おじいさんとおばあさん

実家の片付け

まだ元気で生きている親の家を片付ける4つの理由とは?

母が1人で住んでいる実家に里帰りするたびに、自分の物や、母のものを捨てています。特に去年の夏は、集中的に母の生前整理をしました。

今回は、なぜ私が親の家を片付けるのか、その理由をお伝えします。

私が母の家を片付けるのは、自分がミニマリストだからではありません。確かに、物がいっぱいある実家に行くと、いきなり視覚的ノイズに襲われて、うんざりすることがあります。

しかし、ふだん物持ちの夫と暮らしているので、自分の部屋だけきれいにしておけばなんとか暮らせます。

キッチンや茶の間など、いろいろな物がぶらさがっている公共スペースもそのうち目がだんだん慣れてきます。いつも、実家から戻ると、自宅がとんでもなく「がらーん」と見えます。人間は「慣れる生き物」なのです。



物を持ちすぎている高齢者

なぜまだ生きている親の家を片付けるのでしょう?「親の家なのだから、ほっておけばいいのに」という考え方があります。

特に親がまだ元気な場合は。親といえども他人ですから。

それでも、私はやはり片付けるか、片付けを手伝うべきだと思います。

もちろん、何がどこにあるのかちゃんとわかるようになっていて、親が最小限の物で暮らしているのなら、話しは別です。

しかし、今、70代、80代でミニマリストというのは、めずらしいのではないでしょうか?

戦後の物のない時代に育って、その後、高度経済成長期を体験したこの世代の人はきっとたくさんの物をもっています。

子供の頃、物がなかったので、とにかく「いらない物が捨てられない」のです。

母と断捨離していると、毎日「もったいない」と言います。「もったいない」ので、大量のお箸や、紙袋をためこんでいます。

母に、「物がいっぱいあると、人生の貴重なリソースである、時間、スペース、体力を取られてしまうんだよ」と言っても理解しません。

そういう暮しがあたりまえになっているし、なんだかよくわからないけど、物がいっぱいあったほうが安心だと思っているのです。

しかも、母の趣味の1つは、テレビショッピングです。

このような理由から高齢者は必要以上に物持ちです。そのためこみ方は、半端ではないはず。

ためこむ上に、買い物をするので、物の数はうなぎのぼりです。

日本は資源がないので、輸出で外貨を稼ぐか、国民に物をたくさん買ってもらって経済を回して来ました。

戦後の物のない時代はわりとすぐに過ぎ、本当はもう物は充分あるのに、なんとか商品を売らなければなりません。

そこで、物を売る側は、商品だけでなく、その商品の需要も作ったのです。巨額のお金を広告やマーケティングに注ぎ込んで。

テレビの普及がこれを助けました。今の若者はテレビ離れしているそうですが、私が子供のころは、みんなテレビで同じ番組を見ていました。

テレビの影響力は計り知れません。日本はもともと均質社会なので、テレビの宣伝を見ると、皆、同じものを同じように買ってしまうのです。

今でも、テレビ番組で、「くるみが健康にいい」と聞けば、みんないっせいにくるみを買うので、国中のくるみのストックが底をつきます。

そんなふうにして、私たちの親世代はいろいろな物を家に入れてしまいました。それに、別に自分でお金を出して買わなくても、物はむこうからやってきます。

粗品、おまけ、引き出物、各種プレゼントなど、無料のものが大量に。

私たちの世代でも、意識して、一見ただでお得なものを水際で止めないと、どんどん不用品が家にたまります。

何も意識せず、物が入るままに任せている高齢者の家には不用品がいっぱいなのです。





高齢の親の家を片付ける4つの理由

私が高齢の親の家を片付けたほうがいいと思う理由はこれです。

1.物がいっぱいだと、親は安全に暮らせない

2.70歳をすぎると、肉体的に片付けたくてもできない

3.親に緊急のことが起こったときに、子供が必要なものをさっと取り出せない

4.生前整理しておかないと、すべて遺産整理することになり、費用がかかる

1つずつ説明します。

1.物がいっぱいだと、親は安全に暮らせない

上に書いたように、日本家屋は狭いのに、国民は知恵と工夫をこらした収納家具や収納グッズを使い、物をどんどん詰め込んでいます。物だけでなく、家具もセットで増えているのです。

