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自信を持つ方法を教えてくれるTEDの動画を紹介します。
タイトルは、How to Build Your Confidence – And Spark It in Others(自信をもち、ほかの人にもそれをスパークさせるには?)。
教育者で活動家のBrittany Packnett(ブリタニー・パックネット)さんの講演です。
邦題は、『自分に自信を持ち、周りにも自信を持たせる方法』。
自信を持つ・TEDの説明
“Confidence is the necessary spark before everything that follows,” says educator and activist Brittany Packnett Cunningham. In an inspiring talk, she shares three ways to crack the code of confidence — and her dream for a world where revolutionary confidence helps turn our most ambitious dreams into reality.
「自信はべてのものがそのあとに続くために必要な火花です」。教育者で活動家のブリタニー・パックネット・カニンガムはこう語ります。
ひらめきを得られる講演で、彼女は、自信を得る3つの方法と、人々が自信を得て、野心的な夢を現実にできる世界になる自身の夢をシェアします。
収録は2019年、動画の長さは13分30秒。日本語字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。
トランスクリプトはこちら⇒How to build your confidence — and spark it in others
TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
シンプルですが力強いメッセージです。
自信を教えてくれた横顔
幼い頃、玄関を入ってすぐのところにあったリビングルームのコーヒーテーブルの上に本が置いてありました。
表紙にはセプティマ・クラークという名の女性の写真がのっていました。
空を見上げている完璧な横顔です。髪を三つ編みにし、黒い肌には誇りと知恵がただよっていました。
セプティマ・クラークは、活動家で教育者で、後に私のキャリアの手本となった人です。
でも、彼女が話したどんな言葉より、その1枚のポートレートが、自信とは何か、私に教えてくれていました。
自信は大事
自信の重要さを私たちは過小評価しています。
持たなければならないものではなく、「あったらいいわね」ぐらいに考えています。
私たちは、自信というソフトスキル(習慣や特性、評価基準があいまいなスキル)より、知識やリソースに価値を置いています。
しかし、どんな観点から見ても、今、私たちは、歴史上、どの時点より、多くの知識とリソースを持っているのに、相変わらず、不公平が多く、課題も山積みです。
もし、知識とリソースだけが必要なら、そんな状態にとどまっていないはずです。課題が多い社会で、欠けている大事なものの1つが自信だと思います。
私は自信にこだわっています。
自信は、そのあとに続くすべてのものを従える必要な火種です。
自信こそが、インスピレーションを受けることと、実際に始めることの違いであり、試してみることと、最後までやり遂げることの違いです。
自信があれば、失敗しても前に進み続けられます。
私が夢見ていること
コーヒーテーブルの上にあった本のタイトルは、“I Dream A World” (私はある世界を夢見る)でした。
私もある世界を夢見ています。革命的な自信のおかげで、私たちのもっとも野心的な夢が実現する世界です。
教師だった頃、まさにそんな世界を教室で作りたいと思っていました。
私の生徒は全員、黒人か褐色人種で、低所得者の家で育っていました。
移民や障害者もいましたが、全員が、この世界で、自信をもつことを期待されていない人間でした。
だからこそ、私の教室を、生徒たちが自信という筋肉を鍛えられる場所にしたかったのです。
この世界を自分の夢に合わせてデザインしなおすために必要な自信をもって、毎日、過ごせる場所です。
外に出て世界を変えるスキルを使う自信がなければ、いくら学力があっても、意味がありません。
さて、ここで、私の生徒のジャマルとレジーナの話をします。仮名ですが、できごとは事実です。
ジャマルのエピソード
