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『筆子ジャーナル』のお便り紹介コーナーです。今回は、読者の方の質問2つに回答します。ともに20代の女性の方です。
30歳前ぐらいは、迷いの多い年齢なので、人生の悩みを解決するために、物を捨ててみたりするものです。
けれども、本質的な問題の解決に向かわないと、ガラクタをためることや、逆にどんどん捨ててしまう問題は解決できない、というのがこの記事のテーマです。
まず、春さんから。
夢追いニート中です
件名:ときめかないものしかありません。
春と申します。
今二十代半ばで、職無し、彼氏無し、母に養われ…夢追いニート中です。
私も家族で海外に住んでいて、この国ではバイトがありません。なので今ニートです。
ですがあまりにも代わり映えのない日々に嫌気が差してきています。
なにかしら一新したい!と思い、新たに捨てはじめてみましたが、そこである壁にぶち当たりました。
宜しければなにかヒントなどをブログで書いてくださると有りがたいです。
小さいときから溜め込み癖があり、なにも捨てられなかったのに四年前いきなり持ち物の約70%を捨てました。
以来溜め込み癖は捨て癖に変わりました。
ただ最近また全てを見直してみたら、全てときめきません。特に服…。
すべてときめく場合の記事はありましたが、全てときめかない場合、買い換えのお金がなくても捨てていいんでしょうか?
ただでさえからっぽな人生なのに、持ち物も全部からっぽにしちゃっていいのか悩みます。
捨てたい!でも…とぐだぐだ悩んでいるので、背中押してください!
あと、関係ない話なんですが…
砂糖絶ちってすごく難しいですね…パン食が多い国で、完全な砂糖絶ちが出来てません。ナッツとか本っっ当に値段が高くて、手が出せなく、食べられるものが少ないしで、ちょっと諦めそうですが、頑張ります!(開発途上国なんです)。
春さん、こんにちは。
お便り、ありがとうございます。
今は「夢追いニート中」って言うんですね。私が若いころは、「モラトリアム」と言われていたと思います。
自分が何をやりたいのか、何を求めているのか、わからない時期ですね。私もカナダに来る前もそうでした。
>全てときめかない場合、買い換えのお金がなくても捨てていいんでしょうか?
いいですよ。捨ててください。
ただし、その日着る服は残しておいてください。あと、洗い替えもいるので、2日分あればいいと思います。
このメールだけだと、どこにお住まいなのかわからないのですが、常夏の国であれば、服は最低限でいいでしょう。
もし私がハワイに住んでいたら、水着、短パン、Tシャツ(2枚)、コットンパンツ、長袖綿シャツ、帽子で始めて、どうしても必要なものを買い足していきます。
>ただでさえからっぽな人生なのに、持ち物も全部からっぽにしちゃっていいのか悩みます。
持ち物を全部からっぽにしても、人生はからっぽにはなりません。それに春さんの場合は、ご家族と暮らしているので、物理的にも完全にからっぽにはならないですよね?
たとえ、一人暮らしでも、物を全部捨てたからといって、それで人生の何もかもがもなくなるということはありません。
むしろ、とても自由になるんじゃないですか?
人が生きる時どうしても必要な物は、洋服やバッグ、靴じゃないんです。
今週の月曜日に、経済学者のマンフレッド・マックス=ニーフが唱えている、人間の基本的な9つのニーズを紹介しました。
そのニーズを見てください。意外とすべて持っているかもしれません。必要なのは、物じゃないと思います。
お金を使わずに1年暮らしてわかったこと:キャロライン・ホーグランド(TED)
さて、アルバイトができないのは、学生ビザや観光ビザで滞在しているからでしょうか?
働かない生き方もあります。
上の記事で紹介したホーグランドさんみたいに、バーター取引で、必要なものをまかなって暮らしてもいいし、ボランティアワークをしてもいいでしょう。
せっかく海外にいるのだから、日本ではできない体験をするといいですね。
時間があったら、本を読んだり、何かスキルを身につけてください。ただぼーっと考え事をするのもいいと思います。
フルタイムで働き始めたり、主婦になると、なかなかそういう時間がとれません。暇なうちに、やっておくことをおすすめします。
砂糖断ちと白い小麦粉断ちは無理のない程度ですすめてください。豆なら、たぶん世界中どこでも安いと思うので、豆と親しむ生活をおすすめします。
ゆるやかな砂糖断ちの方法⇒いきなり砂糖をやめる勇気がない人へ。少しずつ砂糖なしの世界へ向かう5つの方法
次はアオさんからのご質問です。
複雑な家庭環境に育ったので結婚生活に自信が持てない
件名:家族とは……重たい内容ですが、すみません。
いつも読ませて頂いています。私は29歳女性です。
自分なりにシンプルライフを始めて3年ほど経ちました。
きっかけとなったのは彼との出会いです。もうしばらくで5年の付き合いになります。
そんな彼と結婚の話になりました。私は彼とだったらこの先きっと大丈夫だと思っています。
重たい話になりますが、できるだけ省略して話させていただきます。
私は父が何人もいるような複雑な家庭で育ちました。それはやむを得ない事情もありました。
母は私のことを怒りも褒めもしないような人で、私のことを気にするような人でありませんでした。
成績のことは褒めてもらえた記憶はあります。
それよりも母のグチを聞く方が多かったです。義父のグチもよく聞かされました。
