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子供がものを捨てられないという悩みを持つ親御さんは多いです。
今回は、読者からいただいた相談メールにお答えし、5歳の子供にとっての所有物の重要性や、親としての適切なアプローチについて考えてみます。
まずメールをシェアしますね。抹茶さんからいただきました。
子供のものを減らすのが難しい
件名:こどもの大切な物を減らしたい
1つご相談です。
来月5歳になる長女。
物が捨てられません。
駅などに置いてある無用のチラシ(娘が持って帰りたがる)、行ってもいない既に終わったコンサートのチラシ(保育園からもらってきたり)、1年以上前に作った折り紙、数ヶ月触っていない雑誌の付録、着古してサイズアウトした服、ポストに入ってくる広告(ピザの宅配とかマンションとか)、落書きしたものとか、シールの台紙とか。。。
明らかに不要、ゴミと判断して勝手に捨てた結果、後から娘がなくなったことに気づいて号泣。。。
数ヶ月経って突然探し出したり。
こちらも気をつけて判断しているつもりでも、娘の意に反して互いに嫌な思いをします。
「大切な物なのに捨てた」と。
そんなことを繰り返しています。
1年半後に引っ越す予定があるのでその時には荷物を減らすチャンス、と思っているけれど、思い通りに行くかどうか。
娘専用の宝物箱(お菓子の入っていた缶)を用意してはいるものの、入れ物が増えていく状況。。。
夫とは年に1回自分で判断させて片付けさせよう、と話してはいます。また極力家の中に入れないようにとは思っています。もう少し成長したらきっと、という思いもあります。
筆子さんのご意見を伺いたいです。
ちなみに1度メールさせていただいていますが、わたしも物を溜め込む性質は持っていて(だいぶ減りました)、5歳頃の宝物(ポケットティッシュとかハンカチとかキーホルダーとか)が実家にまだ残っています。
今となっては処分したいですが、両親が嫌がるのでそのままになっています。
広いので収納には困っていませんし、整理整頓されていますので、両親が元気なうちは、とあきらめています。
抹茶さん、こんにちは。お便りありがとうございます。
いつもブログを読んでいただきうれしいです。
無理強いしないことをおすすめする
私なら4歳~5歳の子供にものを捨てることを強要したり、その子供が大事にしているものを勝手に捨てたりはしません。
5歳児はまだ赤ん坊に毛が生えたような生き物です。大人が口にする「理屈」は通りませんし、そんな思考もしません。
時間の観念、片付けや所有物に対する考え方、ものとの感情的なつながり、すべてが大人とは違います。
人間の脳、特に論理的思考や意思決定を司る前頭前野(前頭葉の一部)は、成人期まで成長し続けると考えられていて、25歳ごろに成長が終わるそうです(実際は、脳には可塑性があるので、その後も脳の状態を変えることは可能です)。
感情を制御したり、計画したり、意思決定をしたりする部分は、思春期を通じて急速に発達し、その後も脳は成長を続け、20代なかばに、論理的思考、計画能力、意思決定、自己制御する能力が成熟します。
5歳の子供の脳は基本的な構造や神経回路の大部分はできていますが、大人がするようながまんや自制心は発揮したくてもできないでしょう。
そういう脳力は、これから、社会生活の中でいろいろ経験しながら身につけていくことです。
今の段階で、「このままだと、引っ越しのときものが多くて大変だから、できるだけ捨てよう」というロジックをお子さんに説明したところで理解できません。
ただ、子供は親に嫌われたくないので、母親に「これこれこういう理由があるから、もういらないものは捨てようね」と言われれば、理解できなくても、同意できなくても、なんか変だと思っても、とりあえず、「うん、わかった、ママ、そうする」と言うでしょう、
私は、親の都合で、小さな子どもに物を捨てさせたり、その子のものを捨てるのは、子供にとっては害しかないと思います。
以前、こんな記事も書いています⇒どんなに断捨離したくても、子供のおもちゃは捨てないほうがいい理由:ミニマリストへの道(15)
幼児の時間の概念
私は児童心理の専門家ではありませんが、子供と大人の時間の観念が違うことは容易に想像できます。
こちらの記事によると⇒Children and the concept of time | Motherforlife.com
子供は4歳から5歳頃にようやく時間や期間の概念に興味を持ち始め、6歳頃になると曜日や時間のスケジュールが理解できるようになるそうです。
だから、5歳の娘さんには、「1年以上前に作った折り紙」とか、「数ヶ月前の雑誌の付録」なんてコンセプトはないはずです。
幼児には「明日」や「1週間後」といった時間の表現が理解しづらいのですから、1年前なんてもっとわからないでしょう。
そもそも、1年が365日で、それだけの時間がたつと来年になって、人間は、だいたい80数年ぐらい生きたら死ぬんだということも、幼児は知りません。
時間の理解には数字の理解が必須で、高度な抽象的思考を要します。
先ほどリンクした記事には、幼児に時間のコンセプトを教えたいなら、生理的な基準(食事、睡眠、入浴)をもとにした説明が効果的で、具体的なできごとを使うといいとあります。
つまり、「20分後に出発する」と言っても子供にはわからず、「ご飯を食べたらね」とか、「パパが帰ってきたらね」と説明すればわかるんです。
「これは古い紙切れだから不要だ」と説明しても、お子さんにはわからず、部屋の中が紙切れだらけになって、寝る場所がなくなって初めてわかる、という感じではないでしょうか?
