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達成したい目標がある人に役立つTEDトークを紹介します。
タイトルは、Mindset is more important than strategy (マインドセットは戦略よりも重要だ)。
ライフコーチの、Preston Pugmire(プレストン・パグマイヤ)さんの講演です。
タイトルどおりの内容です。
マインドセットが重要
収録は2019年の1月。長さは13分。自動で生成される英語字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。
シンプルでわかりやすい構成のプレゼンです。
戦略を知りたがる人が多いけど
2年前、私は破産状態でみじめでした。そうじゃないふりをしていましたが、何かを変えなければならないと思っていました。
経済的にも感情的にも苦しんでいましたが、ポッドキャストを始め、自分のカテゴリーで1位となり、起業家の心のコーチとしてのビジネスも成功しました。
どうやったか知りたいですか?
戦略やステップを誰でも知りたがります。
でも、必要なものが情報だけなら、みんな今ごろ億万長者だし、腹筋だって割れているでしょう。
重要なのはマインドセット
情報はみんなあるのに、ゴールを達成できないことがありますよね?
なぜか?
戦略よりマインドセットのほうが重要だからです。
これは、ゴールに到達するプロセスを示す木の絵です。
上のほう、つまり枝や幹はよく見えます。これが戦略でありステップです。
しかし、この構造を支える根は見えません。これがマインドセット、信念、思考です。
木は、上に成長するまえに、まず、下にある根が成長します。これと同じように、成功するためにはまずマインドセットをもつ必要があるんです。
マインドセットの3つのステージ
私が成功に至るまでのマインドセットには3つの段階がありました。
最初のステージは、「他の人だからそうできる」という思考。
2つ目は、「自分にもできそうだ。でもどうやって?」という思考。
3つ目は、「自分が成功しないはずがない」という思考。
今から、それぞれについて説明するので、自分がどの段階にいるか考えてみてください。
誰でも最終ステージに到達できますよ。
自分じゃないからできる?
私は最初のステージにずいぶん長い時間いました。
他の人だからできるとずっと思っていたんです。
そう思っていたからこそ、他人の成功が目につきました。
現在、大きなイベントの司会の仕事をすることがあります。その場でポッドキャスターとして成功した私の経歴も紹介されます。
すると、若い男性が近づいてきて、私に聞くんです。「自分もいつか、そんなふうに成功したい。どうやって成功したのか教えてほしい」と。
彼も成功する前のどこかのステージにいるわけです。
私は、「じゃあ、私が必要なステップを全部教えたら、できると思いますか?」と彼に聞きます。
すると、彼は、「え、僕が? いやあ、無理ですよ」と答えるのです。
「自分にできると思わない限り、戦略は意味がないですよ」と言うと、「ええ、きっと、そうですね」と言って、彼は立ち去ります。
「他の人だからできる」と思う段階にいたとき、ポッドキャストを聞き、YouTubeやTEDトークも見て、そういうことができる人になれたら、どんな感じがするだろうかとずっと考えていたような気がします。
信念を変えなければならない
食料品を買うお金がなくて妻が泣いているのを見るときまで、その思考の中に閉じ込められていました。でも妻の涙がきっかけで、私は、「自分にも可能だ」と考えるステージに進んだのです。
しかし、どうやって?
2番めのステージに進むきっかけは何? と思うでしょう。
次のきっかけに進むのに、私のようにどん底まで落ちる必要はありません。
でも、「他の人の成功は、自分には手が届かないその人の資質や環境のせいだ」と言い訳するのをやめる必要があります。
さて、その日から、私は方法に意識を向けました。
方法を考えるのは正しい方を向いています。しかし、順番が違います。
戦略より先にマインドセットが必要です。
やり方や戦略にこだわることは、「自分の成功は、自分の外部にあるものにかかっている」と考えることですから。
ニューヨーク・タイムズのベストセラー作家、デヴィッド・アレンは、こう言っています。
「脳には、パソコンと同じように検索機能があるが、パソコンの機能よりパワフルだ。というのも、人が意識を向けるものによって、プログラムされているから」。
これはどういう意味でしょうか?
