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TEDの動画

最終更新日: 2020.01.20

私の朝のコーヒーを可能にしてくれたすべての人に感謝する旅(TED)

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不機嫌になりがちな人におすすめのTEDの動画を紹介します。

タイトルは、My journey to thank all the people responsible for my morning coffee(私の朝のコーヒーを可能にしてくれたすべての人に感謝する旅)。

プレゼンターは、ライターのA・J・ジェイコブズさんです。

邦題は、『私の朝のコーヒーを担うすべての人々に感謝する旅』。

ジェイコブズさんは、自分が飲んでいるコーヒーのために、尽力してくれたすべての人に実際にお礼を言うプロジェクトをし、そこから学んだことをシェアします。



朝のコーヒーを可能にしてくれた人へ感謝する旅、TEDの説明

Author AJ Jacobs embarked on a quest with a deceptively simple idea at its heart: to personally thank every person who helped make his morning cup of coffee. More than one thousand “thank yous” later, Jacobs reflects on the globe-trotting journey that ensued — and shares the life-altering wisdom he picked up along the way. “I discovered that my coffee would not be possible without hundreds of people I take for granted,” Jacobs says.

作家のA・J・ジェイコブズは、一見簡単そうな思いつきを実際にやってみました。彼が飲んでいる朝のコーヒーを可能にしてくれた人、全員に個人的に「ありがとう」と言うことです。

1000回以上、「ありがとう」と言ったあと、ジェイコブズは、そうするために、世界をめぐったことを振り返り、そのプロセスで学んだ、人生を変える知恵をシェアします。

「私のコーヒーは、私が当たり前だと思っていた何百人もの人々がいなければ、実現しないのだとわかりました」、こうジェイコブズは言います。

収録は2018年の6月、動画の長さは15分30秒。日本語字幕もあります。動画のあとに抄訳を書きます。

☆トランスクリプトはこちら⇒AJ Jacobs: My journey to thank all the people responsible for my morning coffee | TED Talk

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

脳はネガティブなことに意識を向ける

自慢ではありませんが、私は不満に思うことを見つけるのが得意です。私の特技といえましょう。

100のほめ言葉を聞いて、侮辱する言葉を1つ聞けば、侮辱のほうを覚えています。

リサーチによれば、人はみなそうです。人間の脳はネガティブなことにフォーカスしてしまうのです。

この傾向は、原始時代なら、敵を避けるために、私たちを助けてくれました。

しかし、現代は、ネガティブなことに意識を向けるのはおすすめできません。不安症やうつを引き起こします。





感謝するとネガティブにならない

では、どうしたら、この傾向を変えられるでしょうか?

もっとも効果的な方法は感謝することです。これを知り私は数年前から、自宅で感謝することをはじめました。

食事の前に、私の前に食べ物がある現実を可能にしてくれた人に感謝するようにしました。

「トマトを栽培してくれたお百姓さん、ありがとう。トマトを店に運んでくれたトラックの運転手さん、ありがとう。トマトを売ってくれたレジの人、ありがとう」。

いい感じにすすんでいきました。

しかし、ある日、10歳の息子がこう言ったのです。

「パパ、ここでお礼を言っても、その人たちには聞こえないよね。本当に感謝したいなら、じかに言ったほうがいいんじゃない?」

なるほど、これは面白いアイデアです。

私はライターで、これまでさまざまなプロジェクトをしています。息子の言うようにやってみることにしました。

コーヒーにかかわった人に感謝するプロジェクト

ことを簡単にするために、それがないと私が生きられない朝のコーヒーに関してお礼を言うことにしました。

ところが、やってみるとそんなにシンプルではありません。このプロジェクトには何ヶ月も要しました。

私が当たり前のように思っていた朝のコーヒーには何百人もの人がかかわっていたのです。

コーヒー豆を店に運んでくれるドライバーにお礼を言うとします。

しかし、彼は、道がなければ、仕事できません。すると、道を整備した人やアスファルトを用意した人にもお礼を言うことになります。

コーヒーは、ほかの物と同じように、あらゆる業種の驚くほどの人々の仕事があって実現しているのです。

建築家、生物学者、デザイナー、鉱夫、羊飼い、枚挙にいとまがありません。

サンクス・ア・サウザンド

私はこのプロジェクトを「Thanks a Thousand(本当にありがとう。直訳:ありがとうが千回」と名付けました。千人以上の人にお礼を言うことになったからです。

