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急に片づける気になって、クローゼットや押し入れの中身を一気に出してみたものの、床がものだらけになって途方に暮れている。
先日のお便り紹介コーナーでそんな方の声を紹介しました。
そこで今回は、全出しして止まってしまったときに、落ち着いて体制を立て直す方法をお伝えします。
「よし、今日こそ片づけよう!」と勢いよく始めたのに、気づけば部屋中にものが広がり、どこから手をつけていいのかわからなくなってしまう。
やる気はとっくに消え、残っているのは散らかった部屋と疲労感だけ。
実は私も、若い頃に似たような経験があります。
ベッドの下にためていた大量の雑誌を「今日こそ全部片づけるぞ」と意気込んで出したら、床が雑誌で埋まり、座る場所もなくなりました。
あのときの絶望感は、今でもよく覚えています。
真夏の片づけだったので、余計疲れました。
途中で止まってしまうのは、あなたに問題があるわけではありません。
単純に、脳が疲れてしまっただけです。
今日をどうやり過ごし、明日からどうリカバリーすればいいか、順を追って見ていきましょう。
1. まず手を止めて、脳を休ませる
片づけの途中でフリーズしてしまったら、まずは作業の手を止めてください。
「止まっている場合じゃない、早く片づけなきゃ」と焦る気持ちはわかります。
でも、理由があってあなたは動けません。
ものを片づけるとき、私たちは一つひとつに対して「捨てる」「残す」「どこにしまう」といった判断を繰り返しています。
判断するたびに、脳のワーキングメモリと呼ばれる作業スペースを使います。
ワーキングメモリは容量が限られていて、決め事をしているうちに容量を使い切ってしまいます。
これがいわゆる「決断疲れ」です。
さらに、床一面に広がったものの山は、それ自体が脳にとって大きな負担になります。
視覚的な情報が多すぎると、脳は処理しきれなくなり、ますます判断力が落ちてしまうのです。
つまり、フリーズするのは当然のことなんです。
私は今でも、決断疲れで動けなくなることがあります。
先日、図書館から借りたオーディオブックを聞き終わって、次に借りる本を探していました。
何冊かピックアップして、それぞれサンプルを聞いて、「いや、これじゃない」と思ってやり直す。
これを繰り返しているうちに15分以上たっていました。
たかが本を選ぶだけなのに、しかも図書館の本だから無料でリスクがないのに、頭が疲れてしまったようです。
片づけの判断は、本を選ぶよりずっと重たい決断をすることになります。
疲れて当然です。
まずは手を止めて、キッチンに行って白湯やハーブティーを1杯飲みましょう。
椅子に座って、15分ほどぼーっとしてください。
特に50代、60代の方は、若い頃のように体力も気力も続きません。
無理をしないほうが、結果的にいい方向に向かいます。
ワーキングメモリ(作業記憶)をうまく使って目の前のゴールを達成する(TED)
2. 視界からものを消して、体制を立て直す
少し休んだら、次にやるべきことは視界からものを消すことです。
片づけなければならないと思うかもしれませんが、そうするとまた決断疲れに陥ります。
私のように捨て慣れている人は、ものがわーっとたくさんあっても、少しずつサクサク捨てていくことができます。
でも、慣れていない人は、また脳がいっぱいいっぱいの状態になり焦ります。
ここではとにかく床を空けることだけを目標にしましょう。
とりあえず元の場所に戻す
いちばん簡単な方法は、出したものを元の場所に戻すことです。
「それじゃ何も変わらないじゃないか」と思うかもしれません。
でも、いいんです。
今日は「片づけを完了させる日」ではなく、「体制を立て直す日」にしましょう。
冒頭でお話しした雑誌の話の続きですが、あのとき私は結局、床に広げた雑誌を全部ベッドの下に戻しました。
「トホホ」と思いましたが、あのまま雑誌に囲まれて暮らすわけにはいきません。
その後、週末に数冊ずつ取り出して、ひもでしばって廃品回収に出しました。
一気にやろうとして失敗しましたが、少しずつやり直したら、ちゃんと片づきました。
だから、今日は戻すだけで大丈夫です。
保留ボックスに入れる
戻す場所がないもの、細かいもの、元の場所に戻したくないものは、段ボールや大きめの紙袋にまとめてしまいましょう。
これが「保留ボックス」です。
捨てるかどうかは後日決めればいいので、今は箱に入れるだけでかまいません。
ただし、保留ボックスは1つか2つまでにしてください。
際限なく作ると、それ自体がものの山になってしまいます。
