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日本のミニマリストは自分のことしか考えていない人が多いです。筆子さんはどう思いますか?
こんな質問をいただきました。返信を希望されていますので、この記事で回答しますね。
まずメールをシェアします。Mさんからです。
自分のことしか考えていないミニマリスト
件名:いつも応援しています。
いつもブログを楽しみにしております。
私は都内でwebデザイナーをしている26歳の女です。
本日は日本で大流行しているミニマリストに関して疑問があり、筆子さんのご意見をお伺いしたくご連絡いたしました。
日本では2000万円問題などがあり、ミニマリストが引き続き大ブーム中です。
とくに私のような若い世代は、年金がもらえる保証がないのでミニマリストに移行する人が多くいます。
私もその一人です。
ですがミニマリストの生活をリサーチしている中で、私は海外と日本のミニマリストでは圧倒的に違う部分があるなと感じました。
それは、日本のミニマリストの多くが
・スポンジは100均のものを何十個も買いためて使い捨てにする。
・洋服は安いものを3着買ってワンシーズンで買い換える
といった内容のものがとんでもなく多いのです。
私はミニマリストのことを調べるうちに、エシカルファッションやフェアトレード、NO動物実験のことを知りました。
知っているからこそ言えることかもしれませんが、私は上記を意識したミニマリストにどうしたらなれるかということを日々考えていたので、日本のミニマリストの自分のことしか見えず、ものが作られる過程や背景を気にしない人が多い。
そんな事実に大きなショックを受けました。
そんなことを感じ、私は海外と日本のミニマリストに圧倒的な違いがあるような気がしたのですが、筆子さんはどう思われますでしょうか。
ぜひ、ご意見ちょうだいできますと嬉しいです。
私はこれから職業を生かして、自分なりにエシカルやNO動物実験を広める活動ができればなと考えています。
長文、大変失礼いたしました。
これからも応援しております!
Mさん、メールありがとうございます。
いつもブログを読んでくれているのですね。とてもうれしく思います。
まあ、べつにミニマリストでなくても、自分のことしか考えていない人と、他人のことや社会のことも考えている人がいますね。
ミニマリストは使い捨てる人?
私、カナダの英語圏に住んでいるので、ふだん、日本語での発信はあまり見ていません。
したがって、日本でミニマリズムが大ブームだということも、若い人にミニマリストが多いことも知りませんでした。
Mさんは、日本のミニマリストの多くが、物を使い捨てることを推奨している、とおっしゃりたいのでしょうか?
スポンジを買いためて使い捨てるとか、服をワンシーズンごとに買い換えるのはミニマリズムではないと思いますが。
スポンジはぼろぼろになったら捨てるしかないと思うし、服が3着しかなかったら、ワンシーズンでだめになるでしょう。
私も、毎日ほぼ同じ服を着ているのですが(今は一応夏なので、冬場よりはローテーションしています)、レギンスは7、8ヶ月はくと、太ももの内側の生地がすれて、ほどなく穴があきます。
手持ちの物が少ないと、同じ物を何度も使うことになり、消耗がはげしいです。短い期間で使い切り、次のものを買わなければなりません。そういうところが、「物を大事にしていない」ように見えるのかもしれません。
ですが、いつも書いてますが、物を大事にするとは、実際に使うことだから、使わないふきんやタオルを何年も押入れにしまっておいたり、着ない服をタンスやクローゼットに放置したりするよりはいいと思います。
できるだけ環境に負荷をかけないミニマリストになりたいなら、ゼロウエイストの生活を志向するといいですね⇒ベア・ジョンソンに学ぶゼロ・ウェイスト・ホームを作る5つのルール(TED)
ゴミを出さないことを心がけている人は、スポンジは買いませんから。
ミニマリストの言うことは誰でも同じ
海外のミニマリストといっても、私がおもに見ているのは、アメリカ、カナダ、イギリスなどの英語圏のミニマリストの発信だけです(最近はフランス語をしゃべるユーチューバーも見ています)。
そういう人たちの発信を見ていて思うのは、どこに住んでいようとも、ミニマリストの言うことは同じだということ。
皆、物が少ないほうが、生活の質があがるから、私は物を減らしました/減らしています、と話しています。
ミニマリストの本質ってこれだけです。どこまで減らすか、何を減らすか、何を残すかは人によって違います。
日本のミニマリストも、本当にミニマリストならば、同じことを言っているはずです。
ミニマリズムとは?⇒ミニマリズム~何もしない時間、何もないスペースを作ってより充実した人生を
国民性が違うだけなのかも
言っていることは同じですが、国民性の違いが発信内容に表れていて、Mさんは、そこに違和感を感じるのかもしれません。
たとえば、アメリカの有名ミニマリストは、
物を減らして、自分が本当に大事だと思うことにフォーカスしよう、大事なこと、それはきみのミッションだ。きみのパッションで世界を変えていこう、人のために役立つことをしよう、
なんてことを言うことが多いです。
日本のミニマリストはあまりそういうことは言わないかもしれません。
良くも悪くも、いまの日本人は社会性にとぼしく、社会を変革させる活動に身を投じることに、さほどエネルギーを注ぎません。
デモをすることはあまりないし、春闘も形だけに見えるし、寄付もそんなにしないし、何かを地球規模、世界規模で考える機会も少ない気がします。
社会的なことは、自分には関係のないことだ、と考えて、自分の個人的な生活の充実や、日々の楽しみを優先している人が多いんじゃないでしょうか?
