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今から6年前、50歳になった筆子は、何度目かのシンプルライフへの挑戦をしました。
もう50歳。今物が捨てられなかったら、もうずっと捨てられないような気がしていました。
そのころ、何冊か片付けの参考にしていた本があります。きょうは、その中から、
心をこめて手早くできるアイデア家事の本 (PHP文庫) : 村川協子著
という本をご紹介します。私はこの本から、家事の効率化をはかる3つの手法を学んだのです。
生活を愛しつつも、効率的な家事をする
この本はいわゆる断捨離本ではありません。いかに効率的に、しかし心は込めて、家庭を大切にする家事のアイデアを集めた本です。
タイトルだけ見ると、時短家事、手抜き家事の裏ワザが書いてあるかのようですが、そのような底の浅い本でありません。「知恵と工夫」と言ったほうが内容にあっています。
出版社は婦人之友社。「婦人之友」は女性誌ですが、半ばカタログ化して、やたら物を買わせようとする雑誌とは違い、「生活を愛する気持ちとよい家庭がよい社会を作る」という信念を持って雑誌を作っている出版社です。
ホームページ⇒婦人之友社 生活を愛するあなたに
筆子はこの数年前に、見本誌をもらって読んでいました。A5版の小さな雑誌でしたが、読むところがいっぱいある充実した本でした。
質実剛健なライフスタイルを追求しています。今でこそ、どの雑誌でも「シンプルライフのよさ」や「断捨離」「片付けと整理」を繰り返し特集していますが、もうずいぶん前に、婦人之友は「必要なものを必要な数だけもって、地に足のついた生活をしていきましょう」、と主張していたのです。
家計をきっちり把握して、少ない予算でも、家族がより楽しく、幸せに健康に暮らせるように、主婦は家庭の舵取りをするべきであるとし、その方法やヒントをたくさん提供しているのが婦人之友でした。
この雑誌社は友の会というものを作っていて、志を同じくする主婦たちが集まり、情報交換をしたり勉強しあったりしています。
著者の村川協子さんは、最初は友の会で一主婦として学び始め、後に、講師となった人。生涯主婦で、ずっと主婦の立場から、よりよい家事を模索し提案してきた人なのです。
筆子は今も昔も家事は苦手のズボラ主婦。自分の職業のところに「主婦(英語でhome maker)」と書いていますが、夫に「でもきみはhome maker じゃないよね」と念を押されます。
そんなダメ主婦ですが、婦人之友社の、家事に対する基本的な考え方はいいなと思いました。効率的に家事をして、空いた時間は自分の好きなことをする、そして、家族の誰もが幸せなのです。これはある種の理想です。
村川さんは、ひじょうにシステマティックで合理的な家事をしているのにもかかわらず、家族や家庭を大事にして、愛情あふれる、心豊かな生活を送っていました。また、生活や家事に確固たる哲学がありました。
無駄がないけれど、丁寧な暮しをしているのです。
しかしこの人は、主婦の鏡というか、カリスマ主婦というか、家事を仕事と捉えて完璧にこなしていたので、筆子にはとても真似できないとも感じました。
考え方に共鳴できたからといって、同じことができるかというとそれは全く別の話。ですが、志は高く持った方がよいので、このアイデア家事の本をお風呂でよく読んでいたのです。
結果的に筆子は、村川さんの本から細かい家事の手順はあまり学べませんでした。ですが、時間に関する考え方に大きな影響を受け、家事の効率化とより暮しをシンプルにすることができました。
この本にはたくさんの家事の工夫と知恵がのっていますが、きょうは3つだけご紹介します。筆子が日頃の生活で心がけていることです。
時間を使うことは自分の命を使うこと
村川さんは、「人生は時間であり、時間を使うことは自分の生命を使っている」という考え方をしています。
そのタイムマネジメントの方法は、まるで優秀なビジネスマンのようです。
家事にタイマーを使うのですが、パスタやゆで卵をゆでる時間を測るのではありません。「これから〇〇分だけ、この家事をする」と決めて、タイマーをセットするのです。
タイマーのベルがなるまでは、その家事に集中。ベルがなったらもう終わりで、それ以上やりません。そのあとは自分の好きなことをやる時間です。