大変でしたが、すばらしい体験でした。

おかげで、毎日、うまくいっている何百ものことに意識を向けるようになれましたから。うまくいかない3つか4つのできごとにフォーカスするのではなく。

さらに、世界がいかに深くかかわりあっているか、改めて気づきました。このプロジェクトから、いくつもの学びがありましたが、きょうは、そのうちの5つを紹介します。

1.目をあげる

まず、ニューヨークの『ジョー・コーヒー』で、コーヒーを淹れてくれるバリスタのチャンにお礼を言いました。

チャンはとても明るい人です。ですが、そんなチャンにとっても、バリスタの仕事は大変です。

危険な状態にある人々を相手にするのですから。カフェインを摂取する前の状態の人々です。

チャンは、人に怒鳴られて泣いたこともあります。

この仕事でチャンが一番いやなのは、お客さんたちが、彼女を人間扱いしないことだそうです。

彼女を人間ではなく自販機のように扱う人がいるのです。

クレジットカードを手渡すとき、携帯から目をあげようとすらしない人がいます。実は、私も、そうしたことがあるんです。

この話を聞いたとき、人を相手にしているときは、2秒、時間をとって、相手の目を見よう、と誓いました。

そうすれば、相手も自分と同じように家族がいて夢を持っている人間なのだと思い出せますからね。

こうやって人とつながる瞬間があれば、人間らしくいられ、幸せも感じられます。

2.バラ、土の香り、そして肥料のにおいをかぐ

次に、コーヒーショップで売るコーヒーを選んでいるエド・カウフマンにお礼を言いました。

彼は、南米やアフリカに行って、最良のコーヒー豆を見つけています。

お礼を言ったお返しに、エドは、プロのようにコーヒーを味わう方法を教えてくれました。

スプーンでコーヒーを口にいれ、口の中全体に行き渡らせます。口の中にあるすべての味蕾(みらい)でコーヒーを味わうのです。

エドは、「このコーヒーは、ハニークリスプアップルの味で、土とメープルシロップの味もちょっとするね」と言いました。

私も真似してやってみましたが、コーヒーの味しかしませんでした。

でも、それからは、舌の上にコーヒーを乗せて5秒使って味わうことにしています。舌ざわりや酸味、甘みに意識を向けます。

ほかのものを食べるときも、同じようにしています。このようにじっくり味わうと、感謝が深まります。

感謝とは、時間をとって、できるだけ長く、それを持つこと、と心理学者は言っています。

つまりスローダウンするのです。

3.周囲にある隠された傑作を見つける

次はコーヒーカップのふたを開発した人に会いました。

それまでコーヒーカップのふたのことを考えたことなんて1度もありませんでした。

しかし、このふたを発明したダグ・フレミングと話すのはとても楽しかったのです。彼は、最適なふたを作るために、それこそ、血と汗と涙を流しています。

ダグによると、よくないふたはコーヒーのアロマをかぐことができず、コーヒーの味を台無しにします。

ダグはとてもイノベイティブで、コーヒーのふた業界のイーロン・マスクと呼べる人物です。

彼はさかさになった六角形のついた、このふたを開発しました。このふただと、コーヒーの香りを楽しめます。

彼と話して、自分のまわりには、コーヒーのふたのように、たくさんの傑作があるのに、すべてあたりまえだと、気に留めていなかったことに気づきました。

便利なものを使っているとき、それができたプロセスなんて、想像もしないものです。

しかし、背後にあるものに目を向けてみると、日々の暮らしが豊かになります。

4.感じるまでふりをする

このプロジェクトが終わるころには、私は、狂ったように感謝していました。

朝起きて、数時間は、メールや手紙を書いて送り、電話をかけ、人々のところに訪れて私のコーヒーについて、やってくれたことを感謝しました。

