察し、人々がより幸運になるよう、手助けしてきました。

私は起業を教えていますが、新しいベンチャー起業はたいてい失敗するものです。だから、イノベーターや起業家は、できるだけ運をつかまなければなりません。

そもそも、運とは何でしょうか?

運は、偶然起きたように見える成功・失敗と定義されています。

「ように見える」というところがポイントです。

人々をより幸運にさせるものは、ふつう見えないから、運は偶然が左右するものだと思われています。

しかし、長いあいだ観察して気づいたのですが、運は、落雷のように孤立したドラマチックなものではないのです。

むしろいつも吹いている風のようなものです。

時には、穏やかな風で、時には突風。思いもよらなかったところから吹いてきます。

では、どうしたら、幸運の風をつかめるでしょうか?

それは難しくありませんが、わかりにくいのです。

今から、運という風をキャッチできる帆を作る方法を3つお伝えします。

自分自身との関係を見直す

最初にすべきことは、自分自身との関係を見直すこと(change your relationship with yourself)です。

小さなリスクを取ってコンフォートゾーンから出てください。

子供のとき、誰もがしていたことです。

歩くこと、話すこと、自転車にのること、量子力学を学ぶことなど、何かを学びたいときには、コンフォートゾーンから出なければなりません。

問題は、年を取るにつれて、めったにそうしなくなることです。

自分はどういう人間なのか決めつけて、広げることをしなくなります。

私は、学生を励まし、コンフォートゾーンを出て、リスクを取るよう勧めることに長い時間を費やしてきました。

リスクを取る練習

最初に、学生たちに、自分が取ってもいいと思うリスクを書き出してもらいます。

いろいろなリスクがあります。知的リスク、肉体的リスク、金銭的リスク、感情的リスク、社会的リスク、政治的リスクなど。

書き出したあと、学生たちは互いにリスクを比べて合い、人によってリスクがずいぶん違うことを知ります。

その後、私は学生に、少しリスクを取ってコンフォートゾーンから出るように言います。

たとえば、これまで試したことのない問題に取り組む知的リスクや、電車で隣に乗り合わせた人に話しかける社会的リスク、誰かに自分の思いを伝える感情的リスクを取るように。

私が取った小さなリスク

私自身、いつもリスクを取ることを実践しています。

12年ほど前、エクアドル行きの早朝の飛行機に乗りました。ふだんは、ヘッドフォンをつけ、ちょっと寝て、その後、仕事をします。でも、このときは小さなリスクをとろうと決め、隣に座っている男性に話しかけました。

自己紹介をして、彼が出版の仕事をしているとわかりました。

2人でとても、楽しい会話をし、出版業界の将来について、いろいろ学びました。

フライトが4分の3ほど過ぎたころ、もう1つリスクを取ることにしました。ノートパソコンを開けて、彼に、本の執筆のアイデアを見せてみました。

それは、授業で行っていることをまとめたものです。

彼は礼儀正しい人で、内容を読んでから、「これは、うちの出版社向きではありませんね。でも、見せてくれてありがとう」と言いました。

それでもかまいません。そのリスクがうまくいかなかっただけです。

フライトの終わりに、私達は連絡先を交換しました。

数カ月後、彼に電話して、出版の将来に関するプロジェクトの授業を見に来ないか聞いてみました。

彼は授業にやってきて、私たちはいい時間を過ごしました。

その数カ月後、私はまた彼に連絡して、学生たちが行ったプロジェクトの動画をたくさん送りました。そのうちの1つに彼はとても興味をもち、本にできるかもしれないから、その学生たちに会いたいと言いました。

彼と彼の同僚たちを大学に招き、学生と会ってもらい、一緒に昼食を取りました。

そのとき、編集者の1人が、私に聞いたんです。「本を書いてみたいと思ったことはありませんか?」と。

「まあ、奇遇ですね」と私は答え、1年前に、この編集者の上司に見せたのと全く同じ執筆のアイデアを見せました。

2週間後、私は、出版の契約を結び、2年後、その本は世界中で、100万部以上売れました。

「それはラッキーでしたね」と皆さんは言うかもしれません。

もちろん、私はラッキーでした。でも、このラッキーは、一連の小さなリスクを取ったおかげで起きたのです。それはハローと言うところから始まりました。

これは誰にでもできます。人生でどんな状況にあろうとも、世界のどこにいようとも。自分はもっとも不運な人間だ、と思っていても、小さなリスクをとってコンフォートゾーンから出ることはできます。

他人との関係を見直す

2つ目は、他人との関係の見直し(change your relationship with other people)です。

人生という旅をしているあなたを助けてくれる人は、皆、あなたがゴールに到達するために、大きな役割を果たしていると思ってください。

そのような人たちに感謝を示さないと、関係の輪をちゃんと終わらせないだけでなく、機会も失ってしまいます。

誰かがあなたに何かをしてくれたということは、その人たちが、自分自身や、他の人に使うことができた時間を、あなたに使ってくれたのです。そのことを認め、感謝すべきです。

私はスタンフォード大学で、3つの奨学金のプログラムを管理しています。どれも競争が激しく、落選した学生に通知を送る時は、相手がとてもがっかりすることがわかっています。

