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蒐集癖(しゅうしゅうへき)が直らずいつまでも汚部屋のままで困っています、喝を入れてください、という問い合わせをいただきました。
バッグのコレクションが好きな方です。この記事でアドバイスさせていただきます。
まずメールをシェアします。Nさんからです。
レア物を見ると欲しくなる
件名:蒐集癖が治らず困ってます
いつもありがとうございます。
自分の蒐集グセが治らず困ってます。
珍しい鞄やレアものを持ってることに優越感を感じたりするのですが、、
いつの間にかその集めたものが色褪せて見えてしまい、、売ったり捨てたりの繰り返しで部屋が汚いまま( ; ; )
だいぶん捨てたのですが、、もっともっとシンプルに生きたい!!
喝を入れてください!
お願いします。
Nさん、メールありがとうございます。
Nさんに必要なのは「喝」ではないと思います。「ついつい集めてしまう」、その気持ちに向き合えばいいのです。3つアドバイスを書くので、できそうなことからやってみてください。
1.なんとなく集めるのをやめる
今後も物を集めるのかどうか、一度ご自身の進退について、きっちり態度を決めてはどうでしょうか?
決めるところまでいかなくても、これからもわたしはレアなバッグを買って、時間がたってから売って、また買う、ということにお金、時間、エネルギーを使うのか、という点について考えてみるのです。
物をコレクションしながらシンプルに暮らすのは、簡単ではありません。物を集め続けるのは、それなりの覚悟がいります。
どこかで線引きが必要です。
わたしもやたらと物を持っていましたが⇒人はなぜ物を集めたがるのか?~私はこうして収集癖を断捨離しました
「物集めしながらシンプルライフにできるわけはない」と気付き、集める習慣はばさっと捨てました。
物を集め続ける覚悟はありますか?
世の中には、珍しいものを集めている人はたくさんいます。そういう人は財力があります。
物をコレクションするのはお金がかかります。ちょっと考えただけでも、
●レア物を買うお金
●集めたものを整理整頓してしまっておくスペースを用意できるお金
●集めたものを管理するのに使うお金
よいコンディションを保つためには、日々のメンテナンスが必要。自分でできないなら、お金を払って人に頼まなければなりません。
現在、Nさんの部屋が汚部屋なのは、集めたものの管理ができていないからです。
きっちり管理できるなら、集め続けてもいいでしょう。
Arne(アルネ)という大橋歩が出していた雑誌に、作家の村上春樹の家の話が出てきます。ちょっと紹介すると、
村上さんのおうちには収納庫が多い。地下室の収納部屋は湿度が一定に保たれるようにしてある。だって資料の保管庫なのですから。それに地下は夏は涼しく冬は暖かいのだそうです。それにしてもキチンと整理されている。すばらしいです。海外の翻訳本は1階の棚です。
彼は中古のジャズのLPレコードもコレクションしており、仕事部屋には、レコードがびっしり入った作り付けの棚があります。
この部屋は広いので、レコードを入れた棚があっても、圧迫感はありません。
これぐらいできるなら、物を集めてもいいかな、と思います。
Nさんは、「しゅうしゅう」という文字に「蒐集」をあてていますね。「収集」という漢字を使うと、ゴミの収集とか、物を寄せ集めるイメージがありますが、蒐集の場合、趣味や研究のためにコレクションしているニュアンスがあります。
蒐集する人は、経済力と覚悟が必要なのです。
村上春樹みたいにはできる人は少ないですが、もっと小さなスケールのコレクションでも、自分で集めた物に責任を取れるのか、という観点で考えてみると、バッグの蒐集癖が少しおさまるかもしれません。
それと、買っては売って、また買って、というのは本当のコレクションではないでしょう。物を集めている人は、1つひとつを大事にしているんじゃないですか?
Nさんは、買うことそのものにフォーカスしているのかもしれません。
2.「欲しい」と思ってもすぐに買わず自己分析をする
なぜレアなバッグを見るたびに欲しくなるのか、その感情の正体についてご自身でじっくり考えてみてください。
小さな子供は新しいおもちゃを見ると、「あ、いいな。欲しい。ママ買って!」という発想をします。
「欲しい!」ということしか見えておらず、その気持ちに対して、「本当に欲しいの?」「またすぐに飽きるんじゃないの?」「そもそも買うお金あるの?」という内省はいっさい行われません。
まあ、物心ついた子供だといろいろ考えるかもしれませんが。
しかしNさんは大人なのですから、「レア物バッグが欲しい」という気持ちを自分で分析できるはずです。
「欲しい!」と思うのは別に悪くないですし、感情を無理に抑えつける必要もありません。抑えつけようとすると逆に反動が起きます
しかし、「欲しい!」と思ったからといって、それを買わなければならない、なんて法律はどこにもないのです。「欲しい!」と思ってすぐに買う、というアクションは取らず、以下の点を考えてください。
●本当に本当に欲しいのか?
物を買うとコストがかかりますが、そのコストを払う覚悟と用意があるのか、じっくり考えます。
物を買って家に入れることで発生するコストの詳細⇒節約ではお金はたまらない。お金持ちになりたいなら、買わない暮らしが1番いい
●なぜ欲しいのか?
