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日本の自治体はプラごみの分別に細かい規定があるところが多いです。なぜプラスチックはリサイクルしたほうがいいのか、なぜそのままごみにしないほうがいいのか?
その理由をお伝えします。
プラスチックのごみの行方
プラスチックのごみを出さないほうがいい理由がよくわかるTED-EDのアニメーション動画を紹介します。
4分足らずの短い動画です。
この動画では、3種類のプラスチックボトル(ペットボトル)の行方を追っています。
字幕はありませんが、アニメーションなので、英語がわからなくても、内容はだいたいわかります。動画のあとに抄訳をつけます。
これは3種類のペットボトルの物語。空(カラ)になって捨てられたあと、それぞれの運命をたどります。その結果は、地球に大きな影響を与えています。
ペットボトルの運命を追う前に、まずこの製品がどうやって作られるのか、そこから見てきましょう。
ペットボトルはどうやって作るの?
プラスチックボトルの原料は石油精製工場で作られます。
石油とガスの分子を化学的に合成したモノマー(単量体)がつなげられ、ポリマー(重合体)という鎖になり、最終的に何百万ものペレット(小さな球)になります。
これがプラスチックの原材料です。
ペレットは工場で溶かされ、鋳型にはめられ、ボトルの形になります。その後、機械で、甘くてシュワシュワする飲料を詰め込まれ、梱包され、出荷され、消費者の手元にとどき、消費されます。
1.ゴミ捨て場に行き着いたペットボトルはこうなる
そのまま捨てられたペットボトルは、たくさんの仲間たちと一緒にランドフィル(ゴミ捨て場)に行き着きます。
上からどんどんゴミが放り込まれ、ペットボトルは押しつぶされます。
雨が降り、ボトルから水溶性の物質がしみ出て、雨水にまざります。中にはとても毒性の強い物質があり、雨水はリーチエイトと呼ばれる汚染水になります。
汚染水は地下水、土壌、川の流れに入り込み、エコシステム(生態系)をこわし、野生動物を脅かします。
捨てられたペットボトルが分解されるまでに1000年はかかります。
2.海に流れ着いたペットボトルはこうなる
川の流れにのって海に流れついたペットボトルは、何ヶ月も海の上で漂いつづけ、次第に、ゴミの山が出来ている大きな渦に引き寄せられていきます。
この場所は、太平洋の巨大ゴミ捨て場(Great Pacific Garbage Patch)と呼ばれます。
ここは、海流のせいで、何百万ものプラスチックのかけらが集まる場所です。世界中の海の中にある5つのプラスチックのゴミが集まる場所の一つです。
汚染物質が水を濁ったプラスチックのスープに変えています。
海鳥のように、このゴミための中に埋まってしまう動物がいます。動物たちは、カラフルなプラスチックのかけらを、エサと間違えて食べてしまい、おなかがいっぱいになり、餓死します。
さらに、取り込んだプラスチックを食物連鎖で手渡していきます。
たとえば、プラスチックを食べたハダカイワシをイカが食べ、マグロがそのイカを食べ、人間はそのマグロ(ツナ)を食べます。
ほとんどのプラスチックは生分解しません。プラスチックは、マイクロプラスチックと呼ばれる、とても小さなかけらになり、永遠にに海洋の中を巡っています。
3.リサイクルされたペットボトルの行方
リサイクルされたペットボトルはトラックで工場に運ばれ、ほかのボトルと一緒につぶされ、ブロックの形に圧縮されます。
ブロックは小さく刻まれて、破片になり、破片は洗浄され溶かされて、再利用できる原料に戻ります。
リサイクルされたボトルは、魔法のように、全く別の何かに生まれ変わります。地味なプラスチックの破片だったのに、突然限りない未来が広がるのです。
//// 抄訳ここまで ////
単語の注釈
leachate リーチエイト 汚染浸出水(地下水が土中の可溶物を溶かしてできた溶液)。
gyre 海流の旋回
biodegrade 生分解
物質が微生物によって分解されること。土中や水中の微生物が高分子化合物を分解して無機物にすること。
買ってしまったペットボトルはリサイクルするしかない
この動画では、リサイクルに回されたペットボトルには明るい未来がある。だからちゃんとリサイクルしよう、と言っているのだと思います。
アメリカではペットボトルのリサイクル率は15~20%(統計によってはもっと高いものもあります)と言われています。
これだけ環境問題が話題になっているのに、そのへんに捨てる人が多いようです。
ちゃんリサイクル用の袋に入れても、甘い入れ方をしていると、そのへんの鳥がつついて、袋が破れ、そこからこぼれて、海に行きつく可能性もあります。
日本はゴミを捨てる場所がないので、ペットボトルのリサイクル率は80%前後ととても優秀です。
このページにそう書いてありました⇒日米欧のリサイクル状況比較|統計データ|PETボトルリサイクル推進協議会
ただ、リサイクルに出せば、問題は解決するか、というとそういわけではありません。
日本のペットボトルのリサイクル率が高いのは、それだけリサイクルに時間とエネルギーとお金をかけているからです。ゴミの分別もきびしいところが多いですね。
紙もそうですが、使い終わった製品をまた原材料に戻すには、洗浄が必要なので、いろいろな薬品を使うし、加熱したり冷やしたり、新たなエネルギーを必要とします。
最初から余計なペットボトルを使わなければ、リサイクルの手間はかからないのです。
災害地に水を輸送したり、飛行機の中で飲み物を飲んだり、病院や学校で水を配ったり、ペットボトルを使ったほうが理にかなっている場合もあります。
けれども、ふだん自分が家や外出先で飲む飲料は、別にコップや水筒を使えば充分ですよね?
