古くて重い布団

実家の片付け

物をためこんでいる両親に、まだ使える物を捨てる理由を聞かれたときの答え方~健康編。

高齢者が物を捨てるべき理由の紹介、続きです。

実家に物がありすぎるから、少し断捨離を手伝おうとしたら、「まだ使える物なのに、どうして捨てるのよ?」とお母さんに聞かれた。

こんなとき、筋の通った理由を伝えることができると、親もやる気になってくれるかもしれません。

前回はメンタル編として、たくさんの物が心に及ぼす影響を紹介しました。今回は安全と健康面を見ていきましょう。

不用品を手放すと、より健康な人生になります。



1.安全性が高まる

物だらけの家より、物が少なく、ちゃんと片付いている家のほうが安全に暮らせます。

かなり以前に、お年寄りが転倒しやすい理由を書きましたが⇒なぜ高齢者は転びやすいのか?その原因と対策。50代の今から予防すべし

高齢になると転びやすくなります。床の上に余計な物やコードがあると、つまずくので危ないです。

まあ、若い人だって、足元に障害物がゴロゴロ転がっていたら、動きにくいです。動きにくいけれど、何かにつまずいてぐらっとしても、すぐに体勢を取り戻せるでしょう。

しかし、高齢者は、ばたんと倒れて骨を折る可能性が高いです。骨を折ると、そのまま寝ついて、社会復帰できなくなるかもしれません。





隣に住んでいた老夫婦

今を去ること23年前、娘が生後6ヶ月のときに引っ越した家の隣に、高齢のご夫婦が住んでいました。

年齢を知らなかったのですが、たぶんご夫婦とも70代か80代。2人ともお元気で、引っ越した当初は、おばあさんに、「お友だちになりましょう」なんて言われてたいました。ところが、ほどなくしておばあさんの姿を見かけなくなりました。

おばあさんは、転んで腰かお尻の骨を折って、寝たきりになってしまったのです。おばあさんはそのまま2年ぐらい寝たきり生活を送り、亡くなりました。

残されたおじいさん広い家に1人で暮らしていました。

よくお子さんのところに行っていた様子ですが、基本的に隣の家がおじいさんの家でした。このおじいさんはすごく耳が遠いため、私とは会話が成立しませんでした。しかし、なぜか夫とはよく話をしていました。

おじいさんは、若いころ、機械系の仕事をしていたのか、庭にある大きな入れ物に、古いぜんまいやねじ、機械のパーツみたいな、いかにも古そうで茶色っぽいものをいっぱいためていたので、夫と気が合ったのかもしれません。

おじいさんは杖をつくこともなく、冬になると家の前の歩道の雪かきをしていました。

でも、ある日、おじいさんの姿も見かけなくなったのです。スーパーで買い物中に、すべって転んで骨を折って、寝たきりになった、と夫から聞きました。

たぶん、床がぬれていたのでしょう。

何ヶ月かのちに、おじいさんも亡くなりました。

はじめて会ったとき、2人ともすごく元気で健康でした。

まあ、高齢だから、血圧が高いとか、そういう問題はあったかもしれませんが、ただ年をとっていただけで、健康状態は私とたいして変わらなかったと思います。ところが、転んで骨を折ったあと2人とも再起できなかったのです。

この2人のことがあってから、私は、「足腰だけはしっかり鍛えておこう」と思いました。

だから、基本的に運動は嫌いですが、今もスロージョギングやウォーキング、ミニトランポリンを熱心にしているし、スクワットもずっと続けています。

3日やって1日休むスクワットを始めた頃⇒30日スクワットチャレンジを50代主婦が実践中~効果のほどは?

もちろん、床の上はきれいにし、通路や階段のはしに物は絶対置きません。

私の夫は、階段のはしに靴(ブーツなど)を置くクセがありますが、危ないので、私が歩く場所に置くことは絶対許しません。

2.健康的な食事になる

ガラクタだらけの汚い環境にいる人より、きれいに整った家に住んでいる人のほうが、健康的な食事をする、という研究があります。

整った環境の中で暮らしていると、生活のほかの面も、きちんとしようという気になるのでしょう。

生活習慣は、1つ崩れだすと、他の面も総崩れになる傾向があります。

前回、ガラクタがメンタルに与える影響を書きましたが⇒物が多い実家にいる両親に、「なぜ捨てなきゃいかんのだ?」と聞かれたときの答え方~メンタル編。

ガラクタがいっぱいあると、「身の回りのことをちゃんと把握して、自主的にコントロールできているという気持ち」(sense of control、センス・オブ・コントロール)がなくなります。

