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3月4月って何かと物入りですよね?
「お金がいる時期だからしょうがない」とタガがはずれたように使ってしまうことってないですか?
そんな買い物にブレーキをかけてくれるTEDの動画を紹介します。
タイトルは、My No Spend Year(私のお金を使わなかった年)、プレゼンターは Michelle McGagh(ミシェル・マガー)さんです。
ミシェルさんは、1年間、余計な買い物はいっさいしませんでした。その結果、びっくりするほどお金が貯まったのです。
お金を使わなかった1年:TEDの説明
Michelle McGagh is no stranger to writing about the merits of saving. But how much did she really know about her own spending?
Last year, she set herself the challenge of only spending money on essentials for a year. Her challenge to stop “squandering” money became a book called The No Spend Year, and saved her £22,000.
Learn the reasons why Michelle did it, what she learned about herself, consumerism and why we spend.
ミシェル・マガーは、貯金のメリットを書くことには慣れています。ですが、自分の消費についてはどのぐらいわかっていたのでしょうか?
去年1年間、ミシェルは、最低限必要な物にだけお金を使うチャレンジをしました。彼女の無駄遣いをやめる挑戦は、The No Spend Year(お金を使わなかった年)という本になり、ミシェルは、22000ポンド(きょうのレートで340万円ぐらい)、節約できました。
ミシェルがこの挑戦をした理由、お金を使わなかったことでわかったこと、消費主義、私たちがお金を使う理由について、学んでください。
ミシェルさんは、イギリス人で、パーソナルファイナンスのジャーナリストです。つまり、仕事として、家計やお金の貯め方について、調べたり文章を書いたりする人です。
収録は2017年、動画の長さは16分。字幕はありませんので、いつもより多めに単語の意味をつけます。残念ながら、動画の最後が切れています。
動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
ついつい余計な物を買う生活をしていた
こんなシーンを思い浮かべてください。1日しっかり働いて、夕食の買い物をするためにスーパーに行きます。パスタとソースを買おうかな、なんて思いながら。
ところが、店を出るまでに、15ポンド(2300円ぐらい)使ってしまいます。どうしてそんなに使ってしまったのか、自分でもわかりません。
こんな経験があるのは、あなただけではありません。私もそうでした。
私は、住宅ローン以外は借金はなかったし、クレジットカードを使いすぎたわけでもないし、買い物中毒でもありませんでした。でも、どんどんお金が出ていったのです。
そこで、1年間、お金を使うのをやめてみました。
スーパーやテスコでの買い物がきっかけで、お金を使うのをやめたわけではありません。
以前から、お金の行き先や、自分の消費者としての役割に関して、なんとなく不満を感じていたのです。
お高い収納スペースにどうでもいいものをためこんだ
そもそものきっかけは、夫と一緒に家を買ったことです。
物を、とても高価な収納庫(storage unit)にしまいました。最初は、服や食器、自転車なんかが少しあっただけで、それでなんの不足もなく、普通に暮らしていました。
そのうち、必要な物を見つけるのに、収納庫の中を探しまわることになったのです。いつのまにか引き出しの中はいっぱいでした。
ほとんど私の物です。奥のほうに何が入っているのかもわからなかったのです。
ある日「NOT NEEDED(いらない物!)」と大文字で書いてある箱を見つけました。「なんで、こんな物、私は持っているの?」と自分で自分にあきれましたね。
中身が何なのかも思い出せません。
所持品を8割捨てた
家に帰って、Googleで、「物を手放す(get rid of stuff)」という言葉で検索しました。
