シンプルに生きる

ドミニック・ローホー

最終更新日: 2021.07.23

ドミニック・ローホー「シンプルに生きる」でフランス語とミニマリズムを同時に学ぶ

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フランス語の勉強のために、フランス人ミニマリストドミニック・ローホーさんの「シンプルに生きる」という本の原書と翻訳本を入手しました。

まず翻訳本を読んでみました。フランス語のミニマリズムの本を読む意義、この本が英語圏で翻訳されていない理由をお伝えします。

この本の原題は «L’art de la simplicité» 。「シンプル道」とでも訳せるでしょうか。フランスでは2005年に出版された本です。

日本語の正式なタイトルは「シンプルに生きる―変哲のないものに喜びをみつけ、味わう」です。

ドミニック・ローホーさんの本は日本ではベストセラーになっているようです。しかし、私はローホーさんのことは全然知りませんでした。

というのも、この方の本、英語圏では出ていない(英語に翻訳されていない)からです。(☆2017年1月にカナダのアマゾンでも、英訳本が発売されました)。



ローホーさんとの出会い

私がローホーさんについて知ったのは、2011年のNHKのラジオ講座の応用編、「Vivre avec simplicité 〜ドミニック流シンプルライフに学ぶ一歩先のフランス語〜」のテキストを見た時。

この番組は、ローホーさんへのインタビューを題材にした講座です。

当時の私は、まだフランス語の独学を始めて2年目ぐらい。応用編は難しすぎたので聞きませんでした。ただ、テキストに「シンプルライフ」と書いてあったのを見逃しませんでしたよ。

「いつか勉強が進んだら聞こう」と思い、番組は録音しておきました。しかし、いまだ聞かずにパソコンの中で眠っています。

以前も書きましたが、私はカレン・キングストンの本、「ガラクタ捨てれば自分が見える」と、「『収納』するより『捨て』なさい」という本で「捨てること」にめざめ、フライレディのメールを読みながら、片付ける習慣を身につけてきました。

2冊の本とフライレディのメールだけで、シンプルライフの考え方に納得し、大部分の物を捨てることができたのです。

そのため、あまりシンプルライフ系の本は読んでいません。

近藤麻理恵の「人生がときめく片付けの魔法」を読んだのは今年の春ですし、断捨離の本家、やましたひでこさんの本にいたっては短い電子書籍を今年の夏に読んだだけ。

☆こんまりの本について⇒近藤麻理恵の「人生がときめく片づけの魔法」の英語版の感想~ベストセラーの秘密は東洋の神秘にある?

☆やましたひでこさんの本はこちら⇒やましたひでこの『基本の断捨離21のルール』をミニマリストの視点で読んだ感想

こんまりの本は、物をカテゴリーごとに、一気に捨てるというやり方が気に入り、さらに物を減らすことができました。





ローホーさんの本を買った動機はフランス語の勉強のため

今回、なぜローホーさんの本を読もうと思ったのかというと、たまたまカナダのアマゾンで «L’art de la simplicité» のペーパーバックを見つけたからです。

さらに私がふだん利用しているオーディオブックのサイト、Audibleでも、この本があることを発見しました。

翻訳本、原書、オーディオブックと3つ揃っているわけですから、フランス語の学習に最適です。

しかも内容は私の興味がある「シンプルライフ」。そこでまず日本のhontoで翻訳本を買い、直送してもらいました。

6月に買ってSAL便で発送してもらったのに、なぜか届いたのは先週です。さっそくお風呂で読み始めました。同時に、原書も注文しました。

L'art de la simplicité (シンプルに生きる)

原書が手元に届いて気付きました。なんだか翻訳本はみょうに薄いです。

新書をちょっと幅広にした大きさで活字の組もわりと大きいのに(老眼鏡なしで読めました)182ページで終わっています。

それに対して、オリジナルは316ページ。ペーパーバックのほうもわりと活字は大きいですが。

フランス語は発音しない文字が多く、英語に比べると文字数が増えるのですが、それにしても多い。

「おかしいな」と思いアマゾンのレビューをチェックしたら「この本は和訳に省略が多く構成も原書と全く違うので、新装版三冊を強くオススメします」とあるではないですか。

がーん。

ですが、本の帯には「31万部突破」とあり、私が買ったのは2015年5月30日の第25刷です。

今も読まれているということですよね?

