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慢性的に疲れている、ストレスが多い、そんな人の参考になるTEDの動画を紹介します。
タイトルは、The real reason why we are tired and what to do about it(私たちが疲れている本当の理由と、それに対してどうすればいいか)。
講演者は、内科医(internal medicine physician)の Saundra Dalton-Smith(サンドラ・ダルトン・スミス)さんです。
なぜ疲れているのか? TEDの説明
Board-certified internal medicine physician Saundra Dalton-Smith reveals the real reason why we are chronically tired despite getting the requisite amount of sleep and the 6 other types of rest available to us in this fast-paced and informative talk.
内科の認定専門医であるサンドラ・ダルトン・スミスが、必要とされる睡眠を取っているにもかかわらず、私たちが慢性的に疲れている理由と、ほかの6つの休息のタイプを、テンポよく、有益な情報を盛り込んで伝えます。
収録は2019年の3月、動画の長さは9分30秒。字幕はまだありません。動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
簡潔でわかりやすいプレゼンですね。
寝ても疲れがとれないことがある
疲れがたまっていたので、ちゃんと寝たのに、起きてもやっぱり疲れていた。こんな経験がありませんか?
実は、睡眠と休息は同じものではありません。
寝れば休まると思っていがちですが、違うのです。
睡眠は、7つある休息のうちの1つです。ほかの休息をしていなければ疲れがとれません。
できるだけたくさんのことをしよう、できるだけ生産性をあげよう風潮があるので、今、慢性的に燃え尽きている人は少なくありませんね。
多くの人は休息不足
私たちの多くは、休息のすごさを知らないので、『休息が足りない状態』(rest deficit 休息不足)に陥っています。
薬を使わず、効果的なのに、休息ほど、使われないセラピーはありません。何をするにもエネルギーが必要ですが、そのエネルギーは必ずしも、体力だけではないのです。
問題について話し合うために、上司に呼ばれたとき、私たちは起こりうる衝突に対して身構え、感情のエネルギーや社会的なエネルギーを使います。
渋滞の中にいるときは、周囲の状況を処理するために、精神的なエネルギーや、感覚的なエネルギーを使っています。
10代の子供が車の「鍵を貸して」と言ったら、「だめよ」と言う理由を考えるために、創造的なエネルギーや、霊的なエネルギーを使います。
どこでエネルギーを使っているか?
休息不足を克服する最初のステップは、1日のうちで、どこで、もっともたくさんのエネルギーを使っているか見極めることです。そして、そのエネルギーを回復するための休息を心がけます。
寝ることや、ソファに横になって、次々とドラマを見ることが休息だと思っていると、いつまでたっても疲れはとれません。職場で、もっともストレスがたまってしまう状態にもなるでしょう。
デロイト(Deloitte)の最近の調査によると、ほとんどの人が、自分の仕事に対して情熱を感じていません。あるレポートによると、調査対象者の半分以上が、「仕事のせいで、不眠症になっている」と回答しました。
スタンフォード大学の研究によると、アメリカでは、職場が、死を招く5つ目の原因になっています。休息不足のまま放置しているから、仕事が好きになれない、夜眠れない、疲れてきっている、なんてことが起きるのです。
休息不足になっている部分がわかったら、7つの休息のタイプと、どうやってその休息を取るか学んでください。
(筆子注:休息のタイプ、その1は睡眠です)。
精神の休息
コーヒーがたっぷり入った大きなカップを持って、毎日職場にくる同僚はいませんか? いつもイライラしていて、すぐに気が散り、仕事に集中するのに苦労している人です。
彼は、新しいアイデアを思いつくことができないし、大事なことをしょっちゅう忘れます。給料をもらうために、形だけ仕事をしています。
帰宅して、眠りにつこうとしても、脳のスイッチを切ることができません。頭の中で、その日のいろいろな考えがうずまいているからです。
そのうち眠りにつきますが、たとえ、7~8時間寝て起きても、「寝た気がしない」と感じます。
この人は、精神的な休息が不足しています(mental rest deficit)。彼に必要なのは、心を休める、何もしない時間です。と言っても、仕事をやめたり、休暇をとったりする必要はありませんよ。
テクノロジーをうまく使えば、精神的な休息を取れます。
仕事のある日は、2時間ごとに、短い休憩時間を取れるよう予定を組めばいいのです。あらかじめ、休憩時間を知らせてくれるようにしておけば、その時間が来たら、仕事の手を止めて、心を静かに休められます。
枕元にノートを置いておき、考えごとをして眠れないときは、その考えをノートに書き留めることも、精神的な休息を得る方法の1つです。
感覚の休息
慢性的に疲れている同僚は、感覚の休息(sensory rest)も必要です。オフィスにある、まぶしいライト、パソコンのモニター、背後の電話の音や、人の話し声は、すべて、私たちの感覚を疲れさせます。
このまま放置すると、『感覚過負荷シンドローム(sensory overload syndrome)』になります。忙しいとき、しばらく目を閉じるという簡単なことをすれば、これを避けられます。
それから、職場から車で家に戻るとき、ラジオをつけません。1日の最後は、あえて電気機器を使わないようにします。意識して、刺激がない生活をすれば、刺激が多すぎる社会のダメージから回復できます。
創造性の休息
すばらしいものに対して、子供のように感動する部分を目覚めさせると、創造性の休息を取ることができます。
はじめてグランドキャニオンや、五大湖、海岸、ナイアガラの滝を見たときのことを覚えていますか?
