喪服姿の若い女性

ミニマルな日常

母好みの喪服(ワンピース)を処分したい。←質問の回答。

衣類の断捨離に関する質問をいただきました。

この読者は、自分好みの喪服(パンツスーツ)とお母さん好みの喪服(ワンピース)の2つを持っており、ワンピースのほうを捨てたいと考えています。しかし、お母さんの気持ちを思うと捨てられないそうです。

この質問に回答しますね。

まずメールをシェアします。差出人はありささんです。

「返事希望」にチェックがあったので、返信メールを出しましたが、配達不能(Delivery incomplete)とメールが戻ってきました。



ワンピースタイプの喪服を捨てたい

件名:ワンピースタイプの喪服を処分したい

いろいろなミニマリストの方の発信を見ていますが、

筆子さんが一番具体的でわかりやすいです。

本題ですが、私は喪服を2着持っています。ワンピースタイプとパンツタイプです。

最初にワンピースタイプを買い参列した際に、パンツタイプの存在を知り、パンツタイプも買いました。

私は冷え性で、夏でもパンツスタイルです。

母に「パンツタイプは一般的でないからやめた方が良い」と言われ、ワンピースタイプを捨てたいのですが、捨てられません。

「喪服はワンピースが常識」というのは誰が決めたんだとSNSで時々話題になりますが、その通りだと思います。

「昔は参列者も着物だったんだから、ワンピース だって非常識なはず」という意見に思わずうなずきました。

足が不自由な方ならパンツタイプでも仕方ないという意見もありますが、私は足が悪い訳でもありません。

あまり着る機会のない喪服2着にクローゼットの場所をとられ、クローゼットを開く度にうんざりします。

家族で一番高齢なのは祖父なので、次に喪服を着るとすれば祖父の葬儀だと思います。

その際に私がパンツタイプを着ていたら母は嫌がることでしょう。周囲の目をすごく気にする性格なので…。

母のためを思えば、ワンピースは捨てずに残しておくべきでしょうか?





ありささん、こんにちは。お便りありがとうございます。

複数のミニマリストの発信を見ているということは、ありささんは、ミニマルな暮らしを指向しているのですよね?

それなら、不用品(用途がだぶっているもの)はさっさと捨てるべきでしょう。

そもそも限られたときしか使わないフォーマルウエアであり、すでに気に入ったもの(パンツスーツ)があるのだから、もう1着のワンピースは、即捨てします。

私なら。

「日本では女性のパンツスーツの喪服はマナー違反」と思われているのかもしれません。

しかし、スカートでもパンツでも、ワンピースでも、着物でも、さして変わらないと思います。

喪服なら、何を着ていても、その場の雰囲気が壊滅的に破壊されることはないでしょう。

さて、捨てるか捨てないかはご自身で決めることです。

結局、以下のどちらを優先するかで決まります。

1)自分の心地よさや暮らしやすさを優先する

2)母親の機嫌を取ることを優先する

それぞれについて、優先すべき理由を具体的に見ていきましょう。

自分の心地よさを大事にする理由

自分の心地よさを優先すべき理由はいろいろあります。

1)自分を幸せにできるのは自分だけ

どんなにまわりの人が、自分にいろいろ尽くしてくれたとしても、自分が、「うれしい」「満足だ」「充実している」「少しずつ前に進んでいる」と思うことができなければ、自分は不幸なままです。

自分自身を幸せにできるのは自分だけなので、私たちは自分の心地よさをないがしろにするべきではありません。

自分自身が不幸な気分でいると、「奪う人」となり、他人に対して寛大でいることもできません。

与える人と奪う人⇒あなたは与える人、それとも奪う人?:アダム・グラント(TED)

ありささんは、喪服がクローゼットに2着ぶらさがっていて、見るたびに不愉快になっているのですから、「不愉快の元」はさっさと解消すべきではないでしょうか?

2)大人なら自分の持ち物は自分で決めるべき

どんな物をどれぐらい持つかは、自分が決める問題です。

ありささん、小学生じゃないですよね? たぶん、もう成人していますよね?

それなら、お母さんに、自分の持ち物を決めさせることはありません。

過去に、母親の意向で着るものを決めることが多い(多かった)という読者のメールを紹介していますが、皆、心にうっくつを感じています。

健全な親子関係を築いてはいません。

母親に私の服を買うのをやめてもらうにはどうすればいいか。

すでに大人の私に、母親が勝手に服を買ってくる記事を読んで。

今回、ありささんが、「お母さんのために、ワンピースは取っておこう」と決めたとしても、この後も、うじうじネガティブなことを考えると思います。

クローゼットを開けて、ワンピースを見るたびに、「まったく、もうお母さんは世間体ばかり気にするんだから。おかげで、よけいなもの持つはめになったじゃない(ぶつぶつ)」と。

3)お母さんの機嫌はお母さんの解決すべき問題

お母さんが、たかが喪服のデザインのことで、機嫌がよくなったり、悪くなったりするとしたら、それは、お母さん自身が取り組むべき問題です。

ありささんが、いちいちご機嫌をとる必要はありません。

繰り返し書いていますが、人の思考や行動は、コントロールできません。

お母さんが何を思って、どう行動するかは、お母さんが決める問題です。

お母さんが、世間体を気にしすぎて、必要以上にストレスをためているとしたら、その状況を改善できるのはお母さんだけです。

人の問題は、その人自身に解決を任せて、ありささんは、自分が心地よく暮らせるよう努力すべきです。

4)喪服のデザインはそんなに重要か?

