静かにお茶を飲んでいる女性

TEDの動画

静かな時間を大切にすることを学ぼう(TED)

毎日、忙しくて、何もできないうちに日々がすぎる。

そんな人におすすめのTEDトークを紹介します。

タイトルは、Learning How to Embrace Silence(沈黙を大事にすることを学ぶこと)。講演者は、メディアマーケティングの仕事をしている、Tatiana Oliveira Simonian(タティアナ・オリヴェイラ・シモニアン)さんです。

silence は「沈黙」ですが、この動画では、「外からの刺激を受けず、今、この時に向かう時間」という意味です。



静かな時間を大切に。TEDの説明

Learning how to embrace silence may sound hard for someone immersed in the music industry. However, Tatiana has become an expert at it. Through a thought-provoking and witty talk, she will share her personal story and some tips on why she believes its important to learn to love the discomfort of silence.

沈黙を大事にすることを学ぶのは、音楽業界にどっぷりつかっている人には、難しく感じられるでしょう。

しかし、タティアナは、この道のエキスパートです。

機知に富み、考えさせられるトークをとおして、タティアナは、沈黙の気まずさを愛することを学ぶのがなぜ大切なのか、自身のストーリーといくつかのコツと合わせて教えてくれます。

動画の長さは12分26秒。日本語字幕もあります。動画のあとに抄訳を書きます。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

うしろに水槽があって、癒やされるステージですね。





ノイズの多い生活をしていた私

私は音楽が好きです。

騒がしい音楽が好きで、バンドをやっていたし、いろいろなバンドと行動を共にし、うるさいクラブに出入りする音楽ジャーナリストの仕事もしていました。

私の人生はロックンロールの狂騒の中にありました。ある時までは。

2008年に私の人生が大きく変わりました。

短い期間にいろいろなことがありました。

いやいや親元に戻ったし、何度か泥棒にあったし、交通事故でもう少しで死にそうになったし、乳がんと闘っていた母の介護もしていました。

混乱とストレスの時代で、とてもむずかしい時期でした。

私がした2つの決断

この間に、私は2つの決断をしましたが、それが、私の人生をすごくいい方に変えました。

まず、お酒を飲むのをやめました。

そして、沈黙(静かな時間}を大事にすることを学びました。

お酒をやめるのはいいことだろうけど、沈黙を大事にするのがどう関係あるの?

こう思うかもしれませんね。

実は、私の人生にあった騒音(ノイズ)は、飲酒と同じくらい、問題になっていたのです。

「音がない」という意味の沈黙の話をしているのではありません。沈黙とは、静けさを作り出す能力をもち、いま、自分のまわりに何があるのか、聞き取ることです。

いま、ここにいると、どんなことが起きるのでしょうか?

皆とつながらないコンサート

コンサートを思い浮かべてください。

スマホでずっと動画を撮っていると、実際は、周りの世界から、自分は切断されます。

私自身も、そうしたことがありました。

Twitterで働いていたとき、小さなクラブで行われたジャック・ホワイトのコンサートに行ったのです。

コンサートが始まる前に、「写真やビデオを撮ったり、ツイートをしたりするのは禁止、そんなことをしたら、会場から出てもらいます」というアナウンスがありました。

コンサートが始まったら、実際に、ビデオや写真を撮影していたファンが、追い出されました。

それを見て、頭にきたんです。この人(ジャック・ホワイトのこと)、いったい何様なの?って。

でも彼の立場になって考えてみました。

私自身もステージに立ったことがありますが、聴衆と一体になるミュージシャンから、たくさんのデバイスの前で演奏する人になったら、やはり変な気分だと思うんです。

スマホをしまって、ジャック・ホワイトと一緒に音楽を楽しめばいいのに、わざわざ、会場から追い出される方を選ぶなんて、変ですよね?