なぜそのバッグが欲しいのか、理由を考えます。
「バッグを集めたい気持ちに理由なんてない、とにかくバッグが好きなんだ」という答えになるかもしれませんが、メールには、「珍しいバッグを持っていると優越感を感じる」と書かれています。
これは承認欲求ですよね? 人からよく見られたい、認めてもらいたい、という気持ちです。
承認欲求について⇒強すぎる承認欲求(人にほめられたい気持ち)を手放す方法
承認欲求は誰でも持っていて、欲求を感じることそのものは別に悪くありません。私たちは、自分の欲求と、人の目(人にこう思われているという判断でこれは主体的なもの)のバランスを取りながら生きています。
人間は「ひとのあいだ」と書きますが、本当にうまいこと言うなあ、と感心します。私たちは他人がいるからこそ、存在意義が生まれるのではないでしょうか?
「人からどう見られているか」は重要ですが、優越感を感じるために、必ずしもレアなバッグが必要とも思えません。
それに、バッグをためこんで、汚部屋にあえぎつつ、バッグを持っているときだけ優越感を感じてもそんなに楽しくないですよね?
優越感を感じることを生きる支えにしていると、いろいろしんどいことになります。人と比べて、自分の価値を決めているということですから。
人と自分の見た目を比べて幸せになったり、不幸になったりする、ということです。程度問題ですが、わたしなら、そういうことで自分の価値を決めたいとは思いません。
人と比較すると不幸になる話⇒人と自分を比べるのをやめる方法。比較をやめれば物を減らせる。
バッグを買わなくても楽しい気分でいられる方法を探してみるてはどうでしょうか?
●過去に欲しいと思って買ったバッグの末路はどうだったか?
買ってもそのうち色あせて、売ったり、捨てたりの繰り返し、とメールに書かれています。
これ、今後もそうだと思います。きのうと同じ行動を続けているといつまでも同じパターンが続きます。
外側から強制的に自分の生き方を変えてしまうことでも起きない限り。
きのう書きましたが、地震など災害にあうと物に対する考え方が変わるものです⇒熊本地震で自宅が全壊し、物との付き合い方が変わった話。
ですが、べつに地震に遭うのを待つ必要はなく、いまこの瞬間に自分で、「もうバッグを買うのはやめてシンプルに暮らそう」と決めれば、そういう生活になります。
3.バッグを買う行動パターンを捨てる
いまは、特に何も考えず、珍しいバッグを見ると、「あ、いいな」と思い、買ってしまう生活習慣がついていると思われます。
この習慣を捨ててください。2つ方法を書きます。
きっかけを回避する
一番手っ取り早いのは、バッグを買うきっかけを見つけて、そのきっかけを回避することです。
自分がいつ、「新しいバッグが欲しい!」と思うのか、考えてみてください。
たいてい、そのバッグを見たときでしょう。いったいどこで新しいバッグの情報(刺激)を得ているのか思い起こし、その情報にさらされないようにすれば、バッグを買う気になりません
いま、手元にあるバッグ1つひとつについて、「わたしが最初にこのバッグの存在に気づいたきっかけって何だっけ?」と思い出してみると、パターンが見えてきます。
楽天など通販ショップでバッグを探しているのか、メルカリなどフリマアプリで見ているのか、それとも実店舗で見ているのか? インスタグラムで見た、なんてのもあるかもしれませんね。
仕事でバッグを扱っているなら、別の戦略が必要です。
その場合、わたしなら「商品には手を出さない」という感情の切り離しを行います。仕事で扱っているバッグは、自分の物にするための物ではなくて、お客さんが使うべき物だ、と考えるわけです。
いずれにしろ、きっかけがなかったら、「買う」という行動は起こりません。
しばらく、きっかけを回避して、買わないでいると、それがふつうになります。
リミットを設ける
買うバッグの数に制限を加えます。こっちで見たバッグ、あっちで見たカバン、すべて買うのではなく、厳選して買う、ということです。
たとえば、バッグを買うのは1年に1回、とか。
実用という面からみると、バッグはそんなにいくつも買わなくても大丈夫な代物です。
私自身は、もう新しいバッグを買う必要はないので、壊れない限り、手持ちのバッグで生きていきます。私の手持ちのバッグ⇒バッグだけ見てると30代ミニマリスト?レディースではなく男女兼用タイプが好みです
だからバッグは全然探していません。
1年に1回が難しい場合は、同じデザインのバッグは1個だけにとどめる、といった制限でもいいです。
自分にとって現実的な線でリミットを考え、それを守るようにしてください。
すると、行動パターンが変わります。
習慣の変え方⇒今の自分を変えたい。3Rで新しい習慣を身につける方法
これも習慣を変える参考になります⇒習慣のループを知れば、どんな習慣も変えることができる(TED)
バッグの減らし方⇒ついつい集めがちなバッグの減らし方、捨てどきはいつ? 今です
その他、コレクションの断捨離がトピックの過去記事も参考にしてください。
収集癖に悩むあなたへ。物を集める理由を知ってコレクションを断捨離する方法
せっかく集めたから捨てられない?コレクションを少しでも減らす10の方法
集めすぎたマスキングテープを捨てる3つの考え方。やめる勇気を持て。
こちらの記事で紹介している読者のお便りも参考になります⇒シンプルライフを目指しているのに、いつまでも服を買い続けていた理由がようやくわかった。 1通め、2通めがコレクションに関するメールです。
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今回はレアなバッグを買うのがやめられないという相談に答えました。
どんどんバッグを買い続けるのではなく、ちょっと立ち止まって、自分がやっていることを引きで見てみると、解決策が見つかります。答えは自分の中にあります。