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ゆううつな気分でいることが多い人におすすめのTEDトークを紹介します。
タイトルは How to Be Happy Every Day: It Will Change the World (毎日幸せになるには? それは世界を変えます)
プレゼンターは、365give (スリー・ハンドレッド・シックスティ・ファイヴ・ギヴ)というチャリティ団体を運営している Jacqueline Way (ジャクリーン・ウエイ)さんです。
邦題は「毎日幸せになる方法、それが世界を変えていく」
プレゼンで紹介がありますが、365give は、1年間、毎日、1つずつ、人や世界に何かをあげるプロジェクトです。
毎日幸せになる方法:TEDの説明
The World Happiness Report states “Over 1 billion adults suffer from anxiety and depression.”
How do we get to happy? Jacqueline Way, Founder of www.365give.ca shares a secret to happiness so simple a 3 – year old can do it.
世界ハピネスリポートは、「10億人以上の大人が不安症やうつに悩まされている」と報告しています。
どうしたら、幸せになれるのでしょうか?
www.365give.ca の創設者、ジャクリーン・ウエイが幸せになる秘訣を教えてくれます。
とても簡単で3歳児にもできる方法です。
動画の長さは15分43秒。収録は2017年の3月。日本語字幕もあります。動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
シンプルなコンセプトなので、とてもわかりやすいプレゼンです。
幸せでない人がたくさんいる
私はこの世界でもとりわけきつい仕事をしています。
母親なんです。
3人の男の子がいます。子どもたちは私を医者、パン屋、コーチ、料理人、セラピスト、そして1日24時間、聖人のような忍耐力を持っている人だと考えています。
いつもベストを尽くしていますが、時には、そういかないときもあります。
ほとんどの親が子供に望んでいることを私も望んでいます。子どもたちに幸せな幼年時代を過ごしてほしい、と。
自由に遊び、友情を育み、やさしく思いやりのある大人になってほしい。
でも、これは少々むずかしいのです。
世界ハピネスリポートによると、2億2千万人を超える子供と10億人以上の大人が、不安症、うつ、行動障害に悩まされています。
幸せな惑星にすむ幸せな人々というわけではないのです。
親であるなしにかかわらず、大人を見て、子どもたちは学びます。
私たちは毎日とても忙しく、ストレスがいっぱいで、幸せになろうともがいていますが、その姿を子どもたちが見ているのです。
では、どうしたら、不安症やうつから、幸せへと変わることができるでしょうか?
いいニュースもありますよ。
世界ハピネスリポートは、子どもたちが、満足した大人になるかどうかは、幼年時代の感情の健康で決まると言っています。
この点をクリアすればいいのです。
幼い頃のクリスマスの思い出
幼いとき、私はオンタリオ州のロンドンに住んでいました。毎年クリスマスの朝になると、父は、3人の姉妹と私を一緒に、職場に連れていきました。
父は医者だったので、父の職場は病院です。
私たちは病室を回ってクリスマスキャロルを歌いました。
父のリードで、毎年同じ歌を。
「クリスマスおめでとう」(We wish you a Merry Christmas)という歌です。
ちょっと、ここで、みんなで歌ってみましょう。〈みんなで歌う〉
毎年患者さんも一緒になって歌い、皆の笑顔が、病室を明るくしました。
このとき、患者さんに、歌でお返しをすると、皆が幸せになり、自分も幸せになると、学びました。
与えると幸せになる理由
与えることは、人を幸せにする、もらうより与えるほうがいい、とよく言われます。
その理由を考えたことがありますか?
