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毎週1本ずつ書いているTEDのプレゼン記事のまとめ、その6です。
読者のイチオシ記事を教えてもらう企画を行ったところ、意外とたくさんの方がTEDの記事を楽しみにしている、ということがわかりました。
すぐれた講演が多いので、週末、時間がありましたら気になるものから見てください。
その6には、時間術、幸せについて、ゼロウエイストな暮らし、ストレスマネージメント、先延ばしをやめる方法などバラエティに富んだ動画が入っています。
いろいろとためになるTEDの記事のまとめ#6
マルコム・グラッドウェル(Malcolm Gladwell)の Choice, happiness and spaghetti sauce(選択と幸せ、そしてパスタソース)。邦題は「パスタソースと幸せについて」
日本でも人気があるらしい、マルコム・グラッドウェルの講演。
人気のパスタソースを開発したハワード・モスコウィッツ博士のエピソードを語りながら、人の幸せとはいったい何だろう、と問いかける内容です。
じつは、人は自分が本当にほしいもの、好きな味がわかっていないのです。
それはそこにあるけれど見つけていないのです。たいていの人はもう充分なものを持っていて、それはそこにあります。でも、ほかのことで頭がいっぱいだからそれに気がつかないのですね。
Why we procrastinate(人が先延ばしする理由)、プレゼンターは Vik Nithy(ヴィック・ニッシー)。TEDxYouthのプレゼンです。
なぜみな、やるべきことを後回しにしてしまうのか、脳のしくみや心理学をもとにひじょうにわかりやすく説明している動画です。
メタ認知(自分が何をどう考えているのか考えること)やセルフ・ハンディキャッピング(失敗しても言い訳できるように、やる前に不利な条件を自分で用意すること)の説明もあります。
先延ばししない具体的な方法も語られているので、片付けや家事を後回しにする人には特におすすめの動画です。
「選択」について研究を続けている、Sheena Iyengar(シーナ・アイエンガー)教授のThe Art of Choosing(選択の技術)。
人々の選択に関する考え方にはいくつかの思い込みがある、この思い込みを手放すと、よりよい選択ができる、という内容です。
アイエンガー教授は「目が見えない」というふつうの人に比べたら限られた選択肢しかない世界で生きています。
日本のレストランで砂糖入りの緑茶を頼んだときのエピソードがおもしろいですね。店主は何があっても、緑茶には砂糖を入れたくなかったようです。
しかし、グリーンティに砂糖やはちみつを入れるのは、海外ではよくあることです。そのままだと苦いと感じるみたいですね。
Why the best hire might not have the perfect resume 邦題は「最高の人材の履歴書が必ずしも理想的でない理由」。プレゼンターは長く人事の仕事をしているRegina Hartley(レジーナ・ハートリー)さん。
順分満帆の人生を送ってきたエリートより、挫折をし、そこからはいあがってきた人間のほうが仕事ができる、という内容です。
長さは10分と短いし、英語もわかりやすいし、ユーモアもあるので、英語の勉強用としては特におすすめのプレゼンです。
大きく成功した起業家は、数々の挫折を乗り越えています。みな、成功している部分しか見ていないので気づかないのですが。
How to gain control of your free time 邦題は「自由時間を上手に使いこなす方法」、プレゼンターは時間術に関する本を書いているローラ・ヴァンダーカム(Laura Vanderkam)。
いかに時間をうまく使うか、考えている人も多いと思います。
「時間がない」といくら言っても時間は絶対増えません。いかに時間を使うかが鍵です。
What causes addiction? なにが依存を起こすのか? というタイトルのTED-EDのアニメーションです。TED-EDには、いろいろなトピックの教育的かつおもしろいアニメーションがたくさんあります。
この動画は、人がいろいろなものごとに依存する理由と、依存から抜け出す方法を教えてくれます。
精神科医のロバート・ウォールディンガー(Robert Waldinger)先生の、What makes a good life? Lessons from the longest study on happiness というプレゼン。
邦題は、「人生を幸せにするのは何? 最も長期に渡る幸福の研究から」。
ウォールディンガー先生のチームは、特定の人の生活を75年に渡って調査し(ハーバード成人発達研究)、何が人を幸せにするのか調べました。
人を幸せにするのはお金ではないようです。
社会学者のElizabeth Sweet(エリザベス・スイート)による、Beyond the Blue and Pink Toy Divide(おもちゃをピンクとブルーにわけるのを超越するために)。
ピンクは女の子の色でブルーは男の子の色となっているが、これはメーカーが勝手に決めたことなんだ、というプレゼンです。