捨て方を知りたい、捨ててもいいという許可がほしいと思ったのです。
検索したら、ミニマリストのサイトがいっぱい出てきました。みんな、「所持品を全部捨てたら、素晴らしいことが起きたよ」とか「とても身軽になってスッキリした」と書いていました。
それを見て、「そうそう、私もそうなりたいのよ。物がいっぱいの収納庫なんていらないの」と思いました。
ミニマリストが言っているような生活がしたい、と。
私の夫も、同じ意見だったし、どっちみちほとんど私の物だったので、たまっていた物をどんどん捨てました。
売ったり、寄付したり、友達や家族にあげたり。所持品の8割を手放しました。すばらしい体験でした。
何も買わない日(Buy nothing day バイ・ナッシング・デー)
ミニマリストのサイトで、Buy nothing day(何も買わない日)という言葉を見つけました。その日は、ブラックフライデーでした。
ブラックフライデーはアメリカから輸入したセールの日です。イギリスに感謝祭はないのに。
この日、買い物にいく代わりに、何も買わないことにしようというすすめです。
子供と過ごしたり、本を読んだり、散歩をしたり。お金を使わずに過ごすのです。
これを見て、「なんて素晴らしいアイデアなの。これを1年やってみよう」と思いつきました。そして実際、そうしたのです。
買わない1年を過ごして気づいたこと
1年、買い物をやめたら、これまでとは違う生活を送ることになりました。2つ、発見がありました。
1つは、自分がお金を上手に使っていなかったということ。
ファイナンシャルジャーナリストとして、とても恥ずかしいことです。10年間、人々に、お金の使い方を教えてきたのに、自分のお金をまともに使うことができていませんでした。
2つめは、私の消費者としての役割です。
1日8時間働いてお金を稼ぎ、物を買うと幸せになるんだと言われて、何かを買ってきました。
これを買うと、ハッピーになると言われて。でも物を買っても幸せにはならなかった。だから、また働いて、自分を幸せにしてくれるはずの別の物を買ったのです。
買った物を修理したり、保険をかけたり、買い替えするのにもお金を使ってきました。自分を幸せにしてくれない物に、お金や手間をかけていたのです。
お金を使わないチャレンジのルール
私のお金を使わない挑戦は、2015年のブラックフライデーに始まりました。
いくつかルールがあります。どうしても買わなければならないものは買いました。
住宅ローン、水道、税金、インターネット料金、寄付、ごく少額の食費、ごく基本的なパーソナルケア商品や掃除用品。こんな物にはお金を使いました。
私はフリーランスなのでインターネットは必要です。お金を使わない年も、仕事は続けました。
何も買わない暮らしをしたら、、買わなくてもいい物や、幸せな暮らしをするために必要な物が見つかりました。
簡単ではなかったです。
交通費は使わなかったので、どこに行くにも自転車を使いました。
1年間、ものすごくつましく暮らすことを学びました。すごく倹約しても、楽しい生活を送ることができました。
楽しみを見つけたり、人とつきあったりする、新しいやり方をたくさん見つけました。
お金を使わない暮らしもけっこう楽しい
私はロンドンに住んでいますが、近所に無料で楽しめるものがたくさんあります。画廊、展覧会、コンサート、博物館など。
これまでは、こういう施設を利用する気がなかっただけ。仕事のあとパブに行って食事をするのが習慣になっていました。簡単だったからです。
ただの催しものを探すのは少し時間がかかりますから。
家の中で、過ごすこともありました。これは、家の中にあるもので、化粧品を作れないか友達と試している写真です。水とオーツ麦でパックを作れるんですよ。
買わないチャレンジをする前は、自分は、そこまで虚栄心が強いとは思っていませんでしたが、実は、コスメにお金を使っていたことがわかりました。
これは、サウスフォールドで無料の休暇を楽しんでいる写真です。とても理解のある夫と一緒に、テントや寝袋、食べ物を自転車に積んで、ロンドンから海岸に向かってサイクリングしました。
1週間、海岸でキャンプしました。海がお風呂代わり。星空の元で過ごしたこの1週間は、買わないチャレンジをした1年でした、もっとも素晴らしい体験でした。
このとき、携帯電話を持っておらず、自然の中で最良の経験をしました。とても気に入ったので、今年も行きたいと思っています。
