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家の中にいらない物をたくさんためこんでしまう理由はいろいろあります。貧乏性とか心配性とかバーゲンセール依存症とか。
そういうネガティブな感情の大本にあるものは、自分のことをだめな人間だと思ってしまう、自己肯定感(セルフエスティーム)の低さにあるのではないでしょうか?
なぜ、セルフエスティームが低いと物がたまってしまうのか、その理由を5つ紹介します。
まず自己肯定感とは何か、説明します。
自己肯定感とは?
自己肯定感とは、読んで字のごとく、自分を肯定する気持ちです。セルフエスティームも同じ意味だと、私は考えています。
セルフエスティームとは?⇒ セルフエスティーム(自分を愛する気持ち)が高い人の12の特徴
肯定とは、「そうそう、そのとおりですね」と認めたり、そのことに対して積極的に意義を認めることです。
いまの自分をそっくりそのまま、自分で認め、受け入れることができていれば、その人は、そこそこ自己肯定感があると言えます。
自己肯定感が高めの人は、自分で「私は大丈夫だ」「私は大事な存在だ」と無意識に感じています。自信があるわけですね。
逆に、自己肯定感が低めの人は、「自分はだめだ」「自分なんてなんの価値もない」と感じています。自己肯定感が低くなりすぎると、絶望から自分で自分をこの世から抹消しようとします。
一方で、人間は生存したい、という強い欲求も持っています。
そのため、自己肯定感の低い人は、自分ではなく、他人に自分を認めてもらいながら生きていくことになります。
昔の歌謡曲に「ざんげの値打ちもない」という歌があります。
「べつに愛してたってわけじゃないけど、誰かに抱かれたかったのよ(14歳のとき)、そしたら捨てられちゃってさ」といった身の上話を語る歌です。
その後、刃傷沙汰(にんしょうざた)があったのか、この人は20歳をすぎたときは、鉄格子から月を見つめつつ、「べつに愛してたってわけじゃないけど、誰かにかまってほしかったのよ」みたいなことを言います。
最後に、「私なんてざんげする値打ちもないけど、これまでに起こったできごとを話してみたかっただけなの」と終わります。
この歌に出てくる人、自己肯定感、かなり低いです。
「自分はだめな人間である」という信念を持っているため、どんどんだめになっていく行動を選択し、ますます深い奈落の底に落ちていくのです。
おおざっぱに書くと、自己肯定感の低い人は、そうでない人より、生きていくために、よりたくさんの他人の承認が必要なのです。
承認欲求とは? ⇒強すぎる承認欲求(人にほめられたい気持ち)を手放す方法。
では、なぜ他人の承認を追い求めると物が増えてしまうのでしょうか?
それは他人軸な暮らし方になってしまうからです。自分より他人の考え方や判断基準を優先する生き方をするわけですね。
以下に自己肯定感が低いという心理ゆえに、物が増えてしまうパターンを紹介します。
1.人を喜ばすために物を買う
先に書いたように、セルフエスティームが低い人は、他人軸で生きているので、「こんなことすると他人にどう思われるかな?」と心配しています。
そして、できるだけ他人によく思われようとします。
以前、こんな質問をいただきました⇒服は最低限にしたいが、人からおしゃれに思われたい、という相談の回答。
この人は、人からおしゃれに思われるためには、服をたくさん持っていないとだめである、という考え方をしています。
よって、わたくしが、「服なんてそんなにいらないよ」と記事に書いても、「え、そんなんじゃ、他人に変に思われるじゃやないの(それは困った)」という反応をしてしまうのです。
まあ、自分が他人にどう思われるかは、誰でもおおいに気にするポイントではあります。人間は、ほかの人と共同で生きていく社会的動物ですから。
ですが、中には、自分の希望よりも、他人の期待(それは自分で勝手に抱いているイメージですが)をずっと優先し、本当はいらないのに、たくさんの物を買って、家の中にためこんでしまう人がいるのです。
見栄ゆえの買い物も人の歓心を買うためです⇒貯金できないのは見栄を張るから。よく見せようとすることの恐ろしさとは?