幼児の所有物に対する概念
子供は2歳頃から「私のもの」という所有感を持ち始め、3~4歳ぐらいになると、自分のものを他の人に取られるのを嫌がります。
幼稚園では、「おもちゃはみんなで使おうね」と習うと思いますが、そうできない子供がたくさんいるでしょう。
でも、これはその子がわがままで自分勝手だからではなく、まだ社会性が身についていないから当然のことなのです。時間がたって脳が成長すれば、コミュニティに所属しているものは、ごく自然にシェアできるようになります。
子供とものの関係で大人と大きく違うのは、「自分のもの」が大きな安心感の源(みなもと)になっていることです。
昔、ライナスの毛布の話を書きましたが⇒部屋にある大量のいらない物が象徴する3つの心の闇とは?、子供は、所有物にとても強い感情的なつながりを持つことがあります。
お気に入りのぬいぐるみや毛布は、子供にとって安心感を与える重要な存在です。
ライナスを知らない人のために、アマゾンの商品で彼と彼の毛布をお見せします。
ライナスは6歳ぐらいの設定ですが、このぐらいの年齢で、超お気に入りで大事なぬいぐるみやマスコットを持っている子はたくさんいるでしょう。
抹茶さんですら、幼いときに持っていたものに愛着があるのですから、お嬢さんの自分の宝物に対する愛着はとても深いと推測します。
なぜ片付けたいのか?
そもそも、抹茶さんは、なぜお子さんのものを片付けたいのでしょうか?
引っ越しのとき荷物が多くなって大変だからですか? それとも、新居でスッキリ暮らしたいからでしょうか?
抹茶さんの片付けの理由が何なのかわかりませんが、娘さんのものを捨て、一見スッキリと心地いい新居になったとしても、そこで暮らす娘さんの心には深い傷が残るかもしれませんよ。
私達が片付けをし、シンプルライフをめざすのは、もっと幸せに暮らしたいからですよね?
ものを捨てることが一番重要なのではなく、捨てた先にある人生が重要です。
もし、新居が狭くて、家の中のものが全部入らないという事情があるなら、娘さんの紙切れじゃないものを整理してください。
娘さんが5年の生涯で集めた紙切れなんてたいして量がないと思います。それよりも、大型家具や小物、余計なストックなどのほうが場所を取るんじゃないでしょうか?
お子さんに「ものを捨てる人」になって欲しいなら、自分がシンプルに暮らすのが一番効果的だと思います。
お子さんの紙を捨てる前に、抹茶さんが実家に置きっぱなしにしているものや、自宅にある不用品を、ご自身の責任で処分してください。
まとめ
子供にとっての所有物は、安心感や自己表現の手段として重要な役割を果たします。
無理に物を捨てさせるのではなく、子供の成長とともに自然に整理整頓の習慣を身につけさせるのはどうでしょう? 親子で一緒に学びながら、シンプルライフを目指してください。
それでは、抹茶さん、これからもお元気でお暮らしください。
また相談や質問がありましたら、お気軽にメールくださいね。
■子供とシンプルライフ、関連記事のまとめです。
子供の物を捨てたいママに。子供と楽しむシンプルライフに関する記事のまとめ(1)
子供の物が増える問題を解決するには? 子育て関係の記事のまとめ(2)
子供がいるシンプルライフ~子供や子育てに関する記事のまとめ、その3
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大人はかつて子供でしたが、大人になると子供だったときのことを忘れてしまうので、子供に無理な要求や期待をしてしまうことがあります。
でも、子供と大人は違います。その点は忘れないようにしたいですね。私は子育てをしていたときよく忘れていましたが。