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最近、頭がよく働かない、集中できない、暗いことばかり考えてしまう。そんなふうに感じている人におすすめのTEDトークを紹介します。
タイトルは、How to protect your brain from stress(脳をストレスから守る方法)。
ニューロバイオロジー(神経生物学)が専門の、科学ジャーナリスト、ニキ・コートヴェッグ(Niki Korteweg)さんのプレゼンです。
ニキさんは、オランダの人です。私の名字の読み方が間違っているかもしれません。
脳をストレスから守る・TEDの説明
Chronic stress is devastating for your brain. It ruins your memory, your attention and concentration and your emotional resilience. The brain areas that help execute these functions literally deteriorate.
Luckily, brain science has revealed many ways to prevent or counteract this. In her talk Niki Korteweg shares the four most important things you can do to keep your brain healthy and working at its very best.
恒常的なストレスは脳にとってはとても悪いものです。記憶、注意力、意識、感情のレジリアンス(立ち直る力、復帰力)をこわします。
このような機能を司る脳の部位が、ストレスのせいで、文字通り衰えてしまうのです。幸い、脳科学のおかげで、こうした事態を避ける方法がわかっています。
ニキ・コートヴェッグは、脳の健康を保ち、ベストの状態にする4つの方法を紹介します。
収録は2019年12月。動画の長さは9分半。字幕はないので、抄訳を参考にしてください。
シンプルな内容なので、わかりやすいし、知っていることも多いと思います。
知っていても実践できない
皆さんの中で記憶力をあげたい人はいますか?
もっと集中力がほしい人は?
記憶や集中がうまくできないとしたら、たぶんそれはストレスのせいです。
でも、この状態をよくする方法があります。
私は神経生物学者になる教育を受け、科学ジャーナリストとして働いていますから、脳について、知見があります。
しかし、脳のことをよく知っていても、それを実践することは別の問題です。
燃え尽きた
科学ジャーナリストとして働き始めたとき、とても仕事に燃えていたので、あらゆる機会をとらえて仕事をしました。
真夜中すぎまで仕事をし、朝は早く起きていました。
子供はまだ小さかったし、夫の世話もありましたから。
だから、とても大変だったんです。
その結果どうなったか?
ご想像どおり、私は燃え尽きました。
脳がまったく働かなくなったと感じました。
計画を立てることや決断ができなくなりました。
To-doリストに並んでいるたくさんのタスクの優先順位をつけられなくなったんです。
仕事に集中できず、ものごとも覚えておくことができず、感情の起伏もはげしく、多くの場合、気分はネガティブでした。
ジャーナリストとして、脳科学者として、私は恒常的なストレスが、とても脳に悪いことを知っていたのに。
ストレスが脳に与える影響
ストレスは、脳内で毒になる強いストレスホルモンをたくさん分泌させます。
とくに、大事な2つの部位で。
1つ目は前頭葉です。
前頭葉は、さきほど説明したことを司っています。
ゴール設定、計画を立てること、優先順位を決めること、ワーキングメモリや集中、感情のコントロールもします。
2つ目の部位は、海馬です。
海馬は記憶の鍵を握ります。
この2つの部位はストレスに対してとても敏感なのです。
ストレスホルモンが多すぎると、この2つの部位にある細胞が縮んでしまいます。
このスライドにある枝上の線は、神経回路です。
常にストレスにさらされていると、神経回路が消え、つながりが減り、回路の機能が衰えます。
でも、これを防止する方法がたくさんあります。
その中でももっとも重要な方法を4つ紹介しますね
1.運動
一番効果的なのは、肉体的にアクティブでいることです。
運動がいいことは皆、知っていますよね。でも、知識と実践にギャップがあります。
運動すると心拍数があがり、酸素が脳に行きますが、それだけじゃないんです。
運動していると、脳の成長ファクターが働き、神経回路の成長を刺激します。
消えてしまった回路を作り直し、つながりが生まれます。
