片手鍋

私が捨てたもの

執着せずに、さっさと捨てればよかった物:柳宗理のトングとミルクパン

「これは大事だ、捨てられない」と執着しているものでも、捨ててみると案外大丈夫だったりします。

これまで私が捨てた物の中にも、そういう品がたくさんありました。

今回は、そうした「もっと早く捨てればよかった物」として、柳宗理のトングとミルクパンを紹介します。



柳宗理の製品を買ったきっかけ

以前、カーラの皿やカイボイスンのカトラリーをほそぼそと買っていた話をしましたが、実は、柳宗理の調理グッズにも少しあこがれて、トングと鍋を買ったことがあります。

今から13年ぐらい前のことです。

石黒智子さんの本を読んで影響を受けていた頃です⇒石黒智子さんの台所にあこがれたが:ミニマリストへの道(52)

記憶があいまいですが、たぶん、大橋歩さんの雑誌で見たか、インターネットで見たかして、「柳宗理の調理グッズはデザインも機能もすばらしいのだ」という情報が頭に植え付けられました。

大橋歩さんの雑誌について⇒道具が少ないほうがお菓子やパン作りは楽しめる

その後、ネットショップで商品の説明を読んだり、実際に使っている人の体験談を読んだりして(すでにその頃、ブログというものがあったと思います)、「これは私も買わなければ」と思うようになりました。

ですが、柳宗理の商品は値段が高いので、貧しい私でも手の届くトングを買ってみました。1500円だったと思います。

実はそれまでトングなんて、全然使っていなかったのです。しかし、このトングを買いたかったので、「焼いたパンやクッキーをはさむのに使える」と思って買いました。





買ったけど出番のないトング

届いたトングは思ったより大きく、手の小さな私には使いにくいものでした。しかも、出番がありません(もともとトングなんて使っていなかったのですから)。

すぐに持て余しましたが、「いやいや、せっかく買ったんだし、なんといっても柳宗理ではないか」と思い、ネットを検索して、このトングを便利に使っていたり、トングの素晴らしさをうたっているページを探して読んでみました。

自分に都合のいい情報を選んで読んでいたわけです。

我が家では本当は役立たずのトングなのに、持ち続ける理由を探したのですね。

かつての私、こういうことをよくやっていました⇒2度と付録目当てで雑誌を買わないと誓った日:ミニマリストへの道(53)

トングを使おうとがんばってみた

このトングで、「おかずをよそうと便利」という情報を見つけましたが、金属製なので、テフロン加工のフライパン(当時はティファールを使っていた)の中で使うわけにもいきません。

私が昔使っていた鍋⇒鍋とフライパンを公開~料理が苦手な節約系ミニマリスト主婦の場合(写真つき)

台所に立つたびに、トングで、はさめそうなものはないか探し、実際にはさんでみては、「う~ん、いまいち使いにくいね」と思う日々でした。

無理に使おうとしていたのです。無駄なものが、さらなる無駄を招く状態に陥っていました。

関連記事⇒無理して使っている物を捨てる(プチ断捨離18)

そうこうするうちに、トングの目新しさは消え、引き出しの中にしまわれました。

ミルクパンを買う

次に買った柳宗理の製品は片手鍋です。昔、私は紅茶が好きで、秋冬は、よく鍋でチャイを作って飲んでいました。

チャイを鍋で作ることにしたって、ほかの人の影響です。

ある日、とあるブログで、「安い茶葉を、鍋で、スパイスとミルクといっしょにぶあっと煮立てると、おいしいチャイになる」と読んだのです。このブログの記事がどこにあるのか、今でもしっかり覚えています。

紅茶は好きでよく飲んでいましたが、ティーポットで淹れていました。鍋でチャイを作る記事を読んでからは、チャイだけ半ば無理やり鍋で作ることにしました。

すでに我が家には、ゆで卵と味噌汁を作るために、ごくシンプルな片手鍋がありました。そこで、「柳宗理の鍋をチャイ用に購入してみる」ことにしたのです。

2005年の12月に、フタ付きのつや消しのミルクパン(16センチ)を4000円で買いました。こちらは、楽天市場に購入履歴が残っていたので、詳細がわかります。

我が家に届いたあと、この鍋はかなり長いあいだ、棚の中で眠っていました。

買っただけで満足する、という昔の私にありがちな行動でした。

それにそもそも、すでに片手鍋があったので、出番がなかったのです。当時の私は気づいていませんでしたが、必要ない物が家に来たから、どうすることもできない状態だっただけです。