世界中の研究者が、与えることに関する科学や心理を研究しています。
それら研究から、私たちの脳や体は、もともと与えるようにできているとわかりました。
何かを与えると、エンドルフィンが出て、自然にハイな気分になります。これは、「ヘルパーズハイ(与える者のハイ」と呼ばれています。
酸素の濃度があがり、愛情のホルモンが出ます。
これは、アンチエイジング効果もあるんですよ。
セロトニンも分泌され、より幸せになります。私が歌を歌ったときのように。
もう1つ、いいことがあります。ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルが下がるんです。
不安やストレスが減って、幸せになるわけです。
ファミリープロジェクトを始めた
実は、毎日幸せになることができます。とても簡単な方法で。
3歳児でもできるほど。
長男のニックが3歳になったとき、彼に、毎日幸せでいる方法を教えることにしました。
誕生日ケーキとアイスクリームを食べながら、「ニック、これからとってもおもしろいファミリープロジェクトを一緒にしましょう。1年間、毎日、世界にお返しをするのよ」、と提案しました。
「1年って何日?」これが、ニックの返事でした。
私が期待していたほど、わくわくしてはくれなかったけれど、なにしろニックは3歳でしたからね。
「ニック、これから毎日、365日、親切で、助けになることを人や動物、地球にするのよ」。
このアイデアを家族や友達に話したら、みな、私がちょっとばかり野心的すぎると思ったようです。
365日毎日何かをお返しする。
大変に思えますが、小さなことから始めればそうでもありません。
毎日、1度に1つずつ与えるならば。
毎日何かをあげる
ニックと私は、どんなことができるか、リストアップしました。簡単で、家からそんな遠くない場所でできること。
地元の動物シェルターにタオルや毛布を寄付する、ゴミを拾う、リサイクルする、チャリティに服を寄付する、こんなふうに。
すぐにニックは夢中になりました。
誕生日の当日から、やりたいと言ったのです。
そこで、私たちは、地元の動物シェルターに、タオルと毛布を持っていきました。シェルターに入ると、塗れた犬と消毒液のまざった匂いがしました。
犬が吠えているのが聞こえました。ケージに閉じ込められているのです。
ニックが、受付にいる女性にタオルと毛布を手渡しました。彼女は笑顔で、私たちにお礼を言いました。
帰ろうとしたとき、ニックは、大きなガラスのドアの向こうに、猫がいっぱいいることに気づきました。
ドアのところから、猫を見たニックは、「ママ、猫たちが、赤い毛布の上に乗ってる。僕たちのあげた毛布も猫が使ってくれるかな?」
受付の女性が、「もちろん!」と言うと、ニックは、毎日あげるプロジェクトが、猫の助けになると気づき、笑顔で、「よかった」と言いました。
彼は初日に、与えることが自分を幸せにすると学んだのです。
与えることが広がっていった
2日目は、近所の海岸に行って、3分間かそれ未満で、どれだけゴミを集められるか競争しました。
これが3歳児のアテンションスパンですから。
3日目は、ゴミを分別しました。ニックは3歳で、リサイクルすることを学びました。
毎日の与えることは、ニックのルーティンになりました。歯を磨くのと同じように。
考えてみると、3歳児にとっては、歯磨きより、あげることのほうが簡単だったかもしれません。
ニックの提案で、毎日のお返しを、友人や家族と一緒にすることにしました。
私は、356give というブログを作りました。私はライターではないし、ソーシャルメディアのカリスマでもありません。
だから、家族や友人以外の人が、私のブログを読んでくれて、とても驚きました。
世界中の人が、読み、共感し、自分が与えたものについて、メールやコメントで教えてくれました。
そのうちのいくつかをここで紹介します。
皆が、日々与えたもの
イギリスのロンドンのヘンリー:毎日仕事に行く時、同じホームレスの男性の横を通りすぎます。
きょう、彼に朝食を持っていきました。彼はとても感謝してくれました。これから、私は、毎日、これを「与えること」にします
ウガンダのアウォニ:今日、近所の通りに住んでいる4人の子供をランチにつれて行きました。
子供たちはとても喜んでくれました。誰かが自分たちのことを気にかけてくれると感じたのは本当に久しぶりだ、と。
