チャートを描く

TEDの動画

最終更新日: 2017.12.18

問題を解決するために、まずはトーストの作り方を描いてみる(TED)

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日常生活や仕事における問題を解決するのに有効なスキルを教えてくれるTEDの動画を紹介します。簡単で楽しいやり方です。



厄介な問題を解決したい? ではトーストの作り方を説明してください

タイトルは Got a wicked problem? First, tell me how you make toast (困難な問題があるのですか? まず、トーストの作り方を私に教えてください)。プレゼンターはデザイナーのトム・ウージェック(Tom Wujec)さんです。

この動画のTEDの説明:

Making toast doesn’t sound very complicated — until someone asks you to draw the process, step by step.

Tom Wujec loves asking people and teams to draw how they make toast, because the process reveals unexpected truths about how we can solve our biggest, most complicated problems at work.

Learn how to run this exercise yourself, and hear Wujec’s surprising insights from watching thousands of people draw toast.

トーストを作るのはべつに複雑な仕事ではありません。誰かが、そのステップを絵にしろ、とあなたに頼むまでは。

トム・ウージェックは人やグループに、トーストの作り方を絵に描いてもらうことが好きです。そのプロセスを見れば、職場における、大きな問題や複雑な問題の思いがけない解決法が見つかるからです。

このやり方を学びつつ、何千もの人の描いたトーストの作り方を見てウージェックが得た洞察に耳を傾けてください。

動画は9分です。日本語字幕あり。いろいろな人の描いたトーストの作り方の図式(ダイアグラム)がスライドに出てくるので、できれば実際にプレゼンを見てください。

動画のあとに、抄訳をつけます。

問題を理解する簡単な方法を発見

数年前、複雑な問題を理解したり、解決するごくシンプルな方法を見つけました。

一見、ありふれた方法に見えますが、よくよく考えてみると、人がどうやって協力し、問題を解決しているのか、意外な事実がわかるのです。

この方法は3つの部分に別れます。

ワークNo.1:トースターの作り方のチャートを描く

まず、誰でも知っているトーストの作り方から始めます。

白い紙とフェルトペンを用意し、言葉を使わず、トーストの作り方を描きます。

たいていの人がこんなチャートを描きます。

トーストの作り方

何年間かかけて、トーストの作り方を描いたものをたくさん集めました。

トーストの作り方をすごくわかりやすく描いているものもあれば、何を意味しているのか、よくわからないものもあります。

それぞれをよく見てみると、トーストの作り方の一部分だけ注目しているものがあります。

トーストのことばかりにフォーカスし、トーストの変容を描いていたり、トースターの説明に焦点があたっていたり。エンジニアは、トースターの仕組みを描きたがるものです。

人の絵が多いものや、サプライチェーンを描いたもの、小麦粉ができるところから描いたものもあります。

このように、それぞれの内容はずいぶん違いますが、どれにも共通点があります。

ほとんどのチャートは、絵(nodes ノーズ。単数形はノード)と矢印(links リンクス)で構成されています。

ノードは目に見えるトースターや人の絵で、リンクスは、それぞれのノーズをつなぐものです。

つまり、ノードとリンクスをあわせるとシステムモデルになるのです(NODES+LINKS=SYSTEMS MODEL)。このモデルは、私たちが、物ごとがどんなふうに機能するのか考えていることを、可視化したものです。

