ページに広告が含まれる場合があります。
2014年の秋の引越しの直前、私は毎日断捨離していました。いろいろと学びの多い日々でしたが、私が一番、思い知ったことはこれです。
「ただ」ほど恐ろしいものはない。
おまけや景品の恐ろしさに戦慄しました。私は、これ以後、無料のものには、まず、なびかなくなりました。
こんな気持に至った顛末をお話します。
やたらとおまけを持っていた女
「ミニマリストへの道」シリーズを最初から読んでくださっている方はご存知でしょうが、私は文房具などの雑貨をたくさん持っていました。
しかもけっこう古いものです。
20年、30年、ものによっては40年以上持っていたものがたくさんありました。
問題なのは、その中に、やたらと無料の品が多かったことです。
自分が好んで買ったものではありません。向こうのほうから「あげます。無料です」と差し出されたものを、「わ~、得しちゃった」とほいほい受け取ってしまったものです。
日々、捨てられていく無料プレゼントを見ながら、私は自分の愚かさに気が付きました。
結局私は、何十年もかかって、ゴミになるだけの「ただの物」をどんどんもらっていたのです。
たとえば、この絵はがきセットもゴミになりました。
通販会社、フェリシモの景品としてもらったクリスマス用絵はがきブックです。1980年代にもらったはずです。
フェリシモは頒布会を中心とした通販の会社です。詳しくはこちらに書いています⇒「持たない暮し」をめざす人が絶対買ってはいけない3つのものとは?~ミニマリストへの道(22) 「2. 頒布会(はんぷかい)の商品を買ってはいけない」のところです。
この製品は、クリスマスカードに使える絵はがきが本になっているものです。中はノスタルジックな絵はがきです。
これ、私、30年以上もっていました。
カナダに来てからは、毎年クリスマスカードを友人に出していましたが、二つ折りのカードを使い、こちらは手付かず。それでもずっと持っていました。
「きれいだし、いつか使うかもしれない」
捨てられない人のお決まりの言い訳をしながら、なんとなく思っていたのです。
最終的に、寄付センターに持ち込みましたが、誰かが使ってくれたかどうかは、定かではありません。
おまけのせいで物が増えた女
絵はがきは氷山の一角で、ほかにも、細々とした無料でもらった雑貨がたくさんありました。
カナダで寄付センターに持ち込んだものもあれば、日本のリサイクルショップに出したものもあります。純粋なゴミになったものもあります。
その数、500ぐらいはあったかもしれません。フェリシモに関しては、私は未使用の製品もたくさんあり、そちらもたくさん断捨離しました。
なぜ、未使用品がそんなにあったのか?
2つの理由があります。
1.)数をたくさん買いすぎた
人間一人が使う品物の数はそんなにいらないのです。ところが、私は数を集めすぎました。
ちまちまとした買い物が好きだったのと、収集癖があったからです⇒人はなぜ物を集めたがるのか?~私はこうして収集癖を断捨離しました
2.)おまけがもらえるから製品を買った
フェリシモの場合は、一定の額(3000円だったと思います)まで注文を集めると、プレゼントがもらえたので、その額に到達するように、そこまで欲しくなかったものも買っていました。
欲しくなかったのですから、使うこともなかったのです。
この心理は、送料無料サービスにするために、いらないものを買ってしまうのと同じです⇒その買い物は本当にお得?節約したいなら知っておきたい3つの販売戦略 「2.送料無料サービス」をお読みください。
付録が欲しくて雑誌を買ってしまうのと同じです。雑誌は無駄になりますから。付録も、もったいなくて使えなかったり、気に入らなかったりして、結局捨てられるのです。
無料の品の代償は大きかった
欲が深かった私は、「ただ」と聞けば、何でも積極的にもらい、無料のプレゼント欲しさに、いらない製品を買っていました。
フェリシモのおまけがたくさん残っているので、フェリシモのことをよく話題にしていますが、何もこの会社のプレゼントばかりもらっていたわけではありません。
全ての企業が差し出す無料グッズを、喜々として受け取っていたのです。
その結果、多くのものを失うことも知らずに。
ただの物をたくさんもらうことで、私はこんな結果を手にしました。
1)とにかくガラクタが増えた
おまけは使われないまま、何年も家の中に放置され、物によっては、カナダまで運ばれました。
その後ほとんどのものが、ガラクタになったのです。
ブログに再三書いているように、ガラクタを持っていてもいいことなど何1つありません。いいことはないけれど、悪いことはいっぱいあります。
たとえば
●メンテナンスのコストがかかる
ガラクタを家のどこかにしまっておけば、収納場所や管理にコストがかかります。
不用品が生み出すコストについてはこちらで説明⇒節約ではお金はたまらない。お金持ちになりたいなら、買わない暮らしが1番いい 「着ない服をためこむと、こんなことにお金を払う必要がある」の箇所をお読みください。