「おじいさんの葬儀で、私がパンツスタイルの喪服を着ていたら、お母さんが嫌がる」とありささんは、メールに書いていますが、本当にそうでしょうか?

私なら、自分の親が死んだときは、悲しみやら何やら、いろいろな思いで頭の中がいっぱいになり、他の人がどんな喪服を着ているかなんてことには、全く注意を向けないと思います。

娘が葬式に来なかったら、「あれ、どうしたんだろ?」とは思うでしょうが。

つまり、葬式において、喪服のデザインなんて、そこまで重要じゃないんです。

葬式とは、誰かが亡くなったことを確認し、見送る(お別れをする)ために、親しかった人が集まることです。

大勢の人が集まるから、葬式にふさわしくない服装(ウエディングドレスとか)をしていたら、その場にいる人の中には、「こんな服装はよくない」と感じる人がいるかもしれません。

しかし、「マナー違反だ」と思ったとしても、その場では何も言いません。

葬式の場で、「なんでワンピースじゃないのだ、おまえは、常識を知らんのか!」とがなりたてるほうがよっぽどマナー違反だからです。

喪服を着ているのですから、パンツだろうがワンピースだろうが、ツーピースだろうが、アンサンブルだろうが、着物だろうが、見送る気持ちには何ら影響を与えません。

お母さんの機嫌を取ることを優先する理由

自分の快適さより、お母さんの機嫌を取ることを選ぶべき理由は、私はあまり思いつかないのですが、たとえばこんなことがあるでしょう。

1)お母さんの機嫌が悪くなると自分の身に危険が及ぶ場合

お母さんの機嫌が悪くなると、ご飯を作ってもらえないし、お風呂にも入れてもらえない、お小遣いももらえない。よって、私の生存が危ぶまれる。または、生活の質が著しく落ちてしまう。

こんなときは、自分の意向より、お母さんの機嫌を取ることを選んだほうがいいです。

お母さんの機嫌が悪いと、自分も機嫌が悪くなってしまうなど、親離れができていないときも、お母さんの機嫌をとるイコール自分の気持ちのバランスをとることになりますので、お母さんの機嫌を取ることに専心したほうがいいかもしれません。

しかし、先ほども書いたように、この状態は健全ではないので、このままにしておくと、あとでもっと大きな問題に発展します。

2)お母さん好みの服装をすることが親孝行になる場合

ありささんのお母さんにとって、娘の服装が何よりも重要で、娘の服装が自分の思い通りであれば、もうそれだけで、人生が大充実してしまう。

しかも、ありささんにとって、親孝行することがひじょうに大事である。

そんなときは、お母さんの希望に合わせて、ワンピースの喪服を着てもいいと思います。

この場合、パンツスタイルを手放せば、1着にしぼることができます。

まあ、書いていてあまり説得力がないな、と自分でも思います。

親好みの服装をすることが親孝行になるとは、私は信じていませんから。

折衷案

自分の気持ちを優先するか、お母さんの機嫌を取ることを優先するか、どちらにも決められないときは、べつの面から解決する方法もあります。

ありささんは、用途のかぶる服が2着、クローゼットにあるのを見るのが不愉快なのですよね?

それならば、ワンピースタイプは、クローゼットから取り出して、別の場所で保管してはどうでしょうか?

お母さんのためだけに所有するのですから、実家のお母さんの部屋のたんすやクローゼットに入れさせてもらえばいいですね。

お母さんは、「なんで、あんたの服を私の部屋にしまわないといけないのよ」と文句を言うかもしれません。

そのときは、はっきりと、「このワンピースは、100%、お母さんのためだけに所有している服だから、お母さんの服のようなものだ」と説明してください。

また、ワンピースタイプは、処分してしまって、お母さんと同席する葬式には、毎回、パンツスタイルの上の部分(ジャケット)と、黒いスカートをはいていく手もあります。

これなら、一応、スカート姿だから、お母さんも満足するんじゃないですか?

黒いスカートなら、葬式だけでなく、ほかの用途にも使えるので、1着あっても困らないでしょう。

余分なものを持ちたくないなら、サイズの合う友達に、葬式のときは、スカートを借してくれるよう頼んでおいてもいいですね。

いずれにしろ、一度、お母さんと、パンツスーツの喪服の、どこがそんなに問題なのか、その問題がどれほど重要なのか、とことん話し合ってみるといいですよ。

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*****

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