水筒そのものがプラスチック製のこともありますが、少なくともフタが出ないし、使い捨てじゃないから毎回新しいペットボトルに入った飲料を飲むより環境に負荷がかからないと思います。
私も水筒を使っています⇒節約したいなら水筒を持て~象印を愛用中
ペットボトルのフタはリサイクルできません。フタは小さいから簡単に、海に流れ着き、鳥が間違えて飲み込むことがよくありますす。
洋服の使い捨てもプラごみを増やす
ペットボトルはリサイクルプログラムが充実しているプラスチック製品の代表です。現実には、リサイクルできずゴミになってしまうプラスチックのほうが多いと思います。
たとえば、衣類を考えてください。
化繊の混紡率が高い安い服は、ほぼプラスチックと言えます。プチプラの服をたくさん買って、断捨離して、また買って、また断捨離するということは、プラごみの量産にほかなりません。
ほとんどが焼却されていると思いますが、燃やすのにコストがかかるし、不完全燃焼だと、有害なガスがでます。
たとえばダイオキシンとか⇒ダイオキシンとは?その害と個人レベルでできる対策をわかりやすく解説
先進国のゴミ焼却炉は高性能ですが、こうした焼却炉を維持するのに、莫大な税金がかかっています。
安い服の代表であるファストファッションブランドの衣類は、製造する過程ですでに環境に大きな負荷をかけています⇒『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』11月日本で公開。服を買い過ぎる人は必見です
そういう服を、特に必要でもないのに、どんどん買って、ゴミにするのはダブルで環境にダメージを与える所業です。
安物買いや衝動買いもプラごみの量産
服だけでなく、各種洗浄剤や化粧品、安いプラスチックの雑貨を使い捨てるような生活もプラごみを量産しています。
シャンプーやコスメのチューブやボトルはほとんどプラスチックです。こうした製品は中身も石油製品が多かったりします。
私も昔は、ボールペン、シャープペン、多機能ペンなど、もう充分家にあるのに、新製品を買っては使い切ることができず、結局、ほとんど断捨離しました。
その頃は、小さなプラスチックのかけらが海の上を流れていて、それを見つけたカモメが食べ、病気になって死んでしまう、なんてことは想像だにしていませんでした。
私はただ単に、「あ、これかわいい」「便利そう」と目についたものを買って喜んでいただけです。
しかし、そうして買ったものは何ら有効活用されることなく、ゴミとなりました。ほとんど寄付センターに持ち込みましたが、その後誰かが使っているのか、焼却されたのかはわかりません。
寄付センターに持っていっても、すべての物が販売されるわけではなく、廃棄されるものもたくさんあります。私が寄付したプラスチック製品の多くも、ランドフィルで、メタンガスなどの有害物質を出しながら、じーっと眠っているのかもしれません。
人間は生体であり、生態系が機能していないと生きられません。
すべての物質は循環しているのです。
そう考えるようになったら、だいぶ余計な物を買うことが減りました。安物ばかり買って、部屋に物があふれている人は、一度、生態系について考えてみるとよいです。
一人ひとりの消費者の買い物の仕方や商品の選択が、地球の未来の鍵を握っています。
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今回は、プラごみを減らす理由をお伝えしました。
断捨離が好きな人は、捨てることばかりにフォーカスしがちです。けれども、もっとも重要なのは、すぐにゴミになるものを生活に導入しないことです。
ここを変えないと、一生、断捨離で苦しみます。
次はプラごみを減らすためにできることをお伝えしますね。