ショッピングモールで買い物中の若い女性

TEDの動画

私たちの消費が地球に与える驚くべき影響(TED)

サステイナブルな生活をしたいと思っている人の参考になるTEDトークを紹介します。

タイトルは、The surprising impact of our consumption habits(私たちの消費習慣の驚くべきインパクト)。

工業デザイナー、作家、スピーカーのBabette Porcelijn(バベット・ポルシュレイン)さんの講演です。



消費の影響:TEDの説明

Do we truly understand the hidden impact of our consumption? Babette’s passion is to inspire people to live an eco-positive life. “As Western consumers we have more impact on the environment than we think. Not just at home or at the gas station, but also on the other side of the world, by producing and transporting the things we buy on a daily basis.” Babette shows us that often it is not the use of our products that make the biggest impact on our world, but largely the production.

私たちは、自分たちの消費の隠された影響をちゃんと理解しているのでしょうか?

バベットは、人々がエコポジティブな生活を送るよう触発することに情熱を傾けています。

「西洋社会の消費者として、私たちは、自分たちが思っている以上に環境に影響を与えています。自宅やガソリンスタンドにおいてだけでなく、地球の裏側でも。日常的に買っている物を、そこで製造し、輸送することによって」。

バベットは世界にもっとも大きな影響を与えるのは、製品を使うことより、それを製造する過程だと教えてくれます。

収録は2018年の10月、プレゼンの長さは11分45秒。字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。

バベットはオランダ人で、英語が母語ではないので、ちょっとアクセントがあります。しかし、母語ではないゆえ、ゆっくりしゃべっているので、そこはわかりやすいと思います。

エコフレンドリーな生活をするための実用的なアイデアが詰まっている講演ですね。





どちらが環境に負荷をかけるか?

ノートパソコンが環境に与える影響を考えるとき、その製造と使用とどちらが大きいと思いますか?

答えは製造です。

この表の緑の部分が、使っているときの影響で、とても小さいです。

製造が環境にかける負荷

マイクロプラスチックをご存知ですよね? ものすごく小さなプラスチックのかけらです。

バスルーム(浴室)と、車とでは、どちらでより多くのマイクロプラスチックが作られるでしょうか?

ほとんどの人がバスルームだと思っていますね。

答えは車です。

走行中にタイヤが減り、それがマイクロプラスチックを作ります。その差はとても大きく、バスルームでできる量の17000倍です。

マイクロプラスチック

私は最大のインパクトを与えているかに興味を持っています。

一番インパクトを与えているものにタックルするほうが、より結果を得られますから。

キャリアチェンジのきっかけ

私は工業デザイナーでありエンジニアです。でも、環境方面に仕事を変えました。

きっかけは4年前、夫とした会話です。

夫がこう言ったのです。

「新車には5年分のガソリンが入っているって知ってた?」

車を作るのに使われるエネルギーが、5年分のガソリンに相当するのです。

これを聞いて車を買う気がなくなりました。

「毎日、得られる木よりも、2700万本(1秒に300本)多く、木がなくなっているって知ってた?」

木がなくなるのは、木の問題にとどまりません。木はCO2を吸収するし、たくさんの生物の住む場所でもあります。

木がないと、土地は簡単に侵食されます。

「そんなに木が大切なら、どうしてみんな切ってしまうの?」

夫が教えてくれました。多くは、家畜のエサを栽培するための土地を作るためです。

つまり、人が肉を食べるために、木が伐採されるのです。

私はベジタリアンになりました。

その日、こんな話を何時間もして、気づいたことがあります。

よそで環境に負荷をかけている

私は、オランダでは、環境保護をうまくやっていると思っていました。川も空気もきれいだし、野生動物もいっぱいいます。

でも、この日気づきました。私たちは、環境に対する負荷を減らしているわけではなく、ほかの場所に移動させているだけなのです。

しかも、そのことに気づいていません。

これはとても大事なことだから、実態を知り、なんとかしたいと思いました。

そこで、リサーチをはじめました。

私たちが物を欲しがるから環境に影響を与えてしまいます。物を買いたいと思うから、企業が製造し、その過程で、環境に負荷がかかります。

これが、自分の家の裏庭で起きているなら、みな気づきます。

しかし、私たちは、ほかの場所で製造しています。

製造している国と消費している国

緑の部分が製造している地域で、ピンクの部分ができた品物を消費している国です。

遠く離れた場所で製造しているとき問題になるのは、CO2の排出だけではありません、環境破壊や汚染、リソースの使用なども問題です。

ところが、私たちは、わかりやすいCO2の排出ばかり問題にしています。

地球が何個も必要な消費ぶり

私は数字が好きなので、人が環境に与えている影響がどれほど隠されているか気になり、計算したところ、80%も隠されているとわかりました。

隠されている環境への影響

大きな盲点です。問題を解決したいなら、これを見過ごすわけにはいきません。

隠された影響をなんとかするよう努力すれば、私たちの解決法は5倍も効果的ですから。

だから私は仕事を変えました。

地球は1つなのに、今世界では、1.7個分の地球があるかのように生活しています。

地球に負荷をかけすぎている

オランダのような豊かな国は、3.5個、地球が必要です。

2050年には地球が4つ必要です。

これは健全ではありません。私たちは地球1個分の枠内で暮らすべきです。

では、どうするか?