新しい細胞も生まれる可能性があります。
ワークアウトは、体型がよくなるだけでなく、マインド(こころの働き)もよくするのです。
マラソンをする必要はありませんよ。
週に3回、45分、早歩きするだけで効果があります。
ストレッチをするだけの人より、早歩きする人のほうが、海馬のサイズが大きくなります。
昔の私は仕事を優先していましたが、今は先にジムに行って運動し、それから仕事をしています。
2.睡眠
2つ目にとても重要なのは、しっかり眠ることです。
昨晩、8時間寝た人は手をあげてください。
ああ、すばらしいですね。4割の人が手をあげています。
睡眠がいいと知っていても、しっかり寝ない人もたくさんいますから。
ご存知かもしれませんが、睡眠不足は、脳に対するストレッサー(ストレスをもたらすもの、ストレスの原因になる刺激)です。
一晩ちゃんと寝ないだけで、集中力が衰え、記憶が働かず、よりイライラしやすくなります。
一晩の睡眠不足が、前頭葉の機能が衰えさせます。それが何日も続くと、大変なことになるんです。
睡眠中に、脳の中で整理が行われています。
よい回路のつながりが強化され、悪いつながりは除去されます。
老廃物も排除されます。
だから、脳をまともに機能させるためには、睡眠は不可欠なのです。
以前は、深夜をすぎても仕事をしていましたが、もうそういうことはやめました。
毎晩、8時間寝るようにしています。
私は夜型なので、すごく難しいのですが、1時間か2時間、睡眠が足りないときは、翌日の晩に取り戻すようにしています。
3.健康的な食事
食べ物も重要です。どの食べものが脳にいいのか、ピンポイントで見つけることはできていませんが、パターンはわかっています。
地中海式ダイエットが、より脳にいいのです。
記憶や集中力が向上します。
地中海式ダイエットは、野菜や果物をたっぷり食べ、オメガ3脂肪酸が含まれている魚も食べます。
ほかのタンパク質や穀物、健康な脂質であるオリーブオイルやナッツも食べます。
オリーブオイルやナッツが、脳の健康を長期的に保つ2つの要素だとしている研究もあります。
この写真には赤ワインも入っていますが、これは脳にはよくありませんよ。
4.瞑想
4つ目に脳の健康に効果があるのは、瞑想です。
瞑想と脳の研究を証明するのはむずかしいのですが、毎日瞑想することが、集中や注意力によいという結果が出ている研究はどんどん増えています。
瞑想は、意識を向ける練習のようなものです。目を閉じて、呼吸に意識を向けます。
よそごとに意識がそれたら、また呼吸に戻します。
こうしながら、注意力のトレーニングし、思考の柔軟性、感情のコントロールを向上させます。
額の後ろ(前頭葉)は、瞑想によって、強化されるらしいのです。
朝か晩に、瞑想を習慣づけてください。
1日5分から始め、どんな感じかみてください。
私も毎日やっています。
脳のケアを怠るな
以上4つの活動が、ストレスが脳を衰えさせることを防ぎ、脳がストレスに対抗できるようにします。
燃え尽き症候群になってから、この4つをやるようにしたら、また脳がまともに働き始めました。
これまでよりずっとよく働いていると思います。
脳をちゃんとケアする限り、長時間、熱心に仕事をしても大丈夫になりました。
私のトークが、皆さんの知識と実践のギャップを少しでも小さくしますように。
脳にやさしくして、しっかりケアしてください。
脳はみなさんにとって王冠のようなもの。女王が王冠を扱うように、脳を大事にしてください。
//// 抄訳ここまで ////
脳に関するほかのプレゼン
新しい脳細胞を増やす方法(TED)大人になってもニューロンはできます。
脳の健康は人生を変える – 脳画像が教えてくれること:ダニエル・エイメン(TED)
新しめのものから7つ紹介しました。ほかにもたくさんあります。
健康的な生活はあなどれない
よく、ネガティブに考えに傾きがちな人から相談メールをもらうのですが、これまでは、モーニングページやブレインダンプをおすすめしていました。
でも、それ以前に健康的な生活をすることが何より大事だと思います。
脳の調子が悪いから、もっと寝よう、もっと運動しようと思う人ってあまりいないですよね?
自分の脳はこれが普通だと思っているのではないでしょうか?
しかし、運動と睡眠は、脳の働きを向上させます。
特に、睡眠に関しては私はしっかり自覚があります。
睡眠はあなたのスーパーパワー~すべてのパフォーマンスが上がります(TED)
睡眠不足の日って明らかに仕事に集中できず、関係ないことに簡単に気が散ってしまうんです。
そこで、どんより気分になりやすい人は、今回紹介した講演でニキさんがすすめている4つを確実にやるようにしてください。
半年ぐらいまじめに取り組むと変化を感じられるはずです。
何か新しいものを付け加えるのではなく、手持ちの脳をしっかり活かしましょう。