しかしあるときついに、「せっかく買ったのだから使わなければ」と、チャイを作ってみました。

思ったより使いにくかった鍋

ところが、できたチャイをカップに注ぐときに、液だれしました。

自分の注ぎ方が悪いのかと、鍋をかたむける角度や、注ぎ込む勢いを変えるなど、いろいろやってみました。が、やはり液だれしました。

そこでチャイを作るのはやめ、味噌汁を作ってみました。小ぶりなので、味噌汁用にはやや小さく、気を抜いたすきに、味噌汁がぶわっと吹きこぼれました。

吹きこぼれてしまったのは、ぼんやりしていた自分が悪かったのかもしれません。

実は、この鍋には明らかな欠点が3つありました。

1つは、先に書いた液だれ。

2つ目はこげつきやすいこと。チャイも味噌汁も、鍋肌にしっかり焦げ付き、洗う手間が増えました。

まあ、この2つは、私の調理スキルに問題があった、と言えなくもありません。

しかし、3つ目の欠点は、鍋のユーザーが私だろうと、ほかの人だろうと変わらないものでした。

実は、持ち手がすぐにゆるくなるのです。届いた直後からゆるゆるしていたので、ネジをきっちり締めましたが、使っているうちに、すぐにゆるくなります。

たまたま我が家に届いた鍋だけがそうだったのかもしれません。

「おかしいなあ? 柳宗理なんだから機能性は抜群のはずなのに」と思いつつ、トングと同じように、ネットで、レビューを読んだりしました。

しかし、あまりに使いにくいし、ほかにも鍋があるので、ほどなくして、このミルクパンは、使わなくなりました。

その後、ふと思い出したときに、気まぐれで使ってみたりはしましたが、たいていは、いつも台所の物入れに鎮座していました。

いまでも、柳宗理のミルクパンが、静かに、棚のなかでつや消しのにぶい光を放っている姿が目に浮かびます。

9年後にようやく捨てる

こんなふうに全然使っていなかった鍋ですが、なかなか断捨離されず、捨てたのは、2014年の春先のことです。

その時のことは、こちらの記事にあります⇒雑貨を50個断捨離したときの2つの捨て基準:ミニマリストへの道(78) 鍋の本体の写真あり。

なんと使われないまま、9年近く、我が家に居座っていたのです。

その間、私はせっせと、不用品を捨てていたのですが、不用品度がずいぶん高いこの鍋は、居座っていました。

トングは鍋よりは前に捨てましたが、こちらもわりと長く持っていたと思います。

なぜ鍋をなかなか捨てなかったのか?

鍋を捨てたのは、引っ越し前の断捨離中のことです。もし引っ越しをしていなかったら、まだ鍋を持っていたかもしれない、とも思います。

まあ、その後、ミニマル化が進んでいるので、どこかの地点で捨てていたでしょうね。

「なぜミルクパンをいつまでも持っていたのかしら?」と当時の自分の心理を考えてみると、こうなります。

◯所有したから価値があがった⇒物を捨てられないのは恐怖のせい~損失回避と、授かり効果の心理をさぐる

◯値段が高かったから価値があると錯覚⇒価格と価値の違いを知れば、余計な物も浪費も減る

1500円のトングも4000円の鍋も私にとっては高い買い物です。

◯「柳宗理」というブランドネームのせいで価値があがった。

私はブランド物にこだわらないほうですが、この2つに関しては、ブランド物だから、という理由で私の中で勝手に価値があがっていたのです。

自分の体験から得た知見よりも、ネットや雑誌で見た他人の意見を尊重していたのです。不思議ですね~。

全然活躍せず、逆にストレスの元だったトングと鍋は、「柳宗理の製品だから」という理由だけで、私の中では、「なんとなく、わりと大事な物」になっていたのです。

捨てたらどうなったか?

トングと鍋を捨てたあと、困ったりはしませんでした。もともと使っていなかったのですから当然です。

さみしいとも思いませんでした。

「ずっと使ってない物を持っている」という重荷から解放されてすっきりしました。

「もっと早く捨てればよかったのに、なんで捨てなかったんだろう。というよりも、最初から買わなければよかったのだ」と感じました。

自分がいいと思って、便利に使っている物だけで満足しておけば、こんなめんどくさい経緯にはならなかったのです。

人が「いいよ」と言っているからといって、自分にもいいとは限らない、というごく当たり前のことをトングとミルクパンは教えてくれました。

そういう意味では、この2つの調理用品に私は感謝しています。





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