夫婦仲は悪く、喧嘩ばかりしていました。
母は朝から晩まで働いていたので心身ともに大変だったのだろうと思います。
私は高校を卒業してすぐに家を出ました。
遠く離れたところで友達もいなく、さらに男運も悪かったです。
25歳頃まで、いろいろと不運が重なって、家族にも頼れずどん底にいました。
そんな時に今の彼に出会いました。
人間に対する不信感の塊のような私を、彼は時間をかけて受けとめてくれました。初めて心から安心できる場所を見つけた気がしました。
彼のことは信用しています。
ただ、家族に対して明るいイメージがない私には、普通の家族がどんなふうなのかよくわかりません。
『普通の家族』なんてそもそも定義されるものではないと思いますが、私にはヒントが無さすぎて不安です。
気が早いかもしれませんが、彼に子供のことを聞くと、やはり欲しいと思っているようです。
ただ、急いで考えなくていいよとも言ってくれました。
ちなみに彼の家族は、私の家族とは正反対です。
筆子さんは結婚や子供についてどのように思いますか。
プライベートな質問をして本当にすみません。
答えにくい質問でしたら無理されなくて大丈夫です。
読んで頂いてありがとうございます。
失礼します。
アオさん、メールありがとうございます。
よい伴侶に巡り会えてよかったですね。
さて、ご質問ですが、
>筆子さんは結婚や子供についてどのように思いますか。
どうって聞かれても、とくにどうとも思っていないので、答えられません。もう少し具体的に聞いていただけると、答えやすいです。
私はべつに、結婚願望とか、子供がほしいとか、そいういうのは全くなかったです。
「このままずっと独身だ」考えていました。しかし、現実は、いろいろな偶然が重なり、子供(18歳女子)がいるし、タメコミアンの夫もいる状態です。
アオさんの問題は、「普通の家庭」ではない家庭に育ったから、結婚しても、よい家庭を築けないのではないか、という心配がある、ということですよね?
アオさんが、子供のころ、理想に思っていた家庭、こんなふうだったらよかったのに、と思う家庭をざっくりイメージしながら、生活していけば大丈夫だと思います。
確かに、幸福な子供時代を送っていない人は、「家族」というものに対して、無条件に信頼を寄せることが難しい、とは思います。
親に愛されなかった人は、人を愛することができない、とも言います。
ですが、私は、人はもともと人を愛する能力があと思うし、結婚して、相手や子供に愛情を注ぐか否かは、その人の選択だと考えています。
恋愛は一時的なので、愛情にあふれた行動ができるかもしれません。しかしいったん結婚して、毎日いっしょに生活していると、いろいろ思いもよらないことが起こるため、いつまでもハートマークで暮らせる人はそんなに多くはありません。
そんなとき、「私は主人を支えて、子供にも愛情を注いで、明るい家庭を築きつつ、毎日命を輝かせながら生きていこう」と決めるのはアオさんなのです。
私がちゃんとそうできているかどうかは別の話です。
だからそんなに心配せず、幸せになってほしいと思います。
完璧主義に陥らず、自分が心地いいと思う方向に進んでください。
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実は、同じように、家庭環境が複雑だったり、母親にあまり愛されなかった人からメールをもらうことがたまにあります。
そういう人のメールには、こんな悩みが書かれています。
●お母さんが、物をどんどん買って、実家がゴミ屋敷状態である。
●自分の買い物が止まらず、汚部屋に住んでいる。
●逆に、どんどん捨ててしまうので不安だ。
これは、みんな表面に出ている現象です。
その理由は、その人やお母さんが、片付けられない、片付け方がわからない、断捨離の方法がわからない、というのではありません。
本質的な原因は、子供のころ良好な親子関係を作れなかったということです。
この問題を解決すれば、ゴミ屋敷も汚部屋も買い物依存もおさまると思います。
その解決法ですが、今さら過去に戻って、親子をやり直すことはできないので、過去に起きたことの捉え方を変えるしかないでしょう。
つまり、再定義です。
平たくと言うと、親を許す、ということです。
まだ20代だと、難しいとは思いますが、自分の母親や父親を親としてではなく、1人の人間として考えてみると、どうしてそんなふうになってしまったのか、理解できるかもしれません。
完全に理解できないかもしれませんが、多少は、「まあ、しかたないか」という歩み寄りの気持ちを持てるのではないでしょうか?
親子関係に問題があったと思われる方には、いつも、長らく父親との関係に悩んでいたジェーン・フォンダの動画を見ることをおすすめしています。
60歳以降は可能性に満ちている「人生の第3幕」ジェーン・フォンダ(TED)
過去に囚われすぎていると、現在や未来に影がさしてしまいます。一気に解決しようせず、棚上げしてもいいと思うので、今の現実を最大限に生きられる選択をしてください。
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いつもたくさんのメールありがとうございます。いただいたメールは、全部ではありませんが、このように、時々、紹介しています。何かありましたら、お気軽にメールください。
あと、今、ご質問のメールがたまっていまして、返事をするのに少々お時間をいただいています。気長にお待ちください。