だから、ミニマリストの中にも、べつに悪気はないけれど、とりあえず自分の物がミニマルになればそれでよく、その結果、環境に負荷がかかるかどうかはさして重要ではない、と発信する人もいるのでしょう。
Mさんは、持続可能な開発をする社会にしていきたいと思っています。自分が、よかれと思って選んだミニマルライフを志向する人の中に、環境についてあまり配慮しない人がいるのを見てショックを受けたのでしょうね。
ですが、そういう人ばかりではないと思いますよ。いろいろなミニマリストがいますからね。
それと、ミニマリスト=エコロジストではありませんから、ミニマリストだからといって、環境保護に熱心だとは言えません。
物質主義と結びついたミニマリズム
日本のミニマリズムは物質主義としっかり結びついている面はあると思います。
アメリカのミニマリストはどちらかというと、消費社会や物質主義には反対の立場をとっています。
もちろん、物は必要だし、買い物だってしないと生きていけませんから、それなりにします。
しかし、「どんどん消費したり、どんどん物を買うのは、もうやめようじゃやないか」というミニマリストが多いです。
ところが、日本の場合、「おしゃれなミニマルライフ」という不思議なジャンル(?)があります。
物を減らしつつも、部屋をおしゃれにしたい、少ない服でおしゃれをしたいならこういうコーディネートがいい、大人ミニマリストのおすすめグッズ、無印良品のこういうインテリアグッズを持つといい、ミニマリスト御用達のマットレスはマストアイテム。
こういうことが写真や映像つきでよく話題になります。
物を減らしても、結局は、買い物に時間とエネルギーを注ぐ構図は変わらないわけです。
こうした、「物を紹介する」「おしゃれなライフスタイルを見せる」発信は、アメリカのミニマリストはまずしません。
タイニーハウスでの生活を見せることはありますが、日本とはアプローチが違います。
「おしゃれなグッズ紹介コンテンツ」を見ると、不用な物を減らして、大事なものを大事にできるミニマルライフにしたのに、大事なのは、相変わらず、素敵な物をショッピングする暮らしなのかい? と思うことがあります。
まあ、その人が何を大事にしようと、その人の勝手ですが、もしかしたら、日本では「買わない暮らし」をするのは、かなりの意識改革を求められるのかもしれません。
たまに雑誌の記事を監修すると掲載誌をいただきます。
そういう雑誌を見ると、無駄なものを持たないライフスタイルを紹介しているはずなのに、物の紹介が異様に多いです。
日本では、日々、便利ですてきな物、ニッチな商品、消費者の生活をよくしてくれそうな物が、これでもか、というほど開発されています。ショッピングもとても簡単にできます。
そういう国に暮らしていると、一生、物に追いかけられるのかもしれません。
だからこそ、日本では、物をどんどん使っていくミニマリストの発信が目立つんじゃないでしょうか? 特にインターネット上では。
ファストファッションの記事でも書きましたが⇒服の使い捨てをうながすファストファッションの罪
持続可能な経済をめざして、質のいい服を少しだけ持ち、じっくり着ていく、という生活を提案しても、見ている人はそこまで喜びません。
そもそも地味ですし、あまり刺激がありませんし、実践するのも、人によっては苦痛です。社会的にはそっちのほうが善なのはわかるけど、自分はそんなことはしたくないよ、だって楽しくないもの、と感じるでしょう。
それよりは、かわいい服をどんどん買って、買った服やコーディネートを見せるコンテンツのほうが刺激的だし、読む人だって楽しいです。
インスタ映えもします。
こんな背景があるので、シンプルライフを志向していても、結局は物をとっかえひっかえして、買い物や消費を楽しむ枠組みから抜けられないことがあるのかもしれませんね。
とは言え、ミニマルライフは生き方であり、個人的なことです。Mさんは、Mさんのよいと思う暮らしを追求していってください。
関連記事⇒私が使っている無印グッズ。なぜ日本のミニマリストは無印良品が好きなのか?
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私自身は、ミニマルに暮らすようになったら、物に対するこだわりはだんだんなくなっていきました。
以前は、文房具は日本製がいいね、とか、下着は日本で買ったほうがいいね、と思ったものです。しかし、最近は、もうあまり物は買いたくないし、そういうことを考えるのも疲れる、こんな心境です。