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毎日、私たちはたくさんのことを決めています。
何を食べるか、何を買うか、どの情報を信じるか。
忙しいと特に考えず、なんとなく行動してしまいますよね。
こんなとき、クリティカルシンキングができると、日々の意思決定の質が上がります。
今回は、このスキルを養うのに役立つTEDトークを紹介します。
タイトルは、4 Tips for Developing Critical Thinking Skills(クリティカルシンキング〔批判的思考〕を身につける4つのヒント)。
講演者は、35年以上の高等教育経験を持ち、米国で初めて批判的思考教育の専門部門を立ち上げた Steve Pearlman, Ph.D.(スティーブ・パールマン博士)です。
クリティカルシンキングとは?
クリティカルシンキング(critical thinking)は、日本では「批判的思考」と訳されることが多いですが、簡単に言うと、いろいろと確かめながら考えることです。
目の前の情報をうのみにせず、本当にそうなのか、ほかの見方はないか、と一歩引いて考えます。人を批判することではありません。
批判的思考と聞くと難しそうですが、パールマン博士は、脳がもともと持っている機能を使えば誰にでもできると語っています。
自分の頭で考える力を鍛える:おすすめTEDトーク
収録は2024年10月、動画の長さは約17分半。英語字幕あり。
◆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
以下に、私がこのトークで重要だと思ったポイントを紹介します。
1. なぜ学校で考え方を教わらないのか?
パールマン博士によると、批判的思考の現状はよくありません。
大学生が4年間の在学期間を経ても、批判的思考の能力はほとんど向上していないという研究結果があるそうです。
名門大学でも事情は変わりません。
博士はここで、読み書きとの比較をします。
大人は自分が読み方を知っているから、子どもにも読み方を教えられます。
でも、考え方はどうでしょうか。
批判的思考を教えられないのは、教える側がこのスキルを体系的に理解していないからではないか、と博士は問いかけます。
実際、批判的思考はひとつの能力ではなく、たくさんのスキルが複雑に絡み合ったものです。
博士はこのスキルを砂場での遊びを使って説明します。
子どもが砂場で遊ぶとき、誰がシャベルを使うか交渉し、靴に入った砂をどうするか考え、遊びのルールを発明しています。
単純に見える遊びの中にも、問題解決、交渉、判断といった複雑な思考が含まれています。
日常も同じです。
買い物、人間関係、仕事の段取り。こうした行動の裏には、たくさんの思考が動いています。
パールマン博士は、こうした思考の複雑さを損なわずに、誰にでもわかるように教えるにはどうすればいいか研究してきました。
2. 単細胞生物に学ぶ、思考の4ステップ
博士は、脳の進化にヒントを発見しました。
もっとも原始的な単細胞生物にも、4つの基本的なはたらきがあったそうです。
周りの環境を感じ取る、危険か安全かを判別する、どうするか決める、そして行動する。
何十億年も前から生命が生き延びるために使ってきたこのプロセスは、今の私たちの脳にもそのまま残っています。
博士はこれを土台に、批判的思考を4つのステップに整理しました。
1)よく見る(観察)
まず、目の前の状況をじっくり観察します。
ぱっと見てわかった気にならず、細部まで注意を払うことが重要です。
仕事の提案書でも、人間関係の悩みでも、状況を丁寧に観察すると、見落としていた情報が見つかります。
2)問題をはっきりさせる
次に、何が問題なのかを明確にします。
漠然と困っていると感じるだけでは、考えが前に進みません。
具体的な問いを見つけると、考えるべきことがはっきりします。
3)いろいろな面から比べる
ひとつの答えに飛びつかず、複数の選択肢を比較します。
こちらを選んだらどうなるか、別の方法ならどうか。
さまざまな角度から検討して、可能性を探ります。
4)結論を出す
最後に、観察し、問いを立て、比較した結果をもとに結論を出します。
これは、その場の流れでなんとなくするのではなく、根拠があって決めることです。
博士によれば、この4つのステップは脳がもともと持っている機能に基づいています。だから、特別な才能がなくても、練習すれば誰でも身につけられます。
