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この時期、クリスマスのプレゼント選びに忙しい人も多いと思います。「彼氏に何をあげようかな?」「彼女はどんな贈り物なら喜んでくれるかな」こんなふうに迷う人に、私は伝えたいと思います。
時にはあげないことが最高のプレゼントなのだと。
その理由を7つお伝えしますね。
1.昨今のクリスマスは商業主義にまみれすぎている
商業主義とは、この世で一番価値があり素晴らしいものは、金銭的に利益を得ること、つまり利潤を得ることなんだ、と考えることです。
クリスマスはもともとイエス=キリストが誕生したことを祝う日で、キリスト教を信じていない人にとっては、心温まる愛の日です。
クリスマススピリット(クリスマスの精神)という言葉がありますが、これは、他人(特に自分もよりも貧しい人)に、自分の何かを分かち与えることだと思います。
つまり、クリスマスは分かち合う日ではないでしょうか?
ところが、最近のクリスマスは、ボランティアとか分かち合うことも行われてはいるものの、どちらかというと物を買って人に配る傾向が強いです。
12月25日とその前後は企業や小売店の祭りになっており、この日が来て一番喜んでいるのは、キリスト教徒と子供をのぞけば、クリスマス商戦で利潤を最大限に拡大できる商人たちなのです。
現代社会のストレスの原因の1つはいきすぎた商業主義にあると私は考えています。だから、商業主義を助長させるプレゼントの交換はしないほうがいいと思うのです。
2.お金がない人にお金を使うことを強いている
日本では、クリスマスプレゼントの交換がそんなにヒートアップしていないと思います。
しかし、アメリカやカナダ、イギリスなどの諸外国では、プレゼント交換の加熱具合は半端ではありません。
不況とかそういうのは関係ないかのようです。
こんな相談メールももらっています⇒お金をかけず、物を増やさず、シンプルにクリスマスを祝う方法
昔は、家族だけで交換していたものが、今は遠縁の人や、同僚、子供の学校の先生、近所の人にまであげなければいけない雰囲気です。
「今年本当にお世話になったから、感謝の印としてちょっとしたギフトを贈る」というのはいいと思います。
北米では、いつも来る郵便屋さんに、クリスマスにちょっとした物をあげる習慣があります。私も以前、毎回荷物を届けてくれる郵便のおじさんに、小さいチョコレートをあげたことがあります。
こういう行いは別に悪くないと思います。
ですが、多くの人は、「みんなもやっているし、自分も子供の学校の先生にプレゼントしなくちゃならないんだわ」という発想をします。
そして、ただでさえお金がかかるホリデーシーズンなのに、無理して、ちょっとしたギフトを買うのにお金をつかいます。
義理で贈るプレゼントに使う金額はそこまで多くはないかもしれません。
しかし、家計が赤字になるのは、こういう1つひとつは安いものをたくさん買ってしまうからなのです。
3.プレゼントする意味がない
キリスト教徒がクリスマスにプレゼントを交換する理由の1つは、キリストが生まれたときに、東方の三賢人が、遠路はるばる贈り物を持ってきたことを忘れないためである、と考えられています。
詳しくはこちら⇒なぜクリスマスにプレゼントを贈る習慣があるのか?
では、クリスマスではないふつうのときに人が贈り物を交換する理由とは何でしょうか?