自然の美しさに感動することは、創造的な休息です。
芸術を楽しむ時間をもつのも、創造的な休息となります。好きな場所の絵や写真、作品を飾って、職場でインスピレーションを得られるようにしましょう。
週に40時間、ベージュの壁を眺めていても、情熱的になれませんし、創造的になって、ユニークなアイデアを思いつくこともできないでしょう。
感情の休息
さて、もう1人の友達について考えてみましょう。誰もが、「とってもいい人」と呼ぶ人です。
困ったときはいつも、頼りになる人。やりたくなくても、いやいや「いいですよ」と言ってくれる人です。本当は、ノーだと思っていても。
人と衝突するのが嫌で、どんなことをしても、これを避けようとするのです。
しかし、こういう人は、1人になったとき、自分は尊重されていないし、他の人に利用されていると感じます。
この人には、感情の休息が必要です。感情の休息をとれば、自分の気持ちを自由に表現できるし、人を喜ばせるだけの疲れる行動をしなくてすみます。
自分自身でいることを優先して、これから起きるかもしれない不確かなことを受け入れることができれば、感情の休息を得られます。
感情の休息をした人は、「元気?」と聞かれたとき、本当のことを言います。「調子がよくないわ」と答え、あまり、口にされることがない、難しいできごとについて話すのです。
社会的な休息
感情の休息不足と社会的な休息不足は、たいてい共存します。自分を元気にする人間関係と、疲れさせる人間関係を区別できないと、この2つの休息不足になります。
リサーチによれば、私たちはミラー・ニューロンを持っていて、他人の感情と同じ感情になります。だから、ネガティブでうつうつとしている人たちに囲まれていると、ほどなく、自分も同じ気分になるのです。
社会的に休んだ状態になるには、ポジティブで、自分をサポートしてくれる人たちの中にいるべきです。
あなた自身の存在を、大事に思ってくれる友人と、もっと時間を過ごし、ヴァーチャルな関係を減らし、対面で関係をもつようにしましょう。
魂の休息
最後の休息のタイプは、魂の休息です。この休息をすると、心身を越えたものとつながり、求めること、所属すること、愛し、人に受けいられることや、目的を持つことができます。
日常生活の中で、自分より大きな何かに携わってください。祈りやコミュニティ活動など。
このように、睡眠だけでは、私たちは決して、充分に回復できません。
この5年間、私たちは睡眠の革命について議論してきましたが、いまだに、議論が始まった時と同じように疲れています。
7つの休息のタイプをお話ししましたから、適切なタイプの休息を得ることに意識を向けてください。今こそ、休息革命をする時です。
//// 抄訳ここまで
単語の意味など
steel yourself 難しいことや不快なことに対して準備する
go through the motions 何かをするふりをする、形だけおこなう、型通りにおこなう
downtime 休憩時間
sensory overload 感覚に負担をかけ過ぎること。感覚器官から脳が処理できる以上の刺激を受けること。
lean into (変えることができないネガティブなことなどを)受け入れる
mirror neurons ミラー・ニューロン 鏡を見ているかのように、他人の行動を見て、あたかも自分がその行動をしていると感じる神経細胞。
サンドラさんの本です。
睡眠や脳に関するほかのプレゼン
睡眠と日中の生産性の関係(TED)夜しっかり寝ることは昼間の生産性をあげること。
なぜ人は眠るのか?睡眠の大切さを忘れていませんか?(TED)
幸せな脳:苦しむほうに向かう脳の傾向を克服する方法(TED)
なぜストレスは身体によくないのか、どうやってストレスに強くなるか(TED)
毎日疲れているあなたに。心の境界線を引いてストレスを減らし、自由になる(TED)
オフタイムに、うだうだと仕事のことを考えるのをやめる方法(TED)
自分の気持ちに敏感になる
自分の本当の気持ちに敏感になると、必要な休息を取ることができると思います。
今、自分はどんな気持ちでいて、本当はどんな気持ちでありたいのか、これを考えてみるのです。
仕事で疲れたと言って、ショッピングをして、物をたくさん買い集めたり、YouTubeやネットフリックスで、動画をたくさん見たりすることがあります。
休息をとっているつもりが、よけいに疲れるかもしれません。
物が増えると、管理の手間が発生するし、無駄使いしたことを後悔します。動画を見すぎると、目が疲れ、情報過多になって脳が休まりません。
LINEを使って、友達と有意義に交流しているつもりでも、実際は、エネルギーを取られていることがあります。
SNSでの人間関係に悩んでいる人、わりといますね。
不満やぐちをLINEしてくる友人と距離をおきたい←質問の回答。
リアルの世界でも、人間関係で疲れることが多いのに、わざわざバーチャルでも疲れることをする必要はありません。
精神的に消耗していると感じるときは、休息が必要です。
人に本当の気持ちを言う、頭の中にあることを書き出す、ネガティブな人から距離をとる、ノーと言いたいときは、はっきりノーという。
どれも、疲れをためすぎないことに効果的だと、サンドラさんは言っています。
心の疲れは目に見えないから、毎日、チェックして、疲れすぎないようにするといいでしょう。
心の疲れのチェックには、日記やモーニングページがおすすめです。
日記⇒10年前の日記を読んで思うこと、そして日記をつけるメリット。
モーニングページ⇒ネガティブ思考改善にモーニングページがいい~今月の30日間チャレンジ
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睡眠だけでは、精神的な疲れは取れない、という動画を紹介しました。
そもそも、寝てないと、疲れがとれないので、睡眠不足の人は、寝ることも忘れないでくださいね。