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買い物しすぎる暮らしを変えたい人の参考になるTEDの動画を紹介します。
タイトルは、Think Twice Before Buying(買う前によく考えなさい)。講演者は、高級な服の古着を販売する仕事をしている、Lucía González Schuett(ルシア・ゴンザレス・シュミット)さんです。
ルシアさんは、以前はファストファッションのブランドで働いていて、その仕事をやめたあと、1年間、食べ物以外は買わない生活をしました。
私たちは、「あまりに不要なものを買いすぎているから、もっと意識的に買い物をすべきだ、買う前によく考えろ」という内容です。
買う前によく考えよう、TEDの説明
Should we change the way we consume goods? Lucia Gonzales Schuett spent one year without buying any goods, besides food, and shares the journey she went through.
ものを消費するやり方を変えるべきでしょうか?
ルシア・ゴンザレス・シュミットは、1年間、食べ物以外のものを買わない暮らしをしました。それがどんな生活だったのか、シェアします。
収録は2019年の6月。動画の長さは10分。字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
買わない生活のきっかけ
数ヶ月前、私は、HEC Parisで行われたTECXのイベントで講演する機会に恵まれました。
そのとき、自分の「何でも入れる引き出し」(junk drawer 直訳:ガラクタを入れる引き出し)に関する話をしました。
たいていの人の家にある引き出しで、どこに入れていいかわからないものをつっこむ場所です。
この画像を紹介しました。
この引き出しこそが、私の個人的な旅路の始まりでしたから。
引き出しの中身の1ひとつについてじっくり考えてみたのです。
「これ、必要なの?」「これ、私の人生に何か価値を追加しているの?」「スペースや管理の手間に値するものなの?」
不用品を捨てて、所持品をダウンサイジングし、2018年は、食べ物以外の物を買うのをやめました。
このときは、物を買わないことが、多くの人の共感を呼ぶとは想像していませんでした。
パリでTEDトークをしてから、世界中の人々から、自分も物を買わないようにしているとか、笑っちゃうようなガラクタとの戦いの話、買わないコツなどを聞きました。
気違いじみた消費のサイクルと戦っているのが、自分1人だけではないと知ってなぐさめられました。
そして、この話は、もっとたくさんの人としていかなければならない、とも思いました。
ファストファッション業界での体験
かつて私は、ファストファッション業界で働いていました。
コミッション制だったので、人々に、本当は必要のないものを売れば売るほど、お金を稼ぐことができました。
私は、商品をローテーションする責任者でした。
毎週、店内の様子を変えて、店に来たお客さんが、「いいなと思う服」、「いま買わないと永遠に手にはいらないと思う服」を見つけてくれるように仕向けていました。
2018年、この仕事をちょっと休むことにして、フランスのビジネススクールに入り、1年間の買わない生活を始めたのです。
学校に入ったことも、買わない生活をしたことも、私にとっては、画期的なことでした。
世界の見方、ビジネスに対する考え方、消費への考え方が180度変わったのです。
何よりスピードが大事だった
消費財(ファストファッション)を売っていたとき、スピードが重要だと教えられていました。競争相手より少しでも早く行動できれば、商売上、優位なのです(competitive advantage)。
消費者も、喜んで、このやり方に賛同しています。
しかし、立ち止まって状況をよく見てみると、ゆがんだ現状に気づきます。
いま、郊外で収納庫を貸すビジネスを展開されています。
人々は、まるで、自宅にかけるお金だけでは、使い足りないかのように、よそに収納スペースを借りて、家に入り切らない物をしまいこむのです。
そうやって収納したものは、たぶんこれから数ヶ月、もしかしたら、何年も使わない物です。
すぐに使わないのに、何か新しい物を買う時、私たちは、それが、90分以内に届いてほしいと思うのです。
正直なところ、企業は、あなたが、その電動ソース泡立て器(sauce stirrer)今すぐ必要としているから、90分以内に配達するわけではありません。
早く配達しないと、消費者の気が変わるからです。
次々と買うようにうながされる
いま、私がとても心配しているのは、その泡立て器を買ったあと、パンケーキペンをおすすめされることです。
私が受け取ったメールにあった「これまであなたが聞いたことのないキッチンガジェットベスト10」の中に、パンケーキペンがありました。