実際に、この方法を学んだ大学生は批判的思考の能力が大きく向上し、高校生も文章の質が上がったそうです。
学問の場面だけでなく、人間関係や日常の決め事にも使えるようになったという報告もあります。
//// ポイントの解説はここまで ////
※ここからは、このトークを見た私の個人的な感想です。
情報があふれる時代だからこそ
このトークを見て最初に思ったのは、今の時代にこそ必要な話だということです。
SNS、ニュースサイト、動画、そしてAI。私たちは毎日、膨大な量の情報に囲まれています。
情報が多いこと自体は悪くありません。
でも、流れてくるものをそのまま受け取っていると、自分の頭で考える時間がなくなります。
AIは非常に便利なツールですが、AIが出した答えをそのまま信じたり、AIに決めさせたりすると、私たちがもともと持っていた判断力が弱っていきます。
結局、決めるのは自分自身です。しっかり考える習慣が、以前にも増して求められています。
パールマン博士が言う4つのステップは、情報に振り回されないための土台でもあると感じました。
片づけにも役立つクリティカルシンキング
シンプルライフの追求は、クリティカルシンキングそのものだと感じました。
ミニマリズムやシンプルライフの根っこにあるのは、「持っていて当たり前」、「みんなが持っているから」という前提を疑うことです。
世間の常識をうのみにせず、本当に自分に必要なのかを問い直します。
一歩引いて自分の基準で考え直すという意味で、批判的思考そのものです。
パールマン博士の4つのステップは、片づけの判断にもそのまま使えます。
たとえば、ものを手放すかどうか迷ったときは、こんなふうに思考できます。
よく見る(このものを最後に使ったのはいつだろう)、問題をはっきりさせる(捨てたくないのは、必要だからか、それとも捨てることへの罪悪感か)、比べる(持ち続けるコストと手放したあとの暮らしやすさ)、結論を出す。
時間はかかりますが、適当に決めるより、自分の望む生活に近づきます。
自分の頭で考えるための3つの習慣
批判的思考を実践するために、私がふだん意識していることを3つ紹介します。
情報を絞る
私はSNSのタイムラインをいっさい見ません。
最近はYouTubeも控えめにしています。だらだら見ているとストレスが増えるからです。
情報が必要なときは、自分から検索して調べるか、AIに聞くようにしています。
それ以外は、本を読んだり、The Great Coursesのレクチャーを見たりして、どちらかというとスローに情報を取り入れています。
流れてくる情報を減らすと、自分の頭で考える余白が生まれます。
モーニングページを書く
モーニングページは、朝起きてすぐ、頭に浮かんだことをノートに3ページ書くワークです。
書いているうちに、考えを掘り下げることができます。
頭の中だけで考えていると、同じところをぐるぐる回りがちですが、文字にすると思考が前に進みます。
書くことは、思考を深めるための、いちばん手軽な方法だと思います。
ネガティブ思考改善にモーニングページがいい~今月の30日間チャレンジ
反対意見にも目を通す
何かについて意見があるとき、「私はこう思うけど、逆の考え方もあるよね」と考えるようにしています。
最近は、AIが逆の意見を教えてくれます。
違う視点や反対意見にも目を通すと、より多角的に考えられます。
だから、マキシマリスト(ものをたくさん持つことを是とする人)の書いたものも、読んでいます。
私にはできない生き方ですが、そういう人がいて、幸せに暮らしていても不思議はありません。
批判的思考に関するほかのプレゼン
思考することについてもっと知りたい方は、以下の記事もごらんください。
我々は本当に自分で決めているのか?ダン・アリエリーに学ぶ、選択のミス(TED)
自分は正しいと思っているとき、実は間違っている理由(TED)
いかにテクノロジーが、正しい・間違いの判断を変えるか?(TED)
創造性:目まぐるしい変化に対応するにはスローな思考が必要(TED)
おわりに:考えることは、自分で生きること
批判的思考に関するTEDトークを紹介しました。
立ち止まって吟味する力は、情報に振り回されず、生き方を自分で決めるのに役立ちます。
忙しいと、なかなか物事を考える余裕はないかもしれませんが、重要な意思決定をするときは、少し時間をかけて考えてみてください。














