まあ、ダイジェスト版として持っておこうかと思います。

ちなみに新装版とは、
●シンプルに生きる モノを持たない暮らし
●シンプルに生きる 美しいからだをつくる
●シンプルに生きる ストレスからの解放

の3冊です。「本書は、前作をより詳しく、イラストを豊富に収録した3冊同時刊行の完全版」とあります。

イラストなんていらないから、1冊にまとめてほしかったです。1冊定価1028円なので3冊買うと3000円になってしまいます。

ミニマリズムの本なのに、なぜ冊数を増やすのでしょうか?

原書は5,99ユーロなので、きょうの換算で801円。ちなみに私は9.86カナダドルで買いました。1000円ぐらいです。

原書をぱらぱらと見たところ、なんとか読めそうなので、とりあえず原書だけで進めてみます。

薄い翻訳本も悪くない

さて、私が買った翻訳本のレビューを読むと「本も内容も薄い」とか「ありきたり」「あたりまえのことばかり」と書いてあるのものがちらほら。

でも私はわりといい内容だと思いました。

冒頭に、「シンプル主義の37カ条」というのがあります。中には

●とっておくものの数を決める(スプーン、シーツ、靴など)

●それぞれのものの置き場所を決める

●空き箱、袋、空き瓶などを溜め込まない

●ひとつひとつのものを、必要かどうかチェックする

といったどんな「お片づけ本」にも書いてあることがのっています。

同時に、

●可能な限り物質的なものを排除する

●住まいが生き生きしている状態のなかに変化は訪れる

●自分の経験を自分の欲求に照らし合わせたうえで迷いが出るものは捨てる

などという、日本語の本には絶対書かれていない翻訳調の言葉も並んでいます。こういう抽象的な物言いがフランス語らしさであり、日本語にはない部分です。

こういう文章を目にしたとき、「これは私の生活において、どんなことを意味するのだろう」と深く考えることができます。

すると、こんまりの実践的な片づけ本だけでは得られない、別の視点から、自分らしいシンプルライフについて検討できると思うのです。

そういう意味でフランス人の書いたシンプルライフの本を読むのは、これまた楽しいものです。

アメリカでローホーさんの翻訳が出ていない理由をさぐる

ドミニック・ローホーさんの本はヨーロッパ各国ではベストセラーになっているそうです。なぜアメリカやイギリスで翻訳が出ないのでしょうか。

今、amazon.co.ukでローホーさんの名前を入れてみたら、L’art de la Simplicité (The English Edition): How to Live More With Less というのを発見しました。

翻訳が出るらしいです。しかし、発売予定日は2017年の4月20日。たいした量じゃないのに、翻訳するのにそんなに時間がかかるのでしょうか?

ちなみに、アメリカのアマゾンには英訳本は出ていませんでした。イギリスは同じヨーロッパだから出版されるのかもしれません。オリジナルが出てから12年後に。

今、オリジナルのほうの前書きの冒頭を見たら、子供のときから、外国に興味があり、イギリスのカレッジでフランス語を教え、アメリカのミズーリ大学でもフランス語を教えて、アメリカの大部分の州に行ったと書いてあります。

サンフランシスコで禅の庭を見て、日本に興味を持ったそうです。

けっこう長くアメリカにいたようなのに、知人に売り込まなかったのでしょうか。まあ、「売り込む」などという行動は、ミニマリストにはふさわしくありませんが。

原書では3つのパートに分かれていて、1番最初が
MATÉRIALISME ET MINIMALISME (物質主義とミニマリズム)です。
このパートの第1章が Les excès du matérialisme(過剰な物質主義)。

アメリカは筋金入りの物質主義の国だから翻訳本が出ないのかもしれませんね。ですがアメリカにもミニマリストはいます。ピーター・ローレンスとか。

ピーター・ローレンスの部屋を見たい方はこちら⇒ミニマリストの部屋公開~最小限のモノで生活して40歳でリタイヤした男

ピーターは東洋の思想とか、ストイシズムの影響を受けているし、シンガポール出身の人だからアメリカ人とは言えないかもしれませんが。

ローホーさんの本、アメリカで出版しても、今なら受け入れられるのではないでしょうか?iPhoneも一応ミニマルデザインです。デザインはミニマルだけど機能が多すぎるところはマキシマリズムですが。

ローホーさんの本が売れている日本だって今やほとんど物質主義の国です。

昔は禅の庭に代表される日本庭園や、空間を計算に入れた生花、日本家屋など、要素を削ぎ落とした美しさをよしとする文化がありました。しかし現代の日本製品は小さいかもしれませんが、やたら機能を盛り込もうとしています。

それに今の日本人の家はほとんどガラクタ倉庫と化しています。

アメリカや日本でローホーさんの本がたくさん読まれ、行き過ぎた物質主義に少しは歯止めがかかるといいですね。

次回は、翻訳本の感想を書きます。





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