筆子は、何かをやりすぎないようにするためにタイマーを使うことを、この本から学びました。
家事はやろうと思ったらきりがありません。やらないことを決めて、手をかけすぎないようにすることが大切です。
手がかからないようにするためには、物の整理は不可欠なのです。
一仕事一片付け
一仕事一片付けとは、1つの仕事が終わったら、道具を片付けるところまでやって、はじめてその仕事は終わり、ということです。
たとえば調理しているときなべを使ったら、なべがあいた段階でさっと洗い、しまいます。料理をしながら細かい片付けもやっていけば、終わったときの片付けの量が軽減されるのです。
当時筆子が使っていた台所は、せまかったので(今はもっとせまいですが)、片付けをまめにやらないと先に進みませんでした。ですから、ある程度は片付けながらやっていましたが、どちらかというと仕方なくやっていました。
しかし、この本を読んでから、もっと徹底して、戦略的にやるようにしました。、
何事も、混乱が小さなうちに処理をしておけば、あとで片づけが大ごとにならないのです。汚部屋やごみ屋敷になるのも、「出したら元の場所にしまう」という、本当にシンプルな、たぶん1分もかからない作業を、その場でやらず、先延ばしにした結果に他なりません。
やるべきことをためずに、その場その場でタイミングよく処理していくことは、別に片付けにかぎらず、すべての仕事に適応できる考え方です。
「一仕事一片付け」をかなり意識するようになったら、部屋がきれいになっただけでなく、ほかの仕事の効率もあがりました。
☆村川さんの2冊めの本の感想はこちらです⇒村川協子「簡素な暮らしの家事手帖」の感想。老いてからでは間に合わない
いつも次に何をするのか考えながら行動する
これは、何かをやっているときに、次にやることを考えるのではありません。今やっている仕事が、このあと、どんな仕事につながっていくのか考えることです。
つまり、常に先の展開や次の手考えながら動くということ。
たとえば、食器をしまうのであれば、ただしまうのではなく、次回使うときに取り出しやすいようにしまいます。
予算をたて、献立をたて、買い物をし、調理することなどもこれにあたりますね。ひとつひとつやることは違いますが、つながっています。
家計簿をつけるなら(私はつけませんが)、なぜつけるのか、家計簿の役割を把握して、つけたあとのデータを活用するところまで考えながらつけるべきなのです。
単に惰性でだらだらつけていてもあまり意味がなく、その人のお金の使い方は変わらないかもしれません。
この今やっていることを次の仕事につなげるようにしていけば、時間の無駄も防げます。これはけっこう高度なワザだと思いますが。
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著者は、家事をさっさとすませて、あいた時間を自分の趣味や友の会の講演にあてているそうです(この本執筆当時の情報によれば)。
「家のことをやる目的は明るく楽しく人生を送ること」であり、家事上手になることよりも、心豊かに暮らすほうが大事なのです。
この本は全編、家事の工夫が参考書のように並んでいて、あまり著者の人間性がうかがわれる箇所はありません。ですが、あとがきに、著者は長崎に原爆が落とされたとき、軍需工場で働く女学生であり、運良く助かったことが記されています。
生かされた人生だから、社会のために何かしたい、と思って生きてきたそうです。私もそうありたいと願っています。
ミニマリストへの道、この続きはこちら⇒「ガラクタ捨てれば自分が見える」から学んだ心の断捨離~ミニマリストへの道(25)
このシリーズを最初から読む方はこちらからどうぞ⇒私が断捨離してミニマリストになった理由(1)~物は私を幸せにしてくれなかった
☆エピローグ
「アイデア家事の本」はもう手放してしまったのですが、読んでよかった本の1つです。昔は既婚の女性が社会に出て働く体制が整っていなかったので、村川さんはずっと主婦でしたが、今の時代に生まれていれば、有能のビジネスウーマンになっていそうな方です。
時間術などは、サラリーマンにも参考になるでしょう。サラリーマンがこの本を手にとるとは思えませんが。