悩む少女

TEDの動画

最終更新日: 2020.09.15

自分をブスだと思うことがなぜ悪いのか? ありのままの自分を認めるために(TED)

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容姿コンプレックスが強すぎて、毎日が暗い人や服の買物が止まらない人に見てほしいTEDの動画を紹介します。

動画のタイトルは Why thinking you’re ugly is bad for you 邦題は「自分をブスだと思うことがなぜ悪いのか」です。

プレゼンターはSelf-esteem advocate(セルフエスティーム アドヴォケイト)のミーガン・ラムジー(Meaghan Ramsey)さん。advocate は、支持する人、擁護する人です。



自分をブスだと思うことがなぜ悪いのか・TEDの説明

About 10,000 people a month Google the phrase, “Am I ugly?”

Meaghan Ramsey of the Dove Self-Esteem Project has a feeling that many of them are young girls.

In a deeply unsettling talk, she walks us through the surprising impacts of low body and image confidence—from lower grade point averages to greater risk-taking with drugs and alcohol. And then shares the key things all of us can do to disrupt this reality.

月におよそ1万人の人々がGoogleで「私って醜い?」という言葉で検索しています。

「ドーヴ・セルフエスティーム・プロジェクト」を主催しているミーガン・ラムジーは、そのほとんどが少女だちだと考えています。

容姿に自信を持てないせいで、成績不振から、薬物やアルコールの使用まで、大きな影響が出ていると彼女は明かします。

この現実を変えるために、どうしたらいいのか提案もしています。

収録は2014年の9月、長さは12分です。日本語字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

赤ちゃんはみんな自分が好き

これは私の姪のステラです。1歳になり、歩き始めたところです。

ステラは1才児特有のさまざまなことをしますが、鏡で自分の姿を見るのが大好きです。鏡に写った姿を見ながら、笑ったり、身をよじったり、

鏡に写った自分にキスをします。

ほかの赤ちゃんもそうするし、母によれば私も同じことをしたそうです。

そこで思ったのです。自分がいつ、鏡の中の自分の姿に満足しなくなったんだろうと。

自分がきれいかブスかネットで質問する少女たち

毎月、1万人の人々が、Googleで「私って醜い?」”Am I ugly?” と検索しています。

これはフェイです。フェイは13歳でデンヴァー在住。

ほかのティーンエイジャーと同じく、フェイは、みんなに好かれて、仲間になりたいと考えています。

フェイのママは、いつも「フェイはきれいよ」というけれど、学校では毎日、友だちに「フェイはブスだ」といわれます。

どっちを信じたらいいのかわからなかったフェイは、自分の姿を動画にとり、YouTubeに投稿し、人々に聞きました。

「私はきれい、それともブス?」(”Am I pretty or am I ugly?”)

今のところ1万3千件のコメントが入っています。

いくつかのコメントは本当に残酷なものです。考えるのも嫌になるほど。

フェイはごく平均的な、健康な容姿をもったティーンエイジャーの女の子。その子が、もっとも傷つきやすい時期にこんなフィードバックを受けているのです。

同様のビデオを投稿している人は、何千人もいます。そのほとんどが10代の女子です。なぜ、こんなことをするのでしょうか?

現実とネット上の作られた現実の区別がつかない時代

いまのティーンエイジャーは1人になることはまずありません。

いつもネット上でつながっていなければならない、というプレッシャーを受けています。

会話したり、メッセージをやりとりしたり、「いいね」をつけたり、シェアしたり、投稿したり。終わりがありません。

こんな若い頃から、こんなにいつも、いつまでも、つながっていた時代は過去にはありませんでした。

プライバシーがないのです。

ネットでいつもつながっている子供たちは、「いいね!」の数や、受け取るコメントで、自分自身の価値を測るようになります。

オンラインとオフラインの区別がありません。

リアルの現実とそうでないものを区別する境い目があいまいで、本当のことと、ネットで操作されていることの区別もつきません。

誰かの人生でもっともよかったことと、日常のごくふつうのできごとの区別がつかなくなっているのです。

ティーンエイジャーがモデルにしているもの

ティーンエイジャーは何を参考にしているのでしょうか?

ニュースフィードで流れてくる女性のイメージです。

やせたモデル(サイズゼロのモデル)が相変わらず人気だし、画像の修正はあたりまえのように行われているし、やせているほうがトレンドです。

こうした流行は画一的で、女性をモノ扱いしています。

これがあたりまえなんだと思わされてしまうのです。

男性もスポーツ選手や筋肉隆々の体になりたいと願います。

容姿に自信がないことで起きる弊害

こうしたことの何が問題なのでしょうか?