コミュニケーションや技術の進歩は、私たちの生活を助けてくれます。でも、たくさんの人が、列に並ぶときや、テーブルについているとき、スマホを持たないことに居心地悪さを感じます。友達や家族と一緒にいないことよりも。

トイレに行くときも、スマホを持たずにはいられない人もいます。

父との関係がよくなった

沈黙を大事にしないと、周囲に悪影響がありますが、1対1の関係にもその影響が及びます。

2008年、痛みや混乱の中にいたとき、私は、自分の目の前にある世界とつながることを学ばなければなりませんでした。

ハイキングに行き、瞑想をし、もっと家族と時間を過ごすようにしました。

よく父とけんかをしました。父に言わせると、私は父の言うことに耳を傾けないのです。

父と大げんかしていたとき、一歩下がって、その場の自分の行動を振り返ったら、直さなきゃいけないところがあると気づきました。

父に、「お父さん、ごめんなさい。これまでいい娘じゃなかったわ。沈黙の贈り物をお父さんにあげる」と言いました。

父が話をしているとき、反論する準備をするのをやめました。

父の言うことすべてに同意するつもりはなかったけれど、父の見方を尊重するようにしたのです。

その後、まるで奇跡のように、父と私は、これまで考えられなかったほど仲良くなりました。

一緒に笑ったり、週末にドーナツを食べに行ったり。

沈黙を大事にしようと思っただけで、こんなことが起きたことに、とても驚いていました。

静かにすると、自分ともつながれる

沈黙は、目の前にあるものとつながることを助けてくれるだけでなく、自分自身とつながることも助けてくれます。

エレベーターに、誰かと乗り合わせたことがありますか? もう1人の他人と。

私はこれが苦手です。

こんなとき、私はエレベーターのはしっこに立って、一緒に乗っている人の存在を無視し、スマホを取り出して見ていました。

どうしてこんなことをするのか?

たぶん、居心地悪い状態でいるより、スマホをチェックしていたいのです。

ですが、私たちは、快適な状態でいるときには、成長しません。

個人的にも、仕事のうえでも、人生に大きな影響を与える瞬間は、居心地悪さから生まれます

目の前にある世界と、あえて向き合おうとするから、私たちは変わることができるのです。

では、私はどうやって沈黙を楽しむことを学んだのでしょうか?

モーニングページ

まず、紙とペンを使うアナログな方法をとりました。

7歳のときから、日記をつけていましたが、生活が荒れて、騒がしくなったとき、書くのをやめていました。

静かな生活を大事にするために、またペンを取りました。

作家のジュリア・キャメロンは、『ずっとやりたかったことを、やりなさい。 (The Artist’s Way: A Spiritual Path to Higher Creativity)』という本の中で、創造性を取り戻すために、もっとも重要な武器は、日記を書くこと(journaling)だと言っています。

ふつうの日記ではありません。毎朝、頭の中に浮かんだことを、3ページ書きます。

この活動を、キャメロンは、『モーニングページ(the morning pages)』と呼んでいます。

モーニングページを書いて、新しい夢を見つけ、その後の仕事の方向を決めました。新しい曲を書き、神と格闘し、自分自身について学びました。

モーニングページは、とても強力なツールですが、無料です。どこにでもあるペンと紙を使うだけです。

自然の音を聴く

文章を書くことを始めてから、自分自身のサウンドトラックを求めて、自然の中に行きました。

私たちは、自然という美しいサウンドトラックに恵まれていますが、めったにその音を聞きません。

ヘッドホンを耳に突っ込んでいたり、ステレオが鳴っていたりするからです。

ハイキングや散歩に行って、周囲の音にひたりました。街の音や海の音を聞きました。

周囲の自然と、よりつながったら、自分自身ともつながれた気がしました。

なんだか、ヒッピーの話みたいだなあ、と思う人に、もっと現実的な話をしましょう。

テクノロジーの使用を制限

テクノロジーを使うのを制限してください。あらゆるソーシャルメディアを、1日50回もチェックする必要なんてありませんよね?

ソーシャルメディアをチェックするたびに、バイラル動画を見るワナにはまっていませんか?