靴を片方なくしたり、ジーンズが破れるなんてアクシデントもあったけど、とても幸せで満足感がありました。
余計な物を買わなかったらすごくお金が残った
買わない1年が終わったあとは、ビールを買ってお祝いしました。友達や家族に、「サポートしてくれてありがとう」という感謝の気持ちを捧げました。
「やった!」という気持ちでしたね。
1年買わずにいたら、たくさんのお金が残りました。22000ポンドです。大金です。
終わったあと、買い物しまくる、なんてことはありませんでした。住宅ローンの支払いに当てました。
数年分の住宅ローンを先に払ったので、支払うべき金利も少なくなったのです。
簡単なことです。使うお金が少なかったから、その分、お金が貯まっただけ。当然です。ものすごく倹約した暮らしをしていましたからね。
お金が残ることは最初からわかっていたのですが、このチャレンジが、私の人生にこんなに大きな影響を与えるとは思っていませんでした。
物の見方が変わって大事なものがわかった
生活や私の考え方、物の見方が変わりました。
買わなかった1年、すごくがんばって、これまでやったことのないことをしたり、見たことのないものを見ました。会うはずのなかった人たちに出会って、とてもよい友だちになりました。
私は前より外交的で冒険心のある、フットワークの軽い人間になりました。
自分にとって何が大事なのかわかりました。断言しますが、大事なのは物じゃないんです。
本当に大事なことにお金を使いたい
昔、私は、たぶん皆さんと同じ理由で買い物をしていました。
退屈だから、うれしいから、悲しいから、自分にごほうびをあげるために、それを買えば、自分はよりよく、よりおもしろく、より素敵に見えるから、今よりよく見えるから。
とにかく、お金を出して物を買えば、今より人生がよくなるから。
こうした嘘は、その場しのぎをよしとする文化(quick-fix culture)に根付いています。
いつも、広告で、「これを買いなさい。買えば幸せになるから」と言われています。確かにハッピーになります。ほんの少しの間は。気分が変わったり、べつの新しい物が目の前に出てくるまでは。
こうした、その場しのぎにお金を使うことができないと、もっと長期的に考えるようになります。自分にとって、大事なことは何だろう、と。
皆さんにも考えてほしいのです。
もし余分に使えるお金があったら、賢く使うべきです。
私の真似をしろとは言いません。いきなり買うことをやめたり、どこに行くにも自転車を使ったり、穴のあいたジーンズをはいて歩き回ったり、なんてことは、しなくてもいいのです。
ただ、お金について考えてほしいのです。
長期的なゴールにお金を使おう
イギリスではお金について語ることはよしとされていません。ですが、ちょっと自分のお金について考えてみてください。何に無駄遣いしているのか、本当は使わなくてもいいお金を使っているのではないか、といったことです。
すでにいろいろな思いが浮かんでいるかもしれませんね。
家に帰って、銀行口座の明細を見てください。ごくシンプルなことです。
私は過去8年の口座の明細をチェックしました。恐ろしいです。1年に、400ポンド(6万円ぐらい)をコーヒーに使っていました。しかも、私、コーヒーがそんなに好きじゃないんです。
自分のお金がどこに行っているのかわからないと、そこに使うことを止めることもできません。
どこにお金を使っているのかわかったら、「これは私を幸せにしてくれているのだろうか?」と自分に問いかけてください。
むずかしいのは、この次の質問です。
「どんなことが、自分を幸せにしてくれるのだろう?」「自分がやりたいことは何だろう?」
子供をサファリの休暇に連れていきたいのか、本を書きたいのか、新しい仕事につくために再教育を受けたいのか。もしかしたら、緊急事態にそなえて、余分にお金を蓄えておきたいのかもしれません。
いったん、長期的なゴールがわかったら、短期的な目的を達成するためにお金を使うことが、長期的ゴールを犠牲にする価値があるのかどうか、決めればいいですね。
いま、お金を使えば、長い目で見たゴールに到達するのは、どんどん先になります。
お金を使う優先順位を見直す
私の長期的なゴールは、住宅ローンの完済です。退屈なゴールではありますが、ローンの支払いがすめば、80歳まで働かなくてもすみます。
マイホームがあれば、財政面の安心が得られますから。
長期的なゴールに向かっていれば、とても幸せな気分になります。目先のゴールのために、お金を使っても、こんな気分にはならないのです。
つまり、自分の優先順位を見直すわけです。