子供たちには、健康でバランスの取れた大人になってほしいものです。

ところが、現代の見た目先行の文化では、子供たちは、自分らしくあるための他の要素は全く無視して、「何よりもルックスが大事だから、容姿を整えなさい」と強いられるのです。

人間関係、運動能力、学業は犠牲にされつつあります。

10人のうち6人の少女が、自分の見た目が不適格だから、という理由で何かをやらないことを選んでいます。

ささいな活動ではありません。人間として成長し、社会に貢献するための基本的な活動です。

31パーセント、およそ3人に1人のティーンエイジャーが、教室での話し合いに参加しません。自分の見た目に注目を集めたくないからです。

5人に1人が、自分の見た目がよくないと思う日、学校に来ません。

容姿が悪い、特に太っていると思っている子は、そうでない子に比べて試験の成績も悪いのです。

これはフィンランド、アメリカ合衆国、中国で見られることです。自分の体重は関係ありません。

実際に自分がどう見えるかではなく、自分がどう見えると考えているかが問題なのです。





健康や経済にも悪影響がある

容姿に自信がないと、健康にも悪影響があります。運動をあまりしなくなるし、果物や野菜もしっかり食べず、健康によくないダイエットをして、摂食障害になります。

セルフエスティームが低く、周囲の人に影響を受けやすく、うつになりやすいです。

これらのことが相互に影響しあい、お酒や薬物、極端なダイエット、整形、無防備な性交渉、自傷行為を行うリスクがあがると考えられます。

完璧な容姿を追い求めるせいで、政府の医療経費がかさんでしまうのです。

大人になってもこの状態は続きます。

事実に関係なく、自分が太っていると思っている女性は長期欠勤をする率が高いです。17パーセントの女性が、自分のルックスに自信が持てないとき、仕事の面接に現れません。

こんな状況でなければ、私たちの経済状況はどんなふうに変わるでしょうか? もっとずっとよくなるでしょう。

外見を重要視しすぎる問題を解決するには?

では、どうしたらいいのでしょうか?

3つの方法があります。

1.教育

自分の容姿に自信を持つように子供たちを教育します。容姿にかかわるプレッシャーを克服し、セルフエスティームを築く方法をティーンエイジャーに教えます。

こうしたプログラムはたくさんあります。しかし、ほとんど効果がありません。

一過性のものではなく、ポジティブな影響が続くプログラムを考えなければなりませんね。

効果的なプログラムでは6つの分野を扱っています。

1)家族、友だち、親しい人の影響

2)メディアと有名人の文化

3)からかわれたり、いじめられたときの対処法

4)外見を競争したり、比べること対する考え方

5)容姿について話すこと(ボディトーク、ファットトーク)

6)自分自身を大事にし、ケアするための基本的なこと

容姿に関する自信を持たせる教育プログラムをするなら、以上の6つは必ず考えなければなりません。

2.自分自身がロールモデルとなる

みんなが前に出て、女性や少女たちのよりよいロールモデルとなるべきです。

現状に挑戦し、この問題について話し合うのです。

政治家の仕事をヘアスタイルや胸の大きさで評価するのはよくないし、オリンピックの選手の成績を見た目で決めるべきではありません。

見た目ではなく、何をしたかで、人を評価する必要があります。

自分がSNSに投稿する写真やコメントに責任を持つことから始めましょう。外見ではなく、その人のした努力や行動にもとづいて、人を評価するのです。

3.全員で協力しあう

見た目ばかりを重要視する文化を変えるためには、コミュニティ、政府、ビジネスが協力しあう必要があります。

そうすれば、子供たちは、自分自身であることに満足できる大人に成長できます。

本当に違いを生み出す人々に発言する機会を与えれば、世界は変わります。子供たちが、自分自身のベストのバージョンになれる世界です。

考えてもみてください。

あなたの身近にいる女性たちのことを。自分の容姿ではだめなんだと自分で自分を縛り付けている人たちのことを。この縛りがなくなったら、どんな可能性が広がるでしょうか?

