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残しておいたほうがいいものまで捨ててしまう読者の相談に返信します。
まずメールをシェアしますね。centoさんからいただきました。
作品を積み重ねることができない
件名:残しておくべきものまで捨てすぎてしまうことについて
いつもためになる記事をありがとうございます。
人間関係リセット症候群についての記事を拝読して、いろいろ思うところがあったので、この場を借りてご相談させていただきたく思います。
今回ご相談したいのは、「残しておくべきものまで捨てすぎてしまう」ということについてです。
簡単に言い換えますと、ミニマルにする癖がつきすぎてSNSや記事などの過去ログを消してしまい、ポートフォリオとして全く成り立たないということです。
ちょうど過去記事「昔の原稿を捨てたいけど、思いきれない。そんな時はこう考えよう」の真逆のような状態です。
たとえ「見てもらいたい」という動機からブログをはじめてみても、公開してしばらくすると「忘れてくれ」と言わんばかりに削除してしまう。
いつのまにか、自分の存在ごと、過去の作品も消してしまう癖がついてしまっています。
このままではいつまでたっても「作品」が残らず、ポートフォリオができないので、正直仕事にもなりません。
変な癖ですが、普段から手放す習慣があるからこそ、「作品を積み重ねる・残しておく」ということがどうしても真逆に思えてできないのです。
作品作りという名目で中途半端なものを蓄積していく工程は成長のために不可欠だとしても、なかなかこのミニマル好きな性分に合わないように思えます。
そこで、ミニマルな筆子さまが毎日ブログの記事を積み上げていることに、一筋の光を見出しました。
過去の記事を上手に残しておけるコツや、その管理をする上での心持ちを教えていただけますと幸いです。
centoさん、こんにちは。お便りありがとうございます。
すぐにいろいろなものを捨ててしまう人は、確かにいますね。
ちょっとブログを書いたら、突然削除して、べつのプラットフォームで書き始めたり、Twitterのアカウントを削除して、しばらくしてから、別のアカウントをまた作ったりということを繰り返す人が。
これは性分じゃないでしょうか? 飽き性というか。
ミニマリストだから、マキシマリストだからということは関係ないと思います。
私は、どこかに居をかまえたら、あまり動きたくないほうです。
SNSのアカウントを削除するのは、(以前フェイスブックのアカウントを削除したことがあります)、本当にそのサービスの利用をやめたいときですから、後日またアカウントを作ることはありません。
ブログを削除するときも、「このブログは残しておく意味がない」と確信したときしかしません。
ミニマルが好きでも作品を残すために、以下のように考えてはどうでしょうか?
1.ミニマリズムはゴールではない
捨てることが、最終目標になってしまうと、取っておいたほうがいいものまで捨ててしまうので、ゴールの見直しをするといいですよ。
ミニマリストになる人は、こんな人生にしたい、という目標があって、そういう人生を生きるために、ミニマリズムを採用します。
何もかも、いっさいがっさい捨てることが、人生の究極のゴールである、なんて人はいないでしょう。
2.大事なものを大事にする
ミニマリストは、何でもかんでも捨てる人ではなく、不用なものを手放して、本当に大事なものや、大事にしたいものに自分のリソースを使う人です。
レス・イズ・モア(Less is more)の真の意味とは?何もない部屋に住むことがミニマリストの目的ではない
大事なものは人によって違います。
私にとって、ブログの記事は大事なので、そんなに簡単には削除しません。
centoさんだって、大事なものは捨てずに持っているんじゃないですか?
たとえば、お金。
なんでもミニマルがいいなら、お金だって、捨てますよね?
「給料が入ったら、当面の生活に必要な分だけとって、残りはゴミ箱に捨てるの。だって私はミニマリストなんだもん」
こんあ人、いないと思います。
それとも、お金も捨てていますか?