説明しましょう。
レティキュラー・アクティベイティング・システム(RAS)
一番最近買った車について考えてください。
色、年式、作り、モデル。
その車に乗り、エンジンをかけ、購入した場所から走り去るところを想像してみましょう。
車で走っていると、突然、町の人全員が、同じ日にあなたとそっくり同じ車を買ったように思えます。
これは脳のレティキュラー・アクティベイティング・システム(Reticular activating system、網様体賦活系、もうようたいふかつけい、通称RAS)のせいです。
これは中脳の上から延髄の下までのびています。
RASが、どの刺激が重要であり、どれを捨てるべきか決め、習慣化を制御します。
このシステムのありがたいところは、何が重要か、本人が決められるところです。
だから、「自分のゴールは、他の人にしか達成できない」と思っていると、いたるところでその証拠を見つけてしまうのです。
「ゴールに到達するのは避けられないことだ」と思えば、その証拠がどんどん見つかります。これは、科学です。
成功するしかない、というステージに行くには?
「自分がゴールを達成するのは避けられない」という信念があれば、RASが活性化され、ゴールに到達するためのリソースやチャンス、これまでそんなものがあるとは思いもしなかった選択が見えてきます。
そうしたものは、実は前からあったんです。
「自分にもできるかも?」という段階から、「自分にできないわけがない」というステップに行くにはどうするか?
4つのプロセスを考案しました。
わかっています。「やり方にフォーカスするな」と言っているのに、ステップを提示するなんて、おかしいですよね? でも、どこかでスタートしなければなりませんから。
「できないわけがない」というステージに行くまでのプロセスをFACTという4文字のアクロニム(頭字語)にしました。
Focus on your wins (勝利に意識を向ける)
RASを利用するため、私は35個の勝利(成功体験)をリストアップしました。
すると、そこら中にあることに気づきました。
それまで私は、自分のゴールと現状の大きなギャップばかり見ていたので、成功したことに意識を向けるのは、自分らしくない行動でした。
皆さんも、家に帰ったら、勝利した体験を書いてください。その体験に意識を向ければ、脳がそれを探すよう活性化します。
Ask useful questions (役立つ質問をする)
脳に質問すれば、答えを考えついてくれます。
きょうの下着の色はなんですか? 答えを考えましたか? では隣の人の下着は何色でしょう? 今、脳が何を考えていますか?
質問すれば、脳がその答えを考えるんです。
「ああ、なんで自分は失敗ばかりなんだろう」「なんでやせないんだろう」「なぜ、自分はいつもこんなことをするのか?」といった質問をしていると、脳がその答え(自分がだめな理由)を探します。
そこで、「まだ使っていないリソースにどんなのがあるだろうか?」と聞きましょう。
「できない」「できるかも」「できるとどんなふうになるだろう」「今、この瞬間にコントロールできることはなんだろう?」など、質問によって違う答えが得られます。
C, coach. Get one (コーチにつく)
うまくなりたいことがあるとき、コーチにつかないと、自分だけでやることになります。
自分1人でやるのは、一番遅く、つらい方法です。
ゴルフ、ビジネス、語学、楽器の演奏、人間関係、どんなものでも、コーチにつきましょう。
オリンピックの選手はコーチについて、世界で一番うまくなっています。
Take things off of your plate (不用なものを取り除く)
何かを付け加えるから進歩するのではありません。進歩は、もう役に立たなくなったものを、自分の人生から取り除くことです。
ルーティン、思考、タスク、物を捨ててください。
成功したいなら、自分のためにならないものをすべて捨てるべきなんです。
まとめ
「できないではいられない」という状態になれば、ゴールを達成できます。
この事実(fact)を実現させるには、勝利にフォーカスして、役立つ質問をし、コーチについて、いらないものを捨てればいいんです。
マインドセットは戦略より重要です。
うまくいかないとき、やり方(how)にフォーカスすると、止まってしまいます。
「そうなるしかない」というマインドセットがあれば、つまづいても、自然に次の手が見つかるのです。
補足
Reticular activating system : レティキュラー・アクティベイティング・システム、RAS、日本語では、網様体賦活系(もうようたいふかつけい)。reticular は、「網状の、入り組んだ」という意味です。
動画で説明があるように、外部からの刺激や内部からの情報をフィルタリングし、選択的に処理するシステムです。特に危険があるときは、敏速に察知し、優先的に処理します。
睡眠のサイクルにも影響を与えるシステムで、個体を守るのに不可欠なものです。
RASは、自分が必要だと思っているものを見つけてくれるとよく言われます。