落選を知り、文句を書いてくる学生もいます。次回は、どうすればうまくいくか聞いてくる学生もいます。

たまに、機会を与えてくれたことに感謝する手紙をくれる学生もいます。

7年前のことです。

ブライアンという青年が、素晴らしい手紙をくれました。

「私はこのプログラムに、2回、落選しましたが、機会を与えてくださったことに感謝します。応募する過程で、とてもたくさんのことを学びました」と。

手紙の奥ゆかしさに感動した私は、彼に私に会いに来るよう、言いました。

そして、私たちは、話をしながら、自主研究プロジェクトの案を思いつきました。

彼はスタンフォードのフットボールのチームに入っていて、チームにおけるリーダーシップを題材にしたプロジェクトをすることに決めました。

その学期を通じて、私たちはとても親しくなりました。彼は、その自主研究を続けて、最終的に、Play for Tomorrow という会社を立ち上げたのです。

その会社で、彼は、恵まれない環境で育った子どもたちに、自分が夢見る人生を生きる方法を教えています。

この話で重要なところは、私たちがともに運の風をキャッチできたのは、彼の感謝の手紙の結果だということ。

さらに、私たちは、そんな風が吹くのをまったく予想していなかったということです。

感謝の気持ちを育むには?

ここ数年間で、感謝の気持ちを本当に育むための方法をいくつか編み出しました。

私が好きな方法は、1日の終わりに予定表を見て、その日会った人を思い出し、全員に感謝のメッセージを送ることです。

ほんの数分しかかかりませんが、1日の終わりに、人々にとても恩を感じ、ありがたく思っています。

こうすることが、私をより幸運にしてくれています。

アイデアとの関係を見直す

3つ目はアイデアとの関係を見直すことです。

多くの人は、新しいアイデアを見たとき、それを評価します。

「すばらしいアイデアだ」とか、「ひどいアイデアだ」と。

でも、アイデアにはもっとニュアンスがあり、単に、良い・悪いとは言い切れません。

実際、ひどいアイデアの種が、素晴らしい実になることがあります。

創造力の授業でやっている私が好きなワークの1つは、ひどいアイデアの中にある可能性を見る態度を養うものです。

学生にある課題を与えます。これまでにない新しいレストランのアイデアを出しないさい、とか。

学生たちは、新しいレストランの最良のアイデアと最悪なアイデアを出さなければなりません。

ベストのアイデアとは、たとえば、美しい日没を見られる山頂にあるレストラン、すばらしい眺めを見られる船上のレストラン。

最悪なアイデアは、たとえば、ゴミ捨て場の中にあるレストランや、サービスがひどく、きたないレストラン、ゴキブリの寿司を出すレストランです。

学生がアイデアを書いた紙を集め、私は、よいアイデアを読み上げてから、その紙を捨てます。

その後、最悪のアイデアの紙を皆に配ります。

それぞれのチームが、ほかのチームが「ひどい」と判断したアイデアを受け取り、そのアイデアを素晴らしいものに変える課題をします。

すると、10秒もしないうちに、誰かが、「これはとってもいいアイデアだ」と言うのです。

3分後には、学生たちは、自分たちのアイデアを皆に売り込まなければなりません。

ゴミ捨て場のレストランはどうなったか?

ミシュランの星付きレストランから、捨てられるはずの残り物を集め、ずっと安い価格帯のレストランで提供します。

なかなかいいでしょう?

サービスがひどくて汚いレストランはどうなったか?

将来レストランを開業したい人が、あらゆる失敗を避ける方法を学ぶ訓練所になりました。

ゴキブリの寿司のレストランは?

とても興味深い珍しい食材を扱う寿司屋になりました。

みなさんの周りにある、本当に革新的なベンチャー企業や、人々の生活を変え、あるのが当たり前になった企業を見てください。

どれも最初は突拍子もないアイデアから始まっています。

他の人に言ったら、「それは馬鹿げている。うまくいきっこない」と言うようなアイデアからです。

確かに、時には、人は、ひどい環境の中に生まれます。ときには、運は落雷のように人に落ち、すばらしいものや、ひどいものをもたらします。

でも、運の風はいつも吹いています。

皆さんが、少しリスクをとり、感謝を示し、とんでもないアイデアの中に可能性を見出そうとするなら、運という風をキャッチする帆をどんどん大きくできるのです。

//// 抄訳ここまで

☆ティナ・シーリグさんの本です。

英語で読みたい方はこちら

他にも何冊か本が出ています。

運や創造力に関する他のプレゼン

人生において運が果たす役割とは?:バリー・シュワルツ(TED)

言い訳を作り出してしまう私たち:あなたに夢の仕事ができない理由(TED)

なぜ人は自分が本当に求めている物を追求しないのか?(TED)

不運続きの人生に意味を見出すには? マニーシャ・コイララ(TED)

問題があるからこそ、人はクリエイティブになれる(TED)

誰にでも創造性はある。自分はクリエイティブだと自信を持つ方法(TED)

行動を起こす科学:アイデアを形にするには?(TED)

運はいつも周りにある

運はそんなに特別なものではなく、いつも、周囲に風のように吹いているので、その風をうまくキャッチすればいい、という内容のプレゼンを紹介しました。

風をキャッチしやすい帆を作る方法は、

1)小さなリスクを取る

2)感謝を示す

3)ひどいアイデアの中に可能性を見出す

この3つです。

特にコンフォートゾーン(自分が居心地よくいられるところ、ぬるま湯)から出て、小さなリスクを取ると運がよくなるというのは、そのとおりだし、そう考えると希望が生まれます。

運は自分のまわりにただよっていますが、待っているだけでは、それをつかむことができません。

少し勇気を出して、小さな行動を積み重ねていくと、だんだん強運になっていきます。

リスクを取るというのは、自主的になることでもありますから、やり続けていると前向きな気分になるはずです。

「私は運が悪い」と思っている人は、ぜひ、お試しください。





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