主体的に生活するのではなく、物や外的状況に振り回される生活をしてしまうのです。

そうなると、食べ物にもあまり気を使わなくなります。一言で言うと、どうでもよくなります。

そもそも、ガラクタをいっぱいためているお宅にある冷蔵庫は、たいてい食べ物がいっぱいです。

賞味期限切れの食品が冷蔵庫のドアポケットにたくさん入っているかもしれないし、古くて半分腐りかけているような残りものを、うっかり食べてしまう恐れもあります。

野菜だって、新鮮なほうが栄養価が高いから、ためこまず、さっさと食べたほうがいいのです。

ガラクタを片付けて、体力と時間に余裕ができると、自炊する気持ちにもなるので、コンビニで買ってきた弁当や惣菜を食べるより、ヘルシーな食生活になります。

キッチンのカウンターやダイニングテーブルの上が物だらけだと、調理をする気になれませんが、きれいに片付けておけば、すぐに作業に取りかかることができるので、自炊する頻度もあがるでしょう。

3.病気になりにくくなる

家が整っていると、ストレスが減るので、病気になりにくくなります。

ストレスと病気の関係⇒なぜストレスは身体によくないのか、どうやってストレスに強くなるか(TED)

物だらけの部屋で寝るより、スッキリした部屋で寝た方が睡眠の質があがるので、免疫機能もアップします。

寝室にあるごちゃごちゃした物を捨てて快眠を得る:プチ断捨離22

周囲に浮遊するホコリやカビの胞子も減るから、呼吸器系の病気の予防にもなります。

先日、あるポッドキャストで、「なぜ、タバコをまったく吸わない人が、肺がんになるのか」という話をしていました。

肺がんには、喫煙の影響を強く受けるものと、さほど影響を受けないものがありますが、その番組に出ていた専門家は、「大気汚染が原因だ」と言っていました。

汚れた空気は万病の元なのです。

不用品がたくさんあると増えるホコリ、ダニやノミの糞や死骸、カビは空気を汚します(ついでに書くと建材や家電、消臭スプレーなどに使われている化学薬品もよくありません)。

本につく虫の話⇒捨てにくい本を捨てられるようになる5つの考え方。

ペットを飼っている人は、アトピーの人は、空気清浄機を使っていると思いますが、空気清浄機はけっこう高いし、ランニングコストもかかります。

機械に頼るより、ホコリ、ダニ、カビを増やしてしまうガラクタを一掃したほうがいいのではないでしょうか?

空気清浄機を使うにしても、余計なものは捨てておいたほうが、より効果を期待できます。

部屋のほこりを簡単に減らす9つの方法。まずほこりの元を断て。

室内の空気をきれいにする3つの方法。心身の健康に役立ちます。

それに、余計な家具や物が少ないと掃除が楽なので、まめに掃除するようになるため、この点でも、室内の空気をきれいに保つことができます。

☆この続きはこちら⇒高齢の親に断捨離する理由を聞かれたときの答え方~生活編。

実家の片付けに関する過去記事

なぜ実家は物だらけなのか? シニアが物をため込む理由(前編)

巣立った子供の物がありすぎる~シニアが物をため込む理由(後編)

実家にあふれる物を減らす長期的な作戦6つ。

夫の実家と自分の実家の両方を片付け終えて思うこと~物がなくても、その人のことは忘れない。

まとめ記事⇒「実録・親の家を片付ける」のまとめ

これもまとめ記事⇒実家の断捨離に関する記事のまとめ、その2

****

高齢者が家を片づけると得られるメリット、健康編をお届けしました。

前回の精神面のメリットもそうですが、「こんないいことがあるんだよ」と親に説明するとき、自分が実際にシンプルに暮らしているとより説得力があがります。

「物を減らして暮らし始めたら、こんなことがあったの」と実体験を交えて話すことができますから。

自分がガラクタの中で暮らしているのに、親に、「捨てたほうがいいよ」と言ってもまったく説得力がありません。

もし、不用品をたくさん持っているなら、「私も、シンプルな暮らしをめざしていて片付けているんだけど、いい効果があったんだ」という話し方をするといいでしょう。





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