なかには、「なんですか、これ? マルチ商法ですか?」といぶかる人もいました。

しかし、大半の人は、驚くほど感動してくれました。

コーヒー豆の倉庫で、害虫を駆除する仕事をしている女性に電話したときのことを覚えています。

「奇妙だと思うでしょうが、私のコーヒーに害虫がつかないようにしてくれて、ありがとうございます」。

「本当に奇妙ね。でも、最高の気分よ」。

この電話はいたずら電話の真逆のものとなりました。

人に感謝することは相手にだけではなく、私にも影響がありました。それまでは、毎朝不機嫌な気分で起きて、お礼の手紙を書くのを自分に強いていました。

ですが、たくさんありがとうと言っているうちに、本当に感謝できるようになったのです。

行動が思考を変えました。思考が行動を変えるとよく言いますが、行動が思考を変えることもよくあるのです。

5.感謝の輪をひろげる(6段階の感謝をする)

誰かに感謝するたびに、ほかにも感謝すべき人が、ゆうに100人出てきます。

コーヒー豆を栽培している人に会いに、コロンビアへ行きました。

小さな山にある街で、崖っぷちにある狭くて曲がりくねった道を車でいきました。

ヘアピンカーブを曲がるたびに、ドライバーがハンドルから手をはなし、十字を切るのでどきどきました。

無事に農場に到着して、グアルニーゾ兄弟に会いました。

小さな農場ですが、すばらしいコーヒーを作っていて、フェアトレードの値段以上の値段で売れます。

兄弟はコーヒーの木を見せてくれました、コーヒー豆は、コーヒーチェリーと呼ばれる果実の中に入っています。

私は彼らにお礼を言いました。

すると兄弟は、ほかの100人ぐらいの人がいなかったら、自分たちの仕事はできないよ、と言います。

果実からコーヒー豆を取り出す機械はブラジル製だし、収穫したコーヒーを乗せるトラックのパーツは世界中で作られています。

アメリカはコロンビアに鋼鉄を輸出しています。私はインディアナ州に行って鋼鉄のメーカーにお礼を言いました。

世界中のあちこちの仕事があって、1杯のコーヒーが実現するのです。

感謝すると人を助けたくなる

グローバルエコノミーの世の中には、よくないこともありますが、長い目で見ると、よくなると信じています。

ここ50年で、世界中の貧困は減りました。

自分の居場所に引きこもっていてはだめです。孤立主義や愛国主義に凝り固まりたくないものです。

私は、感謝することが行動につながるといいと思っています。

感謝するデメリットを心配する人もいます。いつも感謝していると、自己満足だけに終わってしまうと。

しかし、実際はその逆です。

人は感謝すればするほど、よりほかの人を助けようとする、とリサーチからわかっています。

不愉快な気分でいるときは、自分のニーズに意識を向けがちですが、感謝をすれば、他人に手を差し伸べたくなります。

個人的にもそう思います。

感謝を行動につなげたい

私はマザー・テレサではありません。いまでも、かなりの時間、自己中心的で嫌な奴です。

しかし、このプロジェクトをする前に比べるとましになりました。

サプライチェーンにある搾取に気づいたし、あるのが当たり前だと思っているものを手に入れられない人がたくさんいることもわかりました。

たとえば、水。コーヒーの98.8%は水です。

ニューヨークのダムで働いている人にお礼を言うべきだと思いました。蛇口をひねれば水が出るのですから。

世界にいる何万という人は、そうしたぜいたくを得られません。

安全な水を取りに、何時間も歩かなければいけません。自分もなにか力になりたいと思い、Dispensers for Safe Water という団体を見つけ、協力することにしました。

