ページに広告が含まれる場合があります。
もっと時間を意図的に使うことをすすめるTEDトークを紹介します。
タイトルは、The Art of Spending Time(時間を使う技術)
デザイナーの Michael Tierney (マイケル・ティエルニー)さんの講演です。
時間を使う:TEDの説明
Money comes and goes but TIME is non-refundable. Michael challenges us to consider if we are spending ours how we want and to start using time as our primary currency.
お金は来たり出ていったりします。しかし、時間は取り戻し不可能なもの。マイケルは、私たちが自分の望むように時間を使っているのか問いかけ、お金を一番重要な通貨として使い始めるようすすめます。
収録は2019年、長さは12分43秒。英語字幕あり。日本語字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
マイケルさんは、使うお金を、自分の人生の労働時間で計算していますが、この計算方法が今ひとつわかりませんでした。
シンプルに、たくさんお金を使えば、労働時間が増えると考えてください。
幸運にも時間をもてた私たち
子どものとき、家でよく聞いた言葉が2つありました。
1つは、「宝くじにあたったときは~」、大きな家、素敵な車、新しいおもちゃを買う。もう1つは、「もし時間があったなら」。
宝くじに関しては「当たったとき」と確信を持って言っていましたが、時間に関しては、「(現実にはありえないけど)時間があったなら」と言っていました。
宝くじに当たる確率は、1400万分の1です。あまり高い確率ではないんですが、実は私たちはすごく倍率の高いものを勝ち取っているんです。
人が生まれる確率は、400兆分の1なんです。これは、宝くじに2800万回当たるか、コインを3万回投げて、コインが立つ確率です。
そんなふうに私たちはすごくラッキーなことに時間をもっているんです。では、その時間をどんなふうに使うのか?
私たちは大半の時間を、「時間が足りない」と言うことに使っています。しかもしょっちゅう。
「時間(time)」という言葉は本当によく使う言葉です。「時間がない」は、私も前はよく言っていました。
でもこれって、自分自身に言う最大の嘘の1つです。
私たちは時間をたくさんもっています。すばらしいことをする時間がある。1日24時間なのは、シェークスピア、アインシュタイン、デビッド・ハッセルホフ、J・K・ローリング、ガンジー、ガンジーの孫と同じです。
時間は取り戻せない
みな1日24時間、24枚のコインを与えられているんです。それをどう使うかは自分にかかっています。
私たちは時間と交換できる一番貴重なものはお金だと言われて育ちます。
ハッスル・カルチャー(hustle culture)を生きていますよね? いつも、去年より給料をあげることをめざしています。
でも、コンバージョン率については考えていません。時間をお金に変えるのは本当にいいトレードなのか?
お金はやってきては出ていきます。借金をかかえても、立ち直ることができます。
でも、時間は唯一の、払い戻しができない通貨です。
時間をもっとも大事な通貨として考える
時間を、お金よりも大事な、一番重要な通貨だとみなしたらどうなるか考えてみました。
欲しいものができたとき、付箋にそれを使って何をしたいのか書き出したんです。
携帯電話なら、電話したいし、テキストを送りたいし、インスタグラムも見たい。
新しい電話が欲しかったとき、iPhone 10 の発売直後で、値段が1000ポンド以上しました(今のレートで19万円ぐらい)。しかも契約のしばりがあります。
その一方で、中古のサムソンノート 4 が150ポンド(3万円ぐらい)で手に入りました。
でも、お金のことは考えません。時間というコストだけを考えるんです。
年収が3万ポンド(約570万円)だとすると、サムソンの電話を手に入れるために、10時間働くことになります。働いている時間の月曜と火曜にあたります。
でも、iPhoneだと、まるまる2週間必要なんです。
確かに、iPhoneにはメリットがあります。でも、自分の付箋を見た時、サムソンの電話で、やりたいことはすべてできるし、働く人生のうち1週間半、余分の時間がもてるし、その時間で自分の好きなことができるんです。
皆さんも、最近した一番大きな買い物を思い浮かべてください。家でも、休暇でも車でも。
その代金を自分の給料で割って、それだけの時間を使う価値があったか自問してみてください。
値札(price tag プライスタグ)を考えるのではなく、時間札(time tag タイムタグ)を考えるんです。
私がした一番大きな買い物
私がした一番大きな買い物は、たぶん大学の学位でした。カレッジや大学に行くために、すごく時間を使ったんです。