また、人の気持ちを優先しすぎて、もらい物を断れなかったり、不要になったプレゼントを捨てられないことが続くと、やはり物が増えます。
2.物があれば自分の価値があがると思っている
自分に自信がないので物で武装するパターンです。
いま、物質主義の世の中なので、物を持っていれば持っているほど人間としてすばらしい、成功者だ、と社会的に評価される傾向が強いです。
自分に自信がない人ほど、そうした評価が必要なので、上等な物をたくさん買って、身につけたり、部屋に飾ったりします。
たくさんの物で飾り立て、自分の格を上げようとするのです。
幸か不幸か、日本では100均で、安くていいものがいくらでも手に入ります。どんどん買ってしまい、どんどん部屋の中で物があふれます。
3.心の空虚さを買い物で埋める
セルフエスティームの低い人は、たいてい心の中にぽっかり穴があいています。
この穴は、「自分はだめだ。自分には足りないところがある」という欠乏感です。この欠乏感を埋めるために、買い物をしてしまう人がたくさんいます。
かつての私もそうでした⇒なぜ私はあんなに物を買ってしまったのか~ミニマリストへの道(3)
幸か不幸か、いまは、クレジットカードという便利なものがあります。手持ちのお金がなくても、来月の給料をあてにして、物をたくさん買うことができます。
心の空虚さは物では埋まらないので、いくら買っても問題は解決しません。
一方で、部屋は物だらけになり、ストレスが増え、ますます、心がむなしくなります。そしてまた物を買ってしまう悪循環にはまります。
クレジットカードの危険性⇒クレジットカードを使うとお金を使いすぎてしまう5つの理由
4.過去にしがみつく
セルフエスティームの低い人は、いまの自分やいまの生活を嫌っています。そこで、過去の楽しかったときの思い出品に、必要以上にしがみつきます。
いま、つらい気分でいるから、昔、楽しかったころの記憶をたぐりよせ、一時の心の憩いを得るのです。
過去のことが大事だから、もう使わない、ほとんどゴミみたいな物でも、なかなか捨てられません。
「昔はよかったわ」「あの頃は、私もまんざらじゃなかったのよ」という昔自慢をすればするほど、「それに比べていまはこんな状態。情けない…」という気持ちがつのるのです。
楽しかったことを思い出すことは悪いことではないです⇒心が疲れた人におすすめ。1セント硬貨がもたらした幸せ(TED)
ですが、過去の遺物のせいで、かえってストレスを感じているのなら、思い出品との関係を見直したほうがいいです。
新婚旅行のおみやげで買って、20年近くしまいっぱなしになっているバッグや、もう完全に入らない若い頃の服を大事にしまっているのなら、過去にとらわれすぎているのかもしれません。
5.失敗を恐れる
理屈の上では、少し物を捨てたほうがいいとわかっていても、片付けを始められない人がいます。その理由はさまざまでしょうが、一つには、失敗を恐れすぎている、というのがあります。
自己肯定感が低い人は、なかなか新しいことを始められません。
自分のちからを信じることができないので、「どうせ失敗するに決まっている」と思ってしまうのです。
汚部屋の片付けで言えば、「どうせ片付きゃしない」と心のどこかで思っています。「片付けてもまたすぐに散らかるし」「私なんかに片付けられるわけないし」とか。
セルフエスティームが低いと、なかなか新しいことにチャレンジできないのです。
「どこから捨てたらいいんだろう?」と悩みながら、何日もたっている人は、片付けを先延ばししたいから、悩むほうに時間とエネルギーを費やしているのかもしれません。
自己肯定感をあげるには?
では、自己肯定感をあげるにはどうしたらいいのでしょうか?
セルフエスティームが低すぎて、物がたまってしまった、と思うなら、そうした物を一つひとつ捨てることで、自信を培うことができます。
物が少ない人が、必ずしも自己肯定感が高いとは言えません。ですが、他人軸ゆえに物を増やしてしまったのなら、ためこんでしまった物を捨てることで、自分の生き方を振り返り、変えていくことができます。
ガラクタを捨てれば、本来の自分に気づくチャンスがあるのです⇒『ガラクタ捨てれば自分が見える』で衝撃のスペースクリアリングに出会う~ミニマリストへの道(20)
こちらにセルフエスティームをあげる方法を紹介しています⇒セルフエスティームを高めて自信を取り戻す10の方法
9番で、新しいことをやってみることをおすすめしていますが、物をためこんできた人にとっては、ためない生活にシフトする第一歩として、不用品を捨てることが、未知の世界への旅立ちとなります。
捨てるときに痛みを感じれば感じるほど、大きく変わることができるでしょう。
捨てずにそのままにしていたら、いままでと何も変わりません。
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今回は、自己肯定感の低さが物をためこむ要因である、という話をしました。
先にも書きましたが、部屋に何にもないからといって、その人の自己肯定感がとても高い、とは言えません。
世間的には、大きく成功している人の中でも、セルフエスティームの低い人はいます。承認欲求が強いため、いろいろとがんばりすぎた結果、成功した、ということもあると思うのです。
そういう人たちは、お金はたくさんあるかもしれません。
けれども、心の平安はさほどなく、いつも「もっとがんばらなきゃ!」「もっとすごいと人に思ってもらわなきゃ」と、がんばり続けてストレスが多いのではないでしょうか?
その結果、中高年をすぎると、ばたばたと生活習慣病になるような気がします。
自分の身を守るためにも、あまり自己評価をさげないほうがいいです。