ノーベル平和賞をもらえるとは思えませんが、小さな一歩です。ごくささいなことですが、感謝することが、この行動につながりました。

だからこそ、私は、ほかの人にも、感謝することをおすすめしています。それは人生が変わるような体験ですから。

コーヒーでなくてもかまいません。ソックスでも、電球でもなんでもいいです。

世界をめぐる必要もありません。すぐそばにいる人に小さな感謝を示せばいいのです。目を合わせたり、好きなロゴを作ってくれたデザイナーにお礼の言葉を送ったり。

それは、考え方の問題です。

私たちが行うちょっとしたことに、何千もの人がかかわっていることに意識を向けるのです。

みなさんがいま、座っている椅子を工場で作ってくれた人がいます。誰かが鉱山で銅をとってくれたから、いま私は、このマイクを使っていられます。

そして、皆さんに、「ありがとう」ということができます。私の話を聞いてくれて、本当にありがとうございました。

//// 抄訳ここまで ////

単語の意味など

goat herds  羊を飼う人たち

コーヒーは、羊飼いの少年、カウディが、羊が赤い実(コーヒーチェリー)を食べると元気になるのを見て、発見した、という伝説があります。

Elon Musk  イーロン・マスク ; 天才的なエンジニア、世界貢献したいという気持ちが強い働き者の起業家。

PayPalを設立(のちに売却)、スペースX(ロケットを作る会社)を設立、テスラモーターズ(電気自動車を作る会社)に出資、ソーラーシティ(自然電力の会社)の会長。

pyramid scheme  ねずみ講、マルチ商法、無限連鎖講

crank call=prank call  いたずら電話

do the sign of the cross  十字を切る、右手を動かして十字架の形を作るしぐさをすること

silo  壁を作って(よそに目を向けず)自分勝手に仕事をしたり作業したりする状態

isolationism  孤立主義、不干渉主義

jingoism  好戦的愛国主義

complacent  自己満足の

ジェイコブズさんの著書です。100ページちょっとの短い本です。いま、オーディオブック(著者が読んでいる)を聞いていますが、3時間13分です。

ほかの本は翻訳されているので、この本もそのうち日本語版が出るかもしれません。

感謝にまつわるほかのプレゼン

幸せと健康をもたらすほんの小さな習慣(TED)

落ち着いて、注意を向けて、ありがとうと言う、その方法(TED)

心が疲れた人におすすめ。1セント硬貨がもたらした幸せ(TED)

ネガティブ思考を直してくれる楽しい質問(TED)

いい、悪いと簡単に決めつけられるほど人生は単純じゃない(TED)

最高の人生を送るのに必要な3つのAとは?ニール・パスリチャ(TED)

幸せは自分の心の中にある、幸せをアウトソーシングしてはいけない(TED)

自分が持っているものに意識をむける

以前、感謝ノートを書くことをおすすめしたら、毎日、そんなに感謝することなんてあるのだろうか、という質問をいただいたことがあります。

感謝ノートの書き方と女の子のよいところ(Q&A)

その質問に対する回答にも書きましたが、感謝できることなんて無限にあります。

感謝することが出てこないと思ったら、いまの自分がこれまで受け取ったものに意識を向ければいいのです。

私たちは、自分が社会に与えているものより、受け取っているもののほうが圧倒的に多いと思います。

ただ、受け取っても、「それがあたりまえだ」と思っているから、感謝の気持ちがわいてこないのです。

たくさん受け取っているのに、そうしたものに目をむけず、「まだあれが足りない」「これも足りない」「もっとほしい」という考え方をしていると、やはり感謝できません。

感謝することは、「たっぷりあるマインド」に自分を導いてくれるので、足りないマインドの人にはとくにおすすめです。

足りないマインドとは⇒足りないもの探しをやめればそれだけで豊かになる。

足りないマインドほど人を不幸にさせるものはないですから。

それに、足りないマインドに傾かなければ、物(衣類、雑貨、コスメなど)をたくさん欲しいと思わなくなります。

どれも、物理的に必要があって買っているわではないですからね。

もし、まだ感謝することを始めていなかったら、さっそくいまこの時から始めてください。

暮らしが豊かになりますよ。

******

食べ物や飲み物をゆっくり味わうのはぜひ取り入れたい習慣ですね。

私、コーヒーは飲まず、冬場、朝一番に飲むのはホットレモンウォーターです。

ホットレモンウォーターでデトックスしながら免疫アップ。でも歯に悪いから注意

カップ1杯に、レモンを半分使っていますが、気のせいか、最近、甘みを感じるようになりました。

特に今朝は、すごく甘く感じました。

レモンとイチゴの糖度は同じなので、酸っぱさという刺激になれると、より甘く感じるのかもしれません。

こんな発見もあっておもしろいですよ。





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