指輪

ミニマリストへの道

最終更新日: 2017.09.29

人の生活は変わるから一生ものなんて幻想なんだ:ミニマリストへの道(100)

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「これは一生ものだからずっと捨てない」。そう思って、使いもしないのに後生大事にしている物、ありませんか?

私もそういう物を持っていたし、一生やり続けると思っていたこともありました。

ですが、それらの物やことは、段階を経ながら、少しずつ捨てられていったのです。

いまは「一生もの」という幻想はできるだけ持たないようにしています。この世に一生ものがあるとすれば、それは自分の命だけです。

確かに、将来のことに思いをはせるのも大事ではあります。しかし、自分の一生は、「いま」とか「今日」の連続でできています。いまを充実させることが、けっきょくは、一生をよいものにするのではないでしょうか?

数々の「一生もの」を捨てながら、そんなふうに考えるようになりました。



私が捨てた一生ものとは?

一生ものと聞くと、時計、財布、貴金属などを思い浮かべる人が多いでしょうか。家や不動産をイメージする人もいるかもしれません。

しかし、家は思いのほかあっさりと老朽化します。

先日も書きましたが、地震にあえば壊れます。

先日の記事⇒70代の両親が物を溜め込んでいてゆううつです。どうしたらいいですか?←質問の回答

この記事を読んだ方から、「私は熊本の地震にあい、本当に大量の物を処分することになりました」というメールをいただきました。

さて、貧乏主婦だった筆子が「一生もの」と考えていたのは、自分の趣味です。お香を焚くのを楽しむこと、そしてお菓子作りの趣味は一生続くと信じて疑っていませんでした。

お香が大好きだったことは過去記事に書いています⇒お香の収集癖を断捨離するまで~ミニマリストへの道(36)

お菓子作りが好きだった話はこちら⇒マドモアゼルいくこの「秘密のケーキつくり」~断捨離せずにまだ持っている本

一時は両方とも大好きで、私は一生お菓子を作り続け、お香も焚き続けるのだと思っていました。

90歳を超えたおばあさんに孫がキッチンエイド(スタンドミキサー)をプレゼントする外国の方のエピソードを読み、「いいわね~。私も90歳になったら、誰かからプレゼントしてもらいたい」と、40代後半のとき思っていた話、すでに書いたような気がします。

この頃の私は、人の生活は確実に変わっていくのに、当人はそのことについてろくに考えない、という人間の思考のクセを知らなかったのです。

人は変わる話⇒人は変わり続ける。未来の自分に対する心理:ダン・ギルバート(TED)

この2つの趣味は一生どころか、15年未満で、終わりました。

子供が小さいときはせっせと作っていたお菓子も、子供が大きくなるにつれて作らなくなりました。お香もいまの家に引っ越して、しばらくは焚いていたものの、そのうち使うのをやめました。

お香関係は全捨てし、お菓子作りのためだけの道具もいまは持っていません。レシピ本も全捨てしました⇒料理本を断捨離(全捨て)した。いくらレシピがあっても料理上手にはなれない

捨ててみてわかったのは、私が「一生大事にしていこう」と思っていたのは、単なる買い物をする言い訳だった、ということです。

お香もお菓子作りも、それを趣味としている限り、次から次へと買うべきもの、買いたいものがでてきます。

世間には、実にさまざまなお菓子作りの道具が売られています。各種ツール、かわいいクッキー型やケーキの型、きれいなレシピ本など。

私はお菓子作りそのものをいそしむことより、道具集めに走っていたと思います⇒道具が少ないほうがお菓子やパン作りは楽しめる

その結果、大量のクッキーカッターを捨てることになりました⇒捨てても大丈夫だった6つのもの(写真つき)~キッチンの断捨離編

お香の趣味はお菓子作りほど、道具は必要ありません。けれども、お香そのものを買い集める楽しみがあります。私はお香をコレクションして喜んでいました。





お香趣味は引越し後に終焉を迎えた

引っ越し後、引っ越し前に捨てそびれたものを、ほそぼそと断捨離していました。

その1つがお香立て。

スティックタイプのインドのお香用です。

捨てたお香立て

インド香は日本のお香より安価なので、よく利用していました。しかし煙が多いため、焚く場所を選びます。

そこで、煙が少なく、香りもおさえめの日本製のお香(エステバンなど)だけにダウンサイズ。

アパートのリース契約をするとき、夫は、家主さんに「お香を焚いてもいいですか?」と聞きました。夫もときどきお香を焚くからです。

家主さんは「マリファナとかじゃなかったらいいよ」と冗談めかしてOKしてくれました。ですが、現実問題として、新しい住まいは前の家よりせまく、気密性も高いので、お香を焚くと煙がこもってしまいます。