もちろん、政治や産業がしかるべき役割を果たすべきですが、私は、自分ができることに興味を持っています。

どこにタックルしたら、もっとも効果的なのか?

環境に負荷をかけるものトップ10

そこで私は資金を集め、ある機関に、環境にインパクトを与えるものを、順に10個出してもらいました。

1番は何だと思いますか? 肉? 車? プラスチック? 飛行機? 衣料品? これらは皆、トップテンに入っています。

でも、1番は製品(products)なんです。ラップトップ、スマホ、ガジェットなど。

環境に負荷をかけるものトップ10

2番めが肉で、その次が家、車、ほかの食べ物、飛行機での移動は第6位です。驚きましたけど。

それから、シャワー、衣料品、乳製品と続きます。最後は公共交通機関でとても小さいインパクトです。

これは、平均的なオランダ人の結果で、平均的な人なんていませんよね。この中には、簡単にインパクトが増えてしまうものもあります。

たとえば、飛行機の利用です。年に何回か空を飛べば、大きなインパクトになります。

調べているあいだに、いちいち怖くなりました。

にんじんを食べながら、「今、私は何を殺しているのかしら?」なんて考えたのです。

私が実践していること

もし地球1つの枠内で暮らしたいなら、大きなインパクトを与えているものに取り組まねば、と思いました。

そこで、物を買うのをやめました。買うとしても、中古品を選びます。

家族で肉を食べるのをやめました。ペットもベジタリアンです。

それから車を手放しました。大きな決断でしたが。

飛行機の利用もやめました。ほかにもいろいろやっていますが、とてもいい感じなんです。

まず、すごくお金を節約できます。

環境について本を書くこともできました。

スペインに行くのに鉄道を利用しました。とても楽しい休暇でした。

サイクリングしたり歩いたり。スロートラベルを堪能しました。

前より健康になったし、何よりも重要なのは、自分の仕事が大好きだということです。

現代のもっとも重要な課題に取り組めるなんてすばらしいことで、とても幸せです。

皆さんが、変化を起こしたいなら、一番インパクトを与えられる場所から始めてください。

そこに努力を注げば、違いを生み出せます。

何よりも、楽しんでください。

//// 抄訳ここまで ////

環境に関係のあるほかのプレゼン

たくさん書いていますが7つだけリンクします。

ごみを増やす消費の習慣を見直そう(TED)

物を買うのをやめた私の、買わないための戦略とシンプルなルール(TED)

気候変動はもう止められない、こう感じたときにすべきこと(TED)

ファストファッションはもうやめた。あなたもそうすべきだと思う(TED)

サステイナブル・ファッション入門(TED)

自分のゴミを処理してくれる人は誰?:ニューヨーク市のゴミの中で見つけたもの(TED)

あなたの知らない海上輸送の話(TED)

個人でできることがある

サステイナブルな開発をめざすとき、個人ができることはそんなにない、と思いがちですが、意外とたくさんのことができます。

中でも買いすぎをやめることはとても効果があると思います。

買えば買うほどゴミが増えますが、バベットさんが言うように、皆が欲しがるから、メーカーが作るんです。

マスクやタオルも、数枚だけ買って、あとは買わずにいたら、あんなに何枚も作らないと思います。

赤字続きの商品の製造は、止めるしかありませんから。

相変わらず、たくさん衣料品が製造されていますが、ファストファッションは開発・製造にあまりコストがかからず、しかも、皆がどんどん買ってくれるから、製造が止まらないわけです。

ほんのちょっと買うのを控えるだけでも、大勢の人がやれば、産業構造は変わるでしょう。

バベットさんは、「よりインパクトのある部分をタックルすべきだ」と言っていますが、これは私の好きな考え方です。

以前、80対20の法則の話を書きましたが、すべてを漫勉なくやろうとするより、大事なところを重点的にやったほうが、何事もうまくいくと思います。

****

地球1個分のリソースでまかなえる生活をすべきなのに、先進国の人は、3.5個分使い果たすライフスタイルなんですね。

これはお金がないのにクレジットカードで買い物しているのと似ています。

クレジットカードの場合、あとでつけを払うのは自分ですが、地球の場合、後の世代の人が苦労します。まあ、すでに異常気象や、絶滅危惧種の増加という形で大きな影響が出ていますが。

このままだと、遠い未来に、人間も絶滅しますね。その前に核戦争で滅亡するかもしれませんが。





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