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断捨離や片づけ本のベストセラーとして有名な、近藤麻理恵の「人生がときめく片づけの魔法」の英語版を聞きましたので、感想を書きます。
英語版のタイトルは
The Life-Changing Magic of Tidying Up: The Japanese Art of Decluttering and Organizing です。「人生を変える片付けの魔法:日本流の片付けと収納」という具合に訳せます。
英語の翻訳本は去年の秋、アメリカで発売され、ベストセラーとなりました。ほかの国でも翻訳本が出ていて、現在30ヶ国語に訳されています。
こんまりの本、英語版をオーディオブックで聞きました
私は、すでにモノはそんなに持っていないので、特にこんまりの本に興味はありませんでした。が、あるとき、Audible(いつもオーディオブックを買っているサイト)で「おすすめ本」として表示されているのを発見。
minimalismとか、「フランス人は10着しか服を持たない」といった本を買ってるから出てきたのでしょう。
⇒『minimalism 〜30歳からはじめるミニマル・ライフ』の感想~50歳のおばさんにも使える方法
本そのものより、「英語の翻訳」が出ていることに驚き、興味をひかれました。
「人生がときめく片づけの魔法」の内容
ご存知の方も多いと思いますが、内容をざっくり書くと
・モノを片付けると、人生が劇的によい方向に変わる。
・収納を考える前に、まずは捨てる。
・片付けは毎日やるもの(日常)ではなく、非日常のもの。一度に、一気に、完璧にやること。
・捨てるモノを選ぶのではなく、残すものを選ぶ。
・場所ごとに片付けるのではなく、アイテムごとに片付ける。
・片付ける順番は衣類⇒本⇒書類⇒小物⇒思い出の品
・何を残すかは、そのモノにさわって、ときめくかどうかで選ぶ*
あとは、本人が片付けコンサルタントに至ったまでとか、みんな片付けられないのはマインドがなってないからとか、服はクローゼットにこう並べましょう、靴下はこういうふうにたたみましょう、書類は全捨てましょう、といったアイテムごとの片付け方が書かれています。
「ときめく」、というところは英語で spark joy と訳されていました。
「片付けの魔法」というタイトルどおり、ある程度モノがある人むけの本です。つまり、真正ミニマリストが読む本ではないです。クローゼットに服をつるしても、なおかつタンスの引き出しにも入れるぐらい服がある人には参考になります。
モノを大々的に片付けると、人生が変わるとか、収納を考える前に、捨てたほうがいい、というところは筆子も同意見です。とはいえ、人生が変わると言っても、こんまりが言うほどいきなり、大々的には変わらないでしょう。こんまり自身は変わったでしょうが、人によると思います。
☆関連記事⇒関連⇒アメリカで近藤麻理恵(こんまり)の本が大人気~その本当の理由とは?
モノを片付けたあと、リバウンドしない理由
前書きでいきなり「私の片付けの方法は、リバウンドしません」と断言しています。
なぜリバウンドしないのかと言うと、一気に、完璧に片付けると、部屋や家の様子がガラリと変わるので、「もう2度と前のようには戻りたくない」と本人が思うからです。
そうですかね?
一気に完璧に片付けたことのない筆子にはわかりません。そもそも、この世に「完璧なこと」などないので、これは言葉のあやかもしれません。
大々的に片付けると、すごくスッキリするので、心理的なブレイクスルーが起こるらしいのです。
しかし、この片付け方は、そんなに簡単ではありませんね。物をたくさん持っている場合、学校や会社を休んで、何日も徹夜でやらないと、「一気に片付ける」ことはできないんじゃないでしょうか?
さらに、どんなにきれいになったとしても、片付けた本人の生活習慣が変わっていなければ、1つ、また1つとモノは増えていきます。
エントロピー増大の法則にのっとって、自然にまかせていたら、モノは散らばり、増大する方向に向かうはずです。
本当にモノのない状態をキープしたかったら、以前と同じ暮し方をしていてはだめで、生活習慣を変える必要があります。
ネタとしておもしろいと思ったところ
この本には、こんまり独自のちょっと変わった片付けメソッドが出てきます。
たとえば、洋服をたたむ時、手からエネルギーを送る、といったようなことが書かれていました。確かに、赤ちゃんのマッサージは、お母さんやお父さんが手でやったほうが、何かツールを使ってやるよりいいと思いますが、洋服をたんすにしまう時、私たちは何か、見えないエネルギーを送っているのでしょうか。
もちろん洋服は大切に、丁寧に扱うほうがいいとは思います。
また、1日はいた靴に『お疲れ様』と言うのも、はじめて聞いたときはギョッとしました。
さらに、靴下をpotato like (じゃがいものよう)に収納しているご婦人がいて、こんまりは、こんなふうに靴下を丸めていたら、靴下が休息できないと言います。靴下が引き出しの中にはいっているときは、靴下にとって、ホリデーなのです。
靴下のじゃがいも結び(?)とは、靴下を2つか3つに折りして、はき口のゴムを利用して、丸くまとめるやり方だと思います。こういうふうにたたむと、ゴムが痛みやすいのは確かです。
このように、洋服を人間のように扱い、話かけたりするところは、外国人にとってはちょっとミステリアスに思えて、「東洋の神秘」と感じるかもしれません。感じないかもしれませんが。
洋服や、靴下が霊を持っていて、その霊を敬う、アニミズムととらえる人もいるかもしれませんね。
ときめくか、ときめかないか、それが問題だ