意外なことに、1970年代より、いまのほうが、男の子向けのおもちゃと、女の子むけのおもちゃがしっかり分けられているそうです。そのほうが売れるからですね。
ユニセックスなおもちゃなら、兄弟姉妹で使いまわせますが、男女兼用できませんよ、とメーカーに言われると、親は性別の違う子供に別々のおもちゃを買うことになります。
ひじょうに興味深いプレゼンです。
徹底的にゴミを出さない生活をしているベア・ジョンソンの、Two adults, two kids, zero waste(大人2人、子供2人、ゴミはなし)。
家族ぐるみでゴミなしに取り組んでいます。きっとなかの良い家族なんでしょうね。
ベアはきれいな人で、ゴミを出さなくても、お化粧はそれなりにしています。服は15着お持ちです。ベアの家の中の様子もわかる動画も合わせて紹介しました。
起業家のKim Coupounas(キム・クプナス)による、The joy of less というタイトルの講演です。
荷物は少ないほうがいい、という考え方から、軽量のアウトドアグッズを販売するブランドを立ち上げたキム。しかし、一方で、「もっと、もっとほしい」という気持ちがあり、仕事をがんばりすぎて疲れ果てたそうです。
物が少なくても、べつのところで、「多いほうがいい」と思ってしまうことってよくありますね。
キムのように向上心のある人は、「もっとがんばろう、もっと成功しよう」とがんばりすぎてダークサイドに落ちがちです。
ロンドンに住む経済学者、Tim Harford(ティム・ハーファード)による、How frustration can make us more creative 邦題は「障害こそが人をクリエイティブにさせる」です。
なぜキース・ジャレットのケルン・コンサートはいまも語り継がれる素晴らしいコンサートになったのか?
ピアノが半分壊れていたからです。
ちょっとしたアクシデントや困難があったほうが、思いもよろさない素晴らしいものができるのだ、という内容のプレゼンです。
そういうこと、よくありますよね。
コンピュータとは違って、アナログな人間は臨機応変の対応ができます。
「ちゃんとしなきゃ」とか、「ベストの決断しなきゃ」とか「最適のタイミングで始めなきゃ」と思い込みすぎると、クリエイティブになるチャンスを逃してしまうのです。
ファミリーセラピストのサリ・ジルマン(Sarri Gilman)による、Good boundaries free you(よい境界線はあなたを自由にする)。
人の人生はイエスとノーでできている、とサリは言います。確かにそうですね。人の人生は選択の連続。選択とは、何にイエスと言い、何にノーと言うか決めることです。
何にでもイエスと言っていると、境界線をしっかり引くことができなくなります。その結果、自分を大事にすることより、他人の機嫌をとる暮らしになってしまうのです。
経済学者のナット・ウェア(Nat Ware)による、Why we’re unhappy(なぜ私たちは不幸なのか?)
人が不幸になる原因はお金がないとかそういうことではなく、自分が期待するものと、現実にギャップがあるからだ、と彼は言います。このギャップには3種類あります。
不幸を感じている人は、わざわざ不幸になる選択をしているのです。期待値を下げるとすぐに幸せになるので(理論上は)、文句をたらたら言いながら生きていたり、やたらとイライラしている人は試してください。
心理学者のドーン・ヒューブナー(Dawn Huebner)さんの、Rethinking anxiety:Learning to face fear というプレゼン。
ドーンは不安が強い子供と親のカウンセリング・治療をしています。
彼女は、息子さんが不安症でした。セラピストに相談したりしましたが、結局、認知行動療法がよい、という結論に至りました。
認知行動療法は自分でもできるのがいいところです。ちょっと考え方を変えるだけですから。
まだ紹介していませんが、このプレゼンを見て、ひじょうに助かった、というメールをイチオシ企画でいただきました。
若きニューヨーカー、Lauren Singer(ローレン・シンガー)の Why I live a zero waste life (なぜ私はゼロ・ウェイストライフを送っているのか)。
ベアもすごいのですが、ローレンも負けてません。徹底してゴミなしを追求しています。ローレンの暮らしを映し出している動画も合わせて紹介しました。
作家のカレン・トンプソン・ウォーカー(Karen Thompson Walker)のWhat fear can teach us(恐怖が私たちに教えてくれること)。恐怖を物語と考え、上手に読み解けば、人はそこから学びを得られる、という内容です。
恐怖を物語と考えれば、「乗り越えなくちゃ」と思わなくてすみます。
物語として恐怖をとらえるとき、人はその書き手でもあり読者でもあります。よき読者になれば、いたずらに恐怖に踊らされることもなくなるのです。
わりと好きなプレゼンです。
インドの女優、マニーシャ・コイララ(Manisha Koirala)のHow to find meaning when reality hits you (現実に足元をすくわれたとき、いかに意味を見出すか?)