ジャマルは優秀でしたが、集中力がなく、椅子の上でじっとできないタイプでした。ジャマルのような生徒は新任の教師を困惑させます。
どうやってサポートすればいいのかわからないから。
私は直接的なアプローチを取りました。彼と交渉したのです。
私が集中して仕事をできるようにしてくれるなら、彼は、教室のどこにいてもいいと。
ジャマルは作文が嫌いで、書いたものをクラスで読み上げることを嫌がりました。それでも、私たちは、前に進んでいました。
ある日、私は、2008年の大統領選の模擬投票を授業で行うことにしました。
バラク・オバマ、ヒラリー・クリントン、ジョン・マケインの3人の候補の1人を選び、応援演説を書くのです。
一番人気の候補は明らかですよね。でも、ジャマルはジョン・マケインを選んだのです。
彼は自分の書いた応援演説を教室で読み上げ、その見事さに皆が驚きました。
ジャマルの父親と同じように、ジョン・マケインも退役軍人で、お父さんが自分を守ってくれたように、マケインが国を守ってくれるとジャマルは、信じていました。
マケインは私が選んだ候補者ではありませんが、そんなことは関係なく、はじめて勇気を出して、自信をもって発表したジャマルに、皆がスタンディングオベーションを送りました。
レジーナのエピソード
次はレジーナの話です。レジーナもやはり優秀でしたが、活発でした。
自分の分は終わらせて、ほかの生徒にちょっかいを出すのです。
歩いたり、話したり、伝言を渡したり。
私は理想の授業をしたいと思っていましたが、そうできないこともよくありました。
よい先生なら、生徒の間違いをただしつつも、生徒を尊重し応援できます。でも、私は、ある日、レジーナをコントロールしようとしたのです。
つまり、私は切れてしまったのですが、レジーナが授業の邪魔になっていることは伝わりませんでした。
私は、レジーナ自身が邪魔者なのだと、伝えてしまったのです。
彼女の目から光が消えました。その光は、クラスに喜びをもたらしていたのに、私が消してしまったのです。
皆がイライラし、その日1日、その状態のままでした。
その日のことを私はよく考えます。私自身が昔、レジーナのような少女だったから、あのとき、レジーナの自信を永遠に奪ってしまったのではないか、そうでなければいいけど、と考えるのです。
自信がないと起きること
自信のなさは、私たちを、どん底から下に引きずりおろします。上から重みがのしかかり、できない、やれない、無理だ、の間で私たちは押しつぶされます。
自信がないと、身動きが取れず、動けないと始めることすらできません。
しかし、自信があれば、邪魔するものに振り回されず、確信をもって行動できるようになります。
勝てると確信があるときと、勝てたらいいと願っているときは、少し違う行動をするものです。
これは有効なチェックポイントです。自信がないときは、目標を修正したほうがいいかもしれません。
自信がありすぎるときは、現実に根ざしていないかもしれません。
誰もが自信がないわけではありません。この社会では、人々が好むリーダーの原型に当てはまる人は、自信を持ちやすくなっています。
特定の人が自信をもつと、報酬をあたえ、別の人が自信を持つと、罰しようとします。
あまりにも沢山の人が、自信がないまま日々を過ごしています。
ある人たちにとっては、自信は革命的な選択です。自信というエンジンがないために、最高のアイデアが実現されず、もっとも輝かしい夢に届かないのは、本当に残念なことです。
では、どうしたら、自信を得られるでしょうか?
少なくとも3つのことが必要です。許可すること、コミュニティ、好奇心です。
許可することが自信を生み、コミュニティがそれを育み、好奇心が、自信を確かなものにします。
許可すること
教育の現場には、「見えないものにはなれない」という言葉があります。
子供のころ、誰かに見せてもらうまで、私は自信が持てませんでした。
私の家族は、なんでも一緒に行動しました。車を買い換えるといった日常的なこともそうです。そのたびに、私は両親の行動を見ていました。
ディーラーシップに行くと、父が座っているあいだに、母が気に入った車を見つけ、ディーラーに話をしに行きます。
ディーラーは、いつも、父に話しかけます。財布のひもを握っているのは父だと思いこんでいるからです。
しかし、父は、毎回、ゆっくり無言で母のほうに身振りをして、「担当はこの人だ」、と示したのです。
80年代に黒人女性がお金の交渉をしたのが衝撃的だったのか、母はいつも、ディーラーをやりこめて、ほぼ無料で車を譲ってもらったのを私は見ていました。
母は絶対笑顔を見せず、立ち去ることを恐れることもありません。
