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瞑想をやってみても、うまくできないと悩んでいる人の参考になる動画を紹介します。
タイトルは、How to Tap into Your Awareness(あなたのアウェアネスに入り込む方法)。ヨガのスペシャリスト、Yongey Mingyur Rinpoche(ヨンジー・ミンギュル・リンポチェ)さんの講演です。
アウェアネスは訳すのが難しいのですが、何かに気づいていること、自覚している状態です。
アウェアネス:TEDの説明
Meditation asks you to slip into a state of serene presence. But why does something that sounds effortless often feel so difficult? In this lighthearted invitation, spiritual leader Yongey Mingyur Rinpoche shares three steps to help you accept the ebb and flow of your emotions and learn to meditate anytime, anywhere.
瞑想は、静かな存在の中に入り込むことです。でも、簡単そうに聞こえることが、とても難しく感じられることがあるのはなぜでしょうか?
この軽妙なトークで、スピリチュアルリーダーであるヨンジー・ミンギュル・リンポチェは、感情の起伏を受け入れ、いつでもどこでも瞑想できるようになるための3つのステップをシェアします。
収録は2022年。動画の長さは11分。英語字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。
☆トランスクリプションはこちら⇒Yongey Mingyur Rinpoche: How to tap into your awareness — and why meditation is easier than you think | TED Talk
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
ヨンジーさんは、とてもユーモアがありますね。昔、パニックアタックに悩んでいた人とは思えません。これも、瞑想のおかげでしょうか。
実は瞑想は簡単にできる
きょうは瞑想の話をします。
最初に簡単な質問をしますね。
私の手が見えますか?
聴衆:はい。
私の声が聞こえますか?
聴衆:はい。
すばらしい、それが瞑想です。これで、私のトークを終わります。
もちろん、冗談です。でも、ある意味、これは本当なんですよ。
瞑想の本質は、気づくこと(awareness アウェアネス)ですから。ではアウェアネスとは何でしょうか?
自分が考えていること、感じていること、していること、見ていること、聞いていることを知っていることです。
たったそれだけです。
だから、実は瞑想はとても簡単なんです。
でも、多くの人は、瞑想はむずかしいと感じます。
なぜか?
瞑想に対する2つの誤解
瞑想に関して2つの誤解があります。
思考を止める必要はない
1つ目の誤解は、瞑想とは、何も考えないことだと思うことです。
考えるのをやめて集中するんだ、と。
でも、考えないようにすればするほど、考えてしまいますよね。
さあ、ピザについて考えないようにしてください。
ピザはだめ、ピザはだめ。
何が起きましたか? かえってピザのことを考えてしまいましたよね?
実は、考えるのをやめる必要はないんです。
ただ、アウェアネスにつながればいいんです。
幸せな気分を追い求めなくてもいい
もう1つの誤解は、blissing out(ブリッシング・アウト、この上なく幸せな気分になること)と呼ばれるものです。
穏やかさ、静けさ、喜び、リラックスを求めてしまうこと。
こうしたものを追い求めれば追い求めるほど、穏やかさ、静けさ、喜び、リラックスした気分は逃げていきます。
私の体験をお話ししましょう。
9歳から瞑想を始める
幼いころ、私はパニックアタックに悩んでいました。
ヒマラヤ山脈の真ん中の、すばらしい村で生まれたのに、常にパニックアタックに襲われました。
他人がすごく怖くて、外に出て人に会うことができませんでした。
さらに、ヒマラヤ山脈の嵐、雷、吹雪が怖くてたまりませんでした。
だから9歳になったとき、父に瞑想を教えてくれるよう頼みました。
幸い、父は、すばらしい瞑想の先生でしたから。
アウェアネスはいつもそこにある
父がまず私に言ったのは、「パニックと戦おうとするのをやめなさい」でした。
「パニックをなくそうとするのはやめなさい。そんなことをする必要はないよ」そう父は言いました。
なぜならアウェアネスは、山にある空みたいなもので、パニックは、嵐や雲のようなものだからです。
どんなに嵐が吹き荒れても、空の本質は変わりません。
空はいつもそこにあり、澄んでいて静かなんです。
私達のマインド(心)の本質であるアウェアネスも、いつもそこに、清らかに、静かにあるのです。
問題は、アウェアネスとどうやってつながるかわからないことです。
私達に見えるのは、思考や感情だけですから。
父は、アウェアネスとつながるための、練習法として3つのステップを教えてくれました。
ただ音を聞くだけでいい
1つ目のステップでは、物を使います。アウェアネスとつながることを助けるための物です。
これは私が父から学んだ最初の瞑想の技術です。
みなさんも一緒にやって、体の筋肉をほぐしましょう。
リラックスできなくても大丈夫ですよ。
目を閉じてください。そしてこの音を聞いてください。
[ヨンジーさんが、りんを鳴らす]
チーン
この音を、耳とこころが一緒に聞いたとき、
チーン
それが瞑想です。
パニックは、来て、去っていくままにまかせましょう。
ピザも、来て、去っていくままにまかせましょう。
チーン
ピザ2つ、ピザ3つ、ピザ10個
音を覚えていれば、ピザも手にできます。
チーン
チーン
チーン
どうでしたか? 音が聞こえましたか?
