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やりたいことがあるのに、目の前の用事に追われて、いつも後回し。
そんな人に見てほしいTEDトークを紹介します。
タイトルは How to stop fighting against time(時間と戦うのをやめる方法)。
スピーカーは、日本でもベストセラーになった「限りある時間の使い方」(原題:Four Thousand Weeks)の著者、Oliver Burkeman(オリバー・バークマン)さんです。
忙しさは、効率化するだけでは解決しない。時間には限りがあると認めることが出発点。こう伝えるトークです。
時間と戦うのをやめる方法
収録は2017年11月、TEDxUniversityofNicosiaにて。動画の長さは約18分です。
■TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
「限りある時間の使い方」が出版される前の講演で、本のエッセンスを凝縮したような内容です。
では、トークの要点を紹介しますね。
忙しいことを自慢する人たち
今誰かに近況を尋ねると、返ってくる答えはたいてい決まっています。
「いやあ、忙しくて」です。
バークマンさんは、自分もそう答えると認めたうえで、これは一種の自慢だと指摘します。
私たちは忙しさを、自分の重要さを測る物差しにしてしまったのです。
昔は、働かずにのんびり暮らすために、富や権力を求めたのに、今は忙しさが勲章です。
さらに悲しいのは、これだけ動き回っているのに、たいして大事なことをやっていない、という感覚があることです。
手元の用事を片づけてしまえば、いつか本当にやりたかったことに取りかかれる。
そう信じて働いているうちに、そのいつかが永遠に来ないまま、人生が終わってしまう恐れがあります。
メールの返信がうまくなると、かえってメールが増える
やることが多すぎて苦しいとき、私たちが取る対策はほぼ同じです。
効率化をはかり、同じ時間により多くの用事を詰め込もうとします。
これは産業革命の時代に、工場の機械を速く動かすために生まれた発想です。
人間は機械ではないのに、自分を機械のように駆り立てて、いつかすべてを楽々さばける日が来ると信じています。
バークマンさんに言わせれば、そんな日は来ません。それどころか、こうした努力は事態を悪くします。
数年前、メールの洪水に溺れていた彼は、処理のしかたを徹底的に見直し、ついに受信箱を空にすることに成功しました。
すると、メールがさらに増えたのです。
たくさん返信すれば返信への返信が来るし、返事の速い人だという評判がたって、ますますメールが集まるからです。
渋滞を減らそうと道路を広げたら、車が増えて前よりひどくなるのと同じで、効率を上げて浮いたはずの時間は、新しく発生した用事に食いつぶされます。
供給が無限にあるところで処理速度を上げるのは、無限に長いはしごを速く登るようなものです。
どんなに速く登っても、てっぺんには着きません。
死ぬと知っているのに、時間は無限にあるように振る舞う
人は皆、自分の命が有限であることから目をそらして生きています。
古代ローマの哲学者セネカの時代から、繰り返し語られてきた考え方です。
人の平均寿命は、週に直すと約4000週間しかありません。
誰でも自分が死ぬことは知っているのに、心の底では受け入れず、時間はまだたっぷりあるという心地よい錯覚にしがみついて暮らしています。
バークマンさんが話した進行がんの女性は、死ぬとわかっているのはどんな気分かと周りに聞かれるたびに、こう聞き返したかったそうです。
「あなただって死ぬと、わかっていますよね?」
時間が有限だと認めると、避けて通れない事実が見えてきます。
ある時間に何かをすると決めることは、そのあいだにできたはずの無数のことを、やらないと決めることでもあるのです。
今夜この友人と食事をするなら、その晩は別の友人や子どもと過ごせないし、読みたい本も読めません。
人生は、こうした厳しい選択の連続です。
だから私たちは、忙しさを手放したくないのです。
もっと詰め込もうと走り回っている限り、選ばなくてすむ、何も捨てなくてすむ、こんな幻想を持っていられるからです。
時間管理はステップ2まで。ステップ3はない
命の有限さを認めると、暗い気持ちで生きることになりそうですが、バークマンさんは、むしろ肩の荷が下りると言います。
できることが無限にあって、持ち時間が有限なら、全部できないのは当たり前です。
やり残しが多いのは、自制心が足りないからではなく、目標のほうが最初から不可能だったから。
全員が失敗するゲームだとわかれば、降りることができます。
周囲の何人かをがっかりさせることを受け入れて、心から大事だと思えるいくつかのことに時間を使えばいいのです。
トークは最後に、たった1つの時間管理術を示して終わります。
Step one: choose a few things that matter most. Step two: make some time for those things. Step three: there isn’t any other step three.
(ステップ1、いちばん大事なことをいくつか選ぶ。ステップ2、そのための時間を確保する。ステップ3、ステップ3はない)
ほかのことがどうなっても、誰かが怒っても、家が散らかったままでも、それはそういうものだと受け入れます。
時間との勝ち目のない戦いをやめたとき、初めて、本当に意味のあることに集中できるのです。
※バークマンさんの著書はこちら⇒Amazonへ⇒限りある時間の使い方 人生は「4000週間」あなたはどう使うか?
時間と忙しさに関するほかのプレゼン
同じテーマが気になる方は、以下の記事もごらんください。
時間管理は、もっとシンプルでいい:ツールに左右されない考え方(TED)
自由時間を増やしても幸せになれない~幸せになるための時間の使い方(TED)
自分を満たすことを優先する
バークマンさんの時間術は、ミニマリストとして私が長年心がけてきたことと重なります。
私は今、67歳。
健康で自由に動けるのは、せいぜいあと15年ほどだろうとよく考えています。
10年ほど前は、1日にブログの記事を2本書きながら、ほかの仕事もする生活でした。
朝から晩までパソコンに向かっていて、気持ちに余裕がなく、日々を味わうことは棚上げしていました。
しかし、そのうち気づきました。
私にとって大事なのは、何かを成し遂げることより、好きなことをすることではないかと。
そう気づいてから、やることを思い切って絞りました。
仕事もしますが、趣味にも時間をさいています。
以前は、1日にやることを3つ決めていましたが、今は2つにしています。
仕事で1つ、プライベートで1つ。
2つだけなら、やり損なうことはまずありません。
日中追い立てられて焦る気持ちはないし、夜も罪悪感に駆られません。
残り時間を考えると優先順位が決まる
自分が死ぬことは考えたくない、という話は本当にそうですね。
特に、まだ若いと自分がいつか死ぬなんてなかなか考えられないかもしれません。
娘(27歳)に、私が生きるのはあと20年ぐらいかなと言うと、「ママ、またそういう暗い話をして」と怒ります。
残り時間より、目の前の生活のほうが大事に思えるものです。
しかし、誰でもいつかは必ず死ぬわけですから、進路に迷ったときなどは、人生の全体像を見て考えてみたほうがいいでしょう。
そのほうが今、優先すべきことが見えてきます。
いつか死ぬことを受け入れて、やらなくていいことを手放すと、日々はかえって身軽になります。














































