靴の買い物をしている女性

買わない

最終更新日: 2023.06.27

買わせるテクニックにひっかからない人になる~認知バイアスを知っておこう。

ページに広告が含まれる場合があります。

 

近年、認知バイアス(先入観)を利用した販売戦略(ニューロマーケティング)が盛んです。

買い物を控えたい人や、買わない挑戦をしている人は、売り手側の買わせる戦略について、ざっと知っておくと、誘惑に惑わされにくくなります。

7年前に、認知バイアスが買い物にどう影響するか説明した記事で、代表的なバイアスを3つ紹介しました。

今回はその続きです。

ときどき、復習しておきましょう。



復習:よく使われる認知バイアス

先入観や思い込みが買い物の意思決定に大きな影響を与えるという話を初めて聞いた人は、まず、初回の記事を読んでください。

無駄遣いの原因は心理的な思い込み。認知バイアスを知って上手な買い物を。

この記事では、確証バイアス(Confirmation bias)、おとり効果(Decoy effect)、アンカリング効果(Anchoring effect)の3つを説明しています。

次にこの記事を読んでください⇒お金を貯めたい時、気をつけたほうがいい認知バイアス(思考の偏り)

この記事では、バンドワゴン効果(Bandwagon Effect)、ダチョウ効果(Ostrich Effect)、自信過剰バイアス(Overconfidence Effect)の3つを説明していますが、特に、バンドワゴン効果が重要です。

では、今回は、広告を見るときに気をつけたい認知バイアスを3つ紹介します。





カリギュラ効果(Psychological reactance)

これをやってはいけない、決して見てはいけない、と禁止されると、かえってそれをやりたくなる心理がカリギュラ効果です。

カリギュラはゲームの名前にもなっていますね。

カリギュラ(カリグラ、小さな軍靴の意味)というあだ名がついていた、ローマ皇帝の名にちなんだ名称です。

カリギュラ効果というのは、日本でしか使われていない名称で、学術的な言葉ではありません。

学術用語だと、reactance(心理的リアクタンス)として説明されることが多いですが、全く同じではありません。

心理的リアクタンスは、Wikipediaによると、

選択する自由が外部から脅かされた時に生じる、自由を回復しようとする反発作用

☆引用元⇒心理的リアクタンス – Wikipedia

平たく言うと、人から何かを強制されると反発することです。

たとえば医者に、「お酒は控えてくださいよ」と言われるとかえって飲みたくなるようなこと。

この心理をついた広告でひっかかる可能性があります。

「絶対、この先に進まないでください」「絶対、見ないでください」「やっちゃだめです!」「するな!」というキャッチコピーは、その人の自由を制限します。

すると、好奇心がかきたてられて、ついつい先に進んでしまうのです。

ほかにも、「会員登録すれば、お得な情報をお届けします」「ここから先は、会員登録(無料)した方だけが読めます」「フォローした方は、無料プレゼントをお届けします」といったコピーも、カリギュラ効果を使っています。

限定品だと銘打つのも同じです⇒限定品という言葉につられて買ってしまわないために:要注意のキャッチフレーズ、その2

自由に見られない、自由に購入できないという条件付けがされると、それまでさして興味がなかったのに、いきなりその商品やサービスが欲しくなってしまうのです。

つまり、その商品の価値が勝手にあがります。

認知的不協和(Cognitive dissonance)

認知的不協和は、もとからある認知(信念・行動)と、矛盾した認知をもった状態または、その状態にいるときの不快感です。

人間は、2つの矛盾した信念をもつことを嫌います。

よく例にあがるのは、喫煙です。

タバコは体に悪い、だから私はタバコを吸わない、となれば、矛盾はありません。

しかし、長年の喫煙者が、タバコは体に悪い、そして、私はタバコを吸っている、と感じたら認知が矛盾しています。

そこで、この矛盾を解消するために、「タバコは体に悪いかもしれないが、私のおじいさんは、喫煙していたけど、ものすごく長生きした」とか、「禁煙してまで長生きしたくない。タバコのない人生なんて…」「僕の友人は喫煙していないのに肺がんで死んだ」などなど、いろいろな情報を付け加えて、吸い続けます。