これまで聞いたことがないのなら、それが必要な確率だってとても低いです。
ジョギングするときパフォーマンスを測定するのに使っているアプリは、私に、「いま使っているスニーカーは、もう買い替えどきだ」と言ってきました。
最近、気づいたのですが、寝る時使っている枕には、使用期限が書いてあります。
靴も枕も、自分で考えるよりずっと早く、買い替え時だと言われるのです。
みな、ここで考えてみるべきです。
「私たちは、自分のニーズを自分で決めるという、ごく簡単なことすらできなくなってしまったのか? その決断を、他人に決めさせているのか(outsourcing)?」と。
日々の消費を見直そう
消費するとき、ほしいという気持ち(want)をがまんして、本当に必要なのか考える練習をすると、たくさんの気づきを得られます。
人の生活環境はそれぞれ違うから、誰もが、買い物をやめてしまうことはできません。
けれども、日々の消費という行動を見直すことは、誰でもできます。
どんな人でも、持っている物をありがたく使い、安易に買ってしまうことをやめ、あるのがあたりまえだと思うことをやめる練習はできます。
買わない生活をしていたとき、私は、「今すぐ買うボタン」を押す前に、よく考えると、消費をもっとコントロールできると気づきました。
環境や、未来の世代のサステナビリティ(持続可能なこと)について考えたり、自分の経済状態を思い浮かべたりするのです。
買わないほうが、穏やかな気持でいられるから、と納得してもいいでしょう。
すぐに買う代わりにやれること
物がなくなりそうになったときに注文するのではなく、使い終わってから買ってください。
それがなくなったら、そのまま暮らしてみます。
わざと、「ない状態」(missing)にすると、いろいろなことを学べます。それに、次に手に入れたとき、買ったときの短期的な幸福感がより強くなります。
時間をおいてください。
それが必要な理由を書いてみてはどうでしょうか。
オンラインの買い物かご(ショッピングカード)に入れたままにして、数日様子を見ます。
なくても大丈夫な物がたくさんあることに驚くでしょう。
かごに何を入れたか忘れてしまうことすらあります。あとで、もっといい物が見つかって、買ったことを後悔することも減らせます。
すでにある物を修理してください。
「修理するより買ったほうが安いから」という考え方はとても無責任です。
リペアカフェや、靴屋さんに持っていってはどうでしょうか? 縫い方を学んで、自分でシャツのボタンをつけましょう。
中古品を買いましょう。お金を節約できる、もっともサステナブルな方法です。
本当にソファが必要なら、べつに新品を買ってもいいのです。
けれども、人間は、私たち全員が1度に座わっても、まだ余るほどソファを作っています。
私たちはずっと座ってはいませんから、新品同様の中古のソファも多いのです。
ファッションについても、買う前によく考えれば、良し悪しを判断できます。
量より質を優先し、耐久性のあるものを選ぶことができます。
製品は、その寿命を全うするために作られています。たとえ、持ち主は変わっても。
私たちは物の管理人
自分はその物の持ち主(owner)ではなく、管理人(custodian)だと考えるようにしてください。
図書館から借りてこなくても、本を読めるラッキーな人だと思えばいいのです。
現在の状況を考えれば、みな、消費をちょっと一休みするべきだとわかっています。
そのかわり、シェアリングエコノミーが台頭してきています。
持っている物に感謝して、できるだけ所有しないようにし、貸し借りしたり、頼んだり、失ったりすることをいとわないようにします。
スクリュードライバーや自転車のタイヤの空気入れが必要になったら、隣の人から借りてください。隣人を知るチャンスです。
私たちを幸せにしてくれるのは、引き出しに入っているガラクタではありません。大事なものに使うリソース、スペースや時間があるほうが、幸せなのです。
//// 抄訳ここまで ////
単語の説明など
HEC Paris パリにあるビジネススクール。フランズのビジネス系グランゼコールの1つ
think twice よく考えてみる、考え直す
pamper 欲望などを満たす
sauce stirrer ソーススターラー
液体をかきまぜてソースを作るときに使うツール。泡立て器としましたが、ソースは泡だてないので、かき混ぜ器とよんだほうがいいかもしれません。
中に乾電池が入っていて、ソースを入れた鍋の上に立たせると、勝手に動いて、ちょうどいい具合にソースができるらしいです。
pancake pen パンケーキペン
パンケーキ(ホットケーキ)の生地を入れて、鉄板やフライパンの上に好きな形にしぼりだす筒状のもの、ボトル。
peace of mind 心の平和、安心感
exponentially( 増加の仕方が)急激に
repair cafe リペアカフェ
こわれた物を持っていくと、ボランティアの人が、無料で直してくれるカフェ。コミュニティ活動。
アメリカのリペアカフェの様子です.