それが瞑想です。すごく簡単です。
ただ聞くだけです。
他には何もしなくていいのです。
もし、パニックがやってこようが、出ていこうが、気にしません。
ただ、音を聞けばいいのです。
雑念(モンキーマインド)が襲ってきても、そのままにして、音を聞いてください。
私もそうしました。ただ、私には大きな問題がありました。
私は怠け者だったんです。
瞑想は好きだったけど、瞑想の練習をするのは嫌いでした。
だから、13歳になるまで、練習をしたりしなかったりしました。
3年間のリトリート
13歳になったとき、3年間のリトリート(山などにこもって瞑想の修行をすること)が始まるところでした。
なまけ心を退治するいい方法だと思ったので参加することにしました。
最初の1ヶ月はよかったんです。
でも2ヶ月目になると怠け心が戻ってきました。
どうしよう? 怠け心とパニックは、とてもいい友達になりました。
リトリートでの生活が、悲惨なものになり、家に戻ったほうがいいと思いました。
でも、友達に、「リトリートする」と宣言してきた手前、ここで帰るのは恥ずかしい。面目を失いたくない。
でも、リトリートにとどまるなら、まだ3年もやらなければなりません。
どうすべきか?
結局、パニックと共に生きる方法を学ぶことにしました。
いつでも、どこでも瞑想できる
ここから、2つ目のステップです。
それは、いつでも、どこでも、何を使ってでも瞑想することです。
パニックと一緒に瞑想できるんです。
ただ、音を聞くだけです。音が瞑想を助けてくれます。
そして、パニックを見るようにします。
パニックが見えればいいんです。
川が見えるなら、自分は川の外にいます。
山が見えるなら、自分は山の外にいます。
パニックが見えるとき、アウェアネスは、パニックやうつ、ストレス、雑念を超えたところにあります。
パニックが来て、出ていくままにしておけばいいのです。
これがこの方法の1つ目の恩恵です。
パニックはばらばらにできる
2つ目の恩恵は、知恵が訪れることです。
パニックを見ると、そのパニックは、もう硬い石ではありません。
パニックは、ばらばらになります。
パニックのセンセーション、怖いイメージ、声、背後にある信念。
それぞれを、1つずつ取り出せば、もうパニックは見つかりません。
パニックは、シェービングフォームみたいなものになります。
一見、それは岩ですが、中は泡なんです。
受け入れる
3つ目の恩恵は、受け入れること(acceptance アクセプタンス)です。
自分にやさしくすること、自分を愛すること、セルフコンパッションです。
パニックが来て、出ていくままにすることこそ、本当のアクセプタンスですよね?
