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勇気を出したい人におすすめのTEDトークを紹介します。
タイトルは、Get comfortable with being uncomfortable(心地悪いことを心地いいと思いなさい)。
作家で講演者の Luvvie Ajayi Jones(ラヴィー・アジャイ・ジョーンズ)さんのプレゼン。
邦題は、心地の悪さを心地良いと感じるべきなのはなぜか。
おかしいと思うことに対して、言い出しっぺになることを恐れてはいけない、という内容です。
心地悪いこと:TEDの説明
Luvvie Ajayi Jones isn’t afraid to speak her mind or to be the one dissenting voice in a crowd, and neither should you. “Your silence serves no one,” says the writer, activist and self-proclaimed professional troublemaker. In this bright, uplifting talk, Ajayi Jones shares three questions to ask yourself if you’re teetering on the edge of speaking up or quieting down — and encourages all of us to get a little more comfortable with being uncomfortable.
ラヴィー・アジャイ・ジョーンズは思ったことを口に出し、大勢の中でただ1人異論を言うことを怖がりません。あなたもそうあるべきなのです。
「黙っているのは誰のためもならない」、作家で活動家、そして、自称プロのトラブルメーカーは言います。
この明るく元気のいいトークで、アジャイ・ジョーンズは、声をあげるか、黙り込むか迷ったときに、自問すべき3つの質問をシェアします。そして、皆に、居心地悪いことに、もう少し心地よさを感じることを勧めます。
収録は2018年11月、長さは11分、日本語字幕あり。
ユーモアがあって明るい気分になれるプレゼンですね。
ドミノ倒しの最初のコマになる
私はプロのトラブルメーカーです。
作家、講演者、うさんくさいナイジェリア人として、世の中や見かけ倒しのシステム、向上しようとしない人々を批判することが私の仕事です。
「ちょっと、なんとかしなさいよ」と他の人をじろっと見るのが私。
この世を去る時は、生まれたときより良い世界であってほしいと思っています。
変化を起こすために、私は、声を上げて、最初に倒れるドミノのコマになります。
ドミノ倒しが起きるためには、まず1つ目が倒れなければなりません。そうすれば、ほかの人があとに続きます。
最初に倒れるドミノのコマは、「私が倒れるのを見て、次の人が感化されるといいな」と考えます。
最初のコマになるとき、他の人が続くことを願いながら、発言し、ときには、とてもむずかしいことをしなければなりません。
やるしかない
人が心の中で思っているけれど、口にはしないことを言う私のような人間は、恐れを知らないと思われますが、違いますよ。
権力に対して真実を言うことで起こりうる結果や犠牲に対して、恐れがないわけではありません。
でも、「やるしかない」と思ってやるのです。この世界には、最初に倒れるドミノのコマになろうとする人があまりにも少ないから。
怖くないからやるわけじゃないんです。
では、恐怖についてお話しましょう。
恐れがやりたいことを遠ざける
私は子供のときから、医者になろうと決めていました。
でも、大学で医学部志望(premed major)の人は、入門化学を取る必要があり、私はその学科で、なんと、Dを取ってしまいました。
そこで、医学部を志望するのはやめました。
同じころ、ブログを書き始めました。2003年のことです。
1つの夢が消えたら、別の夢が始まったのです。趣味でやっていたことがフルタイムの仕事になったのは、2010年に、マーケティングの仕事を失ったときです。
それでも、作家(writer)を名乗るまで、さらに2年かかりました。
執筆を始めてから9年たって、ようやく自分を作家だと言うようになったのは、安定した収入を失いなくなかったからです。その結果、本当にやりたいことに本腰を入れるまでに9年かかりました。
このとき気づきました。恐れは、やりたいことや、信条に合った発言をすることを、遠ざけてしまうということに。
そこで決めました。「恐れなんかに、私の人生を支配させないわ。恐怖のせいで行動を変えたりなんてしない」と。
すると次々といいことが、ドミノ倒しのように始まったのです。
このことに気づいたのは、2015年。30歳になる年で、その年は「とにかくやってみる(Do it anyway)」年にして、怖いと思うことをやることにしました。
怖いと思ったことをどんどんやった
私は山羊座なので、足を地面にしっかりつけているのが好きです。
でも、この年、生まれて初めて一人旅をしました。それも海外。ドミニカ共和国に行きました。
誕生日に私は、熱帯雨林でジップライニング(木々の間に張られたワイヤーロープを滑車を使ってすべりおりること)をしました。とても楽しかった。
それと、私は水に潜るのは嫌いです。地に足をつけていたいから。
そこで、メキシコに行き、イルカと一緒に水中を泳ぎました。同じ年に、自分にとっては、「山」に登ることをしました。本を書いたんです。I’m Judging You: The Do-Better Manual という本です。
その後、執筆が本業になりました。
もう1つ、この年、自分らしくない、すごく怖いことをしました。スカイダイビングです。
いざ、飛び降りる段になって、「また人生の選択を間違えた」と思いました。故障もしていないのに、飛行機から進んで飛び降りるなんて。
でも実際やってみたら、眼下にすばらしい景色が広がって、「これは人生最高の経験、本当にやってよかった」と思ったんです。