この記事にも、いらない物を持ち続ける経費について詳しく書いています⇒多すぎるストックをただちに断捨離すべき理由。過剰在庫は資産ではない
●時間を奪われる
片付けたり整理したり、ガラクタを移動させている時間も、積もり積もるとばかになりません。ガラクタについて考える時間も入っています。もらった粗品をなんとか有効活用して、あれこれ工夫した時間も失いました。
無駄は無駄を再生産する典型的な例です。
●お金がなくなる
これは管理に使う費用ではありません。無料だからと、何かをもらってしまうと、結局、もっとお金を使うことになります。そのお金です。
企業が配る無料の景品は、販促品であり、善意の贈り物ではないのです。
私は、無料のグッズ欲しさに頒布会で、本質的にはいらない物を買うために、大量のお金を使ってしまいました。無料サンプルがきっかけで、高価な本製品を買ってしまうこともありました。
大昔、高額の英会話教材を買ったことがありますが、このときは、セールスの人がおごってくれる食事やお茶につられました(本当に、アホです)。
売り手側は、なんとかして、消費者と関係を持ちたいがために、無料の景品をばらまくのです。
世の中に、ただの景品や粗品、無料サービスがあふれていることを見れば、この販売戦略がいかに効果的なのか、わかります。
私は、特に欲が深く、貧乏性なタイプでしたが、無料の品物が好きな人は、ほかにもたくさんいるはずです。
●ストレスがたまる
粗品をたくさん持っていると、家のあちこちに雑多なものが詰め込まれ、視覚的ノイズになり、ストレスの元になります。
ガラクタがストレスを生み出す仕組みはこちらで詳しく説明⇒物が多いとストレスがたまる7つの理由
2.)さらにガラクタが増えた
これは景品のことではありません。おまけにつられてに買ってしまった物のことです。
先に書いたように、プレゼントが欲しくて注文したものはガラクタになりました。付録目当てで買った雑誌もガラクタになりました。付録そのものも結果的にガラクタになりました。
懸賞に応募するために買ってしまったものもあります。製品に応募券がついてくるからです。
ガラクタが増えるとどうなるか?それは1.)に書いたとおりです。私は負のサイクルをぐるぐるまわっていました。
3.)ゴミが増えた
おまけはすべて断捨離しました。ゴミ収集に出したものもあるし、寄付センターに行ったものもあります。
粗品ですからチープなプラスチックが多いです。
プラスチックはこんな一生を過ごします⇒なぜ、今すぐプラスチックのごみを減らすべきなのか?
私は環境汚染に加担する生活にどっぷりつかっていたのです。
無料のものと決別したら暮らしの質があがった
自分の欲のせいで、ガラクタとゴミを大量生産してしまった私は、その後、心をいれかえました。無料プレゼントをもらうのをいっさいやめ、本当に欲しいものを、お金を出して買うようにしました。
すると以前より、暮らしの質があがりました。
値引き品も警戒しています⇒断捨離の天敵、無料サンプルや値引き品の誘惑に打ち勝つ5つの方法
考えてみればあたりまえの行動です。
必要なものがあるから、買い物をするのです。
おまけをいくら集めても、暮らしの質はあがりません。ただでもらったグッズを有効活用しようと必死になるのは、スキマ時間をたくさん見つけて、有意義に使おうとがんばるのと似ています。
スキマ時間をいくら集めても、やりたいことはできないと、この動画でも言っています⇒大事なことに時間を使う方法(TED)
私は本当に大事な物にお金と時間を使わず、おまけ、もっと言えば、「ただの物をもらうという行為」に、大切な自分のリソースを使ってきました。
部屋が汚かったのも、掃除の手間が増えたのも、イライラしていたのも、お金が貯まらなかったのも無理ありません。欲に振り回されて、本当に大切なものに、力を注いでこなかったのですから。
無料の何かをもらうたびに、「わーい、ただでもらっちゃった。うれしいな。得しちゃった」と喜んでいましたが、大馬鹿でした。
バカだったことに気づいたのは50代半ば。遅すぎの気もしましたが、以後は考え方を変えました。
無料でついていくる物はいっさいもらいません。「本当にほしい」と思うものしか家に入れません。たまには失敗することもありますが、以前よりずっとましです。
これからもこのポリシーは貫きます。
☆このシリーズを最初から読む方はこちらから⇒何度も失敗したけど、今も前を見て進んでいます~「ミニマリストへの道」のまとめ(1)
☆この続きはこちら⇒徹底的に台所の断捨離をして自分の愚かな行動に直面した:ミニマリストへの道(91)
****
おまけや販促品が悪いというわけではありません。そういう物に惑わされて、無駄なものを家に溜め込んだ私が悪かったのです。
「お得なもの」や「お得なサービス」と手を切ったら、お金が貯まるようになりました。ただで配布されているものをもらっても、お得じゃありません。
ゴミが増えるだけでなく、本質的なものを大事にすることができなくなります。
おまけとの決別は、大事なものを大事にできる生活の始まりでした。