生活誌や女性誌では、「収納特集」が毎月のようにのりますね。

みんな、必死で、物を収納します。こうした詰め込みが凶器になるのです。

ご存知の通り、日本は地震が多いので、こんなことをすべきではありません。

仮に地震が起きなくても、物をどけて動線を確保しておかないと、おじいさんやおばあさんは、簡単に、そのへんのものにつまづき、転んで骨を折ります。

高齢者の事故で1番多いのは、室内での事故です。

身の危険は、転ぶことだけではありません。

生活評論家の阿部絢子さんの実家には物がたくさんありました。ある時、一人暮らしをしていた阿部さんのお母さんが、熱中症で倒れたそうです。

というのも、物がびっしりで窓が開けられなかったから。阿部さんのお母さんの家は、ゴミ屋敷と呼んでもいい状態だったそうですが、一般のお宅でも充分ありうることです。

物が多いと健康が安全が脅かされる話はこちらに書いています⇒断捨離マジック~捨てることで手に入る5つの大切なものとは?

2.70歳をすぎると、肉体的に片付けたくてもできない

家の中に物があふれると、さすがに親も、「ちっとは片付けたほうがよかろう」と思うものです。

最近は、断捨離やこんまりの「人生が片付くときめきの魔法」など流行っていて、テレビでもよく取り上げられています。

ミニマリストも少し話題にのぼっていますね。

高齢者はテレビの視聴時間が長いので、「片付けたほうがいいのかも」と考える可能性はあります。

しかし、70歳をすぎると片付けたくても片付けられないのです。

まず目がよく見えないし、持病を持っている人が多くなります。私の母は80歳を過ぎているにしては、元気で、機敏に動いています。

それでも、「もう早く歩けなくなった」とこぼしています。

リューマチなどの病気にかかってないとしても、若いころのように、動くことは不可能です。

さらに、これまで物を捨てたことがないので、「捨てる決断」を1人ではできません。そんなことができていたら、そもそも、物はたまらないのですから。

やはり誰かが片付けを手伝うしかありません。

3.親に緊急のことが起こったときに、子供が必要なものをさっと取り出せない

70代では元気でも、80代になると、がたっと老ける、とよく聞きます。「本物の老人」になると言うか。

突然病院に入院することがあるかもしれません。あるいは、老人専用の施設に入ることになることも。

そういうとき、親の物のありかがわかってないと、準備をするのにたいそう手間取ります。

私の母は、大事なものはみんな仏壇の引き出しだったか、そばだったか忘れましたが、「そこに入れている」と言ってました。

これはけっこうわかりにくい場所です。どこかわかりやすい場所に、わかりやすい状態で入れておいてもらいたいものです。

そこで、母のものを片付けながら、物のありかの見当をつけています。

実際問題として、母に何かがあったとき、世話をするのは義理の妹です。少しでも片付けて義理妹になるべく迷惑がかからないようにしたいと思っています。

病気にならなくても、生活をダウンサイジングしたくて「引っ越したい」と思う高齢者はこれから増えていくはずです。そんなとき、たくさん物があっても、本人には片付けられません。

入院、施設への入居、引っ越し、この3つのうち、どれが起きても不思議ではないですね。

そうなる前に、少しでも片付けておいたほうがいいのです。

4.生前整理しておかないと、すべて遺産整理することになり、費用がかかる

これは親のためというより、残された人の都合です。

子供の都合ですが、子供にとっては深刻な問題です。遺産整理を自分でやろうとすると、時間も体力も取られます。業者に頼めば、馬鹿にできない費用がかかります。

ただ、こういう話を親には言うべきではないでしょう。私は、わりと率直なので、言ってみましたが、「あんた、私に早く死んでほしいのか」と、母はむっとしていました。

私はそんなつもりはさらさらなかったのですが。

確かに、80歳になってこんなことはあまり聞きたくないとは思います。

遺産整理の話はこちらに書いています⇒生前整理のススメ~すべてを遺品整理に回すより、少しでも生前整理をしておくべき理由とは?

*******

本当は、70歳になるまえに、身辺をきれいにしておくべきだと思います。

残り少ない人生の時間を片付けなんかに費やすのはもったいないです。

ですが、期せずして、あなたのお母さんやお父さんが、70歳を過ぎていたら、できれば一緒に片付けてあげてください。

親子のコミュニケーションを取るいい機会になりますので、悪いことばかりではありません。

親も暮しやすくなり、生活の質があがります。





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