モノを片付けるとき、捨てるものではなく、残すものを選ぶことにフォーカスするのは、いいアイデアです。同じものをたくさん持っている場合、1つだけ残して、あとは全部捨てられます。
ただ、そのとき「ときめくかどうか」では選べない部分もありますよね。
たとえば、この湯シャンの記事で、筆子が唯一持っているシャンプーブラシの写真をのせています。
⇒湯シャンで髪がべたつく問題を解消する洗い方:私が湯シャンに至るまで(7)
このシャンプーブラシを持っても、ちっともときめきません。ではなぜ、いまだに所持しているかというと使いやすいからです。
毎日柿茶を飲んでいる森修焼のマグも、べつにときめくから使っているわけではなく、大きさが手頃だし、飲みやすいし、カドミウムが溶け出してこなくて健康によさそうだからです。
まあ、別にときめかなくても、どうしても必要なものはとっておけ、とこんまりも言ってます。
海外で活躍する近藤麻理恵
英語版はアマゾン、その他でベストセラーになり、さまざまなメディアで取り上げられています。近藤麻理恵は、2015年の4月に、アメリカの雑誌TIME(TIME)で、2015年版の The 100 Most Influential People (世界で最も影響力のある100人)に選ばれています。
☆イギリスのガーディアン紙の記事
⇒Top tips to joyfully declutter your home, from Marie Kondo | Life and style | The Guardian
記事に挿入されている、女性のお部屋のビフォー、アフター、すごいですね。ベッドの横にあった机やパソコン、全部捨ててしまったようです。
コンマリメソッドでは、Tシャツや靴下をきれいにたたんで、すべてが一覧できるように引き出しに入れるのですが、それを「弁当箱の中の寿司のように」と形容しているのに苦笑い。
☆New York Magazineの記事(☆2015/09/06:記事がサイトから消えたのでリンクをはずしました)。
コンマリの「人生がときめく片づけの魔法」の初版が出たのが2010年。翌年、東日本大震災が起きました。
この地震で、人々が「自分の人生にとって必要な物や人生の意味」について以前より考えるようになり、震災後に爆発的に本が売れるようになった・・・とは、近藤麻理恵の編集者の弁。なるほど、この出版のタイミングは知りませんでした。
こちらの動画は上の記事の途中に挿入されているもの。近藤麻理恵が、New Yorkマガジンのデザインエディターの家の片付けのコンサルティングをしている様子です。
とても素敵なお宅ですね。片付いたら、さらによくなるでしょう。こんまりの横にたまに写っている日本人女性は通訳だと思います。
☆こちらでは、アメリカのテレビ局が伝えるこんまりメソッドの動画を紹介しています⇒こんまりの「人生がときめく片付けの魔法」の英訳本で英語の勉強
英語のメディアの記事を読んでいると、必ずコンマリが昔、神社(Shinto shrine)でアルバイトしていたことが書いてあります。そのへんもセールスポイントなのでしょう。
アメリカのアマゾンでは、ベストセラーの第4位。そのカテゴリーなのですが、
#1 in Books > Politics & Social Sciences > Philosophy > Eastern > Buddhism > Zen
#1 in Books > Politics & Social Sciences > Philosophy > Eastern > Buddhism > Zen Philosophy
#1 in Books > Religion & Spirituality
となっています。ただの片付けのノウハウ本なのに、仏教の禅や、宗教とスピリチュアリティーのジャンルに入ってしまってます。
ちなみに、カナダのアマゾンでは、ベストセラーの第6位で、こんなジャンル。
#1 in Books > Crafts, Hobbies & Home > How-to & Home Improvements > Cleaning, Caretaking & Relocating
#1 in Books > Politics & Social Sciences > Philosophy > Eastern > Buddhism > Zen
#1 in Books > Self-Help > Motivational
ちゃんとハウツーもの、ホームインプルーブメントのカテゴリーにも入っています。ちょっと安心しました。
この本、フランス語版も出ているのです。語学の勉強のために読んでみたい気もしますが、キンドル版が18ドル99セントもするので、手が出ません。
TIMEの100人に選ばれたこんまりの話⇒「TIME」の100人に選ばれた近藤麻理恵と記事を書いたジェミー・リー・カーチスの意外な共通点
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きょう紹介した本のオリジナル、日本語版はこちらです。
筆子はコンマリ的には、全く正しくない方法で、断捨離をしてきました。しかも、一気にやったわけではありません。初めて物を捨てた27歳のときが、第一次断捨離だとすると、その後、およそ30年かけてやってきたことになります。
だから、べつに「一気に、胸のときめきを確認しながらやる」というコンマリ流じゃなくても、断捨離はできます。
リバウンドするのは、リバウンドしたところでやめるからじゃないでしょうか?何でも、いきなりは成功はしないものです。失敗したところでやめず、さらに挑戦をし続ければ、そのうち部屋もスッキリし、ミニマリストにもなっていることでしょう。
☆英語翻訳本は日本語のアマゾンでキンドル版を入手可能。日本語版もキンドル版があります。