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捨てたほうがいいとわかっているのに、なかなか捨てられないことがありますよね。
こんなとき、たいてい人の脳にもともとある思考のクセが働いています。
心理学ではこうしたクセを認知バイアスと呼びます。
この記事では、私自身も、ものを増やしたり、減らしたりするのを邪魔する認知バイアスを5つ紹介します。
みんな持ってるから(バンドワゴン効果)
バンドワゴン効果は、多くの人が選んでいるものを自分も選びたくなる心理です。
ネットで買い物をしているとき、売上ランキング1位とか、今売れてます、3時間前に注文されましたなどと画面に出ていると、心惹かれるものです。
もう何年も前のこと、当時、家事や暮らしまわりの本などで大人気だった石黒智子さんがサイトで紹介されていた食器を、私も少しずつ買い集めていた時期がありました。
世間で話題になり、みんなが憧れている素敵な暮らしに、自分も近づけるような気がして買っていたのです。
カーラの食器、カイ・ボイスンのカトラリー、ビバのグラス。
どれも素敵な品ですが、よく考えれば、私の生活にどうしても必要だったわけではありません。
素敵な暮らしをしている人が使っているから、自分の暮らしもそうなる気がして買っていたのです。
ムーミンが好きなので、アラビアのムーミンマグも欲しいなあと思っていました。
こちらは、値段が高すぎて手が出ませんでした。
そのうち懸賞でニョロニョロのマグが当たり、これは今も洗面所で歯ブラシ立てとして使っています。
本当はムーミンの絵柄が欲しかった、と当時は思いましたが、今になってみると、別にニョロニョロだろうとなんだろうと、どのみち私が必要としていたものではなかったと思います。

かろうじて底にムーミンママがいる
買う前に一度立ち止まって、これは自分の暮らしに必要なのか、それとも誰かの暮らしに憧れているだけなのか自問しましょう。
高かったから(サンクコスト効果)
ものを捨てられないとき、サンクコスト効果が働いていることがよくあります。
サンクコストとは、すでに支払ってしまって取り戻せないお金や時間のことです。
払った分を惜しむあまり、今の自分が持つべきかどうかを冷静に判断できなくなります。
私の場合、若い頃に買った高価なブランド服をなかなか捨てられませんでした。
ブランド名は忘れてしまいましたが、布地一面に黒いレースがあしらわれた、シックでおしゃれな服がありました。
体型が変わって明らかにきつくなっていたのに、痩せたらまた着られると思っていました。
結局、何年もクローゼットにしまったまま、ようやく、「いや、いらないよね?」と気づいて処分しました。
英語の教材も同じです。
カセットテープと立派な装丁の本が何冊もセットになった、大昔買ったとても高価な教材を、ほとんど使わないまま長く残していました。
あんなに高かったのに捨てるなんて惜しいという気持ちが、本当の必要性を隠していたように思います。
今ならどちらもすぐにドネーションセンターに持っていきます。
今の私が同じものをお店で見つけたら、お金を出して買うだろうか。
そして、これを置いておくスペースのために、自分は家賃や光熱費を払い続けたいだろうか。
こんなふうに考えてみてください。
過去に払ったお金は、もう戻ってきません。
取り戻せないお金のために、今のリソースを使う必要はありません。
せっかくこんなに集めたから:サンクコスト効果~捨てない言い訳その5
いつか使うかも(損失回避)
人は、得をする喜びよりも、損をする痛みのほうをずっと強く感じるようにできています。
これが損失回避の心理です。
捨てたあとに必要になったらどうしよう、と思う人はたくさんいます。
客観的に考えれば、そんな可能性はとても低いのに、大きな不安として迫ってきます。
私はパスタソースの空き瓶、お気に入りの紅茶の缶、お店でもらった紙袋を長年ためていました。
保存容器として便利に使えそう、人に何かあげるとき入れるとおしゃれだろう。
そう思っているうちに、棚の一段が空き容器置き場になっていました。
実際に使ったのは、ためた量のほんの一部です。
日本語の本にも同じ気持ちが働いています。
カナダでは日本語の本が手に入りにくいので、たぶん読まないだろうと思う本でも、手放したらあとで困るかもしれないと考えてしまうのです。
読者のお便りでも、似た話をよく聞きます。
