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ものすごく部屋が荒れているので、「片付けなきゃ」と思いながらも、実際には手が動かない。
このような体験をする汚部屋の主(ぬし)はたくさんいます。
さまざまな理由から開始できないのですが、代表的な「片付けを始められない心理」を5つ紹介します。
0.原因がわかれば解決に近づく
なぜ行動できないのか、その原因がわかれば、自分に合った小さな行動目標を立てやすくなり、実際に行動を開始できます。
たとえば、後ほど説明しますが、「完璧主義」は、何かを始めたいと思っているときに、もっとも邪魔をする思考です。
「私は、完璧を目指しすぎているのかも」とわかれば、「ほどほどでいいと考えよう」とか、「とりあえず、目の前のものを1個捨てられたら、今日はいいことにしよう」と考えることができます。
1.圧倒されている
部屋中、ものがあふれかえっているその光景に心が負けている状態です。
私も、仕事や用事がたくさんあると、「え~、どこから手をつけたらいいの?!」と一瞬、パニックになることがよくありました。
娘(部屋を散らかす傾向あり)の家を10日に1度ぐらいの頻度で掃除に行っていて、かなりきれいになってきました。
しかし、まだ全然手をつけていない小さな部屋(セカンドベッドルーム)があり、床にモップをかけるときに、デスクやベッドの上をちらっと見ると、「うわっ!」と心の中で小さな悲鳴が上がります。
直視したくないから、ちらっとしか見ません。これが心理的に負けていて、避けようとしている状態です。
そして、「こんなに片付けるのは無理…」と最初からあきらめてしまいます。そもそも汚部屋は、視覚的ノイズが多いので、簡単にパニックになります。
視覚的ノイズ(見た目のごちゃつき)を極力なくすコツ(その1)~飾り物を減らす。
圧倒されないために
このような場合、部屋全体を見るのではなく、範囲を小さく区切って検討することをおすすめします。
たとえば、「机の上だけ片付ける」「床に落ちているものだけを拾う」といった具体的で小さな目標を立てましょう。
簡単な目標なので、数分あればクリアできます。
こうやって、毎日、小さな片付けを積み重ねれば、部屋はきれいになります。
場所だけでなく時間を小さく区切るのもおすすめです。タイマーを使って「2分だけ」と取り組んでみてはどうでしょうか?
たった2分なので、プレッシャーは大きくありません。
タイマーを使って仕事や家事に一点集中~ミニマリストのタイマー活用法とは?
2.完璧主義
はじめにも書きましたが、「一気に完璧に片付けないと意味がない」と思うと、手が出ません。
一気に、完璧に片付けるのは時間がかかるので、週末にしっかりやろうと考えスタートしないのです。
また、完璧をめざす人は、絶対失敗したくないので、「完璧に片付けられる方法」を探すほうに時間やエネルギーを使います。
片付け本をたくさん持っているのに、いっこうに部屋が片付かないのはそのせいです。
いくら断捨離本や片づけ本を読んでも部屋が片付かない本当の理由
先に綿密な計画を立てる人もいます。プランニングにリソースを使いすぎて、片付けまでたどり着けません。
完璧主義を手放すには?