システムモデルからわかること

■その人のものの見方を表している

システムモデルがおもしろいのは、それがいろいろな物の見方を表しているということです。

アメリカ人は、トーストをトースターで作ると思っているし、ヨーロッパの多くの人は、トーストをフライパンで作ります。

なぜかMBAの学生の多くは、火でトーストを作っています。

■ノードの数で複雑さがわかる

ノードを数えてみれば、プロセスの複雑さを測れます。平均的な絵は、4~8つのノードがあります。

これより少ないと、説明不足の図になります。しかし、すぐに見て取れます。

13より多いと、図は複雑になります。

理想的なのは5~13です。もし誰かに何かを説明するときは、ノードの数を5~13にするといいでしょう。

絵を描くのが苦手でも大丈夫。大切なのは、複雑なことを直感的に、単純なことに細分化し、それをまた1つに組み立てることができるようにする、ということです。





ワークNo.2 トーストの作り方を付箋かカードに描く

次に、カードか付箋を使ってチャートを描いていきます。

カードを使うとたいていの人が、より明確で、詳しい、論理的なノードを描きます。

ステップバイステップの分析が行われるのです。

絵を描き終わったら、カードを動かして並べ替えます。

当然のことに思えるでしょうが、実はこれはとても重要なのです。

表現し、それについて考え、分析するという行為を素早く繰り返すことが、ものごとを明らかにする唯一の方法ですから。

デザインするプロセスに欠かせない行動です。

システム論の専門家によれば、表現したものを動かしやすいことは、そのモデルをよりよいものにしたいという意識につながります。

ですから、付箋を使うと流動的であるだけでなく、固定した紙に描くよりも、より多くのノードを生み出すことができるのです。

より豊かな図になるわけですね。

ワークNo.3:トーストの作り方をグループで描く

3つめの方法はグループワークです。グループで、トーストの作り方の図を描いていきます。

すると何が起きるのか?

最初は、ごちゃごちゃです。さらにごちゃごちゃになっていきます。しかし、そのうち、みんなでモデルを磨いていきます。

すると、もっともよいノードを使うことになり、よりわかりやすいモデルになります。

みな、他の人のアイデアからアイデアを得るからです。

それぞれの多様な見方を合わせて、1つのモデルが生まれます。

これは、会議で得られる結果とはずいぶん違うものです。

グループでやるとノードの数は20以上になります。しかし、複雑すぎることはありません。皆で、モデル作りに参加しているからです。

もう1つ、おもしろいのは、グループ作業だと、状況に応じて、システムを混ぜたり、別のシステムを付け加えられることです。

たとえば、何かが対立したら、それを解決するために、パターンを枝分かれさせたり、並行させるのです。

ちなみに、この作業はだまってやるほうが、より早く、うまくできます。おもしろいことに、おしゃべりは作業の邪魔になるのです。

トーストの作り方を描くワークからわかること

このワークから以下のことを学べます。

1.ノードとそのつながりを図にすると、ある状態をシステムとして理解しやすくなる。

2.並べ替えできるカードを使うと、自由に繰り返せるので、よりよいシステムを作ることができる。

3.グループで図を作ると、それぞれの見方を組み合わせることにより、より豊かなモデルを作ることができる。

こうすると、よりうまくトーストの作り方を描けるわけですが、もっと自分に関係のあることや、差し迫った問題を解決する方法を描くときも使えるでしょうか?

企業のビジョンや顧客の体験、長期的なサステナビリティといった問題です。

企業でも問題を図式化して成果をあげている

いま、より多くの企業がやっかいな問題を解決するために、共同で、図にする方法を使っています。いまの状況を、動かすことのできるノードとリンク(矢印)で表すことはとても効果があるのです。

やり方はごく簡単です。

まず、質問を提示し、ノードを集め、集めたノードをより明確なものにして、それを繰り返し、どんどん磨き上げます。何度も繰り返します。

するとパターンが見えてきて、事態が明らかになり、答えを見つけることができるのです。

このように、何かを視覚化して、何度も繰り返すという単純なことで、すばらしい結果が得られます。

知っておきたいのは、モデルそのものより、それを作るために重ねる対話のほうが重要だということです。

ときには、何百、何千のノードを扱うこともあります。たとえば、ロデールという大きな出版社は、ある年、大きな損失を出したので、経営陣が3日かけて、すべての業務を視覚化しました。

この後、ロデールは5千万ドル、収益を盛り返し、顧客の満足度もDからAになりました。

なぜでしょうか?

