古い本を読んでいる人

ミニマルな日常

最終更新日: 2022.11.4

本を捨てるのはしんどい作業だったけど手放してよかった(本の処分、その6)

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「本は文化的価値が高いから、捨てないほうがいいのでは?」このメールに返信した記事の感想、その6です。

もとの記事はこちら⇒本は貴重な文化財だから捨てるべきではない、という意見に私が思うこと。

今回も着信順に3通紹介します。

3人とも「私は本が好きだ」と言っています。

まずうさげさんのお便りです。



本を処分した最大の効用

件名:好きでも、やっぱり本を手放す理由

筆子さん、こんにちは。

「本を捨てるべきか否か」というテーマ、大変興味深く読んでいます。

本好きのひとりとして、メッセージをお送りします。

本を捨てるのは、心が痛みます。

職業柄、本の廃棄処分に立ち会う機会がありますが、回収車に無造作に放り込まれていく本を見届けるこの業務は辛い時間です。

自宅の本は合計1000冊くらい処分しましたが(新古書店の買取を利用)、その過程でずいぶん悩んだり迷ったりしました。しんどかったけれど、手放してよかったと実感しています。

本棚の新陳代謝が進んだこと、これが本を処分した最大の効用でした。

自然科学や歴史の本は「鮮度」が一番です。私は専門家ではないので、古い学説の本は不要。

古い本を処分したことで、新しい本が入ってくるスペースができました。

積読状態の本をまとめて処分したあと、買い直した本も、実は多いです。

「しまった、処分しなければよかった」とその時は後悔しました。が、いざ買い直してみると、新版や増補版になっていたり、「完本」として短編が追加されていたり、買い直す価値があったと思える経験をしました。

とはいえ、こんなラッキーなことばかりではありません。

良書にもかかわらず本の寿命が短い現状に、本の処分をためらう気持ちはとてもよくわかります。

絶版・品切れ・重版未定が判明している本の処分は、私にとっては大きな決断でした。

決断できたのは、もう読めないことが分かったからです。

20年以上前の文庫本は字が小さく、明治期の作品に至っては行間にルビがびっちり詰まっており、老眼が進んだ私にはとても読めませんでした。

好きだった作家の処女作の初版本。表紙は色褪せ、数年に1度しか手に取りませんが、大事な本だから処分しません。

文庫になっているけれど、装丁が気に入っているから、古びた単行本も処分しません。

筆子さんも書かれているように、大事な本はとっておいてよいと思います。

それらをしまうスペースを確保するためにも、本の処分は続けます。

余談ながら、「本は貴重な文化財」という言葉で思い出したエピソードがあります。

フランス文学者が大学を退官する際、研究室にある大量のフランス語の原書の処分に困った。古書店には「タダでもいらない」と引き取りを断られた。ようやく見つけた引き取り先はカフェ(雑貨店だったかもしれません)。