古いパソコンの中に入っている思い出の写真を、いつか整理したい、消したら後悔すると考えて、何年もパソコンごと取っておく方がいます。
その間、写真は一度も見返していません。
このバイアスへの対処は、取っておく期限を自分で区切ることです。
半年経っても使わなかったら手放す、と決めてカレンダーに書き込んでおくといいでしょう。
自分のものはみんな大事(保有効果)
保有効果は、自分のものになったとたん、そのものの価値を実際よりも高く感じてしまう心理です。
私が長く手放せなかったものの代表は、絵はがき、レターセット、シール、雑誌の付録のメモ帳、通販のおまけの雑貨でした。
客観的に見れば、紙の束や小さなプラスチックのかたまりです。
リサイクルショップで100円で売られていても、買わないでしょう。
それなのに、自分の引き出しに入っているとなかなか捨てられませんでした。
10年ほど前、実家の片づけをしていたときのこと。
茶の間の引き出しを整理していたら、私が昔買ったレターセットが出てきました。
このとき、私はあっさり処分することができました。
その瞬間、それは私のものではなく、母のものだと感じたからです。
同じレターセットでも、自分の引き出しにあるときは捨てられず、母の引き出しにあると捨てられるのです。
このバイアスへの対処は、目の前のものを他人の引き出しの中身だと思って眺めてみることです。
友達の家でこの絵はがきの束を見つけたら、私はどう感じるでしょうか。
「こんなにたくさんの絵はがきどうするんだろう? 捨てたほうがよくない?」と思うでしょう。
必死で絵はがきの使い道を考える日々:ミニマリストへの道(54)
今のままがラク(現状維持バイアス)
最後は、今と同じ状態を続けてしまう現状維持バイアスです。
人の脳は、変化することを嫌います。
今のままでも問題は起きていないなら、わざわざ行動を起こして、何かを変えるのは嫌なのです。
私にとって、この心理が一番働いたのはものよりもサービスの契約でした。
ほとんど見ていない動画配信サービスや、Uber Oneのような月額・年額の有料会員です。
そのうち使うかもしれないし、解約手続きも面倒だしと思っているうちに、ずるずる契約が続いていました。
ものでいえば、ほとんど断捨離したあと、いまだに残っている語学の参考書やNHKのテキストがそうです。
そのうち勉強しようと思って残していますが、よくよく考えれば、今手放しても困りません。
取り組む気になれば、今の時代、新しい教材はいくらでも見つかります。
それでも残してしまうのは、片づけるという小さな変化さえ、脳は避けたがるからです。
このバイアスを外す簡単な方法は、今日1つだけ、放置していたものの状態を変えてみることです。
サブスクの解約画面を開いてみる。
棚の奥のテキストを1冊だけ取り出してみる。
それだけで、止まっていた時間が動きだします。
気づいたときがバイアスを手放すとき
5つの認知バイアスに共通しているのは、自分ではなかなか気づかない点です。
バイアスは人間なら誰でも持っているもの。完全になくすことはできません。
ただ、自分の考え方をチェックすることはできます。
絵葉書の束を前に、これは保有効果かもしれないと言葉にできれば、捨てる決断ができるかもしれません。
迷っている時間も短くなります。
最近、こんなことがありました。
ずっとお風呂で読書をするときはKindleを使っていましたが、数か月前にKindleの調子が悪くなったので、今は紙の本を読んでいます。
そのおかげで、長く本棚に残っていた本を、またちゃんと読むことになりました(ほとんどが再読)。
Kindleが動いているうちは、棚にある紙の本は、いつかまた読むかもしれないけど、実際には読まないまま何年も経過した本でした。
外からのきっかけがなければ、そのままでは読まないということに、ずっと気づかなかったと思います。
認知バイアスは、意識していないとなかなか気づくことができません。
何も起きなければ、私たちはいつまでも、今のままでいい、いつか使う、高かったからと思い続けるのです。
断捨離をしているのに、なかなか減らないと思ったら、自分の心理を客観的に見てください。
きょう紹介したバイアスがないか調べてみましょう。
うっかりしている思考パターンに気づけば、捨てやすくなります。














