7年学校に行って、借金を返すのに、月曜と火曜をたくさん犠牲にしたわけです。
卒業したときの成績はほとんどがEかF(不合格)でした。成績は悪かったし、情熱も目標にしたいこともなかったので、何をしたらいいのかわかりませんでした。
だから、一番いい成績をとったものを追求することにしました。アートだけがDでした。これまたいい成績ではありませんが。
大学に5年通い、なんとか単位を取っていましたが、5年目に落第しそうになったんです。
でも、教授の息子が、アニメーションについてプレゼンをしてくれたとき、たちまち、惹きつけられました。やりたいと思ったんです。
こんなふうに月曜と火曜をたくさん犠牲にしてカレッジと大学に行きましたが、そうする価値はありました。情熱を感じられることを見つけただけでも。
カレッジをいい成績で卒業し、自分が選んだ道でやる気に燃えていました。
時間の使い方を調べてみた
それでも、自分の時間の使い方に不満がありました。そこで、コインを24枚取り出して、つまり、24枚のコインが24時間を表しているんですが、どんなふうに時間を使っているか調べてみました。
それはわりとふつうで、睡眠に8時間、9時から5時まで仕事、たまに残業、通勤、皆が見ているNetflixのショーを見るという感じ。
確かに、私は自分で少しは選択していましたが、それは与えられた枠組みの中でしていました。
9時から5時までの仕事として何をするか決めはしたけれど、9時から5時まで働くというのは、決まっていたんです。
好みのテレビ、ノートパソコン、スマホを選んだけれど、長々とモニターを眺めるのは同じ。
こんな人生を4年送ったあと、自分の人生を振り返ってみたら、時間を奪われたような気がしました。
時間を差し出した代わりに、自分が何を得たのか、わかりませんでした。
この状態から逃れるために、働けば働くほど、この状態にはまっていったんです。
時間のテンプレートをデザインし直した
一歩下がって考えたあと、自分の時間のテンプレートを新しくデザインしたいと思いました。
私はデザイナーですが、新しいプロジェクトに取り掛かるときは、それがロゴでも、3Dインテリアでもアニメーションでも、いつもシンプルなプロセスをたどります。
つまり、定義する(define)、枠組みを与える(framing)、行動する(action)の3つです。
このプロセスを経ればと、どのプロジェクトでも、意図的な構造を作ることができます。
このプロセスを使って、人生や時間をデザインし直すことにしました。
望む時間の使い方を定義した
新しいことをするために、まずしなければならないのは、どんなふうに時間を使って、その新しいことをするか定義することです。
私がしたかったのは旅行、読書、ジムに行くことなど。ごらんのように、肉体改造はさほどできませんでしたけど。
でもいいんです。自分が好きなことを見つけようとすれば、やりたくないことも見つかります。
重要なのは、自分が得意なことを見つけることではなく、得意になりたいことや、時間を犠牲にしてもいいと思うことを見つけることです。
私たちは、すべてのことに時間を使うことはできませんから。
5/25ルール
私は、ウォーレン・バフェットの5/25ルールに触発されました。
やりたいことを25個書き出して、やりたい度合い順に番号をつけ、1番から5番にまるをつけます。そして、残りの20個は、何があってもやらないんです。
すべてに時間を使うことは不可能ですから。
昔、私はPCゲームをしたり、最新のガジェットを買うことが大好きでした。でも、この2つは、私のリストの5番以内に入りませんでした。こうしたことは犠牲にするべきでした。
私が求めていたのは、自由に動けること(location independence ロケーションインディペンデンス)と、経済的な自由です。好きなところに旅行して、お金の心配はしたくない。
好きなように時間を使うための枠組み作り
次に枠組み作りに移りました。体作りをしたいなら、ワークアウトや正しい食事に時間を使う必要があります。
自由に移動したいなら、物質的なものをたくさん持つことはできないし、定住もできません。
経済的自由を得るためには、私の思う快適な生活を送るために、最低限のお金が必要でした。
意図的に時間を使うための行動
3つ目のプロセスは、多くの人にとって一番難しいステージで、行動です。
たくさん物が持てなかったので、過去2年間、これだけを所有しました。このバッグに入る分だけです。
かつて、住居について、選択肢は2つしかないと思っていました。家を買うか借りるか。
でも、旅を始めたら、いろいろな住み方を見つけました。エアビーアンドビー、ホテル、ホステル、ソファを泊まり歩く、ワークアウェイなど。
タイニーハウスや、シッピングコンテナハウスもありますね。
実は私も輸送コンテナを使って自分の家を作っているところなんです。1万ポンド(190万円)以内におさめようと思っています。住宅ローンを払うために人生の時間の15年から25年を犠牲にしなくてすむように。