年季の入ったフランス語の原書は、知的でオシャレな雰囲気を出すためにぴったりという理由で、店舗のインテリアとして二束三文で買い取ってくれたとのこと。

本は読んでこそ。

すっきりした空間で、読書の秋を満喫したいと思います。

ブログの更新、これからも楽しみしています。





うさげさん、こんにちは。お便りありがとうございます。

本を処分したらいろいろといいことがあったのですね。

うさげさんが本を捨てた話はこちらで紹介⇒物がなければ、片付ける時間も必要ないのだと気づいた。

本が好きな人には、本を捨てる作業はつらいと思います。

しかし、捨てる過程で、自分にとって、本が何を意味するのか考えることになるので、これから、本や読書と、もっと質のいい、深いかかわりを持てる人生になると思います。

それだけでも、本を処分する価値はあるでしょう。

紙の本はすごく場所を取るので、買った本をすべて取っておこうとすると、大きな代償を支払うことになります。

その代償を払う価値のある本かどうか考えてみると、取捨選択しやすいかもしれませんね。

それでは、うさげさん、これからもお元気で、本を読む暮らしを楽しんでください。

次は青空さんのお便りです。

明るい未来を信じれば手放せる

筆子さん、こんにちは。

何度かメールさせていただいた、青空です。

「本を捨てられない」関連の記事、とても興味深く拝見しています。

遅れてしまいましたが、私も感想をお送りさせていただきますね。

相談者さんはきっと悲観的な考え方の持ち主なのではないか、と思いました。

私自身、どちらかというとそういうタイプなので、なんとなくわかります。

「今、この本を手放したら、将来必要になったときにもう2度と出会えないだろう。」

不安とか恐怖感とか、そういう感情が大きいと、明るい未来を描けず、何かに固執してしまいがちです。

私も過去に大量のグッズを収集した黒歴史がありますが、根底にはこんな感情があったからです。

でも、今は知っています。

悲観的な考え方は、単なる思考のクセであり、自分で変えられるって。

筆子さんはじめ、いろんな人や本に教えられました。

「手放して、今これを必要としている人に譲ろう。もしまた必要になったとしたら、私はこれともう1度巡り合える。」

こんな風に、自分の明るい未来を信じると、心が軽くなって、物を手放して身軽になりたくなります。

身軽になると、手放したことは気にならなくなります。

たとえ2度と巡り合えなかったとしても、私はそれに代わる価値あるものを見つけることができるはずって、そう思えます。

こんな風に書きはしましたが、私はもともと、悲観的な、足りないマインドの持ち主なので、自分に言い聞かせるように書きました。

この特集、自分を見つめ直す、良い機会となりました。感謝しております。他の皆さんのご意見も楽しみです。

相談者さんもいろんな方の感想をご覧になって、ご自分にフィットする考え方と出会えるとよいですね。

青空さん、こんにちは。お便りありがとうございます。

明るい未来を思い描くっていいですね。

本に限らず、物を捨てることができないのは、何らかの恐怖があって、そちらにフォーカスしているからです。

物を手放すことに対する不安や恐怖に向き合う(その1)~どこから始めたらいいの? という不安。

恐怖にばかり光を当てているから、恐怖しか見えないんです。希望にも光を当てると、もっと今の生活を大事にできます。

それに、楽しい未来を信じながら生きたほうがストレスが少ないので、体にもいいし、何かと楽です。

それでは青空さん、これからも明るい未来を信じてお元気でお暮らしください。

最後はともさんのお便りです。

読書ノートをつけてみては?

件名:本を捨てるなの記事を読んで

数年来ブログを楽しく読ませていただいており、

先日の「本は捨てるな」の記事は考えさせられることが多かったです。

私自身、本が好きなので本棚にしっかり本が入っています。

こちらのブログを読んだりして、ひとつの本棚に収まる量をキープできるようにはなりました。

手放す時に未練はありますが、もう読めないとは考えてませんでした。

国会図書館まで行けば日本で出版されたものは大抵あるはずです。

カタログや同人誌などは、手放すともう出会えない気はしますが。

また、自分が読んだ気持ちを残しておきたければ、読書ノートをつけたり、読書記録アプリに入力したり、Amazonなどでレビューを書くとそれが残ります。

読書ノートなら、気になった文章をいくらでも書き写せるし、感想や考察を書いたりもできて、後で見返せます。

タイトルと作者を簡単に記録するだけでも良いかもしれません。

涼しくなってきたので、今年も本棚の整理をして、最新のお気に入り本棚にしたいと思います。

筆子さんのブログをこれからも楽しみにしています。

ともさん、こんにちは。お便りありがとうございます。

何年もブログを読んでいただき、うれしいです。

そうですね。すべての本を手元に残さなくても、その本から得た体験をノートなどに記して残せば充分だと私も思います。

本を残したいと思うとき、その本が欲しいからではなく、その本と自分の間にあるつながりを残したいんじゃないでしょうか?

「2度と手に入らない」と恐れるのも、その本と縁が切れることを恐れていると思います。

しかし、1度本を読めば、たとえ内容をすべて忘れてしまったとしても、その体験から得たものは何らかの形で自分の中に残ります。

大切なものは自分の中にあるから、これまで読んだ本をすべて手元に残す必要はないでしょう。

それでは、ともさん、これからもお元気で読書を楽しんでください。

■このシリーズを最初から読むなら⇒本は捨てるな、という意見を読んで(その1)

■本や雑誌に関する記事だけを読みたいなら⇒本・雑誌に関する記事一覧

*****

「本は文化財だから捨てないほうがいい」という意見に対する感想を紹介しました。

今すぐ本を捨てる気はない人も、一度、本棚の中を整理してみてください。

読まずに忘れていた本が出てくるかもしれません。

そういう本は一番目立つところに置いて、手に取りやすくしておくといいでしょう。

それでは、あなたも質問、感想、その他言いたいことなどありましたら、お気軽にメールください。

お待ちしています。





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