「他の人だから成功できるんだ。自分はだめ」といつも考えていると、それを裏付ける情報をRASが選択してしまうので、成功したいなら、まずマインドセットを変えなければなりません。
実際は、脳はもっと複雑な反応をしていると思いますが、自分が意識を向けているものを見つけやすいのは本当です。
これについてはこちらのTEDをごらんください。
関連するTEDトーク⇒自分は正しいと思っているとき、実は間違っている理由(TED)
on one’s plate の直訳は「皿の上」ですが、やるべきことがたくさんあって、という意味でも使います。
よく、put too much on my plate (やることがたくさんある、かかえこむ)という言い方をします。
Take things off of your plate は、よけいなものやタスクを取り除きなさい、という意味です。
成功したい人におすすめのプレゼン
たくさんあるので、7つだけリンクします。
自分の能力を自分で見限ることの恐ろしさ、できると信じることの素晴らしさ(TED)
成功すると幸せになるのではなく、幸せだから成功する~ショーン・エイカー(TED)
なぜセルフ・エフィカシー(自己効力感)が重要なのか?(TED)
成功と失敗、そして創り続ける力:エリザベス・ギルバート(TED)
日常でできること
パグマイヤさんは、マインドセットのほうが戦略より重要だと言っています。
戦略を知っていても、それを実践できるかどうかは別問題で、「できない」と思っていると、戦略そのものを実行に移せないから、成功できないのだ、というのが彼の主張です。
では、どうやったら「成功するしかない」と思えるかですが、このステップとして彼は、
・勝利体験に意識を向ける
・役立つ質問をする
・コーチにつく
・手放す
この4つを提示しています。
4つの中で一番簡単なのはコーチを雇うことです。お金さえあればできますから。
確かに、スポーツや楽器の演奏など、技術を得るには、コーチにつくのは有効です。
でも、いわゆる自分磨きや、マインドセットを変えるのは、そう簡単にはいかないかもしれません。
いくらコーチがすばらしいことを言っても、自分の思考がすべてを否定するなら、コーチに会うのは時間とお金の無駄です。
受け入れ体制がないと何も入ってきません。
それは、自己啓発書などを読むときも同じです。
「成功するのは素直な人だ」とよく言われますが、多くの人は、強固な自分のフィルターを通して読んでいるため、すばらしいことが書かれてあっても、「これは、こういう人だからできるんだ」「こういう状況はそんなにあるわけじゃない」「無理でしょ、こんなの」「才能が違うじゃん」とかなんとか思って、内容を吸収するのではなく、すべてをはじきながら読んでいます。
すべてをはじくなら、最初から読まないほうがいいかもしれません。というのも、読めば読むほど本の主張に反対している自分の信念がどんどん強くなるからです。
したがって、まずは、たっぷりあるマインド(すでにもっているものに目を向ける思考)になる努力をするといいでしょう。
たっぷりあるマインドになるおすすめの練習法6つ~もう十分ある、と考える。
win は直訳すると「勝利」ですが、これまでの人生で自分がうまくやれたこと、成功だと思うことと考えてください。
自信喪失ぎみの人は、毎日 win ばかり、モーニングページに書くといいかもしれません。
ネガティブ思考改善にモーニングページがいい~今月の30日間チャレンジ
半年から1年、まじめにやれば、今より「たっぷりあるマインド」になれるんじゃないでしょうか?
たっぷりあるマインドになれば、自分のためになる質問ができるようになります。
同時にタスクも物も、いらないものはどんどん捨てていく。
捨てる方法はついては、私のブログに、たくさん書いています。
ある程度、マインドが整ったあと、コーチにつけば、目標がなんであれ、あなたは成功するのではないでしょうか?
私も基本的にこの方法をとっていますが、あなたはどんなやり方をしていますか?
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マインドセットより戦略のほうが重要。この主張には、「成功するためには、マインドセットと戦略の両方が必要だ」という前提があります。
マインドセットは見えないし、説明することが難しいですよね?
「とりあえずこう信じとけ」みたいな言い方しかできません。
一方、戦略は言葉で説明したり、チャートにしたり、動画にしたりするのが簡単です。
だから、書籍やYouTubeでは、あらゆることに関して、ノウハウが山のように出ていて、多くの人が消費しています。
断捨離にしても同じです。
でも、ノウハウばかり探していると、そちらにリソース(時間や意識)を使いすぎて、肝心のことができません。
断捨離で成功したいなら、1つでも2つでも捨てるほうが重要です。
私は趣味の語学に関して、ノウハウ探しに時間をかけすぎて、肝心のことができませんでした。
今、自分が「筆子ジャーナル」に書いていることを、30歳ぐらいのときに知っていたかったですね。まあ、64歳でも、知らなかったよりはよかったと思います。