母は、うまく車を手にいれる様子を私に見せていると思っていましたが、私が見ていたのは、皆の期待を裏切り、ほかの誰が疑おうとも、自分のスキルを自信をもって見せる母の姿でした。
コミュニティ
自信をもつには許可が必要ですが、コミュニティは自信を試すのに、一番安全な場所です。
今年ケニアに行って、マサイ族の女性のエンパワメント(力を強化すること)を学びました。
そこでケニア初の女性だけのレンジャーグループに出会いました。
このグループの8人の女性たちはまだ10代ですが、歴史を作っています。このグループで一番おしゃべりなピュリティに「怖い思いをしたことはない?」と聞いてみました。
彼女の返答を全身に入れ墨入れたいぐらい感動しました。
「もちろん、怖いときはあります。そういうときは仲間を呼びます。仲間が、私たちは男性たちより優れた存在になれるし、失敗しないことを思い出させてくれるんです」。
ライオンを追いかけ、密猟者をつかまえるピュリティの自信は、彼女の運動能力や信仰から来るのではなく、仲間との連帯や、コミュニティから来ていたのです。
好奇心
コミュニティで、自信を見つけ、皆の好奇心がそれを確かなものにします。
キャリアの初期に私は大規模なイベントを企画して、大失敗したことがあります。
マネジャーにそのイベントの報告をしたとき、マネジャーが、私がこれまでにした失敗を全部並べ立てるのではないかと思っていました。
ところが、マネジャーは質問から始めたのです。
「意図していたことは何だったの?(What was your intention)」
驚きましたが、ほっとしました。マネジャーは、すでに私が自分を責めていることがわかっていて、彼女の質問が、失敗から学ぶきっかけになりました。すでにしぼんでしまった自信を傷つけるのではなく。
好奇心があれば、自分で学ぶことができます。マネジャーとのやりとりのおかげで、私は次のプロジェクトは成功すると思いながら進めました。
許可すること、コミュニティ、好奇心。すべて、自信を養うのに必要です。
自信があれば夢を実現できる
そして、課題を解決したり、夢みている世界を作り上げたりするのに、自信は絶対必要です。
不公平が解消され、正義が現実にある世界、私たちが心底自由になれる世界。全員が自由にならない限り、誰も自由になれません。
女性だろうと黒い肌の人間だろうと、リーダーの原型にあてはまらない人であろうと、自信をもって、怯えなくてすむ世界。
そのような自信こそが、私たちが求めている未来を切り開く鍵になる世界。
そんな世界が本当に実現することや、私たちがそれを実現できることを信じる自信が私にはあります。
//// 抄訳ここまで
自信に関するほかのプレゼン
誰にでも創造性はある。自分はクリエイティブだと自信を持つ方法(TED)
女の子に勇気を持つことを教えよう。完璧であることではなく(TED)
誰だってリーダーになれる。自分の持っている力を認めよう(TED)
やらなければ自信は生まれない
このプレゼンで面白いのは、知識や情報がいくらあっても、自信がなければ、それらを活かせない、と語っているところです。
これは、断捨離にも言えることではないでしょうか?
今、片付けや断捨離に関する情報は山のように出ていて、日頃、片付け本を愛読している人もたくさんいます。
皆、知識は持っています。
そもそも、片付けとは、不用品を捨てることなので、そんなに、あれこれ知識がいるわけでもありません。
飛行機の操縦や外科手術をするのとは違いますから。
それなのに、不用品を捨てることができないとしたら、「私は捨てることができる」という自信がないからではないでしょうか?
自信をつちかうのに必要な3つの要素である、許可、コミュニティ、好奇心を、片付けにあてはめてみると、
・捨てる自信をもつことを自分で自分に許可する(私は片付けられない人、といった妄想を捨てる)
・自信を否定しない人とつきあう(できるわけがない、などと言う人とは距離をとる)
・捨てたら、どんな生活になるんだろう、と考える。捨てることに失敗したら、どうしてなんだろうと考える
こうなります。
そして、何よりも、捨て始めなければ自信は生まれません。
もう情報は十分集まっているので、すぐに捨て始めてください。
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「捨てることができません、断ることができません」というお便りをよくいただきますが、いったい、何回、試みたのか考えてください。
50回ぐらいやったけど、失敗したのでしょうか?
それとも、1~2度やってうまくいかなかったから、「できない」と結論づけたのでしょうか?
「できない」と思っているから、できないことはよくあります。