不用品を捨てられないときや、さして必要ではない物を買うときも、認知的不協和を解消しようとする行動が見られます。

認知的不協和も広告やキャッチフレーズで使われることがあります。

内容が矛盾しているフレーズを使って、人目(ひとめ)を引きます。

たとえば、「好きなものを好きなだけ食べられるダイエット法」とか、「読むだけで英語がペラペラに」「1日10分、聞き流すだけで、英語がしゃべれる」といったキャッチフレーズです。

よく考えたら、そんなことはありえません。

多くの人の認知に反するはずです。つまり、認知の不協和が起きます。

この不協和を解消したくて、「そんなのありえそうにない」商品って、いったいどんなやつ? と思い手を出してしまうのです。

ダイエット法も、英語の身につけ方も、まともなやり方は、地味であまり楽しくない(どちらかというとつらい)ので、基本的に、楽な道を行くのが好きな人間は、なんとか抜け道はないかと思っています。

そんなところに、こんな広告を見てしまうと、簡単にひっかかります。しかしふたを開けてみるとそんなうまい話はないとわかります。

それなのに、また、同じ手にひっかかる人がたくさんいます。

アマゾンでダイエット法や英語の学習本のタイトルを見れば、人が、いかにこの手のキャッチフレーズに弱いかよくわかります。

買い物で同じ失敗を何度もしている人は、認知的不協和について一度、考えてみてください。

スノッブ効果(Snob effect)

スノッブ効果は、バンドワゴン効果の逆の心理です。

バンドワゴン効果は、多くの人に人気のある物がほしくなることですが、スノッブ効果は、人と同じ物は嫌だ、人と違うからこれがほしいという気持ちです。

その商品が魅力的で必要だから買うのではなく、他の人が持っていないからほしくなる心理です。

1人の人間が、特と場合によっって、バンドワゴン効果とスノッブ効果の両方の心理になります。

バンドワゴン効果があらわれやすいのは、誰でも手に入りやすい、比較的安価な日用品や食品、安い服(ファストファッション)。

一方バンドワゴン効果は、高価で、手に入りくいハイファッションやガジェット、ブランドものなどを購入するときに、表れます。

特に、物で自分の価値を確認することがクセになっている人や、見栄っ張りな人は、スノッブ効果のわなに陥って、必要ではない、しかも、けっこう高価なものを苦労して手に入れるはめになります。

貯金できないのは見栄を張るから。よく見せようとすることの恐ろしさとは?

最近、ファングッズ(おたくグッズ)を捨てられないという相談を何件かもらいました。

宝塚歌劇団にはまって買い込んだグッズが部屋にあふれている~この問題の解決法。

オタクに断捨離は無理でしょうか? くじけそうです。

推している芸能人やキャラクターのグッズを際限なく買ってしまう現象には、バンドワゴン効果(ほかのファンと一緒に盛り上がりたい、同じグッズがほしい)と、スノッブ効果(他のファンと差をつけたい。希少価値の高いグッズがほしい)が、微妙に入り混じっているのではないでしょうか?

自分は、好きなアーティストやキャラクターを応援していたらこうなった、と思っているかもしれませんが、実際は、人の心理を巧妙についたマーケティングにのせられているだけかもしれません。

心理をついたマーケティング・関連記事

ニューロマーケティングとは?:消費者の決断に関する新しい科学(TED)

あなたはこの誘惑に勝てますか? ついふらふらと買ってしまうキャッチフレーズ、その1・新商品。

無駄遣いはもう卒業。気をつけたい5つの買わせるトリック。

節約したいなら知っておきたいスーパーマーケットの買わせる戦略10個

*****

マーケティングに利用される認知バイアスを3つ紹介しました。

どんな買い物も、背後で感情が動いています。

その感情を客観的に見るクセをつけると、無駄な買い物が減るし、後々、断捨離という多大なる苦労をしょいこむこともなくなります。





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