SNSは悪いものではありませんが、何かしらの決まりをもうけるべきです。

私の場合、平日は、テクノロジーの使用に制限をかけています。

自分自身に対して、よい気分でいられるように、やるべきことのリストを作ったり、ネットを使う時間を決めたりしています。

「8時になったら、好きだだけ、インターネットをしてもいい」、というように。

馬鹿げたことに聞こえますか? でも、猫の動画を2時間も見るのも、馬鹿げていますよ。

反発に備える

沈黙を大事にする旅に出ることにしたら、反発があることは覚悟してください。

自分に優しくしてくださいね。

自分自身の抵抗にあいますから。

「なぜ、私、こんなことしているの? これって、大事なことなの? もうどうでもいいわ」と、考え始めるでしょう。

こうした抵抗があるのは普通です。

あなたは、パワフルな変化に向かっているのです。

もっと創造的になれる場所に向かっています。

そこへ行けば、もっとクリエイティブになれるし、人間関係がよくなるし、自分自身についてもっと深く知ることができます。

変わることへの抵抗が、恐怖となって現れることを知っていてください。

あなたは、強力な変化の時に向かっているだけです。変わることができます。自分がそう望むなら。

父の贈り物

2008年の12月12日、父に沈黙のプレゼントをした3週間後、父の59歳の誕生日が来ました。その前日は、父と母の32回めの結婚記念日です。

ふだんプレゼントの交換はあまりしませんが、この時は、結婚記念日と父の誕生日の贈り物として、2人に、ステーキレストランのギフト券をあげました。

2人はとても幸せそうでした。

すべて、私が、沈黙を大事にすることを学んだから起きたことです。

翌日、友人の家から自宅に戻ろうとしていたとき、兄から電話がありました。

「いま、父さんが、心臓発作で死んでしまったみたいだ」。

事実でした。

父にさよならを言うことができませんでした。

その夜、病院から自宅に戻って、自分の部屋に入ったら、2週間早い、父からのクリスマスプレゼントが置いてありました。

前から欲しかったカーナビです。

父も、私の言うことを聞いていたのです。

私が途方にくれることを知っていて、父は、道を見つけられる物を残してくれたのでしょう。

あの晩、私は、これまでの人生で、もっとも重い沈黙の中にいました。悲しみに圧倒されていたけれど、同時に、うれしかったのです。

父との関係をよくすることができていて本当によかったと思いました。

大事なものは沈黙の向こう側にある

沈黙を大事にすることが私の人生を変えました。

家族との関係や、自分のまわりの世界との関係を変えました。

実は、今でも、刺激だらけのこの世界で、この瞬間にいることに苦労することがあります。でも、本当の変化や奇跡は、沈黙の向こう側にあると信じています。

みなさんも、ぜひ、見つけてください。

//// 抄訳ここまで ////

単語の意味など

seminal   重大な、可能性のある

arsenal   武器

curfew   夜間外出禁止令

viral video   爆発的に拡散される動画 viral は、「ウイルスの」という意味で、ウイルスのように人から人へ伝染するようなビデオです。

モーニングページの説明⇒ネガティブ思考改善にモーニングページがいい~今月の30日間チャレンジ

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答えは自分の中にある

ふだん、私たちは忙しいから、何も意識していないと、自分と対話することができません。

ノイズを遮断して、自分と向き合う時間を作ると、周囲と自分との関係や、自分の求めていることがわかります。

自分を知る作業は、めんどうに思えるし、見たくないものを見るはめにもなるし、そんなことをしなくても一応生きられるので、あえてやらない人もたくさんいます。

そして、ひまな時間や余白をすべて、情報やサービス、物で埋め尽くします。

人のすきま時間を奪い合っているサービスがくさるほどあり、そちらにのっかっているほうが、何も考えなくていいから、居心地がいいかもしれません。

ですが、これはとても危険なことだと思います。

たまに、「自分がどうしたいのかわからない」という相談をもらいますが、答えはすべて自分の中にあります。

ノイズが多すぎて、その答えが見つからないだけです。

娘が中高生のとき、汚部屋だったので、学校の宿題や、提出物を、よく探していました。

確かにそこにあるのですが、他のどうでもいい物が部屋に堆積しているので、見つからないのです。

部屋の中にある大事な物が見つからないのも問題ですが、心の中にある、自分の確信や光、自分らしさみたいなものが見つからないのはもっと問題です。

ノイズを減らして、大事な物が見つかるように、心を整えてください。

お金はかかりませんよ。時間とエネルギーをそちらに向けるだけです。





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