ページに広告が含まれる場合があります。
似たようなものや、同じようなものばかりが言えにたまる理由を検証しています。
初回は、「持ち物の把握をしていないから」という理由を紹介しました。
今回は、妥協買いと完璧主義です。
妥協して買ったけど、これじゃない
バッグ、靴、カメラなど、ほしい物があって、買いに行ったけど、ちょうどいい物が見つからないときがあります。
そこで、次にいいと思う物(二番手の物)や、「まあ、これで手を打つか」と思った物を妥協して買います。
これはこれで、賢いことだし、現実的な買い物です。
なぜなら、1から10まで自分の理想にドンピシャリの物なんて、この世にはないし、80%ぐらい希望を満たしている物が見つかることも少ないでしょう。
何より、買って使ってみないと、物のよしあしなんてわかりません。
そこで妥協して買うわけです。
例:バルーンスリーブのトップス
バルーンスリーブのトップスを買いにいったとしましょう。
バルーンスリーブ(balloon sleeves)を直訳すると風船袖。風船のようにふくらんだ袖がついた服のことです。
春だから、白か空色の淡い色のブラウスがほしいと思って店に行ったところ、あるにはあるけれど、襟ぐりが気に食わないとか、着てみると体全体が風船に見えるとか、今ひとつピンと来ません。
店を何件か見て、試着しているうちに、決断疲れという状態になります。
決断疲れとは?⇒決断疲れを回避する方法。ミニマリストになるのが1番です
脳が疲れ、理性的な判断ができなくなり、ブラウスを買うつもりだったのに、なぜか、たまたまセールで大幅に値引きされていた、バルーンスリーブのニットを買ってしまいました。
明るいグレーなので、かろうじて色は、希望に近い商品です。
そのニットを持ち帰って、家で着てみたところ、悪くはないけれど、「やっぱりブラウスがほしい」と思います。
そこで、後日、またバルーンスリーブで明るい色のブラウスを買いに出かけます。
この時も、希望にぴったり合ったものが見つからないので、妥協して、似てはいるが、自分の希望とは違う商品を買います。
これを繰り返していると、家に似たような服がどんどんたまっていきます。
完璧主義の人は、理想の1着を手に入れるまで、何着買っても、満足できないし、「いつかは満足できるものに巡り会えるはず」という幻想を持っているので、何着も買います。
洋服など、値段がそんなに高くないものは、複数買うことが可能なので、どんどん増えます。
妥協して何かを買い、「これこそ、希望の品だ」という商品を手に入れるまで、何度も似たような商品を買ってしまう。
このサイクルを断ち切るにはどうしたらいいのでしょうか?
その人の性格や、買う対象(服、靴、バッグ、文房具、本、コーヒー、おもちゃなど)、買い方、生活習慣によって最適な対策は違います。
いくつか妥協買いのサイクルから脱出する方法を書きますね。
迷ったら買わない
最初におすすめするのは、妥協しないことです。
それが、希望の白い風船袖ブラウスでなければ買いません。
10年以上前、石黒智子さんの本を読んでいたら⇒石黒智子さんの台所にあこがれたが:ミニマリストへの道(52)
「私は迷ったら買いません」という記述がありました。
石黒さんは、家電にしても雑貨にしても、自分がほしいものが、わりと明確で、それが見つかるまで、どこまでも探し続けるし、市場になかったら、自分で作ってしまう人です(私の持っているイメージです)。
だから、何かを選択するとき、妥協しません。
白い風船袖ブラウスじゃなかったら、グレーの風船袖ニットなんて、買うわけはないのです。
「迷ったら、買わない」というルールを作っておくと、物は増えません。
しかし、目当ての物が見つかるまで探すから、買い物にかける時間やエネルギーは増えます。リサーチもしなければならないでしょう。
そこで、完璧主義的傾向が強い人は、「迷ったら買わない。出会いは運命に任せる」というルールにしておくのはどうでしょうか?
わざわざ自分では探さず、「きっと、そのうち巡り会うときが来る」と思って暮らすのです。
そうすれば、探すことにエネルギーや時間を注がなくてすみます。
はずせないポイントを考えておく
希望の品があったときは、妥協する。だけど、このポイントは、はずさないでおこう。
そんな、どうしても押さえたいポイントを5つぐらい考えておきます。
引き続き、風船袖ブラウスの買い物を例にすると、値段は、1万円以内、色は、モノトーンかパステルカラー、素材はコットンか、それに近いもの、会社にも着ていける服、洗濯機で洗えるもの、など。
事前にはずしたくないポイントを考えておき、それを手帳や紙に書いて(スマホのメモ帳でもいいです)、それを持って売り場に出かけます。
売り場で、買うものを決めたら、お金を払うまえに、持参のメモを見ます。
はたしてその商品は、「はずしたくないポイント」をクリアしているのか、どうか?