贈り物は、相手に対して、自分はよい感情を持っていることを表すためにするのだと思います。
愛情や友情や共感、歓迎や感謝の気持ち、喜びや喜びのおすそわけ、応援する気持ち、そんなものを示すために人はプレゼントをするのです。
プレゼントはお金と同じで、循環します。
たとえば、若い二人が結婚するとき、親戚や友だちはお金や物を贈ります。
これは、二人の新生活のスタートを祝う意味と、新しい暮らしの滑り出し、つまりスタートアップがうまくいくようにサポートする意味があります。
若いうちはふつうあまりお金がありませんから、このサポートはとても意味のあることです。
この二人は何年かたって、生活の基盤を固めたあと、別のカップルが結婚するとき、贈り物をするでしょう。
自分たちがもらったものを社会的に返して、回していくのです。
赤ちゃんが生まれたときに、お金やギフトを贈るのも同じ意味があると思います。
ところが昨今のクリスマスプレゼントは、後から来た人をサポートし、その人たちが社会的に前進したとき、後から来た人をサポートする、という形ではありません。
プレゼントのためのプレゼントではないでしょうか。
4.相手にお返しを強いてしまう
通常、人は贈り物をもらうと、お返しをしなければならない、と考えます。
日本人は特にこの傾向が強いのですが、人類一般がそうです。
その点についてはこちらをお読みください⇒人からもらった贈り物を捨てる3つのコツ、罪悪感を感じる必要なし
日本人が贈答を好む理由はこちら⇒お金を貯めたいなら今すぐ捨てたい、日本人ならではの3つの習慣。
3番に書いたように、プレゼントは循環しますから、お返しが発生するのはごくふつうの現象です。
しかし、クリスマスプレゼントの多くは、プレゼントのためのプレゼントなので、しばしば相手に、「お返しをしなければならない」という苦痛を強いることになります。
しかも、そのプレゼントが迷惑な品物であることも、多々あります。特に手作りのプレゼントは微妙な問題をはらんでいます。
きのう読者の方から特に親しいおつきあいをしているわけでもない二人から、それぞれ手作りの大きなステンドグラスの置物が送られてきてびっくりした、というメールをもらいました。
ハンドメイドが趣味の高齢の人は、身近な人には作品をあげ尽くしているので、そこまで親しくない人に、どんどん贈ります。
本人たちは、悪気はないでしょう。
ですが、趣味に合わない手作り品や、全く使いみちのない物をもらってしまって迷惑している人はたくさんいます。
しかもそのような物をもらったあとも、まさか、「こんなもん勝手に送りつけてくるな」と突き返すわけにもいきません。
お礼の電話をしたり、ささやかな物をお返しすることになってしまうのです。
5.お金がない人の生活設計を狂わす
若者がクリスマスパーティをやるとき、「1000円(2000円、3000円とバリエーションあり)までのプレゼントを持参し交換する」という余興がよく行われます。
このようなプレゼント交換を無邪気に喜べる人は、いらない物が増えたときにいかにコストがかかるのか、知らない人です。
余分な物のせいでコストが発生する話はこちら⇒節約ではお金はたまらない。お金持ちになりたいなら、買わない暮らしが1番いい
たとえば2000円までのギフトを持っていく女子会のクリスマスパーティに女子大生のあかりさんとひなたさんが参加したとしましょう。
あかりさんは、北欧風のあったかルームシューズを渋谷にあるちょっとおしゃれなインテリアショップで購入。あかりさんは金持ちの娘なので、300円プラスして、ギフト包装もしてもらいました。
2000円より高くなりましたが、包装代はプレゼント代には含まれない、とあかりさんは解釈。
ひなたさんは、地方から出てきて一人暮らし。はっきりいってカツカツの生活です。しかし、友だちとのつきあいは大事にしたいので、明治神宮前駅前にあるスターバックスで、クリスマス柄のマグとコーヒーのセットを買いました。
プレゼントの交換で、あかりさんはスターバックスのマグとコーヒー、ひなたさんはルームシューズをもらいました。
ところが、あかりさんはコーヒーを飲めません。しかも、金持ちなので、マグなんてくさるほど持っています。
あかりさんはもらったマグセットを、そのままお母さんにあげました。
ひなたさんの下宿は畳ばかりなので、ルームシューズをはく場所がありません。せっかくもらったので、トイレや台所ではいてみましたが、自分の部屋のインテリアとは完全にミスマッチ。
しかも、アレルギー体質なので、もこもこのルームシューズをはいていると鼻がむずむずしてきます。
ひなたさんはこのルームシューズを押入れにしまいました。「いつか使うかもしれない」と思って。
貧乏なひなたさんにとって2千円は大金。このお金があれば、1週間分の食費にできたのです。