「エステバンのお香を1本焚くと多すぎるかな」という感じです。引っ越してすぐに、ためしに1本焚いてみました。仕事から戻ってきた夫が、「燻製ソーセージの匂いがするけど、食べたの?」と言いました。

お花の匂いのお香を焚いたのに、燻製ソーセージになってしまったのです。

「これからは、お香はあんまり使えないかもしれないな」と思い、お香立てを2つ処分しました。

これも捨てたお香立て

お香そのものは、まだこんなに残っていました。「一生ぶんある」と思っていました。

お香

しかし、これらもほどなく捨てました。

煙も人工香料も身体によいものとはいえないので、それを使う明確な理由がない限り、積極的に吸入することもない、と考えました。

香料の危険性⇒私が香水やオーデコロンを使うのをやめた理由。その香料は本当に安全か?

以前の家では、午前中の拭き掃除のあとに、必ずお香を1本焚いていました。フローリングの居間を雑巾がけするのが習慣だったのです。ところがいまの家はカーペット敷き。雑巾がけできるのは小さなキッチンとバスルームだけです。

広い板の間を雑巾がけしたあと、お香を焚いて、心地よい疲労感を楽しむ、ということができないわけです。

お香を全捨てしてみたら、別になければないで全然平気だと気づきました。お菓子を作ったり、お香を焚くのも単なる生活習慣の1つです。その習慣はいくらでも変えられるのです。

捨てられないと思っているものも、じつは捨てられる

以前も書きましたが、私は「毎晩夕食にご飯(白米)を食べる習慣は一生続くに決まっている」と思っていました。

高校生のとき、友だちと、「やはり銀シャリが一番よね!」と話していたものです。

ところが、カナダに来て、米を常食しない人と暮らすことになり、夕食として、サブウエイのサンドイッチを差し出されたりしているうちに、自分の固定観念が薄らいでいきました。

別に白いご飯を夕食に食べなくても、ふつうに生きられるのです。

現在は白いご飯を食すのは外食など特別のときだけで、家では玄米を食べています⇒白米をやめて健康的な玄米を食べてるよ

「これは絶対捨てられない」「これは絶対必要」と思う気持ちは、わりと簡単にくつがえされます。

特に物に関しては。

カフェインもやめたので、自分からは紅茶や日本茶を飲むこともなくなりました。あんなにお茶大好き人間だったのに。いまは水とハーブティ(柿の葉茶)を飲んでいます。

「これじゃなきゃ絶対だめ!」という気持ちを疑ってみると、断捨離が進みます。「これがないとだめだよ」と自分に言っているのは、ほかでもない自分自身。自分で勝手に思い込んでいるだけなのです。

☆このシリーズを最初から読む方はこちらから⇒なぜ私は断捨離をしてミニマリストになったのか?(1)~物がたくさんあっても幸せではなかった

*****

知識や体験は一生ものです、と言われることがあります。

確かに人間国宝と呼ばれる人がいます。こうした人たちは、きっと、いまこの瞬間、瞬間のパフォーマンスに全力を尽くすことを積み重ねてきたのだと思います。

体験したことも、人はわりと簡単に忘れます⇒実際の体験とその体験の記憶の幸福度は違う:ダニエル・カーネマン(TED)

だから、体験に過剰に期待したり、過大視するのも危険です。

昔、英会話の教材のセールスレディに、「英語のスキルは一生ものです」と言われました。これも違います。メンテナンスしないと、いとも簡単にスキルが落ちます。

そんなに簡単に「これは一生もの」とか「一生の思い出」と決めつけないほうがいいのです。





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