つまり、1つの中に3つあります。
アウェアネスの中に、愛、コンパッション、知恵があります。
これを私は、「1つ買えば、2つ無料」と呼んでいます。
こんな状態になれるのも、パニックがあるからです。
パニックは、とてもいい先であり、親友になるんです。
この練習をして、結局、私は、パニックとよい友だちになりました。
その数週間後、パニックはなくなりました。
こうして、私のリトリートは終わりました。リトリートはとてもうまくいったんです。
瞑想を教えるようになった
その後、自分ができるようになったことを皆にシェアしたいと思いました。
いろいろな場所で瞑想を教え、本を3冊、書きました。本はベストセラーになり、教え子の何人かは、僧院の長になりました。
すると何が起こったか?
私の中に新しいエゴが生まれたんです。
「おや、これは気をつけなければいけない」と思い、ワンダーリングリトリートをすることにしました。
これは、すべてを置いてリトリートすること。何も持たずに、街頭に行きます。
何も持たずに道に立った
2011年、僧院、生徒、寝心地のいいベッド、すべてを捨てました。
数千ルピー(数千円)だけ持って、街に出ました。
数週間でお金はなくなったので、食べ物を乞わねばなりませんでした。
そして、食中毒になったんです。
吐いて、下痢して、道端で1人ぼっちで死にかけていました。
どうしよう?
アウェアネスと一体化する
これから瞑想を練習する3つ目のステップです。
これはオープン・アウェアネス・メディテーションと呼ばれます。
アウェアネスそのものになること
空そのものになること。
もう助けはいりません。ただ、アウェアネスと一体化すればいいんです。
この練習をしました。
私の体はボロボロになりました。何も見えず、何も聞こえない。
でもこころ(マインド)は、そこにありました。自由を超えたところに。
数時間、その状態でいました。
幸いなことに、私は死なずにすみ、戻ってこれました。
戻ったとき、道端は私の家になりました。
木々は愛の木になり、顔にあたる風は、喜びとなり、残りのリトリートはとてもうまくいきました。
このリトリートからたくさんのことを学びました。
オープン・アウェアネス・メディテーション
このオープンアウェアネスメディテーションについてお話したいのですが、説明するのがとてもむずかしいんです。
ドラマを使って説明します。
これも父から学んだことです。
この数珠は、雑念(狂ったクレージーマインド)です。
[ヨンジーさんが、大きな数珠をぐるぐる回す]
オープン・アウェアネス・メディテーションは、何もしなくていいんです。
ただ、そこにいればいいんです。
[ヨンジーさんが、数珠を手放す]
これだけです。瞑想する必要はありません。
そこにいると感じること。自由になって、その瞬間にいればいいんです。
//// 抄訳ここまで ////
瞑想に関するほかのプレゼン
『必要なのは10分間の瞑想だけ』~物より心が大切です(TED)
落ち着いて、注意を向けて、ありがとうと言う、その方法(TED)
幸せは自分の心の中にある、幸せをアウトソーシングしてはいけない(TED)
マインドフルネスのパワー:いつもやっていることが育つ(TED)
静かにたたずむことが幸せにつながる~ピコ・アイヤー(TED)
瞑想で心の中を片付ける
4月は新しい環境で生活を始めることが多いから、何かと緊張しやすい月です。
新しいことをする前って、誰でも不安になりますよね?
そんなときに、とても自分を助けてくれるのが、日々行うほんの数分間の瞑想です。
ヨンジーさんが言うように瞑想は特別なことではなく、いつでも、どこでもできます。
リトリートなどに出向いて、本格的に瞑想を学ぶのも悪くないですが、それよりも、毎日、気軽に瞑想したほうが、心の片付けに役立ちます。
瞑想は、その瞬間に集中することなので、ストレスから脳を守ることができます。
買い物や通勤途中のすきま時間にスマホを見ている人が多いですが、いつもならスマホを見ている時間から、数分だけ使って瞑想してみるのはどうでしょうか?
私は、夜寝る前や、朝起きてすぐ、寝ころんだまま瞑想していますが、この方法だと、日中、瞑想のために余計な時間を取る必要がありません。忙しい人におすすめです。
忙しくて、気持ちの余裕がない人ほど、いらないものを捨てると、生活に恩恵があります。
いらないものは部屋の中にも、心の中にもあります。
瞑想して、美しく澄んだ空とつながってみてください。