シーツやブランケットで隠す
どうしても片づかないエリアには、シーツやブランケットをかぶせてしまう方法もあります。
視界からごちゃごちゃが消えるだけで、驚くほど気持ちが落ち着きます。
目に入る情報が減ると、脳への負担がぐっと軽くなるからです。
ポイントは、「今すぐ全部片づけなくてもいい」と自分に許可を出すことです。
今日は視界をすっきりさせることを目指しましょう。
それだけで、心の余裕が戻ってきます。
気持ちの余裕がなければ、不用品を処分することはできません。
視覚的ノイズ(見た目のごちゃつき)を極力なくすコツ(その1)~飾り物を減らす。
3. 捨てる判断はやめて、種類ごとにまとめる
床が見えるようになったら、次のステップに進みましょう。
ただし、ここでもまだ「捨てる・残す」の判断はしません。
ものを種類ごとにまとめます。
文房具は文房具、書類は書類、雑貨は雑貨。
同じ仲間を寄せ集めましょう。これは、ほぼ単純作業です。
捨てるかどうか決めるのは、脳にとって負担がかかります。
でも、同じ種類のものを集めるのは、重たい判断を必要としません。
セーターやスカートなどの衣類は衣類、雑誌や本は本というふうに、機械的に分けていきましょう。
これなら疲れた脳でもできます。
種類ごとにまとめると、もう一ついいことがあります。
バラバラに散らばっていたものが、いくつかのグループにまとまると、「あ、意外と管理できそうだな」という気持ちになれます。
手がつけられないほどの山に見えたものが、5つか6つのカテゴリーに分かれると、自然に細分化されるからです。
分類するだけで今日は終わりにしましょう。
「ここまでできた」と、自分をほめてください。
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4. 体制が整ったら、小さく始めて少しずつ捨てる
休んで、戻して、分類して。
ここまでくれば、部屋の光景もだいぶ落ち着いているでしょう。
ここからがいよいよ捨てる段階ですが、くれぐれも一気にやろうとしないでください。
一気にやろうとしたから、今回こんな大変なことになったのです。
タイマーを15分にセットして、その時間だけ片づけましょう。
15分たったら、途中でも手を止めます。
「あと少しで終わるのに」と思っても、止めてください。
無理をすると、結局また疲れ果ててしまうのがいつものパターンです。
引き出し一段だけ、紙袋1つ分だけ、3分だけ。
このぐらい小さな単位で進めていきましょう。
小さな片づけを毎日積み重ねていけば、確実に前に進めます。
落ち着いたら、今回なぜ大変な思いをしたのか振り返ってください。
全出しの一番の問題は、出すのは簡単だけど、判断するのにものすごくエネルギーがいるという点です。
出すだけなら5分で終わりますが、一つひとつ向き合って決断するには、その何倍もの時間と気力を要します。
このギャップに気づかないまま始めてしまうと、また、出した後に途方に暮れることになります。
次からは、小さな範囲に絞って取り組みましょう。
一気にやることを禁止するルールを自分に課すのもいいかもしれません。
もし、そのルールがストレスに感じるなら、ルールを作らなくてもいいです。
ただ、「少しずつやるほうがうまくいく」と自分に言い聞かせましょう。
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おわりに:求めているのはすっきり感より安心感
ものを収納から出すだけ出したら、ものの山に圧倒されて、止まってしまった。
この状態から前に進む方法をお伝えしました。
ものを全部出してしまいたくなる気持ちは、よくわかります。
モヤモヤやぐしゃぐしゃを一気に解消して、すっきりしたいですよね。
でも、不用品を一気に片づけるのは、現実的にはとても難しいことです。
私たちの脳にも体力にも限界があります。
特に50代、60代の方は、若い頃と同じペースで動こうとすると、無理がたたります。
あなたはすっきりしたいと思っているかもしれません。でも、本当に求めているのは安心感だと思います。
「この部屋にあるものは全部把握できている」「余計なものに囲まれていない」「自分の暮らしをコントロールできている」。
そういう安心感を求めて、断捨離をしているのではないでしょうか?
こうした安心感は一気に手に入りません。
今日は引き出し1つ。明日は紙袋1つ分。
そうやって小さな片づけを続けるうちに、気づいたら安心できる暮らしになっています。














