オーストラリアのエイミー:私は4年生の担任ですが、クラスで、356give をやることにしました。
これには驚きました。365give を教室で教えることができるのかしら、と。
でも、小学校の先生をしている友人のサラも、「ジャクリーン、私のクラスで、365give をやってみるわ。っていうか、学校全体でやるつもりなの」と電話してきたのです。
学校にも広がった「毎日与えること」
2人ともわくわくしながら、仕事にかかりました。
教育プログラムや、先生たちむけのツールを作ったのです。日々の「与えること」をカリキュラムとして行うための、ツールです。
これを私たちは、「365give チャレンジ」と名付けました。
子どもたち主導というのが、このチャレンジのユニークなところです。子どもたち自身が、どうやって与えるか、なぜそうするのか、どうやって世界を変えるか考えるのです。
サラの学校でプロジェクトが始まって数週間後、私は、2年生、7歳の子どもたちの話を聞きに、学校に行きました。
最初に発言したのはアーマン。自分たちでクッキーを作って、地元の消防局に持っていったと教えてくれました。
消防士さんたちが、コミュニティにしてくれることに感謝をするために。アーマンはとても得意げでした。
次はミアです。ミアのいとこは、がんにかかっていました。そこで、クラス全員で、学校の休み時間にポップコーンを売り、252ドル(およそ2万8千円)を作って、小児がんのためのチャリティに寄付しました。
ファミリープロジェクトがこんなふうに広がるなんて想像もしていなかったので涙が出ました。
「ジャクリーン、子どもたちは、自分たちの行動が、どんなふうに世界をよくするかわかっています。
与えることが、お互いやコミュニティーを結びつけるし、一番重要なのは、私のクラスが幸せになることよ」。
ストーリー先生はこう言いました。
365give チャレンジは、今や25の学校の5000人の子どもたちに広がっています。
ハッピーな世界を作るために
しかも、このチャレンジはまだ始まったばかり。子供たちが、自分のした毎日の「与えること」をほかの子供に話し、このチャレンジはさざなみのように広がっていきました。
皆さんのところまで。
この部屋には2000人います。それに365をかけると、70万にもなります。
もはや、1人の子どもが1日に1つ、何かをあげることではなく、みなが、よりよい世界、より幸せな世界を作るために、行動するのです。
やり方は本当に簡単な、日々の習慣です。
きょう、リストを作ってください。自分の生活や身の回り、家族、自分が毎日行っていることを振り返って、自分に合ったやり方をしてください。
寄付、ボランティア、隣人の手伝い、知らない人に親切にすること。
これこそ、不安やうつを、幸せに変える方法です。
一緒に小さなことから始めましょう。そして、よりよい世界、よりハッピーな世界を作ります。
毎日、1度に1つ、あげることで。
//// 抄訳ここまで
365give のサイト⇒Jacqueline Way, Author at 365Give
幸せに関するほかのプレゼン
幸せは自分の心の中にある、幸せをアウトソーシングしてはいけない(TED)
実際の体験とその体験の記憶の幸福度は違う:ダニエル・カーネマン(TED)
成功すると幸せになるのではなく、幸せだから成功する~ショーン・エイカー(TED)
ほかにもたくさんあります。
小さなことをやってみる
上でリンクした「成功すると幸せになるのではなく、幸せだから成功する」というトークでは、前向きな脳を作る方法が5つ紹介されています。そのうちの1つが、「人に親切にする」です。
このプレゼンを聞いてから、私は、毎日、ランダムに、少なくとも1回は親切なことをするようにしています。
常に、にこにこ、親切な人でいることは難しいのですが、1回だけならなんとかできます。
これを始めたせいか、はたまたモーニングページを書いているせいか、前に比べてずっと気分が上向きになりました。
悩み事が多いときは、自分のことにばかり意識が向いていて、これが、視野を狭くします。
気持ちが重たいときほど、人に親切にしたり、何かをあげたりしてください。
もちろん、求められていないものをあげてはいけません。
「厄介払いしたいから、欲しがっていない人に不用品を押し付ける」というのは、親切ではありませんから。
ジャクリーンさんの言うように、できることをリストに書くことから始めるといいでしょう。