お金を使おうとするとき、自分にこんな質問をしています。「私はこれが必要なの? それとも、単に欲しいだけ?」
もし本当に必要なら買います。単に欲しいだけなら、財布をポケットにしまいます。
家にジーンズが3足あるのに、新しいジーンズが必要だ、なんて思ってしまいますからね。とてもシンプルな質問ですが、威力があります。
大事なのは皆さん自身の優先順位です。どこにお金を使うのをやめるのか、どこに使うべきなのかは、自分にしかわかりません。
新しい靴やスマホを買う短期的な興奮と、長期的なゴールのどちらを選ぶかです。どちらを選んだら、より人生に影響があり、喜びが長続きするでしょうか。
誰でも、自分の未来や、お金、幸せについて責任を果たすことができるのです。
//// 抄訳ここまで ////
単語の意味など
squander (お金、時間などを)浪費する
quid ポンド
rack up 打ちのめす
fritter (お金、時間などを)少しずつ無駄に費やす
kick-start ~を始める
ram (衣類、火薬などを)詰め込む
squabble 言い合う
cut-price 安売りの
Black Friday ブラックフライデー。11月の第4木曜日。アメリカにて感謝祭の翌日に行われる大型セールが、しだいに外国にも広がっていきました。
詳しくはこちら⇒ブラックフライデーとは?大勢のアメリカ人が命がけで買い物をする日の由来
water rate 水道料金
council tax イギリスの地方税
exfoliator エクスフォリエーター、角質をとるコスメ、パック
categorically 断定的に、全面的に
pervasive 広がる、不朽力のある
quick-fix culture quick-fix は応急処置。
原因や長期的な影響は何も考えず、目先の問題を、買い物などで簡単に処理する考え方があたりまえになっている文化。
ミシェル・マガーさんの本、The No Spend Year です。
ペーパーバックで224ページ。わりと短い本です。Kindle版あり。
お金に関するほかのプレゼンもどうぞ
お金を使わずに1年暮らしてわかったこと:キャロライン・ホーグランド(TED) キャロラインさんは、1年間、金銭の対価をもらう仕事もしていませんでした。
貯金できない人がうまくお金を貯める秘訣は、行動経済学にあり(TED)
せめて自分の好きなことにお金を使いたい
ミシェルさん、べつにコーヒーが好きじゃないのに、年に6万円以上、コーヒーにお金を使っていたと語っていましたね。
こういうこと、意外にあると思います。
読者の方から、「私はべつにきっちり収納するのが好きじゃないのに、収納グッズを買い集めていた」とか、「べつにおしゃれが好きじゃないのに、おしゃれしなきゃならないと思って服をたくさん買っていた」というお便りをもらいます。
自分が本当にほしいものや、本当にやりたいことにお金を使っていないのです。
あまりに、人並みにしよう、人と同じにしようと思いすぎるからではないでしょうか?
「人は人、自分は自分」とか、「よそはよそ、家は家」と思えるようになると、そんなに他人にひっぱられないでしょう。
日本では、人と同じようにすることがよしとされるので、ここは意識的になったほうがいいと思います。
他人とちょっと違うことをすると、インターネット上で感情的に攻撃する人がいますが(その人に、迷惑をかけているわけでもないのに)、これなども、あまりにみんな同じようにするべきだ、と思いすぎているからです。
自分の家より、よその家のことに目が行き過ぎているわけです。
こういう攻撃をする人は、自分の生活に満足していません。
自分自身が本当にほしいと思ったものや、やりたいと思っていることにお金を使えば、満足感も大きいものです。
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私も自分なりに、買わない挑戦をしていますが、やはりお金が貯まります⇒誰でもできる『買わない挑戦』の始め方。自分ルールで楽しく実践。
1年は無理としても、もう少し短いスパンでやってみてはどうでしょうか?
毎週金曜日はお金を使わない、とか、1ヶ月、3ヶ月、半年はお金を使わないと決めたり、衣類、化粧品、書籍、ガジェットには使わないというように、買わないものを決めたりしてもいいと思います。
100均、コンビニには行かない、ネット通販はしない、なんていうルールを作ってもいいですね。
制限をかけることで、いろいろな発見があるし、創意工夫することもできます。