真実を語るのは飛行機から飛び降りること
真実を語らなければ、と思うときの気分は、飛行機から飛び降りるときの気分に似ています。
開いたハッチの端っこにいるときの気分です。「やるべきじゃない」と感じます。でも、「とにかくやってみよう。だってやるしかないもの」と思うのです。
飛行機のハッチに座っている間は、居心地がいいんです。
でも、「居心地のよさ」は、過大評価されています。
何も言わず、そのままでいるのは、心地がいいもの。だけど、心地いいままでいたら、現状は何も変わりません。
だから、必要なときは、都合の悪い真実を語って、居心地の悪い思いをすることに、心地よさを感じるべきです。
そして、私は「真実を語らなければならない」と思っています。なぜなら、正直でいることは私にとってとても重要だから。
私は誠実さをとても大事にしています。
正義は、選択ではなく、必須であるべきなのです。
それが私のコアの価値観だから、真実を語るしかありません。
お互いに助け合って声をあげる
でも、私のようなプロのトラブルメーカーだけが、ドミノ倒しの最初のコマになるべきではありません。
みな、結果を恐れてばかりで気づいていませんが、私たちは、その部屋の中で、一番パワフルか、2番め、3番目にパワフルなんです。
私のような人の役目は、現状を揺り動かすことだと思います。
一番パワフルでなくても、他の人と団結すれば、もっとパワフルになれます。
それは、会議でうまく言葉を出せない女性を、支えてあげたり、その人の意見がちゃんと伝わるようにしてあげたりすること。そんな余地を持てるようにすることです。
皆の幸せは社会の責任です。このことを知り、誰かの助けになるよう努めていたら、自分が助けを必要とするとき、苦労しないはずです。
声をあげてみた
ときには、衆目の中で、転んで倒れてしまった、と感じるときがあります。
ある会議でスピーチを頼まれたとき、交通費は自費だと言われました。
でも、調べてみたら、白人男性の講演者は、講演料も交通費も支給され、白人女性の講演者は、交通費が支給され、黒人女性は、交通費を自己負担しているんです。
「どうしようか」と思いあぐねました。このことを公にしたら、金銭的な打撃を受けるかもしれませんから。
でも、黙っていても、誰の役にも立たないので、恐る恐るこのことを公にしました。
すると、他にも、「同じような報酬の不公平を受けた」と声をあげる女性が現れました。
そこから、会議における差別的な報酬体系についての話が始まったのです。
ある著名人の不快な内容の回想録を読んだことについて書いたとき、自分がドミノ倒しの最初のコマになったと思いました。
その著名人のほうが、ずっと力があるから、私のキャリアに響くかもしれないと心配しましたが、「やるしかない」と思いました。
飛行機のハッチに2時間ほど座って、「投稿」をクリックして逃げました。
戻ってきたら、爆発的に拡散されていて、「わあ、よかった。ようやく言ってくれる人がいた」と皆、喜んでいました。
これがきっかけで、メンタルヘルスやセルフケアに関する話が続き、「よし、これでいいんだ。私のしていることが、何かの役に立っている」と思ったのです。
その後、とても影響力のある男性に、自分がどんなふうに暴行されたか語る人たちがたくさんドミノになりました。
そして、何百万という女性たちが、ミー・ツー(Me Too)と声を上げました。
#MeToo運動を起こした、タラナ・バークに拍手しましょう。
ありのままの自分でいる
権力を持っている人々やシステムは、私たちが現状に甘んじるよう、黙っていてほしいと思っています。
ドミノのコマになるのは、時に、ありのままの自分でいることです。
今の私は3歳のときから変わっていませんが、だからこそ最初に倒れるドミノのコマでいられるとも思っています。
典型としてふるまうことがよしとされる社会で、自分自身でいることは、革命的な行動です。
小さな声で話すことを期待されている世界で、私は、大声をあげます。
言いにくいことを言おうとするとき、私は自分に3つ、質問します。
1.本気でそう思うのか?
2.弁護できるのか?
3.愛をこめて言っているか?
答えがすべてイエスなら、発言して、あとは流れに任せます。
こうやって、自分でチェックすると、いつも答えは、「やるべきだ」になります。
しっかり考えて真実を語ることが、革命的な行動とみなされるべきではありません。
権力に盾をつく真実を語るのは、犠牲を伴うべきではありませんが、現状はそうなっています。
でも、もっと多くの人が、同じようにすれば、世界はよくなっていきます。
私たちは、真実を語りながら、共通の基盤へ橋渡しをしています。真実を土台にしていない橋は崩れるものです。
だから、私たちの役目や義務は、力のあるものに対して、真実を語ること、最初に倒れるドミノのコマになること。困難だからこそ、そうすべきなのです。
//// 抄訳ここまで ////
ジョーンズさんの著書です。
他にも何冊か著書があります。
自分の意見を言う・ほかのプレゼン
人の言いなり(ピープルプリーザー)になるのをやめる方法(TED)
女の子に勇気を持つことを教えよう。完璧であることではなく(TED)
批判や心配に負けず、レジリアンス(立ち直る力)を高める方法(TED)
自分らしさを大事にする
ジョーンズさんのように、社会的な問題に対して声をあげるのは、勇気がいるものです。
彼女は、「誠実さ」を何よりも大事にしているから、「これは間違っているんじゃ?」と思うことに対して、積極的に声をあげます。
それは、「自分自身であることだ」とジョーンズさんは言いますが、思ったことを言って、批判されるより、言わずにがまんしているほうが、自分の心は傷つくでしょう。
今、心のバランスをくずす人が増えていますが、言いたいことや、やりたいことをがまんしすぎるからではないでしょうか?
自分の意見を発言し、やりたいことにチャレンジするその時は、怖いけれど、心地悪いのは一瞬のことで、その後は、「言ってよかった」「やってよかった」と思うものです。
逆にがまんしてしまうと、それからえんえんと居心地悪さが続きます。
自己主張が苦手な人は、まずは小さなことから声をあげてみると、自信もつくし、もっと毎日が楽しくなると思います。