服を買う女性

ファッションをミニマルに

最終更新日: 2019.03.30

日本製の服をつい買ってしまう。手持ちの服は愛着があって捨てられない←質問の回答

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終活を考えている人から、110点ある服のどれにも強い愛着があり捨てられない。しかも、日本製の服の買い物への衝動が止まらない。どうしたらいいか、という質問をいただきました。

この記事で回答します。

まずメールをシェアします。やまぼうしさんからです。



どれにも愛着があり断捨離できません

件名:日本製品に弱い私

筆子様

はじめまして。やまぼうしと申します。

ある方のブログがきっかけで筆子ジャーナルを知り、最近よく読むようになりました。『1週間で8割捨てる技術』も読みました。

相談にのって頂けないでしょうか。

私は63歳の専業主婦です。

若い頃は主人の給料も低く、とても節約を心がけ、洋服やバッグなども買うときはとても慎重で、ボロボロになるまで使いました。

子供が自立し、経済的余裕が少しでき、またおしゃれする時期もそう長くないと思い、この頃よくお洋服や職人さんの手作り雑貨などを買ってしまいます。

それも日本製へのこだわりがあり、衣料品の国産が占める割合は何とたったの2.5パーセントと聞いて、なんか意地になって日本製を買ってしまいます。

先日もデパートで2点洋服を買い、帰宅してさんざん迷い、買ったことも少々後悔しながら、3点ほどあまり使っていない日本製をごめんねと言って捨てました。

家は、なんとかシンプルライフと言えるほどすっきりしていますが、洋服は数えたら、オールシーズンで110点もありました。

どれも愛着があり、買った時のときめきが長く続くタイプです。

筆子さんと同じく終活を始めなければと思っています。

半分ほどに減らしたいのですが、どうしたらこのかわいい子たちを捨てられるでしょうか。また日本製を見ると買いたくなる衝動と言うか責任感みたいな心をどうすればいいのでしょうか。

お忙しいところを申し訳ありません。

いつも明快な、時に吹き出すようなユーモアある文章を楽しみに拝見しています。質問の公開、大丈夫です。

やまぼうしさん、こんにちは。お問い合わせありがとうございます。

質問は2つですね。

まず買い物をやめる方法、次に、洋服に対する執着をはずす方法を書きます。

1.買い物をする本当の理由を考えてみる

不要な買い物をやめるために、まっさきにすべきことは、なぜ自分は買い物をするのか、その理由を自分で考えることです。

どうしても必要だから買っているわけではないですよね? 不要な買い物のほとんどは、ただ単に楽しいから、ストレス解消のため、自分の心の中にある穴を埋めるためといった理由で行われます。

他人と同じでいたいという強迫観念や自己顕示欲が原因のこともあります。

たとえばこんな理由です⇒衝動買いをやめられない7つのパターン。自分の精神状態がわかれば防げます。

単に買い物がクセになっているケースも多いです。

やまぼうしさんの場合、メールにもあるように「おしゃれがしたい」というのがその理由ではないですか? あるいは「買い物をして(お金を使って)ストレス解消したい」とか。

テレビショッピングのチャンネルの番組を見るのが好きな私の母(84歳)は、「お金と使うとスッキリする」と言っていました。

私の母も「若いときおしゃれできなかったから」と言います。しかし、こういう「若いとき買えなかったから、いま、私は買い物をする」とか「いましかおしゃれできないから、買い物をする」というのは、すべて服を買う後づけの理由ではないでしょうか?

結局のところ、買い物が楽しいので、みんなショッピングに走るのだと思います。

なぜ買い物が楽しいのか、その理由は先日お伝えしました⇒買い物で気分があがるのはドーパミンのせい。この仕組みを知って無駄遣いを防ぐ。

別に、それが悪いということではありません。ただ、買い物ばかりしていると、その結果、困ったことが起きるのも事実です。そこで、うまくバランスを取る必要があります。

自分が買い物をする本当の理由について考えるクセをつけると、買い物をコントロールしやすくなります。





2.日本製にこだわる理由を考えてみる

次に日本製の商品を買う衝動を抑える方法ですが、こちらも日本製にこだわる本当の理由を考えることで解決できます。

もしかしたら、日本製の商品なら買ってもいいんだ、と、買い物するための都合のいい理由を作っているのかもしれません。

無節操に服を買ってしまうのはまずいけど、日本人が作ったものならば、日本の職人さんを支える大義名分があるため、買ってもいいのだ、と自分に免罪符を渡しているのではないですか?

人間とはおもしろいもので、あるところでよい行いをすると、別のところで自分に甘くなります。

よいこと(やるべきだと思っていること)をすると、無意識に、やるべきでないことをするのを許してしまうのです。

これをモラル・ライセンシング(Moral licensing)といいます。

たとえば、ダイエットしている人が、レストランでサラダをオーダーすると、デザートを食べてしまう率があがるそうです。「ヘルシーな物を食べたから、デザート食べてもいいよね」という不思議な発想をするのです。

かくして、ふつうの食事をした人よりトータルでカロリーがあがります。

また、環境団体に寄付をすると、そのあと、無駄遣いをしてしまったりします。

よいことをした自分に対するご褒美として、ふだん「やるべきではない」とがまんしていることを行うのです。

やまぼうしさんのメールを拝読したとき、私がまっさきに考えたのが、このモラル・ライセンシングです。

自分の行動の理由を考えてみると、モラル・ライセンシングのワナから抜け出すことができます。

詳しくはこの本をお読みください。ケリー・マクゴニガルの「スタンフォードの自分を変える教室 」です。

日本製を見ると買いたくなるといっても、それは服や雑貨だけですよね?