How Repair Cafes Can Mend More Than Just Possessions(いかにリペアカフェが、物以上のものを修理するか?)
英語、3分25秒。
日本にもあるようです。ただし、電子機器だけみたいですね。
日本に広がる「リペアカフェ」、電子機器の修理を自分の手で
日本語、5分
sharing economy シェアリングエコノミー 使っていないもの、スペース、スキルなどを貸し借りする経済。
詳しくはこちら⇒シェアリングエコノミーがシンプルライフにもたらすもの(前編)
買わない人や買わないすすめ
お金を使わずに1年暮らしてわかったこと:キャロライン・ホーグランド(TED)
1年間、買い物せずに暮らしてみたらこんなにお金が貯まった(TED)
どうしたら、エシカルファッションを実践できるのか?(TED)
クローゼットにしまいこんでいる物をちゃんと使って人生を変える(TED)
服を使い捨ててはいけない。着ているものがあなたの生き方を表している(TED)
今すぐ必要なのか?
人々が、スピード(早いこと)にこだわって買い物している話、おもしろいですね。
流行のものや目新しいものを、次々と早く買いたいし、注文したら早く届けてほしい、という消費者感情があるようです。
しかし、次々と買うのは、出番のない物が増え、ガラクタを量産するようなものです。
前に買った物は、まだきれいで使えるから(ろくに使っていないから当然です)、手放す気にもならず、結局、お金を出して、レンタル収納スペースを借り、物がたまりにたまったら、お金を出して片付けるのです。
「今すぐ、どうしても必要なのか、あとじゃだめなのか?」と考えるくせをつけたり、ちょっと待ってみたりすると、次々と、まるで強迫観念にかられたように買ってしまうくせがなおります。
私は物の管理人
もう1つ、興味深かったのは、自分はその物の所有者ではなく、管理人だと考える、というところです。
人生も、この世にあるものも、すべて借り物だ、という考え方と似ています。
お金や物質的な物は、どんなにたくさん集めても、死んだら手放さなければなりません。
だから「借りている」と考えたほうが、へたに執着せずにすみます。
借りているときは、よき管理人として、物を大事にし、そこから、最大限の喜びを得る(つまり使う)ほうを選んだほうが、暮らしは充実すると思います。
そうすれば、「あれもこれも集めたい」とやっきになることもないでしょう。
実際、物を集めすぎると、手間ひまかかりすぎて、人生を楽しめなくなります。
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パンケーキペンに似た商品、私も持っていました。
昔、よくお菓子を作っていたとき買った、クッキーにアイシングを塗る専用のボトルです。
パンケーキペンと似た形態でした。ノズルはもっと細いと思いますが。
確か、雑誌でマーサ・スチュアートが使っているのを見て、特別な調理グッズを売っているネットショップに注文しました。
思ったより大ぶりの透明なプラスチックのボトルが3本1セット。今、ネットで調べたら、squeeze bottle (スクイーズボトル)という名前でした。
私、これ、1度も使いませんでした。
そんなに大量のアイシングを作らないし(そんなことしたらアイシングが余る)、アイシングをボトルに入れるのも、使ったあとボトルを洗うのも面倒だと思ったからです。
そして、いつものパターンで、使わないのに、長々と物入れにしまっていて、見るたびに、「何かに使えないかなあ」と思っていました。
数年後、新品のまま断捨離しました(寄付センターに持ち込み)。
こういう失敗、数え切れないほどしています。