しかし、スタバでマグカップを買ったので、今週は極貧メニューです。女子会でプレゼントの交換さえなければ、ひなたさんは2千円を有効に使えたのに。
このように、クリスマスのプレゼントの交換は、しばしばお金がない人の予算を大幅に狂わせ、その生活に大きな影響を与えてしまうのです。
6.ゴミが増える
これは言うまでもないでしょう。
いらないプレゼントをもらった人は、それをどうするか。
あかりさんのように他人に押し付ける人はたくさんいます。ひなたさんのように、しまいこむ人はもっといます。
家の中に置いておいても、使わなければそれは死蔵品。
家の中にあるとゴミに見えないかもしれませんが、本質的にはしっかりゴミです。
クリスマスプレゼントの場合、ゴミになるのは品物だけではありません。商品の包装資材や、クリスマス仕様のラッピングペーパー、ギフトタグ、リボン、クリスマスカードもゴミになります。
クリスマスというイベントがいかにたくさんのゴミを生み出しているのか、こちらに詳しく書いています⇒ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)なクリスマスの過ごし方、3つの提案。
100均で買ったチープなクリスマスプレゼントの素材はたいていプラスチック。そのまま何年もゴミ捨て場にうち捨てられたまま。
使いみちがなくて捨てられたクリスマスプレゼントが燃えるゴミだとしても、焼却されたとき、運が悪いとダイオキシンなど有害なガスが出ます。
ダイオキシンについて⇒ダイオキシンとは?その害と個人レベルでできる対策をわかりやすく解説
必要じゃないもの、好みでないプレゼントをもらってしまうと、「ちぇっ、趣味じゃない。損した」ぐらいではすまないのです。
7.子供たちに間違った価値観を教えてしまう
プレゼントは気持ちを表すもの、くれる人のその気持ちがうれしい、ということを頭で理解している人たちはたくさんいます。
しかし、一度商業ベースにのったクリスマスに参加し始めると、贈り物の交換が次第に加熱していきます。
それがよくわかるのは、親が子供に与えるクリスマスプレゼントです。
小さな子供たちは、クリスマスプレゼントの値段なんて全く気にしていません。極端な話、プレゼントの中身より、外側の紙とか箱で遊ぶほうがよっぽどうれしかったりします。
しかし、親は、空き箱だけあげるのは(そんな人はいないと思いますが)、あまりに不憫だ、と考えて、1つ、また1つとたくさんのおもちゃをあげます。
数がたくさんあったほうがいい、それなりの金額の物を与えるべきだ、という思い込みを持っているからです。
こういう親に育てられた子供たちは、親の価値観を受け継ぎます。
かくして、もっと大きくなったとき、「ふつう」のプレゼントを1個か2個もらっただけでは満足できなくなります。
しかも、今FacebookなどのSNSがあるので、子供たちは自分がもらったプレゼントをほかの子と比較します。
2年前、2014年のクリスマスのこと、25日の朝、娘の友達(当時高校2年)がクリスマスにもらったものをいっせいにFacebookやインスタグラムに投稿しました。
びっくりしました。
私は物を増やしたくないので、娘にはいつもちょっとしたお菓子とギフトカードをあげています。
その年は、夫も娘にDQ(ソフトクリームやハンバーガーのチェーン店)のギフトカードをあげました。
ギフトカードなんて、あまり自慢になりません。実用的ですが、見た目は全く地味なので、インスタにのせても誰も「わお!」と驚きません。
娘の友だちはiPhone6(当時の最新型)など、50年以上生きてきた私でももらったことのないぜいたくな品々をたくさんアップしていました。
まあ、娘の友だちは、誕生日に車をもらうような人たちですから、クリスマスプレゼントもゴージャスなのです。
このようなことがありますと、「たいした物」をもらわなかった子は、たとえ親からしっかり愛されていたとしても、がっかりして落ち込みます。
そして、取り残されたような気分になります⇒SNS依存に注意。FOMO(フォーモー:取り残される不安)を捨てる方法
楽しいはずのホリデーシーズンに落ちこむなんて、こんな悲しいことはありません。
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こんな理由から、私は「クリスマスプレゼントなんていらない」と思っているのです。
もちろん、意味のあるプレゼントは交換すればいいと思うし、クリスマスの心温まるイベントはやる意義があるとは思っています。
物を増やさないプレゼントはこちらで紹介⇒買わない人の贈り物。ミニマリストのクリスマスプレゼント選び
ですが、今のクリスマスは商業主義、物質主義、そしてSNSにまみれています。そこにクリスマススピリットを見つけるのは、難しいのではないでしょうか?