ガチガチの完璧主義を手放す方法は、過去記事にいろいろ書いています。
ここでは、自分を許すことをおすすめします。
完璧主義の人は、何か(たとえば、自分の能力や人間としての素晴らしさなど)を誰か(親とか)に証明するためにがんばっているうちに、完璧を目指すことが普通になったと思います。
証明しようと必死になるのをやめましょう。
べつに証明しなくても、自分はそのままで全く問題ない、OKです、と考えてください。
片付けに関して言えば、「完璧に片付けることがゴールではなく、ちょっとでも居心地がよくなればいいのだ」と考えましょう。
不用品を少しずつ捨てることは、部屋を片付けつつ、完璧主義も直せるので、実は一石二鳥の活動です。
3.先延ばし癖
片付けたい気持ちはあるものの、「忙しいから明日にしよう」「また今度時間ができたら…」といった言い訳が先に立ち、片付けを先送りにしてしまうケースです。
片付けを後回しにする理由のひとつは、完璧主義ですが、もうひとつ、「片付けは時間がかかるし、大変だ」「大事なものを手放さないといけなくて、それはつらくて悲しくて涙が出るほどつらいことだ」といった思い込みも影響しています。
以前、ちょっと片付けたけど、そのたびに失敗して、前より散らかったという経験があると、それはトラウマになり、片付けをネガティブに考えてしまいます。
子どもの頃から、親に、「部屋を片付けなさい」とうるさく言われて育ったのなら、片付けを肯定的に考えることはできないでしょう。
捨て活を先延ばししないために
片付けを否定的にとらえていると、後回しにするので、だまされたと思って、「不用品を捨てるのは楽しいこと」だと捉え直してください。
もしくは、「今の自分を成長させること」「いいストレス解消法」「ダイエット法」「気分転換に行うちょっとした日課」「未来への自分へのプレゼントを準備すること」と考えてもいいでしょう。
そして、大規模な片付けに着手するのではなく、小規模な、誰でもできる片付けから開始します。
1日1個、不用品を捨てる。2分だけ机の上を片付ける、寝る前の5分、今日出したものを元に戻す、など。
そして、先延ばしをせず、何か捨てた自分をほめましょう。
4.片付けられないという思い込み
これまで、何度か断捨離に失敗したか、ほかのことでも挫折が多かった人生を送っていると、「私には片付ける能力がない」とか、「性格的に無理」と決めつけ、片付けに着手できません。
半年以上前に、断捨離をしようとして引っ張りだしたものが、そのへんで山になっていたり、家族や友人に、「あんたの部屋はいつも汚い」「掃除ができないのね」とよく言われていると、こうした「私はだめ感」がつのります。
「片付けてもどうせすぐ散らかる」といったネガティブな思い込みも、行動を阻む要因のひとつです。
自己効力感を高める
目標を達成するための能力が自分にある、私ならできる、大丈夫だ、という感覚を「自己効力感(Self-efficacy)」と言います。
自己効力感を高めるいい方法は、小さな成功体験を積み重ねることです。
バッグの中やサイドテーブル、引き出し、車のダッシュボードなど、小さめな場所を片付けてみてください。
小さいからすぐに片付きます。そして、「できた!」と成功をかみしめてください。
こういう「小さな成功」を英語で、small win (小さな勝利)と呼びます。
日本語では、片付けをしたあとに、「やった、勝った、達成した!」なんて言いませんよね。
せいぜい、「スッキリした」と言うぐらいです。でも、これは小さな勝利です。これを忘れないでください。
手帳やカレンダーを利用して、片付けの進捗状況を可視化するのも、「毎日がんばっていること」がわかるのでおすすめです。
なぜセルフ・エフィカシー(自己効力感)が重要なのか?(TED)
5.疲労やストレス
仕事や家事、人付き合い、学業などで疲れていると、片付けをする余力がないため、部屋の片付けは優先順位の下のほうになります。
肉体的に疲れていると、たいてい心の余裕もないので、そのへんに散らかっているものを元の場所に戻す気力さえもないでしょう。
現代は変化のスピードが速く、競争も激しいので、日々の疲れのせいで、片付けをスタートできない人はたくさんいるはずです。
まずリフレッシュ
この場合は、まず休息をしっかり取って英気を養いましょう。
5分~30分寝てから片付けてみるのはどうでしょうか?
さらに、片付けタイムを「癒やしタイム」にする演出も効果的です。
アロマオイルやキャンドル、茶香炉を使って、好きな香りの中で片付けてみたり、リラックスできる音楽をバックに不用品を選別してください。
ふだんから疲れをためないように、セルフケアをするのもいいでしょう。
そのへんを片付けてスッキリさせるのもセルフケアのひとつです。
■関連記事もどうぞ⇒汚部屋をきれいにしたいとずーっと思っているのに、なかなか行動を起こさない人へ。
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汚部屋の片付けをスタートできない心理的背景を紹介しました。
「自分の場合はこうかも?」と思うものを見つけたら、そのままにせず向き合ってください。
片付けをただの「掃除」「整理整頓」「家事」と思わず、自分自身の心や価値観を見つめ直す機会として捉えるといいですよ。
いずれの場合も、小さなステップから始めるのが有効です。
目の前にある何かをぽいっと捨てることから始めましょう。