centoさんが、ブログや作品を捨てるのは、そこまで大事だと思っていないからでしょう。
残す価値がないと思っているから、捨てているのだと思います。
3.大事なものや必要なものについて考える
自分にとって、必要なもの、大事なもの、残したいもの、残したくないけど取っておいたほうがいいものなどについて、一度考えてください。
1ヶ月ほど前に、家の中をスカスカにしたいけど、買い物をしてしまう読者の質問に回答しました⇒ネットショップでの無駄遣いをやめるために、頭の中の片付けに取り組もう。
この方のように、スカスカのがらんどうのような部屋にしたいと思う人はたくさんいます。
何もかも全部捨ててしまいたいと願う人です。
実際は、何もない部屋で暮らすことは不可能なので、これは誰にも達成できないゴールです。
達成できないのに、そうしたいと思うのは、全部捨ててしまうことにすれば、大事なものと大事じゃないものについていちいち考えなくてすむからです。
楽な道を行きたいがゆえの「スカスカ願望」です。
人間関係をリセットしたいから、電話番号を変えて、音信不通状況を作ろうと考えるのも、楽をしたいからです。
買わない挑戦をするとき、「できるだけ何も買わないようにする」という目標を立てるのも、買うべきものについて、あれこれ考えなくてすむからです。
しかし、人生は、オール・オア・ナッシングで、スパッとわりきれるほど単純ではありません。
黒と白のあいだにいろいろな色合いのグレーがあります。
それぞれのグレーについて、自分にとって大事かそうでないかと考えることは避けられません。
もちろん、考える意味のないことについて、あれこれ考える必要はありませんよ。
しかし、何を大事にしていきたいか、どう生きていきたいか、と検討するのは、考える意味のあることだと思います。
さて、ここから、ブログの過去記事を残す考え方です。
4.記事は公開したら読者のものと考える
いったん記事を公開したら、それは私だけのものではなく、読者のものでもあるので、いきなりブログを消すことはしません。
このブログの記事の持ち主は私で、私しか管理画面に入れませんし、修正や削除も私しかできません。
ですが、誰かが、「ここにこんな記事があるんだ」と思ったその瞬間、それは、みなの知的共有財産になります。
実際、過去記事を読む人は少なからずいらっしゃるし、過去記事を全部読んで、今、2回めを読んでいる、というお便りをくれた方もいます。
1回目を読んだときとは、自分の考え方が変わっているから、改めて読むとべつの気付きがあるそうです。
さらに、長く読んでいる人で、最初は、お金に関する記事(TEDの記事/健康に関する記事/買い物に関する記事etc.)は飛ばしていたけれど、今、改めて読んでいます、というメールをくれる方もいます。
私も、TEDの記事で紹介しているプレゼンは何度も見てほしいし、ほかにも繰り返して読んでほしい記事はあります。
誤字脱字を直したり、内容をちょっと手直ししたりということはしますが、よほどの理由がない限り、記事そのものは消しません(このブログで削除した記事は1つもありません)。
情報が古くなったら、ブログの記事はアップデートしたほうがいいと言われます。確かに、iPhoneの使い方といった記事は、古い情報は削除し、最新の情報に直したほうがいいでしょう。
しかし、物の捨て方に関する考え方は、古いも新しいもあまり関係ないので(少なくとも10年~20年のスパンでは)、そのまま残しています。
5.WordPressを利用する
このブログはWordPressというプラットフォームを使って書いているので、私が管理できない状態になると(ドメイン代やサーバー代を払えない状況になると)、必然的に消えます。
つまり、遠からず、消えるわけです。
どうせ、いつか、跡形もなく消えるのだから、何も今、あわてて消す必要ないよね、読んでいる人だっているし、と考えています。
このように、「このブログはいつか消える」と思っていると、書いているブログに執着が生まれるだろうから、centoさんも、作品を残すブログは、WordPressを使って書いてはどうでしょうか?
人生だって、いつか終わるから、みな、死にたくないと思って、生きることに執着します。
「ずっと続くんだ」と思っていたら、生きている日々を大事にしません。
WordPressは、サーバー代やドメイン代を払わないと消えるし、ハッキングされて改ざんされる危険もあります。
かつて私は、WordPressの作業に失敗して、かなり記事を入れたブログを1つ、完全に闇にほうむった経験があります。
その時から、技術は進歩して、WordPressはこわれにくくなったとは思いますが、それでも、いつこわれても不思議はない、と考えながら更新しています。
無料ブログや、はてなブログ、ライブドアなど、サーバーの管理を他人がしてくれるブログだと、自分がさわらなくなっても、ずっと残るので、消したくなってしまうかもしれません。
それと個人的な備忘録を書くブログと、他人が読むことを意識して書くブログをしっかり分けるといいかもしれません。
ブログを消して、自分の存在も消したいと思ったら、日記ブログのほうを好きなだけ削除すればいいでしょう。
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捨てすぎてしまう人って、たまにいますね。
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