経済的な自由を得るために、受動的収入(passive income パッシブインカム )を得る必要がありました。だからYouTubeに、デザインのチュートリアルを作りました。Adobeフォトショップやアフターエフェクト、シネマ4Dの使い方なんかを教える動画です。
動画を作るために時間がかかりましたが、私が旅に出ているときも、お金を生み出してくれています。
年間、2万5千ポンド(480万円ぐらい)あれば、生活できるとわかったので、それだけ稼いだら、時間をお金に変えるのはやめて、個人的なプロジェクトや、収入を得なくてもいい仕事をしています。
こうして私は、時間を作りました。
自分の望む時間の使い方をしよう
昨年、人生の時間のうち4ヶ月を2万5千ポンド稼ぐのに使いました。自分の日給をあげるため、過去10年という時間を使いましたが、そうする価値がありました。
みなさんの時間とお金のコンバージョン率は、私より高かったり低かったりするでしょう。
子どもがいる人もいれば、私ほより、寝る人、寝ない人もいますよね。
でも誰もが、目覚めれば、毎日同じように24枚のコインを持っています。
Netflixを見るなとか、午前10時まで寝るのをやめろとか言うつもりはありません。
みなさんがどう時間を使うかは、皆さんが決めることです。
自分で選んで、意図をもって暮らさなければなりません。さもないとデフォルトの時間のテンプレートの中で生きることになります。かつて私がそうだったように。
今、私は24枚のコインの使い方を自分で決めています。
前より生活費が下がり、1.5ポンド(約290円)で、バスや列車で200マイル旅をすることができました。
10ポンド(約1900円)以下でロンドンから南フランスに飛び、戻ってくることもできました。
マイルやポイントを使ったわけではありません。ただ単に自分の時間の使い方を自分で決めたからできたんです。
時間の使い方を自分で決めるようになって、自分の人生の主導権を握りました。
すぐに行動しよう
もっとも重要なことは、今、行動を起こすことです。いつだって越えるのが大変なハードルがあります。
しかも、はじめは誰も準備ができていません。だからこそ、「スタート」なのです。
実は、TEDトークをする準備はできていませんでしたが、今、こうしてここにいます。すべては、チャンスをつかんで行動すること。
新しいビジネスを始めたいなら、ビジネスプランを今すぐスマホに保存してください。そして、今晩から始めましょう。
体作りをしたいなら、今、立ち上がってスクワットを10回しましょう。
1度に1つずつハードルを越えて、行動を起こすんです。
「時間がない」と言うのではなく、「こんなことに時間を使うのは、優先すべきではない」と言いましょう。
//// 抄訳ここまで ////
語彙の説明
hustle culture ハッスルカルチャー ウェルビーイングは無視して、キャリアの成功めざして働くことを美化する文化。
conversion rate コンバージョン率 自分が設定した目標・成果を達成した割合
non-refundable ノンリファンダブル 返金不可、払い戻し不能
workaway ワークアウエイ 労働する代わりに宿泊場所の提供を受けること
shipping container house 船の輸送コンテナを使った家。自分で作る人もいる。
passive income パッシブインカム 働かなくても定期的に得られる収入
タイニーハウスについて⇒小さな家(タイニーハウス)に住むことは自分の夢を叶える糸口になる(TED)
時間に関するほかのプレゼン
時間がないんじゃなくてやる気がないだけ。大事なことに時間を使う方法(TED)
時間の使い方を調べてみる
人生はそれなりに長いので、私たちは、時間はたっぷりあると思って生活しています。
まあ、私ぐらいの年になると、残り時間を意識しますけどね。
あと、何回、夏を体験できるかな、とか。
でも、50歳より若い人は、時間はいくらでもあって、自分に足りないのはお金だと思っていますよね?
生きるのに、お金は必要ですが、お金ばかり追い求めると、かなり不本意な時間の使い方をしてしまって、気づいたら、すごく不幸になっていたりします。
だから、時々、時間の使い方を見直してください。
マイケルさんのように、自分の持ち時間を24枚のコインで考えるとシンプルでわかりやすいと思います。
そして、時間を大事にするようになると、必然的に所有するものは減ると思います。
マイケルさんは、旅をしたいから、すごく持ち物が少ないですが、どこかに定住するにしても、不用品をいっぱい持っていると、その管理に時間を取られるので、自分の好きなことに使う時間が減ります。
ものがいっぱいあると、一気に捨てるのは大変なので、1日15分程度、不用品を捨てるのを続け、一方でこれ以上余計なものを家に入れず、残りの時間はできるだけ自分の意図にそった使い方をするのがいいと思います。