経営陣の足並みが揃ったからです。

私は、いま、やっかいな問題をかかえる企業を、共同で視覚化する方法で助ける仕事をしています。

drawtoast.comというサイトを作り、これまで行ったものから、よりすぐりのワークを集めています。

このサイトでは、ワークショップのやり方や、一般的な問題を解決するために、どうやってノードとリンクを使うのか学べますし、企業が直面している問題を解くテンプレートをダウンロードすることもできます。

トーストの作り方を描いてみる、というシンプルなワークが、私たちの思考をクリアにしたり、皆を巻き込んだり、足並みを揃えるのに役立つわけです。

今度、何か問題に直面したら、デザインで何ができるか考えてください。

自分の考えを視覚化し、起きる順番に並べてみるのです。

簡単でおもしろく、しかもパワフルな方法です。

////抄訳ここまで////

単語の説明

node  結び目、こぶ、各部分の中心点、このプレゼンでは、あるプロセスを図示したときの、図の部分(線ではなく)を意味しています。

sweet spot  もっともよい結果をもたらす場所、領域、レベル

iteration   繰り返し、反復

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プロセスを描いてみるとやるべきことがわかる

捨てたいけど捨てられない、とか、汚部屋の片付けに着手できない、という相談メールを受けて、これまで、問題の解決方法をいくつか記事にしました。

特によく書いているのが、問題の細分化と視覚化(紙に書き出すこと)です。

この2つの方法がうまくできない人は、きょう紹介したプロセスをチャートにする方法を試してください。

何かをスタートできない理由は大きく分けて2つあります。

1.)うまくいかなかったらどうしよう、などこの先起きることを恐れている

2.)どこからやったらいいのかわからない

今回紹介した方法は、2番の問題をクリアするのに役立つでしょう。

たとえば、いま、自分は、寝るスペースしかない、6畳の汚部屋に住んでいるとします。

この部屋を片付けるにはどうしたらいいのか?

このプロセスを、ノード(絵)に描いて、並べればいいわけです。

動画で勧められていたように、絵の数(付箋の枚数)は5~13枚にするといいでしょう。

これは例として私が描いてみた、服の山を片付ける方法です。絵は適当でOK.

服を片付けるチャート

絵に描くまでもないプロセスだ、と突っ込まれそうですが、片付けられない人は、頭の中が混乱しているので、ごく当たり前のプロセスが見えないのです。

尚、付箋を使うときは、ホワイトボードか黒板を使わないと矢印を描くことができません。

自分でやってみればわかりますが、付箋を動かすことができるから、いろいろなシナリオを思いつきます。

全体をシステムとして捉える

ノードをリンクすると問題解決できるのは、個々の事象ではなく、全体をシステムとしてみるからです。

「一生懸命断捨離をしているのに、部屋が片付かない」とか「節約しているのにお金が貯まらない」と思うとき、1つひとつの問題に囚われすぎていて、全体をシステムとして見ていないことがあります。

1つひとつの問題とは、ノードの部分です。

自分がやっている節約方法を1つずつ付箋に描き、その結果起きていること(別のノード)を矢印で結びつけてみると、最終的にお金が貯まらない理由が明らかになります。

節約しても貯まらないケース⇒節約のやりすぎでかえって不幸になってしまう5つのケース。

ノードをリンクさせる方法は因果関係の洗い出しに有効なので、ムダなことをやっていれば、自分でわかります。

片付けても、片付けてもすぐに散らかる、と思うなら、そのプロセスを図に描いてみれば、ホットスポットに物がたまる理由がわかるかもしれません。

ホットスポットは知らないうちにどんどん物がたまっていく場所です。詳しくはこちら⇒これならもうリバウンドしない、断捨離習慣を身につける7つの秘訣 「5.ホットスポットをつぶす」をお読みください。

解決すべき問題がある人、煮詰まっている人、文章を書き出すのが苦手な人は一度試してください。

自分の手を動かすことで、よりクリエイティブな発想ができます。





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