こうやって確認しながら買うと、想定外の風船袖ニットを買わなくてすみます。
この方法を使うときは、必ず、事前にポイントを考えて、書き出し、そのメモを店に持っていき、参照しながら買ってください。
「そんな面倒なことやっとれん」と思うかもしれません。
しかし、私たちの脳は、そんなにたくさんのことを覚えてはいられません。
ワーキングメモリ(作業記憶)をうまく使って目の前のゴールを達成する(TED)
さらに、私たちの決断は、その場の状況に影響を受けます(柔軟に対応しているとも言えます)。
考えていたのと、全然違うものを買ってしまうのは、脳が、パソコンのようにあらかじめ決められたプログラムにそって、機能しないからです。
私たちの脳は、ほっておくと、最初の予定からどんどんはずれて、場当たり的な意思決定をします。
メモがあれば、大きく軌道からはずれることはありません。
許容範囲を広げる
「どうしてもこういうブラウスじゃなきゃいや」「これじゃなきゃだめなの!」という考え方を変えて、「こういうブラウスでも、ああいうニットでも、何だったら、ただのTシャツでもいいわ」「服なら何でもいいや」と許容範囲を広げてください。
そうすれば、グレーの風船袖ニットの購入は失敗ではありません。
失敗ではないので、その日から、ふつうに着ることができます。
完璧主義の人は、「それじゃなきゃだめなんだ」という気持ちが強いものです。
オール・オア・ナッシングの思考です⇒なんでも白黒つける考え方をやめるススメ。思い込みを手放して可能性を広げるには?
この思考を手放して、「べつにあれじゃなくても、これはこれで、けっこういいな、使えるよ」と思うことができれば、風船袖ニットを買った段階で、買い物は終了します。
エアコンのパーツなどは、自宅のエアコンは使えるものと使えないものがあるし、単4乾電池を入れる時計なのに、単3乾電池を買って帰ったら、使えません。
しかし、衣類の「使える・使えない」は、もっと柔軟に考えることができます。
オール・オア・ナッシングの思考は手放しておいたほうが、買い物に限らず、人生のいろいろな面で恩恵があります。
練習のつもりで、「これじゃなきゃだめ!」という思い込みを疑ってみてはどうでしょうか?
買ったら1年はつきあってみる
妥協して、「思っていたのとは全然違うものを買ってしまった」と思っても、すぐに見捨てたり、別のものを買いに走ったりするのではなく、最低1年は、その商品と付き合います。
風船袖ニットを、いろいろな機会に、30回ぐらいは着てください。
服を30回着る話⇒死ぬほど素敵なファッション(TED)おしゃれで安い服の大きな代償。
もちろん、嫌いなものを、無理やり着ているとストレスがたまるし、新品に近い状態で、メルカリで売って、そのお金で、白い風船袖ブラウスを買ってしまったほうが、全員が幸せになる、という場合もあります。
ですが、何度も何度も、妥協買いをして、似たようなデザインや色の、使わない服やバッグがたくさんあるなら、物を使うことより、買うことや所有することに意識が向いています。
あえて使ってみれば、買うほうに向けていた意識を、使うほうに向けることができます。
買ったものを使うことに意識を向けると、買い物に注ぐ時間やエネルギーがなくなるので、物の増殖が止まります。
時間はもちろん、私たちの意識や体力も有限です。
意識を向ける先を変えれば、生活は大きく変わります。
この続きはこちら⇒ついで買いが多すぎる:同じもの、似たようなものがどんどん増える理由(その3)
初回はこちら⇒何をどれぐらい持っているのかわからない~同じもの、似たようなものがどんどん増えてしまう理由(その1)
関連記事もどうぞ
捨てられない人は、物を大事にするとはどういうことなのか考えてみよう。
すでに持っているものに満足する練習:感謝できるようになる方法(その2)
****
以前、私も、「理想のバッグ」「理想の財布」を求めて、まだ充分使える商品が家にあるのに、同じものを何個も買うことがありました。
「理想の物」を見つけることより、「理想の暮らし」や「自分らしい暮らし方」に近づくために、エネルギーを注いだほうがよかったな、と今になって思います。