見た目にばかり囚われる社会のせいで、私たちは前に進めなくなっています。子供たちに教えてあげましょう。

見た目は、その子のアイデンティティの一部にすぎないと。そのままで大丈夫なんだと。

学校でセルフエスティームを育みましょう。自分を他人と比べるやり方を変えましょう。コミュニティとして活動を始めましょう。1歳の赤ちゃんが、自信をもって、変化を起こす人になれるように。

//// 抄訳ここまで ////

補足説明

size zero サイズ・ゼロ

アメリカの服のサイズ。だいたい、バスト-ウエスト-ヒップが、30-22-32 インチ (76-56-81 cm) から 33-25-35 インチ(84-64-89 cm)あたりです。

「やせたモデルしか着られない、一般人には非現実的なサイズ」という文脈でよく出てきます。

image-obsessed culture イメージ・オブセスト・カルチャー

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外見にこだわりすぎる気持ちを手放す

見た目にこだわりすぎる社会を変えれば、ティーンエイジャーの女の子たちは、もっとポジティブなセルフイメージを持ち、勉強や仕事もがんばれて、それが豊かな社会につながる、というプレゼンですね。

そうするためには、私たちが、ふだんリアル社会でしている会話や、SNSで投稿している写真、自分のコメントから変えるべきある、とのこと。

確かにSNSでは、みんな必要以上に「すてきな写真」を投稿し、インターネットでは匿名をいいことに、面と向かってなら決して言わないだろう、無責任なコメントを残します。

この動画は男性にも見てもらいたいですね。男性もかなり無責任に、女性の容姿の品定めをしますから。

さて、見た目にこだわりすぎる気持ちを変えると、よけいな買物も減ると思います。

服の断捨離に悩んでいる人は多いですが、結局、あそこまで洋服を買わなければ、収納に困ることもないし、毎朝着る服に悩むこともないし、無駄遣いも減って節約できます。

では、なぜ、たくさん服を買ってしまうのか?

結局、見た目にこだわっているからではないでしょうか?

少しでもきれいに見せたいし、できるだけ違うコーディネートにしたいし、おしゃれな人だと言われたいという願望があるのでしょう。

女性が見た目をかまうのは、種の保存のための本能であり、自然なことだと思います。

しかし、部屋の中を服だらけにして、セルフイメージを下げて、ストレスいっぱいになり、お金もなくなって、ますます自己嫌悪を感じているとしたら、「見た目にこだわりすぎる自分」という出発点が間違っているのではないでしょうか?

これは洋服だけの問題ではありません。

素敵な部屋にするために、という理由で家具や雑貨も増えています。

同じミニマリストでも、おしゃれな部屋の住人になりたい、と思っている人のほうが多いです。見た目が大事なのです。背後にある哲学はさして重要視されません。

動画で言っていたように見た目は1つの要素にすぎません。

たしかに、見た目が悪いよりはいいほうがいいでしょう。ですが、見た目上「おしゃれな私」「素敵な暮らし」を作ることに執心しすぎると、息苦しくなります。

本当はもうそれで充分なのに

見た目にこだわるティーンエイジャーたちのもう1つの問題は、別に太ってないのに、太っている、と自己判断していることです。

このように、自分で勝手に、「自分はブス」「自分はデブ」と思い込んで、勝手に不幸になるケースはよくあります。

いま、「買物が止まらない」という相談をいただいているのですが、この方のメールを拝見すると、セルフエスティームのエの字もありません。

相当、自分を嫌っています。

「私は全く何一つ上手く出来ません」と書いてあります。

こういうふうに、強く全否定するのは、ネガティブ思考の人の一大特徴です。

こちらにも書いております⇒ポジティブ思考は学習できる。前向きになる4つのポイント教えます。

このように全否定する人が少なくないため、こんな記事も書いてみました⇒なんでも白黒つける考え方をやめるススメ。思い込みを手放して可能性を広げるには?

記事をもう一度読んでいただき、自分で勝手に、全面的に強く否定していることに気づいてください。

本当は誰でも、ちゃんとできているところや、いいところがあるのです。

ただ、自分でそれを認めないことを選んでいるだけなのです。

「いろいろだめなところもあるけど、こんなところはなかなかいい」と自分で思えるようになれば、ストレスも減り、買物も減っていきます。

***********
SNSでのコメントって残酷ですよね。

フェイスブックは友人・知人とやりとりをするでしょうから、多少、遠慮もあるでしょう。

ところが、基本的に他人が集まる、TwitterやYouTubeのコメントの中には、それはそれはひどいものが数多くあります。

子供たちが傷ついてしまうのも無理ないです。

やはり、SNS以外の現実(リアルの現実)での体験にフォーカスするのが大切ですね。





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