たまに、「自分の身にはこんなひどいことばかりが起こった。だから◯◯できない、だから◯◯で悩んでいる」というメールをもらいます。
確かに不運な境遇に生まれる人はいます。
私もたまに思うわけです。
同じ時代に地球に生まれたのに、私のようにのほほんと暮らしている人がいる一方で、きょう飲む水がなかったり、病気になっても医療を受けられなかったり、テロリストに誘拐されたりする子供がいるのはどうしてなんだろうか、と。
世の中って不公平にできているのですね。
ですが、「外的状況のせいで、私は不幸なんです、困っているんです」と言っている限り、何も解決しません。
自分の思考と行動を変えるしか道はない、と思います。
そんな思いを込めてこのプレゼンを選びました。
著名な心理学者であり行動経済学者のダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)による、The riddle of experience vs. memory(経験と記憶の謎)。
私たちは、自分のことも他人のことも、2つの自己を使って解釈しています。体験する自分(経験の自己)と、その体験を記憶する自分(記憶の自己)です。
経験の自己は、いまこの瞬間を感じている自己で、記憶の自己はあとになって、そのことを思い出している自己です。
「経験の自己」などというとむずかしいので、経験ちゃんと記憶ちゃんと呼びましょう。
2人とも自分なのですが、2人の考えていることは微妙に違うのです。とくに記憶ちゃんは起きたことを自分のフィルダーで解釈して物語にしています。
経験ちゃんはその瞬間楽しかったことも、記憶ちゃんはべつの解釈をしていることがしばしばあります。
こんな内容です。ちょっとむずかしいプレゼンですが、見る価値あると思います。
ダンスムーブメントセラピーを研究しているタル・シャフィール(Tal Shafir)による、How Your Body Affects Your Happiness(身体があなたの幸福にいかに影響を与えるか)というプレゼン。
緊張したり恐怖を感じたりするとドキドキしますが、じつはこれは順番が逆で、ドキドキする(心拍数があがる)から、恐怖を感じるのだそうです。
身体から特定のシグナルが脳に届いてから、脳はそれに応じた感情を決める、というわけです。
だから楽しくなる動きをすれば、楽しくなります。すぐに気持ちが落ち込む人は、意外と動いてないのかもしれませんね。
プレゼンではハッピーになる動きが紹介されているのでやってみてください。
脳の老化を防ぎ、頭をよくする方法を紹介したプレゼンです。
プレゼンターは、認知神経科学者のサンドラ・ボンド・チャップマン(Sandra Bond Chapman)。タイトルはMake Your Brain Smarter: It’s Not What You Think(頭をよくしましょう。その方法はあなたが考えているようなやり方ではありません)。
頭をよくする方法5つのうち、3つここに書いておきます。
1.シングルタスク(一度にたくさんのことをやるのではなく、1つのことだけやること⇒マルチタスクが脳に負担をかけ仕事の効率を落とす理由。1つのことに集中しよう
2.受け取る情報をへらす
3.クリエイティブな思考をする
なんと、ミニマリストになると頭もよくなってしまうようです。
物が少ないとクリエイティブにならざるを得ないですからね。
これまで書いたTEDのまとめ記事
もっと充実した毎日をおくりたいあなたに:TEDの記事のまとめ、その(4)
シンプルに心軽やかに生きていきたい人のためのTEDの記事のまとめ(5)
古いものから20個ずつまとめています。
TEDは英語だからスルーしている人も多いかもしれません。
ですが、断捨離やシンプルライフの追求に参考になるプレゼンもたくさん紹介しているので、ためしに一度見てみてください。
全部、抄訳をつけているので、英語がわからなくても大丈夫です。