日本経済を活性化させるために、愛国心から買い物をしたいのであれば、別に服ではなく、地元産のじゃがいもやキャベツ、花や盆栽、国産のヒノキの湯おけなんかを買ってもいいわけです。

産直の野菜を買えば、ローカル経済を支えつつ、物も増えません。

「日本製の服を買うな」という話ではありません。今着ている服がだめになって、買い替えが必要になったら、国産の服を買えばいいのです。

服がだめになるのを待っていられない、常日頃から日本の職人さんをサポートしたい、というならば、買い物以外でもできることがあります。

買い物にさいている時間をボランティア活動にあてたり、その時間、働いて収入を得、税金をおさめれば、それが政府を支えることになります。

関連記事もお読みください⇒みんながミニマリストになったら日本経済は衰退するのでは? という質問への回答。

こちらも参考になります⇒お金を使わずに1年暮らしてわかったこと:キャロライン・ホーグランド(TED)

次に現在お持ちの服の減らし方です。

3.自分の執着の正体を見極める

服に対する執着をはずす方法も買い物をやめるのと同じメソッドを使います。

つまり、執着している理由を自分で考えてみるのです。

「どれも愛着があり、買った時のときめきが長く続くタイプ」と書かれていますが、これも服を捨てない後づけの理由じゃないですか?

110点の服のこと、すべて頭の中に入っているとは思えません。私は服を14着持っていますが、ふだんあまり着なくて、カゴの下のほうに入っている服や、季節物の服を久しぶりに見ると、「ああ、これあったんだ」と思い出します。

ふだんは忘れているのです。

なぜ、ただの服が「かわいい子」に思えてしまうのか、その理由を考えてください。

言うまでもなく、衣類はただの物です。人間の生活に必要な道具の1つです。

自分の意志を持ち、日々成長していく人間の子供とは違います。そういうただの物たちに、「かわいい」とか「ときめく」といった感情的な意味付けをしているのは自分なのです。

やまぼうしさんは、何らかの理由があるから、服にそういう意味付けをし、その意味付けをキープしたいと思っているのでしょう。

それは単なる思考のクセかもしれません。いずれにしても、その理由は私にはわからないのでご自身で掘り下げてみてください。

4.優先順位を見直す

服への愛着を優先する、という方法もあります。

110着ある服を半分にしたいそうですが、その理由、ご自身でわかっていますか?

110着といったら、一般的な日本女性の服の持ち数に比べると少ない方だと思います。

服を手放すとき、かわいい子を旅に出すような気持ちになるほど、服にこだわりがあるなら、無理に捨てることもないでしょう。

断捨離や終活は、自分の生活や人生をよくするために行うことですよね。つらい思いをしながらやることはありません。何ごとも向き、不向きがあります。

服を減らす明確な理由を自分で意識していないと、「人や世間からやらされている断捨離」になってしまい、うまくいきません。

服を55着にすることがやまぼうしさんにとって、どんな意味があるのか、見直してみることをおすすめします。

よくよく考えると、110着の服をキープしたままでいるほうが、自分の人生はよくなる、という結論に至るかもしれません。

実際、服好きな人が多いようで、「服を捨てられない」「服が減らない」「つい服を買ってしまう」という相談はひじょうに多いのです。

先日も1つ答えました⇒素敵なミニマルクローゼットにしたくて、かえって服を買ってしまう問題の解決法。

この記事もやまぼうしさんの参考になるかもしれません⇒服は最低限にしたいが、人からおしゃれに思われたい、という相談の回答。

こんな記事も書いています⇒服が好きで買わずにいられない、どうしたらやめられますか、という質問の回答。

みんな、服が好きすぎるのか、過剰な意味付けをしている印象です。

ここまで苦しむほど服にのめりこんでいるのなら、もう運命共同体として、一生を添い遂げてもいいかもしれません。「捨てよう」と思わなければ、悩むこともないですから。

服の処分は後回しにしてもいいでしょう。服以外の物を徹底的に捨てれば、かなりスッキリするのではないでしょうか?

いろいろ考えた末、やっぱり服を捨てることにしたいなら、おしゃれな人には、333プロジェクトをおすすめしています⇒ミニマリストらしいファッションの選び方。プロジェクト333のすすめ。

10月からやってみてください。

先日、「333プロジェクトをやろうと思ったけれど、33アイテムにしぼれなくて、結局挫折した」というメールをいただきました。典型的な完璧主義者の声です。

別に33じゃなくてもいいんです。40でも50でもOK。ポイントは「制限をもうける」ということです。

さらに、洋服ノートを作ることもおすすめしています⇒服の買い過ぎ防止に効果がある「洋服ノート」の作り方。

服の捨て方に関してはほかにもたくさん記事を書いています。お時間ありましたら読んでください⇒洋服を減らしたいならこれを読め:ファッション関連記事のまとめ

***********

いつもたくさんのメールを、ありがとうございます。

質問する方は、できれば、1つのメールには1つだけ質問を書いてください。2つも3つも質問が書いてあると、記事で答えにくいからです。よろしくお願いします。

解決したい問題はたくさんあるでしょうが、いまの自分にとって、もっとも重要な問題からタックルしたほうがいいと思います。





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